この記事では、3月が旬の食材の栄養価や効能を解説します。また、春を楽しむ、ふきのとうを使ったレシピを紹介します。
3月が旬のチンゲン菜、ふきのとう、いちごは、春らしい風味を楽しめ、栄養価も高いのがうれしい食材です。旬の食材を取り入れて、寒暖差のある時期を乗り切りましょう。
旬が春と秋の2回ある「チンゲン菜」
チンゲン菜は1年中出回りますが、気候の穏やかな春(3〜5月)と秋(10〜11月)に流通量が増えるため、旬といえる時期が2回あります。
春が旬のチンゲン菜は葉がやわらかく甘みがあり、独特の風味も良くなります。
チンゲン菜は、葉先までハリがあるものが新鮮なサインです。葉の色が鮮やかな緑色のもの、茎が肉厚なものはおいしいチンゲン菜です。
栄養素
チンゲン菜は、カリウム(260 mg/100 g)や鉄(1.1 mg/100 g)などの栄養素を含みます。
中でも不足しがちなカルシウム(100 mg/100 g)が豊富であり、牛乳のカルシウム含有量(110 mg/100 g)に匹敵するほどです。ほかにも、ビタミンA(170 μg/100 g)も豊富に含まれます。
期待される効能
チンゲン菜に含まれる栄養素には、下記の働きがあります。
カルシウム:骨や歯を丈夫にする
カルシウムは骨と歯の材料になり、丈夫にする働きがあります。また、カルシウムは血圧の調整に関わっており、高血圧の予防にもカルシウム摂取が役立つとされています。
日本人は子どもから高齢者まで、幅広い年代でカルシウム摂取量が不足しがちです。チンゲン菜のような色の濃い野菜を積極的に取り入れて、カルシウムを摂取しましょう。
ビタミンA:粘膜を健やかに保つ
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を守る栄養素です。ビタミンA不足により、粘膜が乾燥して感染症にかかりやすくなることもあり、体調を崩しやすい時期は特に意識して摂りたいものです。
ほかにも、口の粘膜や歯ぐきの健康にも関わっており、口の中を健やかな状態に保つためにも欠かせません。
おすすめの調理法
チンゲン菜に含まれるビタミンAは、脂溶性であり油と一緒に摂ると吸収されやすくなります。ビタミンAをムダなく摂るなら、油で炒めたり、脂質を含む肉や魚と組み合わせたりしましょう。
また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを含む、鮭やサバなどの魚介類や、舞茸やしいたけなどのきのこ類と組み合わせると、効率的に栄養摂取できます。
代表的な春の味覚「ふきのとう」
春の訪れを感じさせるふきのとうは、3〜5月が旬です。ふきのとうは「ふき」のつぼみであり、ふき自体は4〜5月が旬となります。
ふきのとうは、葉(つぼみ)が開いていないものを選びましょう。葉(つぼみ)が開いてきたものも食べられますが、苦味が増してきます。また、全体にハリがある新鮮なものを選ぶと良いでしょう。
栄養素
ふきのとうはこれから成長するための栄養素を蓄えているため、栄養豊富な野菜です。
鉄(1.3 mg/100 g)、食物繊維(6.4 g/100 g)のほか、ビタミンE(3.2 mg/100 g)、ポリフェノール(フキノール酸・クロロゲン酸など)が豊富で、健康へのさまざまな働きが期待できます。
期待される効能
ふきのとうに含まれる栄養素・成分の健康への機能を見てみましょう。
ビタミンE:血管のしなやかさを保つ
ビタミンEには、血管を広げて血行を促し血液が固まるのを防ぐ、いわゆる「血液サラサラ作用」があります。また、抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防いでくれます。
このことから動脈硬化や血栓を予防して血管のしなやかさを保ち、健康を守ります。
ポリフェノール(フキノール酸・クロロゲン酸など):抗酸化作用
ふきのとうはフキノール酸・クロロゲン酸などのさまざまなポリフェノールを豊富に含んでいます。中でも、フキノール酸はふきのとう特有のポリフェノールです。
これらのポリフェノールは、抗酸化作用が高いことから動脈硬化やがん、老化の予防に役立つほか、抗アレルギー作用も期待されています。
調理の際の注意点
ふきのとうを調理する際は、下茹でをしてアク抜きをしましょう。これは、ふきのとうに天然毒素である「ピロリジジンアルカロイド類」が含まれていることが理由です。
この天然毒素は、大量に食べたり食べ続けたりしない限りは悪影響はないとされていますが、安全に食べるためにアク抜きが推奨されています。ピロリジジンアルカロイド類は熱では減りませんが水に溶けるため、たっぷりの湯で下茹でをして、アク抜きをすることが大切です。
ビタミン・ミネラルの補給に「いちご」
いちごの旬は12〜5月頃であり、もっとも多く出回るのは3〜4月頃です。かつては露地栽培により、いちごの旬は5〜6月頃でしたが、現在は温室栽培がメインとなり冬から春にかけてが旬となっています。
おいしいいちごは、ヘタの下まで全体に色がついている・全体にハリやツヤがある・ヘタがピンとしているものです。また、ヘタが乾燥していないものは新鮮な証拠です。
栄養素
いちごはビタミンC(62 mg/100 g)、食物繊維(1.4 g/100 g)のほかに、アントシアニン、葉酸(90 μg/100 g)などを豊富に含みます。ビタミンCや葉酸などは水溶性のため失われやすい栄養素ですが、いちごはそのまま食べられるため、ムダなく摂取できます。
また、果物の中でも天然甘味料であるキシリトールを豊富に含むのが特徴です。キシリトールはむし歯になりにくいことから、歯の健康づくりに役立ってくれます。
期待される効能
いちごに含まれる栄養素・成分には、下記の機能が期待されています。
アントシアニン:抗酸化作用
ポリフェノールの一種であるアントシアニンとは、いちごの赤い色素成分であり、抗酸化作用を持つ成分です。
抗酸化作用により、体内で過剰に発生した活性酸素の働きを抑えてくれます。活性酸素により細胞が傷つくのを防ぎ、健康づくりや美容に役立つとして期待されています。
葉酸:成長期や貧血予防に必要
葉酸はタンパク質・DNAの合成に関わり、細胞が増える際に必要とされます。そのため、妊娠中や乳幼児・成長期の子どもは特に大切な栄養素です。
また、赤血球の生成に関わるため「造血のビタミン」とも呼ばれ、貧血予防にも関わっています。
おすすめの食べ方
いちごを洗う際は、ヘタを取る前に行うようにしましょう。先にヘタを取ると、切り口から風味や水溶性の栄養素が流れ出てしまいます。
ほかにも、いちごに含まれるビタミンCは、植物性食品に含まれる鉄の吸収を助けてくれます。食後に食べるようにすると、効率的に鉄を摂取できるでしょう。
3月が旬の食材を使った「ふきのとうみそ(ふきみそ)」のレシピ
3月が旬のふきのとうを使った「ふきのとうみそ(ふきみそ)」のレシピを紹介します。
ほろ苦く風味の良いふきのとうに、甘辛いみそがよく合います。旬の時期に一度は食べたい、旬を味わうレシピです。
ふきのとうは油との相性が良く、苦みを抑えてくれるだけでなく、脂溶性であるビタミンEの吸収を助けてくれます。
また、ビタミンEは、抗酸化作用や抗炎症作用があることから、歯周病予防にも役立ち、歯と口の健康づくりにも役立ってくれます。
ふきのとうみそは、そのまま食べるのはもちろん、さまざまなアレンジが可能です。おにぎりに塗って焼く「焼きおにぎり」、油揚げに塗ってチーズを載せて焼く「油揚げのチーズ焼き」、ひき肉と炒め合わせる「肉みそ」など、お好みの食べ方で楽しんでください。
<材料>(作りやすい分量・約15~20食分)調理時間:20分
- ふきのとう:10個(約100g)
- サラダ油:大さじ1
- (A)みそ:大さじ4
- (A)みりん:大さじ2
- (A)砂糖:大さじ1~2
<作り方>
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、ふきのとうを入れ1〜2分茹でる。冷水にとって冷ます。
- ふきのとうの水気をよく絞り、みじん切りにする。茶に変色している部分があれば除く。
- フライパンにサラダ油を入れ弱火〜中火で熱し、ふきのとうを炒める。全体に油がまわったら(A)を加え、水分が飛ぶまで3〜4分炒める。
<ポイント>
みその種類は、米・麦・赤など、お好みのもので問題ありません。また、ふきのとうの量は、80〜120g程度の間で前後してOKです。砂糖はお好みで量を調節してください。
調理後は清潔な容器に移し、速やかに冷まして冷蔵保存し、1週間程度を目安に食べ切るようにしましょう。
春を感じる3月が旬の食材を楽しもう
3月が旬の食材は、春の訪れを感じさせてくれるものばかりです。旬の食材は栄養価が高いだけでなく、味わいや風味などが良く、おいしく楽しめるのもうれしいポイントです。
寒暖差が大きく体調が整いづらい時期ではありますが、旬の食材を取り入れて元気に過ごしましょう。