この記事では、ソルビトールの働きや糖尿病、むし歯との関わりなどについて解説します。また、ソルビトールが豊富な食べ物や「プルーンと紅茶の濃厚ヨーグルト」のレシピもご紹介します。
ソルビトールは糖アルコールの一種です。血糖値に影響しづらく、むし歯の原因になりにくいことが知られています。ソルビトールの働きや豊富な食べ物、歯にもお腹にもやさしいレシピも紹介します。
ソルビトールが豊富な食べ物を使った「プルーンと紅茶の濃厚ヨーグルト」のレシピ
ソルビトールが豊富なドライプルーンを使った「プルーンと紅茶の濃厚ヨーグルト」のレシピを紹介します。
ヨーグルトにドライプルーンを漬け込むと、水分を吸ってとろりと濃厚な食感に仕上がります。プルーンもしっとりやわらかくなり、紅茶の茶葉を加えることで香りよく楽しめる一品です。
ドライプルーンは果物のなかでもソルビトールを多く含みます。ほかにも、カリウム、鉄、ビタミンE、食物繊維なども含まれており、栄養補給にも役立ちます。
今回はヨーグルトを合わせることで、乳酸菌と食物繊維を一緒に摂れる組み合わせで、腸内環境を整えたいときにもおすすめです。
プルーンの自然な甘みが広がるので砂糖不使用でもおいしく食べられ、歯にもやさしいレシピです。
<材料>(2人分)調理時間:5分(冷蔵庫におく時間を除く)
- ヨーグルト(無糖):200 g
- ドライプルーン(種ぬき):40 g(約4個)
- 紅茶の茶葉(ティーバッグ):1/2袋分
<作り方>
- ボウルにヨーグルト、プルーンを入れ、紅茶のティーバッグの中身を取り出して茶葉を加えてよく混ぜます。
- ラップをして冷蔵庫に入れ、6時間以上おきます。途中で一度、かき混ぜるようにしましょう。
<ポイント>
ドライプルーンがやわらかいタイプの場合は、ヨーグルトの水分をあまり吸わないことがあります。作り方通りに作ってもおいしく食べられますが、濃厚さを味わいたい場合は水切りをしましょう。
1の工程の後、キッチンペーパーを敷いたザルに入れてボウルの上に置き、ラップをして冷蔵庫に入れて2〜3時間程度おいてください。
ソルビトールの特徴
ソルビトールは糖アルコール(多価アルコール)の一種です。りんご・プルーン・梨などの果物に含まれるほか、でんぷんを加工して作られたものは食品添加物としても利用されています。
ソルビトールは1 gあたり3 kcalであり、砂糖(ショ糖)の4 kcal/gに比べると、カロリーがやや低いことが特徴です。血糖値が上がりにくい性質もあり、シュガーレスガム、シュガーレスキャンディなどの低カロリー甘味料としても使われています。
また、甘味料としてだけでなく、食品の保湿性の向上、品質改良目的で佃煮や煮豆、漬物、甘納豆、カステラなどにも使われています。
ソルビトールに期待される効果・効能
ソルビトールはどのような働きがあるのか、詳しく見てみましょう。
血糖値への影響が比較的小さい
ソルビトールは、グルコース(ブドウ糖)に比べて小腸での吸収が非常にゆっくりと行われるため、エネルギー源として一気に体内に取り込まれることがありません。吸収された後は体内でフルクトース(果糖)などに変換されて代謝されるため、インスリンを必要とせず、直接的に血糖値を上げることはないとされています。
砂糖を多く摂取すると食後の血糖値が上昇しやすく、その後の急激な低下、いわゆる血糖値スパイクにつながる場合があります。砂糖の代わりにソルビトールなどの糖アルコールを取り入れることで、血糖値の上昇をゆるやかにしたい場合の選択肢となるでしょう。
また、ソルビトールを使用したシュガーレス食品を適度に選ぶことは、砂糖の摂取量を控える工夫のひとつです。結果として、日々のカロリーコントロールや体重管理に役立ちます。
ただし、糖尿病などの治療中の方は、甘味料の摂取量に配慮が必要な場合もあります。ソルビトールを含むシュガーレス食品などを取り入れる際は、かかりつけの医師や管理栄養士に相談しましょう。
ソルビトールは糖尿病神経障害の原因物質となる?
糖尿病の合併症のひとつに神経障害があります。その原因のひとつとして知られているのが、神経細胞内へのソルビトール蓄積です。
高血糖の状態が続くと、グルコースから生成されるソルビトールが神経細胞へ蓄積しやすくなります。これをポリオール代謝異常といい、神経細胞の働きが損なわれる原因のひとつと考えられています。
ただし、食品から摂取するソルビトールは小腸での吸収率が低く、体内に大量に取り込まれるわけではありません。そのため、糖尿病神経障害との関連で、食事中のソルビトール摂取を制限する必要はないとされています。糖尿病患者に対して、下剤としてソルビトールが処方される場合もあります。
問題となるのは、体内で高血糖により生成されるソルビトールの蓄積です。神経障害の予防には、ソルビトールの生成を増やさないことが重要とされており、日常的な血糖コントロールが基本となります。
消化管への影響
ソルビトールの摂りすぎにより、お腹がゆるくなる場合があります。これはソルビトールが小腸で吸収されにくいことや、保湿性があることから、便をやわらかくしやすいのが理由です。
このような作用から、便通を促す目的で利用されるケースもあり、胃のレントゲン検査でバリウムを使用する際に下剤としても使われる場合もあります。
また、ソルビトールは大腸で発酵しやすい性質もあります。多量に摂取すると、下痢や腹部膨満感、ガスの増加などの症状がみられるおそれがあるため、注意が必要です。
特にお腹の不調が出やすい方や、過敏性腸症候群の方はとりすぎに注意しましょう。
歯・歯ぐきとの関係
ソルビトールは「低う蝕性(むし歯になりにくい)」の甘味料として評価されています。むし歯菌によって利用されにくい糖質であり、プラーク(歯垢)形成につながりにくい性質を持つためです。
このような特徴から、シュガーレスガムや歯磨き粉など、歯科分野で用いられる製品に配合されることがあります。
また、歯周病の主な原因のひとつがプラークの蓄積です。プラーク中の細菌が歯肉に炎症を起こし、歯ぐきの腫れや出血などにつながります。砂糖の代替としてソルビトールなどが使われた食品を選ぶことでプラークが作られにくくなれば、歯ぐきの健康維持にも役立ってくれるでしょう。
ソルビトールの1日の摂取量の目安はある?
ソルビトールは1日の摂取量の目安は示されていません。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ソルビトールを含む糖質全体の目標量が示されています。
また、食品添加物には「許容一日摂取量(ADI)」が設定されますが、ソルビトールについてはADIが特定されていません。これは、通常の使用範囲では健康に影響がないと評価されているためです。
ただし、ソルビトールは摂取量が多いと下痢などの消化器症状を起こすことがあります。そのため、安全性の観点ではなく、消化管への影響を考慮して適量を心掛けるようにしましょう。
※ADI:ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと考えられる1日当たりの食品添加物の摂取量
ソルビトールの過不足の影響はある?
ソルビトールは必須栄養素ではないため、不足による健康への影響は報告されていません。
過剰摂取については、先ほど紹介したように、一度に多く摂取すると下痢や軟便などのお腹がゆるくなる可能性が知られています。ただしこれらの症状は一過性であり、通常は長期的に続くものではありません。
また、ショ糖よりカロリーが低いとはいえ、たくさん摂ればカロリーの過剰摂取につながります。甘味料として使用されている場合でも、量には注意が必要です。
ソルビトールを含む食品は、一度にたくさんとらず、カロリーを確認して過剰にならないよう注意しましょう。
ソルビトールが豊富な食べ物
ソルビトールは自然界では、果物に多く含まれています。ほかにも、食品添加物として添加されている佃煮や漬物にも含まれています。
果物のなかでは、プルーンやあんず、西洋梨、桃に豊富です。特にドライプルーンやドライあんずといったドライフルーツは、水分が少ない分、ソルビトールをはじめとした成分が凝縮されている点が特徴です。
ドライフルーツは手軽に取り入れやすく、ソルビトール以外にも食物繊維の補給にも良いでしょう。
▼100 gあたりのソルビトール含有量
| 食品名 |
含有量 |
| プルーン(乾) |
12.1 g |
| あんず(乾) |
3.4 g |
| 西洋梨 |
2.9 g |
| 西洋梨(缶詰) |
2.7 g |
| 黄桃 |
2.7 g |
| アメリカンチェリー |
2.2 g |
| 梨 |
1.5 g |
| プルーン(生) |
0.7 g |
| りんご |
0.7 g |
| あんず(生) |
0.3 g |
| 白桃 |
0.3 g |
ソルビトールはバランスの良い食事のなかで活用を
ソルビトールは、小腸での吸収が非常にゆっくりと行われ、体内でフルクトース(果糖)などに変換されて代謝されます。インスリンを必要とせず直接的に血糖値を上げないため、血糖値への影響が比較的少ない甘味料として活用されています。
また、むし歯の原因菌の栄養になりにくく、むし歯になりにくいという特徴も持っています。
砂糖の代替として日常的に取り入れることで、無理なく摂取カロリーを抑えられるため、日々のカロリーコントロールや体重管理のサポートなど、より良い食生活の工夫に役立ちます。
ただし、ソルビトールを含む甘味料や食品ばかりに頼る食生活を送っていると、食事のバランスが崩れるおそれもあります。バランスの良い食事を心掛け、甘いものは適度に楽しみながら、上手に活用しましょう。
【参考】
厚生労働省「
日本人の食事摂取基準(2025年版)」
文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
公益財団法人 日本食品化学研究振興財団「
指定添加物(規則別表一)のJECFAによる安全性評価」