秋が旬の舞茸、しめじ、しいたけの栄養について解説します。旬のきのこをたっぷり使ったレシピも紹介します。
きのこは1年を通して手に入りますが、本来の旬は秋です。きのこはカロリーが低くダイエットに役立つイメージがありますが、ほかにも優れた栄養素や成分がたくさん含まれています。
この記事では、秋が旬のきのこのなかでも、舞茸、しいたけ、しめじに注目して、特徴や栄養素、成分について解説します。また、きのこをたっぷりと使った、秋におすすめのレシピも紹介します。
天然ものは舞うほどおいしい「舞茸」
舞茸は人工栽培が主ですが、天然のものは秋に旬を迎えます。
天然のものは希少であり、肉厚で香りが高いのが特徴です。「見つけると舞うほどうれしい」また「舞うほどにおいしい」ことが「舞茸」の名前の由来となっています。
人工栽培のものも秋に栽培が盛んとなり、シャキシャキとした歯ざわりや高い香りを楽しめます。
舞茸を選ぶ際は、カサが肉厚のものにしましょう。また、軸が硬くしまっているものは、おいしい証拠です。
栄養素
舞茸はビタミンD(4.9 μg/100 g)やカリウム(230 mg/100 g)、食物繊維(3.5 g/100 g)が豊富です。
なかでも、β-グルカンという特徴的な成分を含んでおり、健康づくりに役立ちます。
期待される効能
舞茸に含まれる栄養素や成分には、下記の効能が期待されています。
ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨や歯を丈夫にするのを助けます。
舞茸に含まれるビタミンDはきのこのなかでも特に豊富であり、不足しがちなビタミンDの補給に役立ちます。
β-グルカン:免疫機能を高める、がんの予防
β-グルカンは水溶性食物繊維の一種であり、きのこ、穀類などに多く含まれます。きのこのなかでも、特に舞茸に多いことが知られている成分です。
β-グルカンは免疫機能を高める、がんを予防するなどとして注目されています。
おすすめの調理法
舞茸に含まれるビタミンDをムダなく摂るなら、油と一緒に食べるようにしましょう。ビタミンDは脂溶性であり、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。油で炒めたり、脂質を含む肉や魚などと組み合わせたりすると良いでしょう。
また、きのこにはエルゴステロールという物質が含まれ、日光(紫外線)に当てることでビタミンDになる性質があります。よりたくさんビタミンDを摂りたい場合は、調理する前に1〜2時間ほど、日光に当てると良いでしょう。
特有の成分を含む「しいたけ」
しいたけは1年中出回っていますが、本来の旬は9〜11月頃の秋です。
通年見られるしいたけは、オガクズを使った「菌床栽培」により生産されています。一方で、クヌギやコナラなどの原木を使った「原木栽培」は秋に多く収穫され、高い香りが特長です。
しいたけは、肉厚でハリがあり、裏側のヒダが変色しておらず、白いものを選びましょう。また、軸が太いものもおいしいサインです。
栄養素
しいたけの栄養価は、菌床栽培、原木栽培、どちらも大きな変わりはありません。
食べる機会の多い菌床栽培の栄養価を見ると、カリウム(290 mg/100 g)やビタミンD(0.3 μg/100 g)、食物繊維(4.6 g/100 g)などが含まれています。
ほかにも特徴的な栄養素や成分にエリタデニン、不溶性食物繊維(4.1 g/100 g)があります。
期待される効能
しいたけに含まれる成分に期待される効能を見てみましょう。
エリタデニン:悪玉コレステロールの減少を期待
エリタデニンはしいたけに含まれる特有の成分で、ほかのきのこ類にはほとんど含まれていません。
エリタデニンは脂質代謝を促し、悪玉コレステロールを減らす作用が期待されています。
不溶性食物繊維:腸内環境を整える
しいたけは、ヘミセルロース、キチンといった不溶性食物繊維が豊富に含まれます。
不溶性食物繊維は便のカサを増やして排便をスムーズにし、腸内環境を整えるのに役立ちます。
おすすめの調理法
しいたけは軸の部分にも食物繊維が含まれています。硬い石づきの部分を除けば食べられるため、軸も捨てずに活用しましょう。
軸は薄切りやみじん切りにすれば、カサの部分と一緒に調理できます。
機能性成分が豊富な「しめじ」
しめじはいくつか種類がありますが、一般的に出回っているのは「ぶなしめじ」という種類です。
しめじは人工栽培が主ですが、ブナやカエデの樹木から採れる天然のものは、秋に旬を迎えます。天然のものは人工のものに比べて大きくて肉厚で、風味も高くなっています。
しめじを選ぶ際は、カサに注目してみましょう。色が濃く、開きすぎておらず、ハリのあるものが新鮮です。
栄養素
しめじには、食物繊維(3.5 g/100 g)やビタミンD(0.5 μg/100 g)などの栄養素が含まれます。
また、しめじには機能性成分であるオルニチン、GABAが豊富に含まれています。
期待される効能
しめじに含まれる成分には、さまざまな効果が期待されています。どのような効果か、詳しく見てみましょう。
オルニチン:肝臓の働きをサポート
オルニチンは肝臓の解毒機能に欠かせない成分であり、肝臓の働きをサポートしてくれます。また、疲労回復や睡眠の質の改善など、さまざまな作用にも注目が集まっている成分です。
オルニチンはしじみに多く含まれる成分ですが、きのこのなかでもしめじに特に多いことがわかってきました。
オルニチンについて、下記の記事で働きや豊富な食べ物を詳しく解説しています。
GABA:ストレス対策や睡眠の質の向上を期待
GABAはリラックスに関わる副交感神経を活性化させる作用があり、抗ストレス作用や、睡眠の質をサポートする働きが期待されている成分です。
GABAはトマトやかぼちゃなどの野菜のほかに、しめじをはじめとするきのこにも含まれています。
GABAの効能や豊富な食べ物について、詳しくは下記の記事をご参照ください。
おすすめの調理法
オルニチンやGABAによる睡眠の質の向上を期待するなら、トリプトファンを含む食べ物と組み合わせるのがおすすめです。トリプトファンはセロトニンという神経伝達物質の材料となり、質の良い睡眠と関連があると考えられています。
トリプトファンは、鶏肉、大豆製品、魚など、タンパク質を含む食べ物に含まれています。
これらの食べ物と一緒に調理したり、しめじを使った副菜を合わせたりする工夫を取り入れると良いでしょう。
秋が旬のきのこを使った「たっぷりきのこのお手軽鶏すき」のレシピ
秋が旬のきのこを使った「たっぷりきのこのお手軽鶏すき」のレシピを紹介します。
家にある材料で簡単に作れ、手軽にヘルシーなすきやきを楽しめます。はじめにきのこに焼き色をつけるのがポイントです。こんがりとしたきのこから、高い香りとたっぷりの旨みを味わえます。
また、鶏肉に含まれる脂質は、きのこに含まれるビタミンDの吸収を助けてくれます。さらに、きのこから食物繊維をたっぷり補給でき、ダイエットや腸活にもぴったりなレシピです。
そして、豆腐に含まれるカルシウムを補給できることや、よく噛んで食べられることから、歯と口の健康づくりにも役立ちます。
<材料>(2人分)調理時間:20分
- 鶏もも肉:1枚
- 舞茸:1パック
- しめじ:1パック
- しいたけ:2枚
- 長ねぎ:1/2本
- 豆腐:1/3丁
- サラダ油:適量
- (A)水:50 ml
- (A)しょうゆ:50 ml
- (A)みりん:50 ml
- (A)酒:50 ml
- (A)砂糖:大さじ2
- 溶き卵(お好みで):2個
<作り方>
- 鶏肉は一口大に切ります。舞茸としめじは硬い部分を除いて手でほぐし、しいたけは硬い部分を切り落とします。長ねぎは斜めに切り、豆腐は食べやすい大きさに切ります。
- フライパンまたは鍋にサラダ油を入れて中火で熱し、鶏肉の皮目を下にして並べます。舞茸としめじも入れ、そのまま動かさずに焼き色をつけます。
- 焼き色がついたら上下を返し、さらに1〜2分焼いたら(A)を加えて煮立たせます。
- しいたけ、長ねぎ、豆腐を加え、具材に火が通るまで煮ます。お好みで溶き卵を添えます。
<ポイント>
お好みで白菜や玉ねぎ、水菜、春菊などの野菜を加えても問題ありません。白菜などの水分が出やすい野菜を入れると味が薄くなるため、水の量を調節してください。
ヘルシーなだけじゃない、きのこの魅力
きのこはカロリーが低くダイエットに役立つ以外にも、さまざまな健康効果が期待できます。旬の時期は特に積極的に取り入れてみましょう。
また、きのこは冷凍することで旨みがさらに強くなる特徴があります。旬の時期にたくさん手に入った場合は、ぜひ冷凍保存も活用して、日々の食事に活用してみましょう。