【ヘルシーレシピ】ビタミンB12の働きは?手軽に摂れる簡単レシピも紹介【管理栄養士監修】

【ヘルシーレシピ】ビタミンB12の働きは?手軽に摂れる簡単レシピも紹介【管理栄養士監修】

(2024年4月2日公開)
水溶性ビタミンの一種であるビタミンB12は、造血や神経伝達などに関わる重要な栄養素です。不足により貧血や神経障害を起こすことが知られているため、どのような場合に不足しやすいのか、しっかり理解しておきましょう。
この記事ではビタミンB12の働きをはじめ、豊富な食べ物、ビタミンB12の摂取におすすめの簡単レシピを紹介します。

               

ビタミンB12の特徴

ビタミンB群の一種であるビタミンB12は、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、スルフィトコバラミン、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンの総称です。別名は「コバラミン」ともいいます。

ビタミンB12は水溶性であり、アミノ酸や脂質など、栄養素の代謝に関わっています。「造血ビタミン」ともいわれ、血液中の赤血球を作るのに欠かせません。ほかにも、神経機能の正常な働きを助けたり、DNAを合成したりすることにも関係しています。

ビタミンB12は、胃の中で作られた「内因子」と呼ばれるタンパク質と結合することで吸収されます。内因子がないと吸収されない点は、ほかの栄養素と異なる点です。不足の影響などについては、後ほど改めて解説します。

ビタミンB12に期待される効能・効果

ビタミンB12にはどのような効能が期待できるのでしょうか。詳しく解説します。

正常な赤血球を作り貧血を防ぐ

ビタミンB12はDNA合成に関わり、骨髄で正常な赤血球が作られるのを助け、貧血を防ぐ働きがあります。同じ水溶性のビタミンである葉酸もビタミンB12と同様の働きをするため、貧血予防に欠かせない栄養素です。

ビタミンB12、または葉酸が不足した場合に起こる貧血を「巨赤芽球性貧血」といいます。DNA合成が妨げられ、異常な形の赤血球ができてしまうことにより起こる貧血です。

一方で、鉄が不足した場合に起こる貧血は「鉄欠乏性貧血」といいます。巨赤芽球性貧血とは原因が異なり、ヘモグロビンの材料となる鉄が不足することで起こります。

貧血が起こる仕組みはそれぞれ異なりますが、貧血予防のためにはビタミンB12以外にも、葉酸や鉄など、さまざまな栄養素の摂取が大切です。

鉄分の詳しい働きや、鉄分をたっぷり摂れるレシピはこちらでご紹介しています。

神経機能を正常に保つ

ビタミンB12は、神経と神経の間でシグナルを伝えるために必要な「神経伝達物質」の合成に欠かせない栄養素です。そのため、神経が正常に働くために、大切な役割を担っています。

ビタミンB12が不足することで、神経が傷つき、手足がしびれたり、チクチクするような痛みを感じたりするなど、さまざまな神経障害が起こることが知られています。

歯ぐきの健康を守る

ビタミンB12は歯ぐきの健康を守り、口のよい状態を保つことにも関わります。

ビタミンB12の不足により貧血になると、栄養素や酸素がうまく運ばれなくなるため、口内環境の悪化にもつながります。また、ビタミンB12は、さまざまな栄養素の代謝をサポートすることで、全身の健康を守り、結果的に口の状態も良好に保つことを助けてくれます。

歯や口の健康を守るには、ビタミンB12をはじめとした、さまざまな栄養素を含む食べ物をバランスよく摂ることが大切です。

ビタミンB12の1日の摂取量の目安

ビタミンB12の1日の摂取量の目安は下記のとおりです。

▼ビタミンB12の食事摂取基準(1日あたりの推奨量)
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

日本人の平均的な摂取量を見ると、どの年代も十分に摂取できており、通常の食生活を送っている場合は、不足の心配は少なくなっています。

では、どのような場合に不足してしまうのでしょうか?過不足の影響についても、さらに詳しく見てみましょう。

ビタミンB12が不足するとどうなる?

ビタミンB12の不足により、下記の影響が起こる恐れがあります。
  • 慢性疲労
  • 体力低下
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 神経症状(手足のしびれやチクチクする痛み)
  • 巨赤芽球性貧血など
ほかにも、平衡機能障害(めまいやふらつきなどの症状を起こすもの)や、うつ病、認知症、記憶力低下、口や舌の痛みなどの症状にも関連することが知られています。

また、乳幼児では、発育障害、運動障害、成長遅延などのリスクも知られています。

ビタミンB12はどのような場合に不足しやすい?

ビタミンB12が不足しやすいのは、吸収に問題のある場合と、食べ物からの摂取不足の場合の、2つに分けられます。

【吸収に必要な内因子の不足】
  • 高齢者や胃炎のある方など、胃酸分泌が少ない
  • 胃切除の手術歴がある
【食べ物からの摂取不足】
  • 菜食主義である
病気によって内因子が不足している場合は、食べ物やサプリメントからビタミンB12が十分に吸収できないため、注射剤などの治療が必要とされます。

また、ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれないため、動物性食品を摂らない菜食主義の方や、その子どもにも不足の心配があります。菜食主義の方は、サプリメントや栄養強化食品などを活用し、ビタミンB12不足を防ぐ工夫が必要です。

ビタミンB12を過剰摂取するとどうなる?

ビタミンB12を食べ物やサプリメントから過剰に摂取しても、吸収される量が調節されているため、健康への影響は心配ないとされています。日本人の食事摂取基準でも、耐容上限量は定められていません。

以上から、ビタミンB12は健康で食事の偏りがなければ、過不足の心配の少ない栄養素です。しかし、乱れた食生活を送っていると、ビタミンB12以外の栄養素の過不足につながるおそれがあります。元気に過ごすためにも、バランスのよい食事を心がけるようにしましょう。

ビタミンB12が豊富な食べ物

ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれず、動物性食品に含まれています。これはビタミンB12が動物の消化管にいる細菌によって作られることが理由です。

植物性食品の中でも、一部の海藻類に含まれていますが、海藻に付着した微生物が合成したものと考えられています。海藻だけで1日分のビタミンB12推奨量を充足するのは難しく、やはりビタミンB12は動物性食品から摂取する必要があります。

具体的にどのような食べ物に含まれるのか、詳しく見てみましょう。

あさりやさんまなどの魚介類

ビタミンB12はしじみやあさりなどの貝類や、さんまやさばなどの魚に豊富に含まれています。

▼100 gあたりのビタミンB12含有量
食品名 含有量
しじみ(生) 68.0 μg
あさり缶詰(水煮) 64.0 μg
いくら 47.0 μg
あさり(生) 44.8 μg
牡蠣 23.0 μg
さんま 16.0 μg
さば 13.0 μg
さば缶詰(水煮) 12.0 μg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

魚介類は、ビタミンB12以外にも鉄を含むため、貧血予防にもぴったりの食品です。ほかにもカルシウムや多価不飽和脂肪酸などの、健康づくりに欠かせない栄養素を含むため、ぜひ習慣的に取り入れましょう。

レバーや牛肉などの肉類

鶏卵やチーズといった動物性食品も、ビタミンB12の補給源となります。

▼100 gあたりのビタミンB12含有量
食品名 含有量
鶏卵(全卵) 1.1 μg
プロセスチーズ 3.2 μg
粉チーズ 2.5 μg
モッツァレラチーズ 1.6 μg
牛乳 0.3 μg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

鶏卵は食物繊維やビタミンC以外のほぼすべての栄養素を含むため「完全栄養食品」といわれるほど栄養豊富な食べ物です。ビタミンB12だけでなく、さまざまな栄養素の補給にぴったりです。

また、チーズや牛乳はビタミンB12だけでなく、カルシウムをたっぷり摂れるため、全身や歯と口の健康づくりにもぜひ取り入れましょう。

ビタミンB12たっぷりの「あさりとブロッコリーのぺペロン蒸し」のレシピ

ビタミンB12をたっぷり摂れる、あさりとブロッコリーのぺペロン蒸しのレシピを紹介します。

ビタミンB12の豊富なあさり缶は、下処理がいらないので手軽に取り入れられて便利です。あさり缶は鉄の含有量も優れているため、貧血予防の味方になってくれます。

また、ブロッコリーは葉酸や鉄を含んでいる上、鉄の吸収を助けるビタミンCも豊富なため、まさに貧血予防にぴったりのレシピです。あさり缶の汁を使って蒸すので、あさりとブロッコリーのうまみをたっぷり感じられます。

ブロッコリーは歯ごたえがよく、しっかりと噛んで食べられるのと、ビタミンCやカルシウムなどの口によい栄養素もたっぷり摂れます。

<材料>(作りやすい分量・3~4人分)調理時間:10分

  • ブロッコリー:1房
  • あさり缶(水煮):1缶
  • にんにく:1片
  • 赤唐辛子(輪切り):少々
  • オリーブ油:大さじ1
  • 酒:大さじ3
  • しょうゆ:少々

<作り方>

  1. ブロッコリーは小房に分けます。あさり缶は身と汁を分けます。にんにくはみじん切りにします。
  2. フライパンにオリーブ油、にんにく、赤唐辛子を入れて中火にかけます。香りが立ってきたらブロッコリーを加えてサッと炒めます。
  3. 2にあさり缶の汁、酒を入れ、ふたをして約3分加熱します。
  4. 3の汁気が残っていたら強火にして飛ばし、あさり缶の身を加えてサッと炒め、しょうゆを加えて味をととのえます。

<ポイント>

お子さんが食べる場合は、赤唐辛子を入れずに作り、お子さんの分を取ったあとに加えるようにしましょう。

ビタミンB12を含めた、バランスのよい食生活を

ビタミンB12は病気や菜食主義の場合などの理由がなければ、不足の心配の少ない栄養素です。とはいえ、健康的な生活を送るには、さまざまな食べ物をバランスよく取り入れることが大切です。ビタミンB12が豊富な食べ物は、ほかの栄養素もたっぷり含んでいます。

全身の健康はもちろん、歯や口の状態を健やかに保つためにも、今回紹介した食べ物を、ぜひ毎日の食生活に取り入れてみましょう。

執筆者:広田千尋さん(管理栄養士)

病院、保育園、保健センターで13年にわたり幅広い年代の栄養サポートに携わる。
現在はフリーランスの管理栄養士として、コラム執筆のほか、身近にある材料で栄養満点なレシピの提案などを行っている。
ホームページ>
https://hirotachihiro.com/
Instagram>
https://www.instagram.com/chihiro_eiyo/

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