「口の中が常に甘く感じる」、「甘くないものを口にしても甘味を感じる」などの症状がある場合、栄養不足や薬の副作用、糖尿病などの原因が考えられます。原因を明確にして適切な対処をすることで、口の中が甘く感じる症状を改善できます。
そこで今回は、口の中が甘く感じる原因を紹介するとともに、それぞれの対処法や予防法などについても解説します。
そこで今回は、口の中が甘く感じる原因を紹介するとともに、それぞれの対処法や予防法などについても解説します。
口の中が甘い原因①味覚障害
甘いものを食べたり飲んだりしていないのに、口の中が甘いと感じる理由に味覚障害があります。主な理由として、亜鉛が不足していることがあげられます。ここでは、味覚障害が起きる理由や対処法について、詳しく見ていきましょう。
味覚障害が起きる理由
味は、舌の表面にある「味蕾(みらい)」を介することで感じることができます。食べ物に含まれる物質が唾液に溶けると、その物質を味蕾の細胞が捉えて、味覚神経を通じて大脳へ信号を送ります。そうすると、大脳の味覚中枢が味を判断して、甘味や苦味、酸味、苦味、うま味を感じます。
この一連のプロセスのどこかに異常があると、甘くないものを口にしたのに甘く感じたり、常に口の中が甘くなったりするようになります。
亜鉛不足で口の中が甘く感じたり、苦く感じたりするのは、亜鉛が味蕾の新陳代謝に欠かせない成分のためです。新陳代謝は、細胞を新しい状態に維持するためのものであり、これが適切に行われていないと味蕾の機能が低下します。
亜鉛不足の原因は加工食品のとりすぎや動物性食品の不足などです。また、過度なダイエットや動物性食品を避けることも亜鉛不足につながります。
亜鉛の吸収を妨げるフィチン酸を含む食品は摂取量に注意が必要です。フィチン酸は、大豆やピーナッツ、とうもろこしなどに多く含まれています。さらに、コーヒーやカルシウム、アルコールなども亜鉛の吸収を阻害するため、過度な摂取には注意しましょう。
この一連のプロセスのどこかに異常があると、甘くないものを口にしたのに甘く感じたり、常に口の中が甘くなったりするようになります。
亜鉛不足で口の中が甘く感じたり、苦く感じたりするのは、亜鉛が味蕾の新陳代謝に欠かせない成分のためです。新陳代謝は、細胞を新しい状態に維持するためのものであり、これが適切に行われていないと味蕾の機能が低下します。
亜鉛不足の原因は加工食品のとりすぎや動物性食品の不足などです。また、過度なダイエットや動物性食品を避けることも亜鉛不足につながります。
亜鉛の吸収を妨げるフィチン酸を含む食品は摂取量に注意が必要です。フィチン酸は、大豆やピーナッツ、とうもろこしなどに多く含まれています。さらに、コーヒーやカルシウム、アルコールなども亜鉛の吸収を阻害するため、過度な摂取には注意しましょう。
亜鉛不足でおきる味覚障害の対処法
口の中が甘く感じる原因が亜鉛不足による味覚障害であれば、亜鉛を十分に摂取することで改善が期待できます。亜鉛の1日の摂取推奨量と亜鉛を豊富に含む食品をまとめました。ぜひ食生活に取り入れてみてください。
- 成人男性……11 mg
- 成人女性……8 mg
- 妊婦……11 mg
- 授乳婦……12 mg
出典:厚生労働省「亜鉛」
亜鉛を多く含む食品は、以下のとおりです。
- 牡蠣(1個14 mg)
- かたくちいわし(1食7.9 mg)
- しらす干し(大さじ1で3.0 mg)
- かつお節(1食で2.8 mg)
- うなぎ(1串で2.7 mg)
- さば(1尾1.1 mg)
- あじ(1尾1.1 mg)
- 豚レバー(1人前6.9 mg)
- 牛肉(200gで4.5~4.8 mg)
- わかめ(10gで2.8 mg)
- ひじき(大さじ1で1.0 g)
- たけのこ(1本で1.3 mg)
- ごぼう(1本で0.8 mg)など
また、亜鉛の吸収を助けるビタミンCやクエン酸、動物性タンパク質と一緒にとることが望ましいでしょう。
ビタミンCは、レモンやいちご、オレンジ、キウイ、じゃがいも、ピーマン、ブロッコリー、クエン酸はレモンやみかん、グレープフルーツなどに多く含まれています。
ビタミンCは、レモンやいちご、オレンジ、キウイ、じゃがいも、ピーマン、ブロッコリー、クエン酸はレモンやみかん、グレープフルーツなどに多く含まれています。
口の中が甘い原因②薬の副作用で起きる味覚障害
薬の副作用による味覚障害によって、口の中が甘く感じるようになることもあります。常備薬や服用中の薬でこれまで副作用が現れていなかったとしても、長期的に服用することで現れることもあるため、服用する薬の副作用について確認してみましょう。
薬の副作用で口の中が甘くなる理由、対処法、予防法は以下のとおりです。
薬の副作用で口の中が甘くなる理由、対処法、予防法は以下のとおりです。
薬の副作用で口の中が甘くなる理由
まずは、薬の副作用について基礎知識として、薬の主作用と副作用について確認していきましょう。薬の主作用とは、症状を軽減したり細菌やウイルスを身体から排除したりといった、薬本来の使用目的による作用のことです。
一方の副作用は、薬の本来の目的とは異なった作用や望んでいない作用のことです。薬を使用したことで生じた味覚障害や発疹、下痢、便秘、眠くなるなどの症状が該当します。例えば、花粉症の薬を飲んだとき、鼻水やくしゃみが治まったが眠気がでてきた場合などです。
亜鉛の吸収を抑制する副作用がある薬を服用している場合、何も食べていないのに口の中が甘くなる、何を食べても甘いといった症状が現れることがあります。
前述したとおり、味蕾の新陳代謝には亜鉛が必要なため、薬の副作用で亜鉛の吸収を抑えられて亜鉛不足になると、味覚に異常が生じて口の中が甘く感じることがあります。ただし、亜鉛の吸収が抑えられたとしても、亜鉛が不足しなければ味覚障害は起こりません。
一方の副作用は、薬の本来の目的とは異なった作用や望んでいない作用のことです。薬を使用したことで生じた味覚障害や発疹、下痢、便秘、眠くなるなどの症状が該当します。例えば、花粉症の薬を飲んだとき、鼻水やくしゃみが治まったが眠気がでてきた場合などです。
亜鉛の吸収を抑制する副作用がある薬を服用している場合、何も食べていないのに口の中が甘くなる、何を食べても甘いといった症状が現れることがあります。
前述したとおり、味蕾の新陳代謝には亜鉛が必要なため、薬の副作用で亜鉛の吸収を抑えられて亜鉛不足になると、味覚に異常が生じて口の中が甘く感じることがあります。ただし、亜鉛の吸収が抑えられたとしても、亜鉛が不足しなければ味覚障害は起こりません。
薬の副作用の対処法
薬の副作用によって症状が現れている可能性があるかどうかの参考情報として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「患者向医薬品ガイド」にて該当の薬の副作用を調べる方法があります。該当の薬の文書の「副作用は? 」の項目に、重大な副作用とその自覚症状、副作用が現れる部位とその自覚症状が記載されています。
ただし、自分で調べた情報はあくまでも参考情報です。
服用中の薬で味覚異常に関する情報があったとしても、必ず薬が原因とは限りません。また、患者向医薬品ガイドには載っていない情報もあるかもしれません。
自己判断で使うのを止めたり、使う量を変更することは止めてください。
口の中が甘くなる、何を食べても甘いといった症状と、薬の服用の時期に関連があると感じた場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
その際は、どの薬をどれだけの量をいつから服用しているのか、どのような症状が現れたのかを伝えることが大切です。
その上で、副作用の疑いがある場合は、医師や薬剤師の指導のもとで薬の変更や服用中止などを検討することができます。
ただし、自分で調べた情報はあくまでも参考情報です。
服用中の薬で味覚異常に関する情報があったとしても、必ず薬が原因とは限りません。また、患者向医薬品ガイドには載っていない情報もあるかもしれません。
自己判断で使うのを止めたり、使う量を変更することは止めてください。
口の中が甘くなる、何を食べても甘いといった症状と、薬の服用の時期に関連があると感じた場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
その際は、どの薬をどれだけの量をいつから服用しているのか、どのような症状が現れたのかを伝えることが大切です。
その上で、副作用の疑いがある場合は、医師や薬剤師の指導のもとで薬の変更や服用中止などを検討することができます。
薬の副作用の予防法
薬の服用によって口の中が甘くなるのを防ぐためには、そもそも副作用に味覚障害がない薬を使用する必要があります。しかし、味覚障害を避けたいからといって、病気の治療に欠かせない薬の服用を避けることは望ましくないこともあります。
また、副作用が存在しない薬はないため、副作用があるからといってその薬の質が悪いというわけではありません。どうしても、甘いものが苦手でそのような副作用を避けたいときは、その旨を医師や薬剤師に伝えましょう。服用量を減らしたり、似た効果を持つ別の薬剤に変更したりなど代替案を提案してもらえます。
また、「過去に○○という薬を飲んだ時に甘味を感じたことがある」などの気になったことや、副作用の情報を伝えて事前に相談することも方法の1つです。同じ作用の薬を服用すると、主作用とともに副作用も強く現れやすくなります。過去に処方された薬と一緒に自己判断で服用することは避け、医師や薬剤師の指示に従うことが大切です。
また、副作用が存在しない薬はないため、副作用があるからといってその薬の質が悪いというわけではありません。どうしても、甘いものが苦手でそのような副作用を避けたいときは、その旨を医師や薬剤師に伝えましょう。服用量を減らしたり、似た効果を持つ別の薬剤に変更したりなど代替案を提案してもらえます。
また、「過去に○○という薬を飲んだ時に甘味を感じたことがある」などの気になったことや、副作用の情報を伝えて事前に相談することも方法の1つです。同じ作用の薬を服用すると、主作用とともに副作用も強く現れやすくなります。過去に処方された薬と一緒に自己判断で服用することは避け、医師や薬剤師の指示に従うことが大切です。
口の中が甘い原因③糖尿病
糖尿病には1型と2型がありますが、ここでは2型をベースに解説します。糖尿病は、血液中のブドウ糖が増えることで、慢性的に高血糖状態になる病気です。食事をすると、砂糖やデンプンなどの糖は、小腸で分解されてブドウ糖となり吸収され、血液中に移行します。次に血中のブドウ糖に反応し、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンが作用すると、ブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用できるようになります。
このインスリンの分泌が減少したり、働きが悪くなったりすると、慢性的に高血糖状態が続きます。この状態が糖尿病です。高血糖状態が続くと、さまざまな合併症が現れます。
インスリンの分泌が減少する原因は膵臓の機能の低下、インスリンの働きが悪くなることの原因は、肥満に伴って増大した脂肪からインスリンの働きを低下させる物質が生産されることなどです。
糖尿病によって、口の中が甘い症状が現れる理由や対処法、予防法について詳しく見ていきましょう。
このインスリンの分泌が減少したり、働きが悪くなったりすると、慢性的に高血糖状態が続きます。この状態が糖尿病です。高血糖状態が続くと、さまざまな合併症が現れます。
インスリンの分泌が減少する原因は膵臓の機能の低下、インスリンの働きが悪くなることの原因は、肥満に伴って増大した脂肪からインスリンの働きを低下させる物質が生産されることなどです。
糖尿病によって、口の中が甘い症状が現れる理由や対処法、予防法について詳しく見ていきましょう。
糖尿病で口の中が甘くなる理由
糖尿病で口の中が甘くなるのは、ケトン体が原因のおそれがあります。
糖尿病になると、血液中の糖をエネルギー源に変えるインスリンの分泌が低下したり、インスリンの作用が低下したりするため、エネルギー不足になります。そうすると、糖の代わりに脂肪が分解され、最終的にケトン体という物質に変化します。
このケトン体の濃度が高くなると血液が酸性に傾き、吐いた息や汗などにケトン体が含まれて甘いにおいがするようになります。このケトン体による甘いニオイは「ケトン臭」と呼ばれ、その影響で口の中が甘く感じることがあります。
糖尿病になると、血液中の糖をエネルギー源に変えるインスリンの分泌が低下したり、インスリンの作用が低下したりするため、エネルギー不足になります。そうすると、糖の代わりに脂肪が分解され、最終的にケトン体という物質に変化します。
このケトン体の濃度が高くなると血液が酸性に傾き、吐いた息や汗などにケトン体が含まれて甘いにおいがするようになります。このケトン体による甘いニオイは「ケトン臭」と呼ばれ、その影響で口の中が甘く感じることがあります。
ケトン臭があるときの対処法
ケトン臭がする際は、医師に相談することが大切です。インスリンが不足している状態を改善するためにインスリンを補給したり、脱水状態を改善しつつ、酸性に傾いた血液を弱アルカリ性へと戻すために点滴をしたりします。
ケトン体が多い状態が続くと糖尿病性ケトアシドーシスになることがあります。糖尿病性ケトアシドーシスの症状には、甘い口臭のほかに、全身の倦怠感や口の渇き、嘔吐、腹痛などがあります。ケトン体が血中に増加することによって、血液が酸性になることをケトアシドーシスと呼びます。重篤な症状として、意識障害や昏睡状態に陥るなどの生命に関わることもあるため、早急に治療が必要な糖尿病の合併症です。このような症状があれば、すぐに医師に相談しましょう。
ケトン体が多い状態が続くと糖尿病性ケトアシドーシスになることがあります。糖尿病性ケトアシドーシスの症状には、甘い口臭のほかに、全身の倦怠感や口の渇き、嘔吐、腹痛などがあります。ケトン体が血中に増加することによって、血液が酸性になることをケトアシドーシスと呼びます。重篤な症状として、意識障害や昏睡状態に陥るなどの生命に関わることもあるため、早急に治療が必要な糖尿病の合併症です。このような症状があれば、すぐに医師に相談しましょう。
高血糖を起こさない予防法
糖尿病の診断を受けた場合は、高血糖状態にならないために、処方された薬を忘れず適切に服用しましょう。インスリンの分泌が不足している状態で高血糖状態になると、糖をエネルギー源に換えられないために脂肪が分解され、ケトン体に変化します。
また、血糖自己測定によって血糖値を調べるとともに、高血糖になっている場合は糖尿病性ケトアシドーシスの症状が現れていないか確認しましょう。少しでも症状が見られた際は、医師に相談して予防と早期発見を目指すことが大切です。
また、血糖自己測定によって血糖値を調べるとともに、高血糖になっている場合は糖尿病性ケトアシドーシスの症状が現れていないか確認しましょう。少しでも症状が見られた際は、医師に相談して予防と早期発見を目指すことが大切です。
口の中が甘いと感じたときの対処法
口の中が甘いと感じたときは、口の中に残っている食事や飲料の影響で甘く感じているのか確認するために、まずは水で口をすすいでみてください。また、うがいや歯磨きなどと併用して、口の中をすみずみまでキレイにすると、なお良いでしょう。
口の中をキレイにすることで甘くなくなった場合は、口の中に残っている食事や飲料によるものだったと考えられます。ただし、歯磨き粉の清涼感の影響で、一時的に味覚障害の影響が小さくなることもあるため、断定はできません。
口の中をキレイにしたのに口の中が甘いと感じる場合は、糖尿病や味覚障害などが原因と考えられます。なお、食事による亜鉛不足で味覚障害が起きている以外にも、薬の副作用や糖尿病のおそれもあります。そのため、甘いものを口にしていないのに口の中が常に甘い、甘くないものを口にしたのに甘く感じるなどの場合は、まずは医師に相談しましょう。
口の中をキレイにすることで甘くなくなった場合は、口の中に残っている食事や飲料によるものだったと考えられます。ただし、歯磨き粉の清涼感の影響で、一時的に味覚障害の影響が小さくなることもあるため、断定はできません。
口の中をキレイにしたのに口の中が甘いと感じる場合は、糖尿病や味覚障害などが原因と考えられます。なお、食事による亜鉛不足で味覚障害が起きている以外にも、薬の副作用や糖尿病のおそれもあります。そのため、甘いものを口にしていないのに口の中が常に甘い、甘くないものを口にしたのに甘く感じるなどの場合は、まずは医師に相談しましょう。
口の中が甘いと感じたら原因を突き止めることが大切
口の中が甘いと感じた場合は、薬の副作用や糖尿病によるケトン臭、食事に起因する亜鉛不足などが考えられます。食生活に支障をきたすうえに、ケトン臭がする場合は高血糖状態が続いているため合併症を引き起こすおそれもあります。まずは口の中が甘く感じる原因を突き止めて適切な対応をすることが大切です。