口の中の皮がむけるのはなぜ?原因と自分できる改善方法を解説

口の中の皮がむけるのはなぜ?原因と自分できる改善方法を解説

この記事では、口の中の皮がむける原因や対処法、症状を未然に防ぐための方法をご紹介します。

               
口の中の皮がむけたり、めくれたりしたことはありませんか? 自然に治ることも多く、過度に心配する必要はありませんが、なかなか治らない場合は病気のサインかもしれません。適切な対処をするためには、まずは原因を知ることが大切です。今回の記事では、なぜ口の中の皮がむけてしまうのか、その原因や治療法、口の中の皮がむけるのを未然に防ぐための方法を詳しくご紹介します。

口の中の皮がむける原因

口の中の皮がむける主な原因として、以下のようなものが挙げられます。

火傷

口の中を火傷すると、赤みやヒリヒリ感が生じ、ひどい場合は皮がむけたり水ぶくれができたりすることがあります。とくに上顎の粘膜や唇、舌の先端は、火傷しやすい部位です。

原因

口内の粘膜は50〜60 ℃程度であれば耐えられますが、70 ℃を超える食品を食べたり飲んだりすると、火傷する確率が高くなります。カレーやシチューなどの粘性の高い(とろみのある)ものは、対流が起こりにくく内部に熱が蓄えられるため、思ったよりも熱すぎて火傷するおそれがあります。

治療法

応急処置として、火傷した箇所に熱が残らないよう、すぐに口の中をすすぎ、そのあと口に氷を含んで冷やします。通常、数日〜2週間程度で自然に治りますが、症状が長引く場合は歯科や皮膚科を受診しましょう。炎症を抑えるために抗生剤入りの軟膏が処方されるのが一般的です。

アフタ性口内炎

口内炎で最も多く診られるのがアフタ性口内炎です。大きさが2~10 ㎜程度の丸くて白っぽい潰瘍が、頬や唇の内側、歯ぐき、舌などに発生します。少し触れただけでも痛みを伴うのが特徴です。食べ物や飲み物がしみることがあります。

原因

はっきりとした原因はわかっていません。疲労やストレスによる免疫力の低下、睡眠不足、栄養不足(主にビタミンB2)、口内の粘膜を噛んだ時の物理的刺激などが影響していると考えられています。

治療法

アフタ性口内炎の多くは、とくに治療しなくても1週間程度で自然治癒します。早く治すためには、軟膏や貼り薬(パッチ)、スプレー剤、ビタミン剤などを使った治療が有効です。

口腔扁平苔癬(へんぺいたいせん)

口内の粘膜に白いレース状(網状)の模様や斑点が現れる難治性の慢性炎症性疾患です。粘膜が厚く角化して剥がれ落ちることがあります。自覚症状がまったくないものから、痛みやしみる症状がある場合までさまざまです。

原因

明確な原因はわかっておらず、遺伝や免疫、金属アレルギー、C型肝炎ウイルス感染、精神的なストレスなどが関係していると考えられています。

治療法

原因が不明なので、確実な治療法はありません。ステロイド軟膏の塗布、うがい薬の使用、レーザー治療といった対症療法でのアプローチが一般的です。

天疱瘡(てんぽうそう)

自己免疫疾患の1つで、口の中や皮膚に水ぶくれや皮むけ(びらん)などを引き起こす病気です。痛みを伴うため、症状が広範囲になると食事をとれなくなることもあります。国の難病に指定されており、特定医療費(指定難病)受給者証の所持者数は3,176人(令和4年度)です。40〜60代で発症することが多く、やや女性が多い傾向にあります。

原因

血液の中に含まれている免疫グロブリンというタンパク質が、自分の皮膚や粘膜を攻撃することで起こります。免疫グロブリンは本来、ウイルスや細菌から体を守るために働く抗体ですが、なんらかの原因で自分自身の細胞を攻撃する自己抗体になり、天疱瘡を発症します。なぜ自己抗体が作られるのかはわかっていません。

治療法

自己抗体の産生と働きを抑えるための免疫抑制療法が中心です。主にステロイド内服薬を使用します。

アレルギー

特定の食品や歯磨き粉、口内ケア製品、金属などにアレルギー反応を起こして、口の中の皮がむけることがあります。同時に、かゆみや痛み、赤み、水疱ができるなどの症状が現れることもあります。

原因

特定の物質を食べたり触れたりすることで、免疫システムが反応しアレルギー反応が起こります。

治療法

アレルギーを根治する治療法はないため、原因となる物質(アレルゲン)を避けることが基本となります。アレルゲンを特定するには、問診血液検査、皮膚検査などが必要です。アレルギー症状を抑える対症療法として、抗ヒスタミン薬が使われます。

口腔カンジダ症

カンジダ・アルビカンスという真菌(カビ)の一種が異常に増殖し、舌や頬の内側の粘膜に白い斑点や膜のようなものを形成する病気です。口の中の白い膜は、ガーゼなどでこすると簡単に剥げて、皮がむけているように見えます。

原因

カンジダ菌は、誰もがもっている常在菌です。健康な状態なら症状が現れることはありません。しかし、疲労や睡眠不足などの影響で免疫力が低下すると、菌の増殖を抑えられず、発症しやすくなります。

治療法

抗真菌薬の飲み薬や塗り薬を用いると、通常、1〜2週間程度で症状が治ります。

ビタミンやミネラルなどの栄養不足

ビタミンやミネラルは皮膚や粘膜の健康を維持するうえで不可欠な栄養素です。必要な栄養素が不足すると、口内の皮むけなどのトラブルを引き起こすことがあります。

原因

食生活の偏りによる栄養不足は、口の中の皮むけが発生する原因となります。例えば、ビタミンB群には粘膜を保護して細胞の再生を助ける働きがあり、不足すると粘膜が薄くなって口内に傷がつきやすくなります。また、ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜の乾燥や角質化が生じて、皮むけやかゆみなどの症状が起こりやすくなります。

対処法

日頃からバランスのとれた食生活を心がけることが重要です。なかでも口内の粘膜を健やかに保ち、新陳代謝を助ける働きがあるビタミンB2やビタミンB6は、積極的にとりたい栄養素です。できるだけ食材から摂取できるのが理想ですが、難しい場合は、ビタミンサプリメントを補助的に摂取してもよいでしょう。
  • ビタミンB2を多く含む食品……干ししいたけ、卵、納豆、アボカドなど
  • ビタミンB6を多く含む食品……豚ヒレ肉、かつお、バナナなど

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは、口の中の皮がむける要因の1つです。とくに女性の場合、生理周期や妊娠、更年期などでホルモンバランスが大きく変化すると、普段よりも症状が出やすくなります。

原因

ホルモンバランスの乱れは、体の調子を整える自律神経の乱れにつながります。自律神経の乱れは口内の免疫力を低下させ、皮むけなどのトラブルが起こりやすくなります。

対処法

ホルモンバランスを整えるためには、規則正しい生活を心がけることが大切です。ストレスをためないようリラックスできる時間を設け、十分な睡眠時間を確保しましょう。

口の中の皮むけの発生・進行を抑えるために自分でできる予防法

口の中の皮むけの発生や進行を防ぐには、次のような対策が有効です。日常生活の中ですぐに始められることなので、ぜひ試してみてください。

口内を清潔に保つ

口内を不潔な状態にしていると、細菌が繁殖して免疫力が低下し、口の中の皮がむける原因となる口内炎やカンジタを発症しやすくなります。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを用いて、歯や歯ぐき、歯と歯の間を清掃し、口の中を清潔に保ちましょう。

口の中を保湿する

口の中の皮がむけている部分はバリア機能が低下して、ダメージを受けやすい状態にあります。口内を十分に潤して粘膜を保護することが大切です。うがい、口内用保湿ジェルなどでしっかり保湿ケアを行いましょう。

刺激物を避ける

口の中の皮がむけている箇所はデリケートになっているため、香辛料や酸味の強いもの、極端に熱い・冷たいものは避け、なるべく刺激を与えないようにしましょう。マウスウオッシュを使う場合は、低刺激・ノンアルコールタイプを選ぶことをおすすめします。

ストレスをためない

ストレスは免疫力を低下させ、口内炎や口腔カンジダ症の発症リスクを高める要因となります。適度に運動したり、リラックスする時間を作ったりしてストレスを上手に発散しましょう。

生活リズムを整える

生活リズムを整え、自律神経のバランスを整えることは、免疫力を維持し、口内環境を健やかに保つうえで重要なポイントです。生活リズムを整えるために、毎日同じ時間に寝て起きる、3食規則正しく食べることから始めましょう。

症状が長引く場合は医療機関を受診しよう

口の中の皮がむけた場合、数日から2週間程度で自然に快方に向かうケースがほとんどです。刺激を避けて安静に過ごすことが、症状を悪化させないためのポイントになります。ただし、症状が長引く場合は、ほかの病気が隠れているかもしれません。2週間以上経過しても症状が続くようであれば、一度、歯科医院や口腔外科で診てもらうことをおすすめします。

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