【ヘルシーレシピ】マグネシウムの健康づくりに大切な働きとは?豊富な食べ物や簡単レシピ【管理栄養士監修】

【ヘルシーレシピ】マグネシウムの健康づくりに大切な働きとは?豊富な食べ物や簡単レシピ【管理栄養士監修】

マグネシウムは骨や歯の形成や、酵素の活性化に関わる必須栄養素です。健康づくりへの働きも期待されるため、不足することなく取り入れたいものです。
この記事ではマグネシウムの働きや過不足の影響などを解説します。あわせて豊富な食べ物や簡単レシピも紹介します。

               

マグネシウムの特徴

マグネシウム(元素記号:Mg、英語表記:magnesium)は、ミネラルの一種であり水溶性の栄養素です。

マグネシウムは、にがりに含まれる主な成分(塩化ナトリウム)としてもなじみのあるミネラルです。にがりは海水から塩を除いて作られ、豆腐の凝固剤として使われています。このように、マグネシウムは海水に多く含まれるため、食べ物のなかでも魚介類や海藻類に豊富に含まれています。

マグネシウムの主な働きは、骨や歯の形成に関わることです。また、マグネシウムは300種以上の酵素が活性化するために必要であり、タンパク質の合成、筋肉の収縮、神経の機能の調整、血糖値や血圧の調整などにも関わっています。

マグネシウムに期待される効果・効能

マグネシウムはどのような働きがあるのか、さらに詳しく見てみましょう。

骨を形成する

マグネシウムは、カルシウムやリンとともに骨を形成しているミネラルです。また、新しい骨を作る「骨形成」という作用に関わり、骨の健康づくりに欠かせない栄養素です。

マグネシウムを補充することで、骨粗しょう症予防や治療に役立つ可能性があるとして、研究が進められています。

高血圧の改善や糖尿病予防を期待

マグネシウムを補充することで、わずかながら血圧を低下させたり、糖尿病予防に役立ったりする可能性があることが知られています。

マグネシウムは、血管のまわりの筋肉にカルシウムが入るのを妨ぐことにより、血管の収縮を抑えて血圧を下げると考えられています。

また、マグネシウムの摂取量が多い人は、2型糖尿病になるリスクが低い傾向があることもわかってきました。これは、マグネシウムがインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効きを良くするのに関わっていることが理由です。

生活習慣病対策としても、マグネシウムは欠かさずに摂りたい栄養素といえます。

制酸・緩下剤としても使用されている

マグネシウムは酸化マグネシウムとして、制酸・緩下剤として使用されています。

これは、マグネシウムに胃酸を中和して胃痛や胸焼けを改善する作用や、便に水分を集めて便をやわらかくする作用があるためです。

酸化マグネシウムは下剤のなかでも作用がおだやかであり、子どもや妊娠中の方、高齢の方にも処方されています。

歯や口の健康を守る

マグネシウムは歯を作るためにも欠かせません。特に、歯が作られる成長期の子どもは不足することなく摂りたい栄養素です。

また、マグネシウム不足が長期にわたると、骨をもろくする可能性が知られています。歯を支える骨がもろくなると、歯のぐらつきや歯肉炎のリスクもあり、口や歯の健康に影響を与えるおそれがあります。

全身の健康だけでなく、口の健康を守るためにも、マグネシウムを取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。

マグネシウムの1日の摂取量の目安

マグネシウムの1日の摂取量の目安(推奨量)は下記のとおりです。

▼マグネシウムの食事摂取基準(1日あたりの推奨量)
年齢 男性 女性
1~2歳 70 mg 70 mg
3~5歳 100 mg 100 mg
6~7歳 130 mg 130 mg
8~9歳 170 mg 160 mg
10~11歳 210 mg 220 mg
12~14歳 290 mg 290 mg
15~17歳 360 mg 310 mg
18~29歳 340 mg 270 mg
30~49歳 370 mg 290 mg
50~64歳 370 mg 290 mg
65~74歳 350 mg 280 mg
75歳以上 320 mg 260 mg
妊婦
(付加量)
+40 mg
授乳婦
(付加量)
+0 mg
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

日本人の平均的なマグネシウム摂取量を調査した結果では、20歳以上では男性270 mg、女性は242 mgです。推奨量に対して、不足の傾向があるといえます。

マグネシウムの過不足の影響について、さらに詳しく見てみましょう。

マグネシウムが不足するとどうなる?

マグネシウム不足により、低マグネシウム血症の状態になると、下記の影響が出るおそれが知られています。
  • 吐き気、おう吐
  • 眠気
  • 脱力感
  • ふるえ
  • 食欲不振
  • 筋肉のけいれん
さらに、マグネシウム不足が長期にわたると、骨粗しょう症、心疾患、糖尿病といった生活習慣病のリスクにつながるのではないかと考えられています。

ただし、マグネシウムの平均的な摂取量は不足の傾向にありますが、欠乏症が出るほど不足している状況ではありません。

マグネシウムが不足しやすいのは、消化器疾患(クローン病、セリアック病など)のある方や、消化吸収能力の低下する高齢者が知られています。

ほかにも、慢性的にアルコールを摂取している方や、アルコールを摂取する機会や量の多い方は、マグネシウムの摂取量が少なかったり、マグネシウムの排泄が多くなったりするため不足のリスクがあります。

マグネシウムを過剰摂取するとどうなる?

マグネシウムは、通常の食品からの過剰摂取による健康への影響は知られていません。マグネシウムを食品から過剰摂取しても、余分な分は尿中に排泄されるからです。そのため、通常の食品からのマグネシウム摂取については、耐容上限量は定められていません。

ただし、サプリメント、医薬品からマグネシウムを過剰摂取すると、下痢が起こるおそれがあります。サプリメントや医薬品などの食品以外からは、耐容上限量が350 mg(1日あたり・成人の場合)と定められています。

マグネシウムが豊富な食べ物

マグネシウムが豊富な食べ物は、マグネシウムが豊富な海水で育った魚介類や海藻類、植物性食品があります。一方で、マグネシウムは肉や乳類、卵にはさほど含まれていません。下記の食べ物を参考に取り入れてみるようにしましょう。

しらす干しや貝などの魚介類

さまざまな魚介類にマグネシウムが豊富に含まれています。

▼100 gあたりのマグネシウム含有量
食品名 含有量
桜えび(乾) 310 mg
しらす干し 80 mg
あさり 92 mg
牡蠣 65 mg
ししゃも 55 mg
かつお 42 mg
あじ 34 mg
さば 30 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

桜えびやしらす干しは、和え物や炒め物など、いつもの料理に「ちょい足し」で取り入れられるのが魅力です。

貝類は脂質が少ないことや、あじやさばなどの青魚にはDHA・EPAが含まれることから、魚介類は生活習慣病対策としても役立ちます。

ひじきやほうれん草などの海藻類・野菜・果物

マグネシウムの豊富な海水で育った海藻類や、野菜、果物にも豊富に含まれています。

▼100 gあたりのマグネシウム含有量
食品名 含有量
ひじき(乾) 640 mg
わかめ(乾) 460 mg
枝豆(冷凍) 76 mg
ほうれん草 69 mg
ごぼう 54 mg
オクラ 51 mg
アボカド 34 mg
バナナ 32 mg
キウイフルーツ
(グリーン)
14 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ひじきを使った料理を取り入れたり、汁物や和え物にわかめを入れたりするなど、意識して海藻類を増やしてみると良いでしょう。

また、野菜たっぷりの食事や、果物を適度に取り入れるようにした、バランスの良い食事を心がけてみてください。

大豆や大豆製品などの豆類

大豆自体にマグネシウムが豊富なため、大豆製品にもマグネシウムが豊富に含まれます。

▼100 gあたりのマグネシウム含有量
食品名 含有量
きなこ 260 mg
油揚げ 150 mg
大豆(茹で) 100 mg
納豆 100 mg
木綿豆腐
(凝固剤:塩化マグネシウム)
76 mg
木綿豆腐
(凝固剤:区別なし)
57 mg
厚揚げ 51 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

なかでも木綿豆腐は、にがり(塩化マグネシウム)を凝固剤に使用しているものは含有量が豊富になります。

大豆製品は手軽に取り入れやすいため、毎日意識して取り入れるようにしてみましょう。

ごまやアーモンドなどのナッツ類

ごまやアーモンドといったナッツ類(種実類)にもマグネシウムが豊富です。

▼100 gあたりのマグネシウム含有量
食品名 含有量
ごま 360 mg
アーモンド 310 mg
カシューナッツ 240 mg
ピーナッツ 200 mg
くるみ 150 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ごまを料理にふりかけたり、ナッツを間食として取り入れたりすると、手軽にマグネシウムの量を増やせるでしょう。

ただし、ナッツはカロリーが高い点は注意したいポイントです。毎日食べるなら、1日25 gほどを目安にし、ほかの間食は控えるようにしましょう。

玄米やオートミールなどの穀類

穀類のなかでも、精製していない玄米やオートミールなどにマグネシウムが豊富です。

▼100 gあたりのマグネシウム含有量
食品名 含有量
玄米(米) 120 mg
オートミール(乾) 100 mg
干し蕎麦(乾) 100 mg
押麦(乾) 40 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

上記の穀類は、マグネシウムはもちろん、食物繊維やほかのミネラルなども豊富に含みます。健康づくりにぴったりの穀類なので、上手に取り入れてみるようにしましょう。

マグネシウムたっぷりの「ひじきと枝豆の梅サラダ」のレシピ

マグネシウムたっぷりの「ひじきと枝豆の梅サラダ」のレシピを紹介します。

マグネシウムが豊富なひじき、枝豆、いりごまを使い、梅風味でさっぱりと仕上げました。ひじきは煮物や炒め物などにするのが定番ですが、このようにサラダにしてもおいしく食べられます。

ひじきや枝豆はマグネシウム以外にも鉄や食物繊維なども豊富です。また、シャキッとしてよく噛んで食べられるので、歯と口の健康づくりにもぴったりです。

<材料>(2人分)調理時間:10分(ひじきを戻す時間は除く)

  • ひじき(乾燥):8 g
  • にんじん:1/4本
  • 枝豆(冷凍・さや付き):100 g
  • 梅干し:小1個(正味5 g)
  • (A)しょうゆ:小さじ1
  • (A)ごま油:小さじ1/2
  • (A)酢:小さじ1/2
  • (A)砂糖:小さじ1/4
  • (A)いりごま(白):小さじ2

<作り方>

  1. ひじきはたっぷりの水につけて戻して水気を切ります。にんじんは千切りにします。枝豆はパッケージの記載のとおりに解凍し、さやから出します。梅干しは種を除いて包丁でたたきます。
  2. 耐熱ボウルにひじき、にんじんを入れてサッと混ぜ、ラップをして電子レンジ(600W)で1分40秒加熱します。粗熱を取って冷まし、水気が残っている場合はふき取ります。
  3. ボウルに2と枝豆を入れ、(A)と梅干しを加えて混ぜ合わせます。

<ポイント>

梅干しはチューブで代用可能です。梅干しによって塩分濃度が異なるため、味見をしながら調整してください。

不足しがちなマグネシウムを健康づくりに取り入れよう

摂取量が不足しがちなマグネシウムは、骨や歯を作る以外にも、生活習慣病対策としても注目されている栄養素です。マグネシウムを豊富に含む食べ物は、ほかにも健康づくりに良い栄養素や成分を含むものばかりです。意識して取り入れて、健康づくりに活かしましょう。

執筆者:広田千尋さん(管理栄養士)

病院、保育園、保健センターで13年にわたり幅広い年代の栄養サポートに携わる。
現在はフリーランスの管理栄養士として、コラム執筆のほか、身近にある材料で栄養満点なレシピの提案などを行っている。
ホームページ>
https://hirotachihiro.com/
Instagram>
https://www.instagram.com/chihiro_eiyo/

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