この記事では、8月が旬の野菜について、特徴的な栄養素と旬のものの選び方、旬の野菜を使った簡単ヘルシーレシピを紹介します。
8月が旬のモロヘイヤ、とうもろこし、枝豆は、素材の旨みをたっぷり味わえるだけでなく、栄養豊富な野菜です。特に夏の暑い時期に摂りたい栄養素や成分が豊富なので、積極的に取り入れましょう。
この記事では、8月が旬の野菜の栄養価や特徴、働きについて解説します。あわせて夏にぴったりの旬の食材を使った簡単レシピも紹介します。
王様の野菜「モロヘイヤ」
7〜8月に旬を迎えるモロヘイヤは「王様の野菜」といわれるほど栄養価の高い野菜です。古代エジプトの王様が病気を患った際に、モロヘイヤのスープを飲んで回復したという言い伝えから、王様の野菜と呼ばれるようになりました。
モロヘイヤは夏の限られた時期にしか出回らないため、夏は積極的に取り入れたいものです。モロヘイヤを選ぶ際は、葉がみずみずしくてハリのあるものを選びましょう。
栄養素
モロヘイヤはカリウム(530 mg/100 g)、葉酸(250 µg/100 g)、ビタミンK(640 µg/100 g)などの栄養素を含みます。
なかでもビタミンA(840 µg/100 g)、ビタミンC(65 mg/100 g)、ビタミンE(6.5 mg/100 g)、食物繊維(5.9 g/100 g)の含有量が豊富です。
期待される効能
モロヘイヤに含まれる豊富な栄養素には、下記の働きが期待されています。
ビタミンA・C・E:美肌に欠かせない
ビタミンA・C・Eは「ビタミンエース」とも呼ばれ、抗酸化作用が高いといわれているビタミンです。モロヘイヤは野菜のなかでもトップクラスの含有量を誇ります。
同じ夏野菜であるパプリカ(赤)にもビタミンエースが含まれますが、モロヘイヤはパプリカと比べ、ビタミンAが約9.5倍、ビタミンEが約1.5倍含まれています。パプリカの栄養素については下記の記事をご参照ください。
抗酸化作用とは、活性酸素から体を守る働きのことです。紫外線やストレス、加齢などで活性酸素が過剰に発生すると、細胞を傷つけて肌の老化を引き起こす原因となります。紫外線が強い時期は、抗酸化作用を持つビタミンを意識して摂りたいものです。
また、ビタミンエースは抗酸化作用のほかにも、粘膜の健康維持にも関わるため、歯と口の健康づくりにも欠かせません。
水溶性食物繊維(ペクチン):健康づくりや腸活をサポート
モロヘイヤのねばねば成分は、水溶性食物繊維であるペクチンなどによるものです。モロヘイヤに含まれる水溶性食物繊維(1.3 g/100 g)は、同じ夏野菜であるパプリカ(赤)の2.6倍、トマトの約4.3倍の量です。
水溶性食物繊維は、腸内環境を整える働きが期待できます。水溶性食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌の活動を活発にしてくれるのです。
また、糖や脂質の吸収を妨げるため、血糖値の急激な上昇を抑えたり、コレステロール値を低下させたりする働きも期待されています。
おすすめの調理法
モロヘイヤに含まれるカリウムやビタミンCは水溶性で、水に流れ出やすい性質があります。茹でたり水にさらしたりする場合は、短時間で済ませるようにしましょう。
ビタミンAとビタミンEは脂溶性であり、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。ごま油やオリーブ油と一緒に調理したり、脂質を含む肉や魚などのメニューと組み合わせたりすると良いでしょう。
夏の栄養補給に万能の「とうもろこし」
夏野菜であるとうもろこしの旬は、7〜9月頃です。よく目にするとうもろこしは「スイートコーン」といい、甘さやジューシーさが特徴の品種です。
とうもろこしは、皮の緑色が鮮やかで、穂先まで実が詰まっているものを選びましょう。また、ひげが濃い茶褐色のものは、よく熟して甘味がある証拠です。
栄養素
とうもろこしは糖質の量が多いイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
とうもろこしの糖質(12.5 g/100 g)の量は、きゅうり(2.0 g/100 g)やトマト(3.1 g/100 g)などの糖質の少ない野菜に比べると確かに多くなっています。しかし、かぼちゃ(17.0 g/100 g)やじゃがいも(17.0 g/100 g)に比べると少ない量です。
また、とうもろこしを主食とする国もあるように、糖質以外の栄養素も豊富な野菜です。鉄(0.8 mg/100 g)、葉酸(95 µg/100 g)、ビタミンB1(0.15 mg/100 g)を含むほか、カリウム(290 mg/100 g)、食物繊維(3.0 g/100 g)なども豊富です。
期待される効能
とうもろこしに含まれる栄養素は、暑い時期の体調管理や、健康づくりにうれしい働きが期待されています。
カリウム:汗で失われるミネラルを補給
カリウムは体内で水分バランスを調整する働きがあります。カリウムは汗によって失われやすいため、暑い時期は意識して摂りたい栄養素です。
ほかにも、むくみの予防や高血圧予防にも欠かせない働きがあります。
不溶性食物繊維(セルロース):便秘予防に役立つ
とうもろこしの薄皮部分には、セルロースなどの不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
不溶性食物繊維は、便の材料となって腸を刺激して、排便を促す作用があります。
また、不溶性食物繊維は、野菜の硬い食感を作っている成分でもあります。よく噛んで食べることにつながるため、唾液分泌を促し、歯と口の健康維持にも役立ちます。
おすすめの調理法
とうもろこしは、収穫後に時間が経つと甘みや旨みが薄れてしまいます。なるべく買った当日に調理するようにしましょう。
注意したいのは、とうもろこしのタンパク質を構成するアミノ酸のなかでも、リジンやトリプトファンが少ない点です。とうもろこしばかり食べていると不足するおそれがあるため、大豆製品や肉、乳製品などのタンパク質源もあわせて食べるようにしましょう。
栄養価の高い畑の肉「枝豆」
7〜8月頃に旬を迎える枝豆は、大豆が熟す前の未熟な状態で収穫した野菜です。大豆と同じように「畑の肉」ともいわれ、大豆に似た高い栄養価を持つのが特徴です。
枝豆は緑色が濃くて鮮やかなものを選びましょう。さやにハリがあり、粒の大きさが揃っているものがおいしいサインです。枝付きの状態の枝豆は、鮮度が保たれやすく、おいしい状態をキープできます。
栄養素
枝豆はカリウム(590 mg/100 g)、葉酸(320 µg/100 g)、食物繊維(5.0 g/100 g)などの栄養素を含みます。
また、畑の肉と呼ばれる通りタンパク質(11.7 g/100 g)が豊富で、野菜のなかでトップクラスの含有量です。ほかにも、鉄(2.7 mg/100 g)、ビタミンB1(0.31 mg/100 g)などの含有量が優れています。
枝豆はさやに守られた状態で茹でるため、茹でても栄養素が損なわれにくいのが魅力的な点です。
期待される効能
枝豆に含まれる栄養素により、下記の効能が期待できます。
鉄:貧血を予防
枝豆に含まれる鉄は、貧血予防に欠かせない栄養素です。鉄は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ働きを担っています。
ヘモグロビンが不足した貧血の状態になると、頭痛や倦怠感、立ちくらみなどの症状を起こす場合があります。夏は食欲が低下して栄養バランスが偏ったり、汗により鉄が流れ出たりするおそれがあるため、しっかり補給するようにしましょう。
また、歯ぐきの健康を守るためにも全身の血流が大切であるため、鉄の摂取が欠かせません。
<鉄分についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。>
ビタミンB1:エネルギーを生みだす
ビタミンB1は糖質の代謝に欠かせない栄養素です。糖質からエネルギーを生みだす際に欠かせないため、不足すると倦怠感などの原因になることがあります。
糖質の多い食事やお酒をたくさん飲む場合にビタミンB1が不足しやすいため、特に夏は意識して摂りたい栄養素として知られています。
<ビタミンB1にもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。>
おすすめの調理法
枝豆はシンプルに茹でたものをそのまま食べるだけで、豊富な栄養素を摂取できます。旬の時期はかき揚げにしたり、サラダや炒め物の彩りにしたりすると、脂溶性ビタミンの吸収率が高まるのでおすすめです。
また、枝豆はお酒のおつまみにもぴったりです。特に糖質を多く含むビールと、糖質の代謝を助けるビタミンB1を含む枝豆は、理にかなった組み合わせといえるでしょう。
8月が旬の食材を使った「とうもろこしと枝豆のかき揚げ」のレシピ
8月が旬の食材を使った「とうもろこしと枝豆のかき揚げ」のレシピを紹介します。
とうもろこし、枝豆をシンプルなかき揚げにして、素材の味をたっぷり楽しめるようにしました。おつまみはもちろん、お子さんも食べやすいレシピです。
とうもろこしと枝豆から食物繊維をたっぷり摂れ、ほかにもカリウムやビタミンCなどの夏にうれしい栄養素を補給できます。
サクサクした食感でよく噛んで食べられるのも魅力的な点です。唾液の分泌を促したり、口のまわりの筋肉を鍛えたりしてくれ、歯と口の健康を支えてくれます。
<材料>(2人分)調理時間:15分
- とうもろこし:1本(正味150 g)
- 枝豆(ゆで・さや付き):100 g(正味50 g)
- 薄力粉:大さじ1
- (A)薄力粉:大さじ3
- (A)冷水:大さじ3
- (A)塩:小さじ1/3
- サラダ油:適量
<作り方>
- とうもろこしは実をそぎ落とします。枝豆はさやから実を取り出します。とうもろこしと枝豆は、水気があればキッチンペーパーでふき取ります。
- ボウルに1と薄力粉大さじ1を入れてよく混ぜます。
- 別のボウルに(A)をあわせて、2とさっくり混ぜ合わせます。
- フライパンにサラダ油を1〜2cmの高さになるように入れて高温(180度)まで加熱します。スプーンやお玉などで3をすくって油に落とし、色づいたら上下を返します。全体が色よく揚がったら取り出して油を切ります。
<ポイント>
冷凍の枝豆でも作れます。流水解凍または電子レンジで解凍した後にさやから実を取り出してください。
夏の太陽をたっぷり浴びた8月が旬の野菜を楽しもう!
8月が旬の野菜は夏の太陽をたっぷりと浴びて育ち、栄養素はもちろん、おいしさもギュッと詰まっています。暑い時期に摂りたい栄養素や成分を含むものばかりなので、ぜひ毎日の食事に取り入れてみましょう。