肌や髪の健康に大切なビタミン「ビオチン」の働きを、ビオチンがたっぷり摂れる簡単レシピと共にご紹介します。
ビオチンは栄養素の代謝に欠かせないビタミンです。ほかにも、健康な肌や髪、爪などを作るのに欠かせないことから、美容面でも注目されています。
この記事では、ビオチンの働きや過不足の影響、豊富な食べ物について解説します。またビオチンを摂れて美容にも良い、おすすめ簡単レシピも紹介します。
ビオチンの特徴
ビオチンはビタミンB群の一種で、水溶性のビタミンです。ビオチンは「ビタミンB7」または「ビタミンH」ともいわれます。
ビオチンは糖や脂肪酸、アミノ酸代謝の酵素の補酵素として働き、エネルギーの産生にも関わっています。また、髪や爪、肌の健康維持にも欠かせません。
ビオチンは腸内細菌によっても合成されますが、必要量は作られないため、食べ物から摂取が必要な栄養素です。
ビオチンに期待される効果・効能
ビオチンにはどのような働きがあるのか、さらに詳しく見てみましょう。
肌の炎症を抑える
ビオチンは抗炎症物質を作り出し、肌の炎症を抑える働きがあります。
ビオチンの欠乏により肌の炎症、トラブルを起こすことが知られているため、ニキビや脂漏性湿疹などの治療に用いられることもあります。
爪や髪の健康維持
ビオチンはタンパク質の代謝に関わるため、皮膚や爪を健やかに保つのに役立つビタミンです。また、ビオチンが不足すると脱毛が起こることもあり、髪の健康をサポートする栄養素ともいえます。
さらに、健やかな頭皮や髪の毛を保つのに役立つとして、シャンプーやコンディショナーに配合されることがあります。
口内粘膜の健康維持に関与
ビオチンは粘膜の健康維持にも関わり、口の健康を守ってくれています。ビオチンの不足により、舌炎などのトラブルのリスクになることが知られています。
舌炎などの口内トラブルの予防には、ビオチンはもちろん、ビタミンB2やB6などの、ビタミンB群の摂取が欠かせません。
ビオチンの1日の摂取量の目安
ビオチンの1日に必要な量(目安量)は下記の通りです。
▼ビオチンの食事摂取基準(1日あたりの目安量)
年齢 |
男性 |
女性 |
0~5か月 |
4 μg |
4 μg |
6~11か月 |
5 μg |
5 μg |
1~2歳 |
20 μg |
20 μg |
3~5歳 |
20 μg |
20 μg |
6~7歳 |
30 μg |
30 μg |
8~9歳 |
30 μg |
30 μg |
10~11歳 |
40 μg |
40 μg |
12~14歳 |
50 μg |
50 μg |
15~17歳 |
50 μg |
50 μg |
18~29歳 |
50 μg |
50 μg |
30~49歳 |
50 μg |
50 μg |
50~64歳 |
50 μg |
50 μg |
65~74歳 |
50 μg |
50 μg |
75歳以上 |
50 μg |
50 μg |
妊婦 |
ー |
50 μg |
授乳婦 |
ー |
50 μg |
出典:厚生労働省「
日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ビオチンの平均的な摂取量は調査されておらず、はっきりとした摂取量はわかりません。しかし、ビオチンは通常の食生活で不足することはないとされています。
どのような場合に過不足が起きるのか、影響を含めて解説します。
ビオチンが不足するとどうなる?
ビオチンが不足して欠乏症になった際の影響は、下記が知られています。
- 皮膚炎
- 舌炎
- 食欲不振
- 吐き気・むかつき
- うつ症状
- 脱毛 など
ビオチンの欠乏は、生の卵白を多量に長期間摂取した際に起こることが知られています。生の卵白にはアビジンという成分が含まれ、ビオチンの吸収を妨げてしまうのです。卵白は加熱するか、大量でなければ問題ないとされています。
ほかにもビオチン欠乏症は、先天性代謝異常、抗けいれん薬の長期使用などによっても起こることが知られています。
また、以前はアレルギー用ミルクなどの治療用特殊ミルクを長期的に摂取している乳児に、ビオチン欠乏症が見られることがありました。
これは治療用特殊ミルクに、ビオチンの添加が認められていなかったためです。しかし、現在はビオチンの添加が認められるようになっています。
ビオチンを過剰摂取するとどうなる?
ビオチンは水溶性であり、過剰摂取しても尿から排出されます。そのため、一般的に過剰症はみられず、耐容上限量は設定されていません。
ビオチンが豊富な食べ物
ビオチンは、植物性食品、動物性食品のどちらにも幅広く含まれています。どのような食べ物に豊富に含まれているのか、見てみましょう。
レバーを中心とした肉類
ビオチンは肉類のなかでも特にレバーに豊富で、そのほかは豚肉や鶏肉に多く含まれています。
▼100 gあたりのビオチン含有量
食品名 |
含有量 |
鶏レバー |
230 μg |
豚レバー |
80 μg |
牛レバー |
76 μg |
豚ロース(脂身つき) |
3.7 μg |
鶏もも肉(皮なし) |
3.6 μg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
肉類からは、ビオチンと合わせて、肌や髪の材料となるタンパク質を補給できます。健康的な肌や髪を作るのに役立ってくれるといえるでしょう。
かれいやあさりなどの魚介類
ビオチンはさまざまな魚介類に含まれており、特にかれいやあさり、いわしなどに豊富です。
▼100 gあたりのビオチン含有量
食品名 |
含有量 |
かれい |
22 μg |
あさり |
21.6 μg |
いわし |
15 μg |
たい |
9 μg |
鮭 |
9 μg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
肉類に比べると、魚介類はビオチンの含有量が豊富な傾向があります。また、魚介類からもタンパク質をあわせて補給できるため、効率的に栄養補給できるといえます。
卵やチーズなどの卵・乳類
ビオチンは、下記の卵や乳製品にも含まれています。
▼100 gあたりのビオチン含有量
食品名 |
含有量 |
鶏卵(卵黄) |
65 μg |
鶏卵(全卵) |
24 μg |
鶏卵(卵白) |
6.7 μg |
クリームチーズ |
2.2 μg |
ヨーグルト |
2.5 μg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
先ほど、生の卵白によりビオチンの吸収が妨げられてしまうことを説明しましたが、加熱すれば問題ありません。卵自体にビオチンを含むため、良い補給源となってくれます。
また、乳製品は卵ほどビオチンの含有量は多くありませんが、さまざまな乳製品に含まれています。
ピーナッツや納豆などのナッツ・大豆製品
ビオチンはナッツや大豆製品などの植物性食品にも豊富に含まれています。
▼100 gあたりのビオチン含有量
食品名 |
含有量 |
ピーナッツ |
110 μg |
カシューナッツ |
19 μg |
ごま |
15 μg |
きなこ |
31 μg |
納豆 |
18.2 μg |
がんもどき |
7.6 μg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ナッツには、美肌づくりに欠かせないビタミンEが豊富に含まれています。ビオチンと合わせて、健やかな肌づくりを支えてくれるでしょう。
ブロッコリーやアボカドなどの野菜・果物・芋類
ビオチンは野菜や果物、芋類にも含まれており、なかでも下記に豊富に含まれています。
▼100 gあたりのビオチン含有量
食品名 |
含有量 |
ブロッコリー |
13 μg |
枝豆(冷凍) |
9.2 μg |
おくら |
6.6 μg |
アボカド |
5.3 μg |
さつまいも |
4.8 μg |
里芋 |
3.1 μg |
キウイフルーツ |
1.4 μg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
これらの食べ物には、美容に良いビタミンAやビタミンCなどの栄養素も含まれており、ビオチンとともに美容面をサポートしてくれます。毎日たっぷり取り入れるようにしましょう。
ビオチンたっぷりで美容におすすめ「サーモンとアボカドチーズのわさび醤油和え」のレシピ
ビオチンをたっぷりとれ、美容におすすめの「サーモンとアボカドチーズのわさび醤油和え」のレシピを紹介します。
ビオチンを含むサーモン、アボカド、クリームチーズをわさび風味の和風の味付けにしました。
サーモンには、高い抗酸化作用を持つアスタキサンチンが含まれ、美容にうれしい働きをしてくれます。また、アボカドは、抗酸化作用を持つビタミンA・C・Eの含有量が優れており、美容効果を後押ししてくれます。
さらに、ビタミンCやビタミンEなどは、歯と口の健康づくりにも欠かせない栄養素です。
そのまま食べるのはもちろん、ご飯に載せて食べるのもおすすめです。
<材料>(2人分)調理時間:5分
- サーモン(刺身用):120 g
- アボカド:1個
- クリームチーズ:2切れ
- (A)しょうゆ:大さじ1
- (A)オリーブ油:小さじ1
- (A)砂糖:小さじ1/2
- (A)レモン汁:小さじ1/2
- (A)わさび(チューブ):小さじ1/2
- 刻み海苔:適量
<作り方>
- サーモン、アボカド、クリームチーズは1cm角に切ります。
- 1と(A)を混ぜて器に盛り、刻み海苔を散らします。
<ポイント>
お子さん用に作る際は、わさびを抜いて作り、後から混ぜるようにしましょう。
健康づくりや美容には、バランスの良い食事が大切
ビオチンは栄養素の代謝や、肌や髪、爪、口などの健康を守る働きがあり、私たちにとって欠かせない栄養素です。ビオチン以外にも、健康づくりや美容には、バランスの良い食事が大切です。さまざまな食べ物をまんべんなく取り入れるように心掛けましょう。