【ヘルシーレシピ】GABAの特徴や期待される効能は?豊富な食べ物やレシピも紹介【管理栄養士監修】

【ヘルシーレシピ】GABAの特徴や期待される効能は?豊富な食べ物やレシピも紹介【管理栄養士監修】

(2024年3月14日公開)
最近、GABA(ギャバ)の入った商品を目にする機会が増えてきています。「ストレス対策」「睡眠の質を高める」などと書かれているため、気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、GABAの特徴や期待される効能・効果、豊富な食べ物、GABAをたっぷり摂れるレシピを紹介します。

               

GABAの特徴

GABA(ギャバ)は「γ-アミノ酪酸(Gamma-Amino Butyric Acid)」の略称です。アミノ酸の一種で、水溶性の成分です。

GABAは、神経と神経の間でシグナルを伝える役割を担う神経伝達物質の一つであり、脳内に多く存在しています。心や体を活発にする交感神経の働きを鎮める作用があることから、リラックス作用や睡眠への効果が期待されている成分です。

GABAは野菜や果物、大豆製品などの食べ物にも含まれていますが、体内で生成される成分であるため、1日の必要量が定められているわけではありません。

しかし、食べ物に含まれるGABAの摂取により健康の維持増進に役立つとして、近年注目されてきています。

GABAに期待される効能・効果

食べ物に含まれるGABAには、どのような効能や効果が期待されているのでしょうか。詳しく解説します。

抗ストレス作用

GABAは、興奮に関わる交感神経の活動を抑えて、リラックスに関わる副交感神経を活性化させる作用があります。

交感神経と副交感神経は合わせて「自律神経」と呼ばれています。自律神経がバランスよく働くことで、私たちは心身ともに元気に過ごせています。ストレスや不規則な生活で自律神経のバランスが乱れて、交感神経が優位になってしまうと、興奮や緊張した状態が続いてしまいます。

GABAは、この交感神経を抑えて副交感神経を優位にすることで、リラックス状態に導き、ストレス状態から解放するのをサポートしてくれることが期待できます。

実際にGABAを摂取することにより、心拍数が落ち着いたり、副交感神経が優位になったりすることが、様々な研究で確認されており、ストレスの緩和やリラックス作用が期待されています。

睡眠の質をサポート

GABAには睡眠の質を向上させたり、目覚めをスッキリさせたりする働きが期待されています。

理由は先ほどと同じで、GABAの摂取により副交感神経が優位になり、リラックス状態を作るからです。リラックスすることで、眠りをスムーズにしたり、睡眠の質を向上させたりしやすい状態を作ってくれます。

血圧を下げる

GABAの摂取により、血圧を下げるのに役立つことがわかっています。これはGABAが交感神経の活動を抑えて、血管を収縮させるノルアドレナリンの分泌を抑えることが理由として考えられています。

ストレスのある状態では、血管が収縮して血圧が上がってしまうのですが、リラックスにより血管が弛緩して血圧が下がる、という仕組みです。

歯ぎしり対策や口の健康を守る

GABAの摂取により、3つの観点で歯や口の健康を守る効果が期待できます。

1つ目は、ストレス対策による歯ぎしり抑制です。歯ぎしりの原因の1つにストレスがあるため、GABAによって緩和が期待できます。歯ぎしりは歯のすり減り、頭痛や肩こり、歯周病悪化の原因となるため、ぜひ対策したいものです。

2つ目は、ストレス対策により、口の中の状態を保ってくれることです。ストレス状態が続くと、唾液分泌量が低下したり、免疫機能が低下したりして、むし歯や歯周病、口臭などのトラブルにつながりかねません。

3つ目は、食べ過ぎの防止です。近年の研究で、食事から摂取したGABAが満腹感を感じやすくすることがわかってきました。満腹感を早く感じることは食べ過ぎを避ける効果につながるため、肥満の抑制のほか、長時間の食事や糖質の過剰摂取を抑えて口内環境を保つ効果も期待できます。

歯や口の健康を守るためにも、GABAの摂取が役立つといえるでしょう。

食事で摂取したGABAは脳に届かない?

GABAは、血液脳関門を通過できないことがわかっています。血液脳関門には、血液から脳組織へさまざまな成分を届ける関所のような役割があります。
GABAは体内で合成されるときに脳内で合成できるため、脳内の神経伝達に関わることができます。それでは食事から摂取したGABAはちゃんと効果を発揮してくれるのでしょうか。

実際に、食事から摂取したGABAも健康効果をもたらすことは昔から知られています。食事に入っていたGABAは、腸から体内に取り込まれた後、全身に張り巡らされた神経を介して健康効果をもたらすと考えられています。

GABAの1日の摂取量の目安

GABAの摂取量について、明確な基準はありません。健康食品に添加されている「効果があるとされるGABAの量」を参考にすると、1日あたり10~100 mgほどが目安と考えられます。

GABAが不足するとストレス状態が続く恐れがありますが、もともと体内で生成できる成分のため、不足について心配しすぎる必要性は低いでしょう。

GABAの過剰摂取については、食べ物から摂る量であれば心配は少ないとされています。しかし、健康食品などからの過剰摂取による健康への影響ははっきりとわかっていません。
摂れば摂るほど効果が期待できるわけではないため、健康食品の摂取目安量の範囲を守って摂取しましょう。

GABAが豊富な食べ物

GABAはどのような食べ物に含まれているのでしょうか?詳しく見てみましょう。

トマト缶、かぼちゃ、玄米など

GABAはさまざまな植物性食品に含まれていますが、特に意識して取り入れたい場合は、下記の食べ物を取り入れてみましょう。

▼100 gあたりのGABA含有量
食品名 含有量
トマト缶詰 95 mg
かぼちゃ 45~58 mg
じゃがいも 43~68 mg
たけのこ 40 mg
大豆もやし 30 mg
トマト 18~57 mg
ぶどう 17 mg
大豆 7 mg
玄米 3 mg
出典:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構「機能性成分含有量データ

GABAがもっとも多く含まれているのは、トマト缶詰です。生のトマトより豊富に含まれているため、効率的に摂取できるでしょう。
最近では「高GABAトマト」という生のトマトも見かけるようになってきました。GABAを効率的に取り入れたい場合は、手に取ってみてもよいのではないでしょうか。

また、GABAは水溶性であるため、調理の際に茹でると水に流れ出る恐れがあります。蒸したり焼いたりしたほうが、効率的に摂取できるでしょう。

チョコレート、ココア

チョコレートやココアの原料であるカカオには、GABAが含まれています。

最近では、GABAを高配合したチョコレートやココアが販売されており、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。手軽に取り入れたい場合には、このような食べ物を活用するのもよいでしょう。

ただし、チョコレートやココアには脂質や糖質が多く含まれています。食べすぎると肥満や生活習慣病の原因となり、かえって健康に悪影響を与えてしまう恐れもあります。また、砂糖の摂りすぎにより、むし歯の原因となるのも心配な点です。

食べすぎに注意したり、ほかの間食は控えるようにしたりするなど、上手に取り入れるようにしましょう。

キムチ、たくあんなどの漬物・発酵食品

GABAは漬物や発酵食品にも含まれることが知られています。具体的には、キムチ、たくあん、奈良漬け、しば漬けなどです。
GABAを含む玄米や納豆と組み合わせて食べるとよいでしょう。

たくさん食べると塩分の摂りすぎになるため、取り入れる場合は食べすぎに注意してください。

ストレス対策に効果的なGABAの摂り方

GABAを取り入れるタイミングは、ストレス対策や血圧対策であれば好きなタイミングでOKです。

睡眠に関する効果を期待するなら就寝前30分がよいといわれていましたが、最近では日中の摂取で効果が期待できるという報告もあります。そのため、睡眠への効果を期待する場合も、いつでも摂取してよいといえるでしょう。

また、GABAのほかに「トリプトファン」という必須アミノ酸も、リラックスや心の安定に関わることが知られています。
ストレス対策や睡眠の質向上を期待したい場合は、トリプトファンを含む豆腐、納豆、味噌、牛乳、ヨーグルト、バナナを組み合わせて食べるのもよいでしょう。

「たっぷり野菜と大豆のミネストローネ」のレシピ

GABAをたくさん摂りたいときは「たっぷり野菜と大豆のミネストローネ」のレシピはいかがでしょうか。

GABAの多いトマト缶、じゃがいも、大豆を使用し、おいしさも加わるようにキャベツ、にんじん、ベーコンを組み合わせました。

GABAは生のトマトよりトマト缶のほうが豊富なため、効率的に摂取できます。また、スープにすることで、GABAなどの水溶性の成分も煮汁ごと取り入れられます。

2人分の分量を紹介していますが、倍量にして作り置きしておくのもよいでしょう。作り置きしておくと、朝食や夜食など、好きなタイミングで取り入れやすくなります。冷蔵庫で保存し、3日程度保存できます。

野菜たっぷりでよく噛んで食べられるため、歯と口の健康づくりにもぴったりなレシピです。

<材料>(2人分)調理時間:20分

  • キャベツ:80 g
  • にんじん:1/3本
  • じゃがいも:1個
  • ベーコン:1枚
  • 蒸し大豆:50 g
  • トマト缶(カット):1/2缶
  • オリーブ油:小さじ2
  • 水:250 ml
  • コンソメスープの素(顆粒):小さじ2
  • しょうゆ:少々
  • 塩:少々
  • こしょう:少々
  • パセリ(乾燥):少々

<作り方>

  1. キャベツ、にんじん、じゃがいも、ベーコンは1 cm角に切ります。
  2. 鍋にオリーブ油を入れ弱めの中火で熱し、キャベツ、にんじん、じゃがいも、ベーコンを炒めます。
  3. 2のキャベツがしんなりしたら、大豆、トマト缶、水、コンソメスープの素、しょうゆを加えます。煮立ったら弱火にし、ふたをして約10分煮込みます。
  4. 3の野菜が煮えたら塩、こしょうで味をととのえます。器に盛り、パセリを散らします。

<ポイント>

トマト缶、じゃがいも、大豆以外の野菜は、お好きな野菜でアレンジできます。玉ねぎや白菜などを入れてもよいでしょう。
煮込んでいる途中で水分が少なくなった際は、様子を見ながら水を足してください。

元気な毎日を過ごすために、取り組みをはじめよう!

GABAはストレスや睡眠について、さまざまな効果が期待できる成分ということがわかりました。しかし、GABAのような特定の成分を取り入れるだけではなく、さまざまな食べ物を摂って栄養バランスを整えたり、規則正しい生活を心がけたりすることも大切です。
元気な毎日を過ごすために、できるところから取り組みをはじめてみましょう!

執筆者:広田千尋さん(管理栄養士)

病院、保育園、保健センターで13年にわたり幅広い年代の栄養サポートに携わる。
現在はフリーランスの管理栄養士として、コラム執筆のほか、身近にある材料で栄養満点なレシピの提案などを行っている。
ホームページ>
https://hirotachihiro.com/
Instagram>
https://www.instagram.com/chihiro_eiyo/

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