お子さんの口内環境は大丈夫? 親子で取り組みたいオーラルケアのポイント

お子さんの口内環境は大丈夫? 親子で取り組みたいオーラルケアのポイント

子どものときからオーラルケアに取り組むことが大切です。この記事では、親子で取り組むオーラルケアについて解説します。

               
オーラルケアとは、歯と歯ぐきだけでなく口内全体のケアを指します。特に成長期の子どもの口内は変化が激しく、お子さん自身でしっかり歯磨きを行うことは難しいため、大人が正しい歯磨きやオーラルケアのサポートをしてあげることが大切です。お子さんが生涯健康な歯を保つためにも、この機会に親子でオーラルケアに取り組んでみてはいかがでしょうか。

子どもだからこそ丁寧なオーラルケアが必要!

オーラルケアはどの年代でも大切ですが、子どもの場合はむし歯菌や歯周病菌の感染を予防するために重要です。ここでは、子どものオーラルケアの重要性とその理由について解説します。

乳歯と永久歯には噛む以外に大切な役割がある

乳歯は20本すべて生えそろうことで、永久歯が生えるまでの間、食べ物を噛んだり、正しい発音をしたり、顎の発育を助ける働きがあります。また、乳歯には永久歯への生え変わりを誘導する大事な役割があります。むし歯などで乳歯が抜けてしまうと、永久歯が生えるべき場所の目印を失い、歯並びに影響するおそれがあります。乳歯から永久歯へ正しく生え変わることは、歯並びや顎、顔の形がキレイになること、言葉をキレイに発音することなどにつながるため、乳歯の段階から丁寧なオーラルケアを行うことが大切です。

永久歯への交換時期の口内は複雑

永久歯への交換時期(6~12歳くらい)の口内は、歯並びがそろっていなかったり、さまざまな箇所に段差やスペースがあったりと複雑で、歯ブラシが届きにくい状態です。親が仕上げの歯磨きをしっかりしてあげて、正しい歯磨きの習慣をつけることが将来のむし歯予防になります。

乳歯がむし歯になりやすい

乳歯は永久歯にない特徴をもっており、それが原因でむし歯になりやすいといわれています。乳歯のむし歯の特徴をしっかり理解しておくことで、防止や早期発見がしやすくなります。

乳歯はむし歯が奥歯にできると気づきにくい

乳歯の奥歯は、隣同士の歯のすき間がなく見えにくいため、むし歯の発見が遅れがちです。その結果、むし歯が進行してから受けた歯科検診で初めて気づくケースが多いです。また、乳歯の奥歯は、上下の歯をかみ合わせた時の接地面が多い特徴があります。永久歯の接地面が「点」であるとすれば、乳歯は「面」といえるでしょう。接地面が多い分、固いものを噛んだ時の傷などからむし歯に発展するリスクも高くなります。

乳歯のむし歯は黒色ではなく白い場合が多い

むし歯になる時、最初にエナメル質が溶かされる「脱灰」によって歯の表面が白濁します。次にむし歯菌が歯の内部で浸食と再石灰化を繰り返すことで、黒色に変わっていきます。しかし、乳歯は永久歯よりも歯が薄くてやわらかく、再石灰化により黒色になる前に歯の内部を浸食しきってしまいます。つまり、乳歯は永久歯よりもむし歯の進行が早いのです。もし乳歯が白濁していたら、見た目以上にむし歯が進行しているおそれがあるので注意しましょう。

痛みを感じにくくむし歯の進行に気づきにくい

痛みの感覚が発達していない子どもの場合、大人よりも歯の痛みを感じにくいとされています。また、痛みは出たり引いたりするため、子どもが痛いと言った翌日に痛がらなくなり、親が見過ごし放置してしまうことがあるため、むし歯が進行してしまいます。

乳歯のエナメル質が薄く進行が早い

歯の表面は体の中で一番硬い組織であるエナメル質で覆われています。しかし、乳歯のエナメル質の厚さは、永久歯の半分程度しかありません。おやつなどを食べるようになると、エナメル質が溶けやすくなり、むし歯菌がエナメル質の下の象牙層に届くと、むし歯は一気に広がってしまいます。

子どもの歯の健康のために親ができること

乳歯が生え始めの頃(19か月)から、歯が生えそろうまで(31か月)の期間は、とくに子どもがむし歯菌に感染しやすい時期です。子どもの歯の健康を守るために親ができること、注意すべきことをご紹介します。

親の菌を子どもにうつさない

生まれてすぐの赤ちゃんの口内に、むし歯菌はありません。子どもがむし歯になる原因は、親や周囲の人からむし歯菌が感染するからです。下記のような行動には注意しましょう。
  • 食べ物の口移しや噛み与えをしない
  • 離乳食の味・温度チェックを赤ちゃん用のスプーンで行わない
  • お箸やスプーンなど食器を共有しない
  • 熱いものを息で冷まさない
ただし、うつさないことだけでなく、大人のむし歯菌を減らすことで、子どもにうつすリスクを下げることができます。アメリカ・ロチェスター大学の研究によると、口内のむし歯菌が少ない母親の母子感染率が6%だったのに対し、むし歯菌が多い母親の母子感染率は58%となり、感染率は9.6倍もの差がありました。この結果からも、大人がしっかりむし歯予防に取り組む重要性がわかります。

大人のむし歯菌を増やさない

大人の90%はむし歯菌をもっているといわれており、完全に子どもへの感染を防ぐのは難しいです。意識は必要ですが、むし歯菌の感染を気にしすぎるあまり、子どもとのスキンシップができなくなることは避けたいです。そのためには、親の口内のむし歯菌を減らすことで、子どもにむし歯を感染させない努力も必要です。以下に今日からできる対策をご紹介します。
  1. 毎食後に必ず歯磨きをして汚れを落としましょう。フッ素入りの歯磨き粉を使用するのがおすすめです。

  2. 甘いものは食事とセットにしましょう。食後の口内は酸性に偏っており、歯が溶けやすい状態です。しかし唾液の働きにより30分ほどで中和され、むし歯になりにくい状態に戻ります。甘いものをだらだら食べていると、口内が酸性の状態が続き、むし歯になりやすくなります。

  3. 食後にキシリトールガムやキシリトールタブレットを食べましょう。キシリトールは摂取してもむし歯の原因となる「酸」を生成することがなく、むし歯の原因になりません。キシリトールの甘味で唾液の分泌が促進され、口内の酸を中和してむし歯の進行を抑えてくれます。

日頃の食習慣で気をつけること

子どもにむし歯菌が感染する機会を減らすことはできても、完全になくすことは困難です。口内に入ったむし歯菌を増やさないために、糖分の入った飲み物(ジュース・スポーツドリンク・乳酸菌飲料など)を頻繁に飲ませないようにしたり、1日に何度も食事やおやつを食べる「だらだら食べ」をさせないようにしたりするように注意しましょう。

歯科医院の定期検診に行く

定期検診を受けることで、口内の健康状態をチェックすることが予防につながります。また、歯科医院では、口内の洗浄、「フッ素塗布」で市販よりも高濃度のフッ素を取り込む、「シーラント」でむし歯のできやすい奥歯の溝を薄いプラスチックでコーティングする、「唾液検査」でむし歯のリスクを知り適切なむし歯対策をする、などが受けられます。むし歯をより確実に予防するには、日々のケアに加えて定期的に歯科医院に通院することをおすすめします。

【年齢別】子どものオーラルケアのポイントとおすすめの歯磨きグッズ

子どもの口内環境の変化は激しいため、各年齢の歯の状態に応じたオーラルケアが必要です。以下、年齢別にオーラルケアのポイントとおすすめの歯磨きグッズをご紹介します。

0~2歳頃

乳歯が生え始める頃です。この時期は、口が小さく、口内に感じる刺激に敏感です。いきなり歯ブラシで歯をゴシゴシ磨くと歯磨き嫌いになってしまうおそれがあるため、歯ブラシに慣れさせることから始めましょう。口内に水を含んで吐き出せるようになったら、やわらかいお子さま用歯ブラシで仕上げ磨きをしてあげましょう。

おすすめの歯磨きグッズ:ベビー歯ブラシ

おもちゃとして子どもに与えて口の中に歯ブラシが入るという感覚に慣れてもらうのに役立つアイテムです。

3~5歳頃

乳歯が生えそろう頃です。子ども自身の練習磨きを始め、仕上げ磨きも行います。練習磨きがしやすいように、子どもが握りやすい太さで、毛先がギザギザの歯ブラシを選びましょう。

おすすめの歯磨きグッズ:歯磨き指導用パペット

3~5歳は、歯磨き「イヤイヤ期」がよく見られる時期です。口をパカっと開かせる動作を促し、仕上げ磨きがしやすくなるアイテムです。

6歳以上

永久歯に生え変わり始める頃です。歯と永久歯が混在して生えており、歯並びが複雑なため、食べかすも歯に挟まりやすくむし歯になりやすいので、歯ブラシとデンタルフロスの両方を使いましょう。

おすすめの歯磨きグッズ:子ども用歯磨き粉

歯磨きが楽しくなるように好きな味や香り、キャラクターがついており、フッ素が含まれている歯磨き粉です。うがいができるようになった4~14歳くらいまでの子ども向けです。

仕上げ磨きのコツ

仕上げ磨きは基本的に子ども用のやわらかい歯ブラシを使用し、自分で磨けない間は親が全体を磨き、自分で磨けるようになったら磨き残しが出やすい歯の隙間や奥歯・歯の裏を中心にチェックします。子ども自身で磨けない年齢の間は、親の膝の上で口を開けて行い、歯の面に対して毛先をまっすぐ当てて軽い力で磨きましょう。仕上げ磨きの目安時間は、5歳までは10~15分、6~12歳くらいまでは3~5分です。
毎食後に行うことは難しいと感じる方も多いと思いますが、子どもに食後の歯磨きを習慣づけるようにまずは取り組んでみてください。

嫌がる子どもに歯磨きを好きになってもらうコツ

歯磨きを嫌がる子どもに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。お子さんに歯磨きを楽しいと感じてもらうコツをご紹介します。

歌や動画で歯磨きを楽しい時間にする

子どもの好きな歌や動画を流しながら歯磨きをすれば、子どもも楽しい時間だと感じて喜んでくれるかもしれません。

前向きにできたこと褒める

歯磨きの時はなかなか言うことを聞いてくれず怒ってしまいがちです。「~しなさい」と叱るのではなく、「~できる子はえらい」と前向きに言い換えてみてください。また、歯磨きが終わったら大げさなくらい褒めてあげたり、途中でやめてしまってもがんばったことを褒めたりしてあげましょう。

好きなキャラクターの歯ブラシなどを使う

ある程度の年齢になると好きな色やキャラクターがありますので、薬局や歯科医院で一緒に選んでみましょう。

匂いや味のある歯磨き粉を使う

子ども用の歯磨き粉にはフルーツの味や匂いのものがあるため、何種類か用意して好きなものを選ばせてみましょう。

親子で磨き合う

親と一緒に歯を磨き合うことで、歯磨きが好きになることもあります。子どもは何でも自分でやりたがる時期があり、親から「歯を磨いてくれる?」と頼まれて親の歯を磨いてあげることで、達成感を得られるかもしれません。また、子どもと楽しく磨き合うことで、歯磨きの時間を楽しい時間と認識してもらえるでしょう。

日常的に口内環境をチェックしましょう!

唾液検査を体験することで、自覚症状や親が子どもの口内をチェックするだけでは見つけられない口内環境の状態がわかり、どのようなオーラルケアが必要かを知ることができます。また、検査方法も水で口をすすぐだけなので、歯科医院が苦手な子どもでも受けやすいです。親子で一緒に検査を受けて、むし歯予防に取り組んでみてはいかがでしょうか。
歯科医院に行く時間がなかなか取れないという方のために、SillHa.comでは歯科医師監修による現在の口内環境を簡単にチェックできるサイトをご用意しています。よろしければご利用ください。
歯科医師監修 口内環境セルフチェック

まとめ:親子で楽しくオーラルケアに取り組みましょう!

乳歯から永久歯への交換時期は、とくにお子さん自身の歯磨きだけでは不十分です。また、むし歯は親から子へうつることが多いです。将来も健康な歯を保ち続けるためにも、親子でコミュニケーションを取りながらオーラルケアに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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