【ヘルシーレシピ】鉄分の働きや豊富な食べ物は?貧血対策におすすめレシピも紹介【管理栄養士監修】

【ヘルシーレシピ】鉄分の働きや豊富な食べ物は?貧血対策におすすめレシピも紹介【管理栄養士監修】

(2024年1月19日公開)
ミネラルのひとつである鉄分は、貧血予防に欠かせない働きがあります。不足するとめまいや頭痛、疲れやすさといった症状につながる恐れがあるため、しっかり補給したい栄養素です。
この記事では、鉄分の特徴や働き、豊富な食べ物、効率的に取り入れるコツを解説します。また、鉄分補給におすすめの簡単レシピも紹介します。

               

鉄分の特徴

鉄分はミネラルの一種で、血液中のヘモグロビンの材料になるのが主な働きです。ヘモグロビンには酸素を全身に運ぶ役割があり、鉄分はその機能に欠かせない成分です。鉄分が不足してヘモグロビン濃度が低下すると「鉄欠乏性貧血」になるため、鉄分は貧血予防に欠かせない栄養素です。

ほかにも、鉄分には体の成長や神経発達などにも関わる働きがあります。

体内の鉄分は、その70%が赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、残りの30%は肝臓や骨髄、筋肉などに貯蔵鉄としてストックされています。

鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」がある

鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄はレバーや魚に含まれ、非ヘム鉄は小松菜やほうれん草、大豆製品などに含まれます。

ヘム鉄のほうが吸収率が高いため、貧血対策にはヘム鉄の摂取量を増やすことがポイントです。

ヘム鉄(有機鉄)

  • たんぱく質と結合している
  • 主に動物性食品に含まれる
  • そのまま小腸から吸収されるため、吸収率が高い(吸収率約50%)

非ヘム鉄(無機鉄)

  • たんぱく質と結合していない
  • 主に植物性食品に含まれる
  • 一度変化してから吸収されるため、吸収率が低い(吸収率約15%)

鉄分の働き

鉄分が体内でどのような働きをしているのか、さらに詳しく見てみましょう。

ヘモグロビンの材料になる

鉄分はたんぱく質と結合して、血液中のヘモグロビンの材料となります。ヘモグロビンは酸素と結合して、全身に酸素を運搬しています。

ミオグロビンの材料になる

鉄分は筋肉中のミオグロビンの材料にもなります。ミオグロビンは筋肉で酸素が不足したときに酸素を出す、貯蔵庫のような役割があり、運動機能の維持に関わっています。

体の成長や神経発達に関わる

鉄分はさまざまな酵素が働く上でも欠かせないミネラルです。細胞の成長に欠かせない役割や、神経発達に関わる役割があり、成長期の子どもに欠かせません。

鉄分は歯や口の健康づくりにも役立つ

鉄分が不足することで起こる貧血は、口内環境を悪化させる要因となり得ます。

貧血で歯や歯ぐきに十分な酸素や栄養素が届けられなくなると免疫力の低下につながり、歯ぐきを弱らせる元となります。また、貧血により、舌炎や口角炎などの口周りのトラブルにつながることもあります。

鉄分が不足して貧血傾向になると、疲れやすくなる元にもなります。貧血によって疲れやすい状態が続いてしまうと、疲れやストレスから口内環境も悪化しがちになります。毎日を元気に過ごし、口の健康を守るためにも、鉄分を含めたさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

鉄分の1日の摂取量の目安

鉄分は性別や年齢によって1日あたりに必要とされる量が異なります。また、女性は月経による出血で鉄分が失われてしまうため、必要な量が多くなっています。

▼鉄の食事摂取基準(1日あたりの推奨量)
年齢 男性 女性
月経なし 月経あり
6~11か月 5.0 mg 4.5 mg
1~2歳 4.5 mg 4.5 mg
3~5歳 5.5 mg 5.5 mg
6~7歳 5.5 mg 5.5 mg
8~9歳 7.0 mg 7.5 mg
10~11歳 8.5 mg 8.5 mg 12.0 mg
12~14歳 10.0 mg 8.5 mg 12.0 mg
15~17歳 10.0 mg 7.0 mg 10.5 mg
18~29歳 7.5 mg 6.5 mg 10.5 mg
30~49歳 7.5 mg 6.5 mg 10.5 mg
50~64歳 7.5 mg 6.5 mg 11.0 mg
65~74歳 7.5 mg 6.0 mg
75歳以上 7.0 mg 6.0 mg
妊婦(付加量)初期中期・後期 +2.5 mg+9.5 mg
授乳婦(付加量) +2.5 mg
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

成長期には鉄分の必要量が多くなる反面、日本人の平均的な鉄分の摂取量は男女ともに成長期に不足がちの傾向があります。また月経のある女性は、成長期に限らず鉄分が不足している状況です。

鉄分が不足するとどうなる?

鉄分が不足すると血液中のヘモグロビン濃度が低下し、全身に酸素を運搬する力が低下してしまうため、さまざまな影響を及ぼします。

また筋肉中のミオグロビンが減ることによる影響も考えられます。下記は鉄分が不足した場合の影響の例です。
  • 息切れ
  • めまい
  • 動悸
  • 食欲低下
  • 筋力低下
  • 集中力低下
  • 疲れやすさ
鉄分が不足する原因は、肉や魚、大豆製品、色の濃い野菜など、鉄分の補給源となる食べ物の摂取量が少ないことが考えられます。ほかにも、成長期、妊娠中、閉経前の女性は、必要とされる量が多いため、不足に注意が必要です。

また、発汗によっても鉄分は失われるため、激しいスポーツをしている方も不足のリスクがあります。

鉄分を過剰摂取するとどうなる?

通常の食生活では、鉄分の過剰摂取のリスクはほとんどないとされています。一方で、サプリメントや医薬品からの過剰摂取には注意が必要です。

過剰摂取をした場合は、便秘や胃の不快感、吐き気、おう吐、腹痛といった症状を引き起こす可能性があります。長期的に相当な過剰摂取の状態が続くと、臓器に鉄分が沈着し、さまざまな健康障害につながることも知られています。

鉄分の1日の耐容上限量は、18歳以上の男性は50 mg、女性は40 mgです。男性の方が女性よりも数値が高いのは体や筋肉量が女性より大きいためです。

鉄剤を服用している場合や、サプリメントや健康食品を利用している場合は、適正量を守るようにしましょう。

鉄分が豊富な食べ物

鉄分不足を予防するには、どのような食べ物を取り入れるとよいのでしょうか。鉄分が豊富な食べ物について、ヘム鉄と非ヘム鉄に分けて紹介します。

レバーや赤身の肉・魚などのヘム鉄を含む食べ物

吸収のよいヘム鉄は、レバー、赤身の肉や魚に含まれています。

▼100 gあたりの鉄含有量
食品名 含有量
豚レバー 13.0 mg
鶏レバー 9.0 mg
牛レバー 4.0 mg
牛もも肉(赤身) 2.1 mg
いわし 1.9 mg
かつお 1.2 mg
さば 1.3 mg
豚ひれ肉 0.9 mg
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

特にレバーは鉄分含有量が豊富であるため、週に1回など、頻度を決めて取り入れるようにしてみてもよいでしょう。

また肉類は、脂身の多い部位よりも赤身の部位を選ぶと、より鉄分を補給できます。

魚については、魚料理を意識して増やすのはもちろん、手軽な缶詰を利用してもOKです。いわし缶やかつおのツナ缶、さば缶などをメニューに取り入れてみましょう。

色の濃い野菜や大豆製品などの非ヘム鉄を含む食べ物

非ヘム鉄は、色の濃い野菜、大豆製品、あさり、オートミールなどに含まれています。

▼100 gあたりの鉄含有量
食品名 含有量
あさり水煮缶 30.0 mg
オートミール 3.9 mg
納豆 3.3 mg
小松菜 2.8 mg
厚揚げ 2.6 mg
水菜 2.1 mg
ほうれん草 2.0 mg
木綿豆腐 1.5 mg
豆乳 1.2 mg
※注釈
あさりは動物性食品ですが、ヘム鉄、非ヘム鉄の両方を含みます。非ヘム鉄のほうが含有量が多いとされているため、ここでは非ヘム鉄を含む食べ物として紹介しています。
手軽に取り入れやすい大豆製品は、毎日とるようにするとよいでしょう。また色の濃い野菜も、意識して増やすようにしてみてください。

オートミールも鉄分が豊富に含まれるため、朝食や間食に取り入れてみるのもよいでしょう。

鉄分を効果的に摂るポイント

吸収率の低い非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と組み合わせることで吸収率が高まります。ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を助ける働きがあり、動物性たんぱく質は鉄分と結びついて吸収をサポートしてくれます。

例えば、朝食に「ご飯と納豆だけ」といったメニューにしていませんか?納豆に含まれる鉄分を効率的に摂取するためにも、ビタミンCを含む野菜たっぷりの味噌汁を組み合わせてみるとよいでしょう。

ほかにも、下記の食べ物を参考にしてみてください。

ビタミンCを含む食べ物

ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、レモン、オレンジ、さつまいも、じゃがいもなど

動物性たんぱく質を含む食べ物

肉、魚、卵、牛乳、乳製品など
ビタミンCについては下記の記事で詳しく説明していますので参考にしてみてください。ビタミンCが豊富な食材を使ったヘルシーレシピも公開中です!

鉄鍋や鉄玉子による鉄分補給は「補助的に」がおすすめ

鉄分補給に「鉄鍋や鉄玉子を使うとよい」と聞いたことがありませんか?結論からいうと、これらは補助的に活用するのがおすすめです。というのも、溶け出す鉄分の量が少量である可能性があるためです。

鉄玉子の公式サイトによると、鉄玉子を入れて水1 Lを沸騰させたときに溶け出す鉄分の量は、0.042 mgほどとされています。18歳以上の男女に必要な量が1日当たり6.5~11.0 mgであることを考えると、わずかな量といえます。

ただし、調理法によってはたくさん鉄分が溶け出したり、鉄鍋によってヘモグロビン値が改善されたりするといった報告もあります。

鉄鍋や鉄玉子を利用したい場合は、食事を基本にして、補助的に活用するようにするとよいでしょう。

鉄分たっぷりの「あさり缶で簡単!豆乳チャウダー」のレシピ

鉄分をたっぷり摂れる「あさり缶で簡単!豆乳チャウダー」のレシピを紹介します。

ヘム鉄と非ヘム鉄の両方を含んでいて鉄分が豊富なあさり水煮缶、非ヘム鉄を含む豆乳を使い、さらにビタミンCを含む玉ねぎやミックスベジタブルにより効率的に鉄分を補給できます。

しめじが入ることでよく噛んで食べられるため、唾液の分泌を促して歯や口の健康を守るという、うれしいメリットもあります。

やさしい味わいで小さいお子さんも食べやすく、幅広い年代で取り入れやすいメニューです。

<材料>(2人分)

  • あさり水煮缶:1/2缶
  • 玉ねぎ:1/2個
  • しめじ:1/2パック
  • ミックスベジタブル:大さじ3
  • バター:5g
  • 薄力粉:大さじ1.5
  • 水:150ml
  • コンソメスープの素(顆粒):小さじ1
  • 豆乳:200ml
  • 塩:少々
  • こしょう:少々

<作り方>

  1. 玉ねぎは1 cmの角切りにします。しめじは石づきを除き、小房に分けます。
  2. 鍋にバターを入れ弱めの中火で熱し、玉ねぎ、しめじを炒めます。
  3. 玉ねぎが透き通ったら、火を止めて薄力粉をふり入れてよく混ぜます。
  4. 3に水を少しずつ加えてよく混ぜます。あさり水煮缶を汁ごと入れ、ミックスベジタブル、コンソメスープの素を加えて中火にかけます。沸騰したら弱火にし、3分煮ます。
  5. 4に豆乳を加え、沸騰させないように温め、塩、こしょうで味をととのえます。

<ポイント>

豆乳は沸騰させると分離して口あたりが悪くなるため、沸騰させないように温めましょう。

鉄分を補給して元気な毎日を過ごそう!

鉄分をしっかりと補給すると、だるさや疲れやすさといった不調を減らしたり、口や歯の健康を守ったりすることが期待できます。

また、鉄分が十分に体内にあると、血色の良さにもつながり、顔色が明るく見えるなどの女性にうれしいメリットもあります。

元気できれいな毎日を送るために、ぜひ鉄分補給をしっかり行いましょう!

執筆者:広田千尋さん(管理栄養士)

病院、保育園、保健センターで13年にわたり幅広い年代の栄養サポートに携わる。
現在はフリーランスの管理栄養士として、コラム執筆のほか、身近にある材料で栄養満点なレシピの提案などを行っている。
ホームページ>
https://hirotachihiro.com/
Instagram>
https://www.instagram.com/chihiro_eiyo/

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