【ヘルシーレシピ】リンは摂りすぎに注意?働きや多い・少ない食べ物、骨の健康に良いレシピ【管理栄養士監修】

【ヘルシーレシピ】リンは摂りすぎに注意?働きや多い・少ない食べ物、骨の健康に良いレシピ【管理栄養士監修】

この記事では、リンの働きと簡単レシピを紹介します。

               
リンは骨や歯などを作る上で欠かせない栄養素ですが、摂りすぎによりかえって健康を損ねるおそれがあります。リンを避けるにはどのような食べ物を減らすべきか、知っておきましょう。
この記事では、リンの働きや過不足の影響、リンの多いまたは少ない食べ物について解説します。また、骨の健康づくりにぴったりな簡単レシピも紹介します。

リンの特徴

リン(元素記号:P、英語:Phosphorus)はミネラルの一種で、水溶性の栄養素です。

リンは歯や骨、細胞膜や核酸の材料になるなど、体のあらゆる部分の構成成分となっています。また、エネルギー代謝や脂質代謝に関わり、生きていく上で欠かせない働きのあるミネラルです。

リンの種類は、食べ物に含まれる「有機リン」と、食品添加物として使われる「無機リン」の2つがあります。リンは体に必要な栄養素ではありますが、食品添加物からの無機リンの摂りすぎが懸念されています。無機リンは有機リンに比べて吸収率が高く、体への影響が大きいとされているのです。

過剰摂取の影響や、どのような食べ物に多く含まれているのかは、後ほど詳しく解説します。

リンに期待される効果・効能

リンは体内でどのような働きをしているのか、詳しく見てみましょう。

骨・細胞膜・DNA・RNAの構成成分

リンはリン酸カルシウム、またはリン酸マグネシウムとして、体内の85%が骨に含まれています。残り15%がリン脂質として細胞膜の材料となったり、核酸(DNA・RNA)などに含まれたりしています。

リンは骨の発達に欠かせず、さらに細胞においても重要な役割を担っています。

エネルギー・脂質の代謝に関わる

リンは、エネルギーを発生させる物質である「ATP(アデノシン三リン酸)」の構成成分です。エネルギー代謝や脂質の代謝に不可欠であり、私たちが生きていくためのエネルギーの源になります。

歯と口の健康を守る

リンは歯を作る構成成分でもあり、丈夫な歯を作るのに欠かせません。

また、リンはむし歯予防に重要な、口の中の環境を整える役割も担っています。これは、リンのpH調整作用によるものです。

食事をすると口内は酸性に傾き、エナメル質が溶けだしてむし歯を作る原因となります。リン(リン酸塩)は炭酸塩とともに、唾液が酸性やアルカリ性のどちらにも傾かないように口の中の環境を調整してくれています。

リンの1日の摂取量の目安

リンは1日にどのくらい必要なのでしょうか。また、過剰摂取を避けるための耐容上限量についても紹介します。

▼リンの1日あたりの食事摂取基準
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

日本人の平均的な1日あたりのリンの摂取量は、20歳以上の男性で1,084 mg、女性で948 mgであり、目安量を充足しています。

しかし、この摂取量には、加工食品に含まれるリンの量は加算されていません。そのため、実際はさらに多くのリンを摂取している可能性が考えられています。

リンは過不足によりどのような影響があるのか、詳しく見てみましょう。

リンが不足するとどうなる?

リンは通常の食生活では不足しないことが知られています。

ただし、胃薬である水酸化アルミニウムの長期間の服用により、リンの吸収が妨げられてしまい、衰弱、食欲不振、倦怠感などの症状が起こるおそれがあります。

リンを過剰摂取するとどうなる?

リンの過剰摂取により、カルシウムの吸収が妨げられ、骨粗しょう症のリスクとなることが知られています。そのため、骨粗しょう症の予防や治療にも、リンの過剰摂取を控えることが推奨されています。

ほかにもリンの摂りすぎが長期的に続くと、腎機能の低下や副甲状腺機能の亢進などが起こることが知られており、健康に影響を与えかねません。

また、腎機能が低下している場合は、特にリンの過剰摂取に注意が必要です。腎機能の低下により尿からのリンの排出が減り、血液中のリンの濃度が高まることがあります。

食事からのリンの摂取量の制限が必要とされることがありますが、リン制限の必要性は個々の状態や治療の内容によって異なるため、必ず医師に確認しましょう。

リンを多く含む食べ物・少ない食べ物

リンはどのような食べ物に含まれるのでしょうか。リンが多い・少ない食べ物を紹介します。

リンを多く含む食べ物

リンは、肉や魚、大豆製品、乳製品などのいろいろな食べ物に有機リンとして含まれますが、過剰摂取に注意したいのは、加工食品に含まれる無機リンです。

リンはリン酸塩などの食品添加物として使われており、冷凍食品、菓子パン、菓子、清涼飲料水、インスタント麺、肉魚加工品など、さまざまな加工食品に含まれています。

ここでは、摂りすぎに注意したい加工食品などを中心に、リンの含有量を紹介します。

▼100 gあたりのリン含有量
食品名 含有量
ロースハム 280 mg
魚肉ソーセージ 200 mg
クリームパン 120 mg
カップ麺 110 mg
ポテトチップス 100 mg
えびフライ 90 mg
コーヒー飲料
(乳成分入り・加糖)
19 mg
コーラ 11 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

上記は目安の量であり、製品によっては含有量が多いものもあります。

骨の健康を守るためにも、なるべく加工食品はとる機会を減らすようにするなどして、リンが過剰にならないように注意しましょう。

リンの少ない食べ物

反対に、リンの少ない食べ物には、野菜や果物、芋類などがあります。

▼100 gあたりのリン含有量
食品名 含有量
りんご 12 mg
大根 17 mg
グレープフルーツ 17 mg
キャベツ 26 mg
トマト 26 mg
長芋 27 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

リンは水溶性であるため、野菜だけでなく、肉や魚に含まれるリンも、茹でこぼすことで減らせます。リン制限が必要な方は、茹でられるものは下茹ですると良いでしょう。

繰り返しになりますが、リン制限の必要性については必ず医師に確認をし、食事療法については医師や管理栄養士の指導のもと実施するようにしましょう。

カルシウムとリンのバランスが重要

リンの摂りすぎはカルシウムの吸収を妨げますが、反対にカルシウムを摂りすぎてもリンの吸収を妨げてしまいます。そのため、カルシウムとリンはバランスよく摂取することが重要です。

カルシウムとリンの割合は1:1〜2が理想とされています。現状は1:3になっていると考えられているため、カルシウムの摂取量を増やし、リンの摂取量を減らすことが大切です。

加工食品に頼りすぎず、乳製品や緑黄色野菜などからカルシウムをたっぷり摂るようにしましょう。

骨や歯の健康に良い牛乳を使った「ぷるりんきなこミルクもち」のレシピ

牛乳、片栗粉、砂糖の3つの材料で作れる簡単おやつ「ぷるりんきなこミルクもち」のレシピを紹介します。

牛乳はカルシウムの吸収率が高く、骨や歯の健康づくりに欠かせない食品です。カルシウムとリンの割合を適正にするためにも、牛乳などからカルシウムをしっかり摂ることが大切です。今回はきなこをかけて、カルシウムをさらに強化しています。

簡単に作れて牛乳を消費したいときにも便利で、子どもから大人まで楽しめるレシピです。

<材料>(2人分)調理時間:10分(冷やす時間は除く)

  • 牛乳:200ml
  • 片栗粉:大さじ3
  • 砂糖:大さじ1~2
  • きなこ:適量

<作り方>

  1. 鍋に牛乳、片栗粉、砂糖を入れてよく混ぜてから火にかけます。ゴムベラなどでかき混ぜ続けながら、弱火から中火で加熱します。
  2. とろみがついてきたら手早く混ぜ、固まったら練り混ぜながら、さらに約1分加熱します。
  3. 水で濡らしたバットに流し入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で約30分〜1時間冷やします。
  4. バットから取り出して食べやすい大きさに切り分け、きなこをまぶします。

<ポイント>

甘さを控えたいときは砂糖は大さじ1で、しっかりした甘さにしたいときは大さじ2にしましょう。

すぐに食べたい場合は、2の工程の後、スプーンで食べやすい大きさにして氷水の中に落とし、水気を切ってきなこをまぶしてください。

出来上がったミルクもちは、冷蔵庫で冷やしすぎると硬くなってしまいます。なるべく早めに食べ切るようにしましょう。

リンは適量摂取をして、骨と歯の健康を守ろう

リンは体に欠かせない働きをする一方で、過剰摂取により骨の健康などに影響するおそれがあります。加工食品は便利ではありますが、菓子パンや菓子類、清涼飲料水などが多くなりすぎないよう、注意しましょう。

また、骨や歯の健康づくりには、加工食品のリンを減らすだけでなく、カルシウムの摂取も大切です。牛乳や小魚、色の濃い野菜なども積極的に取り入れましょう。

執筆者:広田千尋さん(管理栄養士)

病院、保育園、保健センターで13年にわたり幅広い年代の栄養サポートに携わる。
現在はフリーランスの管理栄養士として、コラム執筆のほか、身近にある材料で栄養満点なレシピの提案などを行っている。
ホームページ>
https://hirotachihiro.com/
Instagram>
https://www.instagram.com/chihiro_eiyo/

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