(2023年11月10日公開)
冬が旬の野菜は、寒さに耐えるために甘みを蓄えているのが特長です。おいしいのはもちろん、栄養素もたっぷりです。この記事では、冬野菜の中でも栄養価の高い、白菜、かぶ、ほうれん草、長ねぎに含まれる栄養素や、期待される効能を解説します。また冬野菜を使った、おいしくて栄養補給もできるレシピもご紹介します。
がん予防や美容にもうれしい「白菜」
白菜は10~2月頃が旬で、寒くなるにつれ甘みが増します。
白菜を選ぶ際は、巻きがしっかりしているものを選びましょう。ずっしりと重みのあるものは、おいしさが詰まった証拠です。またカットされたものは、断面が変色しておらず、断面が盛り上がっていないものが新鮮です。
栄養素
白菜は、ビタミンC(19 mg/100 g)、カリウム(220 mg/100 g)、食物繊維(1.3 g/100 g)といった栄養素を含みます。
水分が多いため、ずば抜けて含有量が優れているとはいいにくいのですが、イソチオシアネートという成分を含むのが特長です。詳しい効能は後ほど紹介します。
期待される効能
白菜を取り入れることで、下記の効能が期待できます。
イソチオシアネート:がん予防を期待
アブラナ科の野菜である白菜は、イソチオシアネートという成分を含み、がん予防への働きが期待されています。これは、イソチオシアネートに発がん物質を解毒する酵素の働きを高める性質があることがわかってきているからです。
ただし、がんの予防には白菜に限らず野菜や果物の摂取が大切といわれているため、白菜だけでなくさまざまな食材を取り入れるようにしましょう。
カリウム:むくみ解消
白菜に含まれるカリウムは、むくみの原因となるナトリウム(塩分)の排出を促し、むくみ解消に役立ってくれます。すっきりとした顔や手足を目指したい方は、白菜のようなカリウムを含む食べ物を取り入れるようにしましょう。
おすすめの調理法
白菜の栄養素をムダなく摂るなら、生で食べるようにするのもおすすめです。ビタミンCやカリウムなどの栄養素は、加熱や水にさらすことで減ってしまいやすいのですが、生で食べるとムダなく摂取できます。
また生で食べると噛みごたえがあるため、唾液の分泌を促して歯と口の健康を守ったり、食べすぎ防止になったりします。
白菜を生のまま、薄切りにしてサラダや和え物などのメニューにしてみるとよいでしょう。
根も葉も栄養豊富「かぶ」
冬が旬であるかぶは、11~12月頃がもっとも出回る時期です。
おいしいかぶは、表面にツヤとハリがあり、ひげ根が少ない特徴があります。葉がついているものは、鮮やかな緑色をしていて、みずみずしいものを選ぶようにしましょう。
栄養素
かぶは、根(実)の部分と葉の部分で栄養価が異なるのが特徴です。
根の部分は、カリウム(250 mg/100 g)、ビタミンC(18 mg/100 g)、食物繊維(1.4 g/100 g)などが含まれます。
注目すべきは、葉の部分の栄養成分です。カリウム(330 mg/100 g)、ビタミンC(82 mg/100 g)、食物繊維(2.9 g/100 g)と、根の部分より栄養豊富です。
また葉の部分には、根の部分にはさほど含まれないカルシウム(250 mg/100 g)、鉄(2.1 mg/100 g)、β-カロテン(2,800 µg/100 g)も豊富に含まれています。
期待される効能
かぶに含まれる栄養素や成分により、下記の効能が期待できます。
ジアスターゼ:消化吸収をサポート
かぶの根に含まれるジアスターゼは、でんぷんを消化する消化酵素です。でんぷんを含むご飯やパンなどの主食の消化を助け、消化・吸収をサポートしてくれます。
ビタミンC・カルシウム:歯と口の健康を守る
かぶの葉の部分には、ビタミンCとカルシウムが特に豊富に含まれており、歯と口の健康を守ってくれる働きが期待されます。
ビタミンCは歯ぐきを構成するコラーゲンを作るために必要であり、歯ぐきの修復を助けて歯周病の予防に役立ちます。またカルシウムは歯の材料となるため、丈夫な歯を作るために欠かせません。
おすすめの調理法
かぶは特に葉の部分の栄養素が豊富なため、葉がついている場合は一緒に食べるようにしましょう。炒め物や煮物に使う場合は、仕上げに加えてサッと加熱するようにすると、色味や食感が残り、また栄養素も壊れにくくなります。
冬は栄養価がアップ「ほうれん草」
ほうれん草は1年を通して手に入りやすい野菜ですが、11~3月頃が本来の旬です。冬のほうれん草は、寒さで凍ってしまわないように甘みが強くなることや、栄養価が高いことが特長です。
ほうれん草は、葉の緑色が濃く、みずみずしいものが新鮮でおいしい証拠です。
栄養素
ほうれん草は野菜の中でも栄養豊富で、カリウム(690 mg/100 g)、鉄(2.0 mg/100 g)、β-カロテン(4,200 µg/100 g)、食物繊維(2.8 g/100 g)を含みます。
冬のほうれん草は、ビタミンCの含有量が高まるのが特徴です。通年出回っている平均的なほうれん草(35 mg/100 g)や夏採りのほうれん草(20 mg/100 g)に比べ、冬採りのほうれん草(60 mg/100 g)は、1.7~3倍ものビタミンCが含まれています。
期待される効能
栄養豊富なほうれん草には、どのような効能が期待されるのか見てみましょう。
鉄:貧血予防
鉄は血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を届ける働きがあります。鉄の不足によりヘモグロビン濃度が低下した状態である貧血の状態になると、息切れやめまい、頭痛などの症状を引き起こす原因になります。
特に女性は月経により不足しやすい栄養素のため、ほうれん草のような鉄が豊富な食材を意識して取り入れることが大切です。
β-カロテン:粘膜の乾燥を防ぐ
ほうれん草に含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAとして働き、粘膜の健康を守る栄養素です。口の粘膜を守って乾燥によるトラブルを防ぎ、口の健康づくりに役立ちます。
また、ビタミンAが不足すると粘膜が乾燥して感染症にかかりやすくなることも知られています。乾燥しやすい冬の時期は、不足しないよう摂取しましょう。
おすすめの調理法
ほうれん草に含まれるβ-カロテンをムダなく摂りたい場合は、油と組み合わせて食べるようにしましょう。β-カロテンは脂溶性であり、油によって吸収率が高まります。
サラダ油やバターで炒めたり、脂質を含む肉や魚と一緒に調理したりするとよいでしょう。
冬に摂りたい栄養成分がたっぷり「長ねぎ」
長ねぎを選ぶ際は、白い部分の巻きがしっかりとしているものや、葉先までハリがあるものを選びましょう。また白い部分と緑の部分の境目がはっきりしているものは、丁寧に育てられた証拠であり、おいしさが詰まっています。
栄養素
長ねぎはさまざまな栄養素が豊富で、ビタミンC(14 mg/100 g)、カリウム(200 mg/100 g)、カルシウム(36 mg/100 g)、食物繊維(2.5 g/100 g)が含まれます。
緑の部分も栄養豊富で、特にビタミンAやビタミンC、カルシウムの含有量が優れています。
また辛み成分であるアリシンが含まれることも特長で、さまざまな効能が期待されています。
期待される効能
長ねぎに含まれる栄養成分に期待される効能について、詳しく解説します。
ビタミンA・ビタミンC:免疫機能の維持・口の健康を守る
ビタミンAとビタミンCは、免疫機能の維持に関わる働きがあります。感染症が流行しやすい冬は特に意識して摂りたい栄養素です。
また粘膜や歯ぐきを守る働きがあることから、口の健康を守ってくれます。
アリシン:風邪予防を期待
ねぎが「風邪によい」というのを聞いたことがありませんか?これは辛み成分であるアリシンに、殺菌作用や体を温める作用が期待されていることが理由として考えられます。
ねぎだけで風邪予防ができるとはいえませんが、バランスのよい食事を心がけながら、栄養豊富なねぎを積極的に取り入れるようにするとよいでしょう。
おすすめの調理法
長ねぎは先ほども伝えたとおり、緑の部分にもビタミンAやビタミンC、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれるため、ムダなく食べるようにしましょう。緑の部分は辛みが強かったり硬かったりするかもしれません。しかし、よく加熱すると甘みが出てきたり、薄切りにすると食べやすくなったりするため、工夫してみましょう。
また辛み成分であるアリシンは熱に弱いため、アリシンの効果を期待したいなら生で食べるのがおすすめです。薬味やソースとして使うとよいでしょう。
冬野菜をたっぷりとれる「白菜とベーコンのクリームグラタン」のレシピ
栄養豊富な白菜とほうれん草を使った、簡単に作れるグラタンのレシピを紹介します。
白菜とほうれん草からビタミンAやビタミンCを摂れ、牛乳をあわせることでカルシウムやタンパク質を補えます。どれも歯と口の健康づくりに役立ち、美容面や免疫機能の維持にも欠かせない栄養素ばかりです。
また白菜が余ってしまったときにもおすすめです。フライパンひとつで簡単に作れるため、ぜひお試しください。
<材料>(2人分)
- 白菜:1/8個
- ほうれん草:1/2束
- ベーコン:2枚
- バター:20g
- 薄力粉:大さじ3
- 牛乳:350ml
- コンソメスープの素(顆粒):小さじ2
- 塩、こしょう:少々
- ピザ用チーズ:適量
<作り方>
- 白菜は葉と芯に分け、葉はざく切り、芯は薄切りにします。ほうれん草はよく洗い、水気がついたままラップに包み、電子レンジ(600 W)で30~40秒加熱し、冷水にとって水気をしぼってざく切りにします。ベーコンは1 cm幅に切ります。
- フライパンにバターを入れ弱めの中火で熱し、白菜の芯、ベーコンを炒めます。白菜がしんなりとしたら火を止め、薄力粉を加えてよく混ぜ、牛乳を少しずつ加えてよくかき混ぜます。白菜の葉、コンソメスープの素を加えて再び中火にかけます。
- 混ぜながら加熱し、ふつふつしたら弱火にして2~3分煮ます。ほうれん草を加えて塩、こしょうで味をととのえます。
- 3を耐熱容器に入れ、ピザ用チーズをのせ、トースターで焼き色がつくまで加熱します。
<ポイント>
薄力粉を混ぜるときは、白っぽいところがなくなるまでよく混ぜましょう。牛乳を少しずつ加えると、ダマになりにくくなります。
栄養満点で甘みがおいしい冬野菜をたっぷり取り入れよう!
冬が旬の野菜は、甘みを蓄えていて、栄養価も高くなります。冬は風邪が流行りやすい時期でもあり、栄養価の高い食材を取り入れてバランスのよい食事を心がけたいもの。栄養豊富な冬野菜を取り入れて、冬を元気に過ごしましょう!