【ヘルシーレシピ】食物繊維の働きと豊富な食べ物一覧!水溶性・不溶性の違いとおすすめレシピ【管理栄養士監修】

【ヘルシーレシピ】食物繊維の働きと豊富な食べ物一覧!水溶性・不溶性の違いとおすすめレシピ【管理栄養士監修】

(2023年10月24日公開)
食物繊維は腸内環境の調節など健康維持に欠かせない成分であり、不足せずに摂ることが大切です。食物繊維には水溶性・不溶性があり、それぞれ特徴が異なります。
この記事では、食物繊維の特徴、期待される機能、豊富な食べ物を詳しく解説します。他にも、食物繊維を手軽に摂れるおすすめレシピも紹介するため、食物繊維の摂取量を増やしたい方はぜひ参考にしてください。

               

食物繊維の種類ごとの特徴と期待される機能

食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化できない成分を指します。以前は「食べ物のカス」といわれ重要視されていませんでしたが、整腸作用や生活習慣病対策などのよい働きをすることがわかってきており「第6の栄養素」とも呼ばれるようになりました。
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、特徴や期待される機能が異なるため、分けて紹介します。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、水に溶ける食物繊維です。粘着性があり、水分を抱え込んでゲル状になるのが特徴です。水溶性食物繊維には、ペクチン・グルコマンナン・アルギン酸などがあります。
水溶性食物繊維を含む代表的な食べ物は海藻です。他にも穀類・野菜・果物などに含まれています。
期待される効能は下記の通りです。

生活習慣病対策

水溶性食物繊維は、糖の吸収をゆっくりとさせ、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。
血糖値の急上昇は血管を傷めたり内臓を消耗させることが示唆されています。
また、水溶性食物繊維にはコレステロールの吸収を防いだり、体内のコレステロール量を減らしたりする効果も期待されています。

善玉菌を増やして腸内環境を整える

水溶性食物繊維は、腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす作用があります。腸内の善玉菌が増えると、悪玉菌が活動しづらい状況となり、腸の状態を良好に保ってくれます。
腸内環境が整うと、病原菌の感染や悪玉菌による発がん物質の生成を防ぎやすい状態となるため、健康づくりをサポートしてくれます。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維です。不溶性食物繊維には、セルロース・キチン・キトサンなどがあります。
不溶性食物繊維はきのこや根菜類に多く含まれ、他にも穀類や豆類にも含まれます。
どのような効能が期待されるのか見てみましょう。

便の材料となり腸内環境を整える

不溶性食物繊維は便の材料となり、腸を刺激して排便をスムーズにして、便秘の解消を助けてくれる働きがあります。便秘の状態では腸内に悪玉菌が増えやすいのですが、不溶性食物繊維により便秘を防ぐことで、善玉菌が働きやすい腸内環境を作るのに役立ってくれます。

食物繊維は歯や口の健康とも関わっている

食物繊維の中でも不溶性食物繊維は、たけのこやごぼうなどのような繊維質の食べ物に含まれる特徴があります。これらの食材は、よく噛んで食べる必要があるため、噛む回数を自然に増やしてくれます。噛む回数が増えると唾液が分泌されやすくなり、唾液による洗浄効果などが働いて、むし歯や歯周病などの予防にもつながります
また、口の中の状態が乱れてしまうと、腸内環境を乱したり、糖尿病やがんなどの病気と関連したりするなど、全身の健康へ影響することも知られてきています。そのため、食物繊維などの歯や口の健康によいものをしっかり取り入れることが大切です。

食物繊維の1日の摂取量の目安

食物繊維の1日の摂取量の目安について、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は区別されておらず、食物繊維の総量として記載されています。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の理想の割合が1:2といわれることがありますが、現状の平均的な摂取量を見ると約1:3と水溶性食物繊維の摂取量が少なく、また食物繊維の摂取量自体も少ない傾向です。
割合を気にしすぎるよりは、今より食物繊維の摂取量を増やせるよう、工夫を行うようにしてみましょう。
▼食物繊維の食事摂取基準(1日あたりの目標量)
年齢 男性 女性
1~2歳
3~5歳 8 g以上 8 g以上
6~7歳 10 g以上 10 g以上
8~9歳 11 g以上 11 g以上
10~11歳 13 g以上 13 g以上
12~14歳 17 g以上 17 g以上
15~17歳 19 g以上 18 g以上
18~29歳 21 g以上 18 g以上
30~49歳 21 g以上 18 g以上
50~64歳 21 g以上 18 g以上
65~74歳 20 g以上 17 g以上
75歳以上 20 g以上 17 g以上
妊婦(付加量) 18 g以上
授乳婦(付加量) 18 g以上
食物繊維が不足、または過剰になったときの影響について、さらに詳しく確認してみましょう。

食物繊維が不足したときの影響は?

食物繊維の摂取量が不足した状態が続くと、下記の影響が出る恐れがあります。
  • 便秘や腸内環境の乱れ
  • 生活習慣病のリスク
他にも、噛む回数が減ることで唾液の分泌が少なくなり、口の中の状態を良好に保ちにくくなるおそれがあります。また、噛む回数は満腹感とも関連をしているため、噛む回数が減ることで食べすぎやすくなり、肥満を招く可能性も考えられます。
野菜・きのこ・海藻・果物を食べる量が少なくて炭水化物や肉類に偏った食生活をしていたり、食事を抜いてしまったりするなど、乱れがちな食生活では食物繊維が不足しやすくなります。

食物繊維が過剰になったときの影響は?

食物繊維には上限量は定められていませんが、極端に過剰摂取すると、下記の影響につながる可能性があります。
  • かえって便秘を悪化させることがある(便秘の原因が食物繊維不足ではない場合)
  • ミネラルの吸収を妨げることがある(一部の食物繊維を除く)
食物繊維は摂れば摂るほどメリットが大きくなるとは考えられていないため、目標量を目安にし、適量の範囲内を目指すようにしましょう。

食物繊維を豊富に含む食べ物

食物繊維を豊富に含む食べ物には、どのようなものがあるのでしょうか。水溶性食物繊維、不溶性食物繊維に分けて紹介します。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は海藻に多く含まれますが、穀類にも多く含まれています。
▼100gあたりの食物繊維含有量
食品名 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 食物繊維総量
ピュアココア 5.6 g 18.3 g 23.9 g
大麦(押し麦) 4.3 g 5.5 g 12.2 g
オートミール 3.2 g 6.2 g 9.4 g
納豆 2.7 g 5.6 g 9.5 g
ごぼう 2.3 g 3.4 g 5.7 g
アボカド 1.7 g 3.9 g 5.6 g
オクラ 1.6 g 3.6 g 5.2 g
キウイフルーツ 0.6 g 2.0 g 2.6 g
ひじき(茹で) 3.7 g
めかぶ(生) 3.4 g
わかめ(水煮) 3.2 g
※注釈
海藻の水溶性食物繊維の量は、文部科学省による「日本食品標準成分表」には掲載されていません。これは、海藻には粘質多糖類という粘り気のある成分が多く含まれるため、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を分けて測定するのが難しいことが理由です。
そのため上記の表では、海藻は食物繊維総量のみを記載しています。
これらの食べ物の特徴や取り入れ方などをさらに詳しく紹介します。

大麦(押し麦)・オートミールなどの穀類

穀類の中でも、大麦(押し麦)やオートミールには、β-グルカンなどの水溶性食物繊維が含まれています。どちらも主食として取り入れられるため、手軽に水溶性食物繊維を補給できます。
大麦(押し麦)は白米と一緒に炊いて食べるようにするとよいでしょう。オートミールは朝食や間食にぴったりです。後ほどレシピも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

大豆・納豆などの豆類

大豆や納豆などの豆類は、ペクチンなどの水溶性食物繊維を含みます。日本人になじみのある食べ物であるため、取り入れやすいのではないでしょうか。
朝食に納豆を食べる習慣をつけるようにする、缶詰やパックに入った水煮大豆を煮ものやスープに入れるようにする、などの工夫を行ってみましょう。

ごぼう・アボカドなどの野菜・果物類

野菜・果物類にはペクチン、イヌリンなどの水溶性食物繊維が含まれ、特にごぼうやオクラ、アボカドやキウイフルーツに豊富です。
毎食野菜をたっぷりと取り入れたメニューや、毎日果物を取り入れる習慣をつけるようにすると、水溶性食物繊維を増やせるでしょう。

ひじき・めかぶなどの海藻類

ひじきやめかぶ、わかめなどの海藻類は、アルギン酸やフコイダンといった水溶性食物繊維を豊富に含みます。
汁物に取り入れたり、炒め物や和え物にしたりと、さまざまなメニューで取り入れるようにするとよいでしょう。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維の代表といえば、野菜やきのこなどが挙げられます。他にはピュアココアやナッツなどの食べ物にも含まれています。
▼100gあたりの食物繊維含有量
不溶性食物繊維 水溶性食物繊維 食物繊維総量
ピュアココア 18.3 g 5.6 g 23.9 g
きなこ 15.4 g 2.7 g 18.1 g
アーモンド 10.0 g 1.1 g 11.0 g
くるみ 6.9 g 0.7 g 7.6 g
オートミール 6.2 g 3.2 g 9.4 g
納豆 5.6 g 2.7 g 6.7 g
大麦(押し麦) 5.5 g 4.3 g 12.2 g
きくらげ(茹で) 5.2 g 0 g 5.2 g
ブロッコリー 4.3 g 0.9 g 5.1 g
しいたけ 4.2 g 0.6 g 4.9 g
オクラ 3.6 g 1.4 g 5.0 g
それぞれの特徴について詳しく紹介します。

きなこ・納豆などの豆類

きなこ・納豆などの豆類は、セルロースやヘミセルロースなどの不溶性食物繊維を含みます。
納豆は毎日の食事に、きなこは牛乳やヨーグルトに振りかけるなどして取り入れるとよいでしょう。

きくらげ・しいたけなどのきのこ類

きのこには、ヘミセルロース、セルロース、キチンなどの不溶性食物繊維が含まれています。野菜や果物に比べると多い傾向があるため、積極的に取り入れたい食べ物です。
炒め物やスープなどの加熱料理に積極的に使ってみるようにしましょう。

オクラ・ブロッコリーなどの野菜類

野菜にはセルロースやリグニンといった食物繊維が含まれます。中でもオクラやブロッコリーなど、色の濃い野菜に多く含まれる傾向があります。
野菜は加熱するとカサが減って食べやすくなり、食物繊維をたっぷり摂れます。また手軽に利用できる冷凍野菜を使うと、野菜の量を増やせるでしょう。

食物繊維をたっぷり摂れる「チョコとバナナのオーバーナイトオーツ」のレシピ

水溶性・不溶性食物繊維のどちらも豊富なオートミールを使ったレシピです。ピュアココア、くるみ、バナナを使い、さらに食物繊維を強化しています。
オーバーナイトオーツとは、オートミールを牛乳やヨーグルトで一晩浸したものです。オートミールがやわらかくなって食べやすくなり、手軽な朝食として人気のメニューです。
果物やナッツ、はちみつなどを入れるのが定番ですが、今回はチョコ風味で食べやすく仕上げています。オートミールのクセが気にならず、お子様から大人まで、おいしく召し上がっていただけます。バナナの自然な甘みがあるため、砂糖は使っていないのもうれしいポイントです。
またナッツを入れることで、食物繊維をプラスするだけでなく噛みごたえも出るように工夫しています。簡単に作れるため、ぜひお試しください。

<材料>(1人分)

  • オートミール:30 g
  • バナナ:1本
  • ピュアココア:小さじ2
  • 牛乳:80 ml
  • くるみ:3粒

<作り方>

  1. 深めの容器にバナナ3/4本を入れてフォークでつぶし、ピュアココアを加えてよく混ぜます。
  2. 1にオートミール、牛乳を加えて冷蔵庫に入れ、4~8時間ほどおきます。バナナ1/4本と刻んだくるみをトッピングします。

<ポイント>

オートミールは加熱なしで食べられる「クイックオーツ」「インスタントオーツ」「ロールドオーツ」を使うようにしてください。お子様が食べるときは、消化にやさしい「クイックオーツ」「インスタントオーツ」がおすすめです。お子様の食べられる量やお腹の調子に合わせて、オートミールと牛乳の量を調整してください。
バナナの甘さでそのままでも食べられますが、お好みではちみつやメープルシロップをプラスしてもよいでしょう。

食物繊維の豊富な食べ物を取り入れて、健康づくりに役立てよう

食物繊維はさまざまな働きが期待されており、健康づくりやダイエット、美容に欠かせない成分です。不足しないよう、ぜひ豊富な食べ物を取り入れてみましょう。

執筆者:広田千尋さん(管理栄養士)

病院、保育園、保健センターで13年にわたり幅広い年代の栄養サポートに携わる。
現在はフリーランスの管理栄養士として、コラム執筆のほか、身近にある材料で栄養満点なレシピの提案などを行っている。
ホームページ>
https://hirotachihiro.com/
Instagram>
https://www.instagram.com/chihiro_eiyo/

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