この記事では、11月が旬の野菜の栄養素や成分、特徴について解説します。また、11月が旬の食材を使った簡単レシピも紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
11月が旬のブロッコリー、長芋、春菊は、どれも栄養価の高いものばかりです。生活習慣病の予防や美容、腸内環境を整えるなど、うれしい働きが期待できます。
野菜のなかでも栄養満点「ブロッコリー」
ブロッコリーの旬は、11〜3月頃の秋から春先にかけてとなっています。ブロッコリーが通年手に入るのは、国内で収穫時期をずらしていたり、輸入されていたりするためです。
旬のブロッコリーは甘みや味わいが濃く、旬ならではの味わいです。
ブロッコリーを選ぶ際は、花蕾(からい)といわれる緑色の部分がこんもりと密集しており、色が鮮やかなものにしましょう。また、茎の切り口をチェックしてみて、みずみずしいものや「す」の入っていないものは新鮮な証拠です。
栄養素
ブロッコリーは野菜のなかでも栄養豊富であり、含有量がトップクラスのものが多くなっています。
カリウム(460 mg/100 g)や食物繊維(5.1 g/100 g)のほかに、ビタミンC(140 mg/100 g)も豊富です。ほかにも、スルフォラファンという注目の成分も含んでいます。
期待される効能
ブロッコリーに含まれる栄養素や成分に期待される効能を紹介します。
ビタミンC:抗酸化作用・口の健康を守る
ブロッコリーに含まれるビタミンCは、抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、体内の過剰な活性酸素の働きを抑えてくれる作用のことです。活性酸素は細胞を傷つけ、動脈硬化やがん、免疫機能の低下、老化などを招く原因となります。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成に関わる栄養素です。ビタミンCは傷ついた歯ぐきの修復を助けて、健やかな状態を保つのを助けてくれます。
スルフォラファン:がん予防を期待
スルフォラファンとは、キャベツやカリフラワーなどのアブラナ科の野菜に含まれる成分で、特にブロッコリーに多く含まれることが知られています。
スルフォラファンは体内の発がん性物質を分解する働きを助けることから、がん予防に効果が期待できるとして注目されています。
おすすめの調理法
ブロッコリーに含まれるカリウムやビタミンCなどの水溶性の栄養素をムダなく摂るなら、茹でるより電子レンジ調理のほうがおすすめです。栄養素が水に流れ出にくくなるため、より効率的に摂取できます。
実際に、どのくらい栄養素の量が変わるのか、見てみましょう。
【100 gあたりの栄養素含有量】
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カリウム |
ビタミンC |
ブロッコリー (生)
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460 mg |
140 mg |
ブロッコリー (茹で)
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210 mg |
55 mg |
ブロッコリー (電子レンジ調理)
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500 mg |
140 mg |
出典:文部科学省「
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
茹でた場合は、カリウムやビタミンCが半分以下に減っているのに対し、電子レンジ調理の場合はほとんど変わりません。なお、電子レンジ調理のカリウムの量が増えているのは、加熱により水分量が変化したことでの、見かけ上の変化と考えられます。
また、電子レンジ調理以外でも、蒸す調理法でも栄養素が損なわれにくいでしょう。
ねばねば成分に注目「長芋」
長芋の旬は11〜12月頃の「秋掘り」と、3〜4月頃の「春堀り」の2回あります。
長芋は5月頃に植えられ、秋に一度目の旬を迎えます。秋の長芋は、シャキシャキとみずみずしい味わいが特徴です。
そして土の中で冬を越し、春に二度目の旬を迎えます。春の長芋は追熟が進んでいるため、甘みがあり濃厚な味わいです。
また、長芋と似た芋に「山芋」がありますが、実はそのような品種はありません。「山芋」というのは、長芋、いちょう芋、大和芋などの総称であり、特定の種類を指すものではないのです。ただし通称として、大和芋が「山芋」と呼ばれることもあります。
長芋を選ぶ際は、表面に傷が少なく、張りのあるものにしましょう。また、切っているものは、切り口がみずみずしく、変色していないものが新鮮です。
栄養素
長芋のカロリーは100gあたり64kcalです。じゃがいも(59 kcal/100 g)や里芋(53 kcal/100 g)と同じ程度であり、さつまいも(126 kcal/100 g)に比べると半分程度のカロリーです。
芋類のなかでは平均的ですが、きゅうり(13 kcal/100 g)やキャベツ(23 kcal/100 g)などの水分の多い野菜と比べるとカロリーは高めです。
また、長芋には、ビタミンB1(0.10 mg/100 g)、ビタミンC(6 mg/100 g)が含まれ、なかでもカリウム(430 mg/100 g)が豊富です。ほかにも、ペクチンなどの水溶性食物繊維(0.2 g/100 g)を含みます。
期待される効能
長芋に含まれる栄養素や成分には、どのような働きがあるのか見てみましょう。
カリウム:高血圧やむくみ予防
長芋に含まれるカリウムは、高血圧やむくみの原因となるナトリウムを排出させる働きがあります。
カリウムを積極的に取り入れることで、血圧を下げたり、むくみを予防・解消したりする効果が期待できます。
水溶性食物繊維(ペクチン):生活習慣病予防・腸内環境を整える
長芋のねばり成分であるペクチンは、水溶性食物繊維の一種です。
水溶性食物繊維は、糖や脂質の吸収を穏やかにするため、生活習慣病の予防に欠かせません。また腸内で善玉菌を増やすのを助けてくれるため、腸内環境を整える働きも期待できます。
おすすめの調理法
長芋は生で食べられる、世界でも珍しい芋です。これは長芋に消化酵素であるアミラーゼが含まれることが理由と考えられています。
そのため、長芋に含まれるビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素をムダなく摂りたい場合は、生で食べるのがよいでしょう。すりおろして「とろろ」として食べたり、切って和え物にしたりと、さまざまな食べ方を楽しめます。
栄養価が高くリラックス作用も「春菊」
春菊の旬は、11〜3月頃です。ハウス栽培で通年出回っていますが、旬のものは葉がやわらかく、香りも高いのが特徴です。
春菊は、葉の緑色が濃く、葉先がピンとしているものを選びましょう。また、葉や切り口の断面がみずみずしいものは新鮮です。
栄養素
春菊はカリウム(460 mg/100 g)、鉄(1.7 mg/100 g)、ビタミンA(380 μg/100 g)などのさまざまな栄養素を含みます。
特にカルシウム(120 mg/100 g)が豊富で、同量の牛乳(110 mg/100 g)よりも含有量が優れています。ほかにも香り成分であるα-ピネン、ペリルアルデヒドを含んでいるのが特徴です。
期待される効能
春菊に含まれる栄養素、成分に期待される効能を詳しく見てみましょう。
カルシウム:骨や歯の健康を作る
春菊に含まれるカルシウムは、骨や歯の材料となります。成長期の子どもの強い骨や歯を作り、成人では骨粗しょう症の予防に役立ちます。
日本人はカルシウムの摂取量が不足しがちであるため、春菊のような色の濃い野菜を積極的に取り入れることが大切です。
α-ピネン、ペリルアルデヒド:リラックス作用を期待
春菊の独特の香りはα-ピネン、ペリルアルデヒドなどの精油成分によるものです。
α-ピネン、ペリルアルデヒドは、リラックス作用や食欲増進、消化を促す作用が期待されています。疲れたときや、食欲がないときに取り入れるとよいでしょう。
おすすめの調理法
春菊に含まれるカルシウムを効率的に摂るなら、ビタミンDを一緒に摂るようにしましょう。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨や歯の健康を作るのに欠かせない栄養素です。
ビタミンDは鮭やサンマなどの魚介類や、舞茸や干ししいたけなどのきのこ類に含まれています。魚介やきのこを使った鍋物に春菊を入れると、おいしく効率的に栄養補給できるでしょう。
11月が旬の食材を使った「ブロッコリーと鮭のマヨ和え」のレシピ
秋が旬のブロッコリーと鮭を使った「ブロッコリーと鮭のマヨ和え」のレシピを紹介します。
フライパンで鮭とブロッコリーをこんがりと焼き、えびマヨ風の味付けにしました。子どもから大人まで食べやすい味付けです。
ブロッコリーは蒸し焼きにすることで、水溶性の栄養素の損失を防ぎます。また、鮭には良質なタンパク質、ビタミンD、アスタキサンチンなどが含まれており、健康や美容、また歯と口の健康づくりにもぴったりです。
<材料>(2人分)調理時間:15分
- 生鮭:2切れ
- ブロッコリー:1/2個
- 塩:少々
- こしょう:少々
- 片栗粉:適量
- サラダ油:適量
- 酒:大さじ1
- (A)マヨネーズ:大さじ2
- (A)ケチャップ:大さじ1
- (A)レモン汁:小さじ1
- (A)砂糖:小さじ1/2
<作り方>
- 鮭は一口大に切り、塩、こしょうをふり片栗粉をまぶします。ブロッコリーは小房に分けます。
- フライパンにサラダ油を入れ弱めの中火で熱し、①を入れます。鮭に焼き色がつくまで2〜3分焼き、鮭とブロッコリー、どちらも上下を返します。
- 酒を加えてふたをし、弱火にして2〜3分蒸し焼きにします。
- ふたを開け、水分が残っていたら中火にして飛ばします。火を止めて、(A)を加えて混ぜ合わせます。
<ポイント>
最後に水分を飛ばすことで、仕上がりが水っぽくなるのを防ぎます。
また、大人用にピリ辛にしたい場合は、最後に豆板醤を小さじ1/2ほど加えましょう。
11月が旬の栄養豊富な野菜をたっぷり楽しもう
11月が旬の野菜は、栄養豊富なのはもちろん、旬ならではの味わいを楽しめます。栄養価の高い旬の時期にたっぷり取り入れて、健康づくりや美容に役立てましょう。