舌が白い場合は体調に注意? 考えられる原因と対処法

舌が白い場合は体調に注意? 考えられる原因と対処法

(2024年3月21日公開)
舌が白くなっていることに気づいたときは、原因に合わせて適切に対処することが大切です。舌の汚れが原因のものもあれば、栄養不足や感染症などによるものもあります。体調不良のサインを見過ごさないようにして、舌のトラブルの悪化を防ぎましょう。この記事では、舌が白くなる原因やその対処法について詳しく解説します。

               

舌が白くなる症状の種類

舌が白くなる症状には、以下のような種類があります。
  • 地図状舌
  • 舌苔
  • 毛舌
  • 毛様白板症
  • 口腔カンジダ症
  • 舌白板症
  • 扁平苔癬
それぞれの特徴と、身体で起きているおそれがあるトラブルについて、詳しく見ていきましょう。

地図状舌

地図状舌は、舌の表面に潰瘍のような赤い模様ができて、それを囲むように白い境界線で囲まれている状態です。地図のように境界線がはっきりとしているため、地図状舌といいます。舌がしみたりピリピリしたりすることがありますが、症状は強くないことがほとんどです。

地図状舌の原因は解明されていないものの、疲労やストレス、ビタミンBやミネラル不足が関連しているといわれています。そのため、地図状舌が現れた場合は、心身のストレスや食生活に目を向けてみるとよいでしょう。

舌苔(ぜったい)

舌苔(ぜったい)は、舌に付着する白い苔状のものです。舌の表面にある糸状乳頭(しじょうにゅうとう)に細菌や口腔粘膜の表層が剥げ落ちたものが付着することで発生します。少量の舌苔があるのは正常なものですが、十分に歯磨きをしていなかったり、汚れを洗い流す唾液の分泌が減少していたりすると、厚い舌苔が形成されます。

厚い舌苔が形成される状態では、食べかすを栄養源として細菌が増殖しているため、むし歯や歯周病、口臭などのリスクが高くなっています。また、唾液の分泌が低下している場合は、水分不足やストレスなどが関係していると考えられます。こまめな水分補給や休憩を意識してみましょう。

毛舌(もうぜつ)

毛舌は、舌の表面にあるざらついた「糸状乳頭」が長くなることで、毛が生えたような見た目になる状態です。白くなるものを白毛舌、黒くなるものを黒毛舌といいます。見た目以外の自覚症状はないため、むし歯や歯周病のセルフチェックや歯磨きのときなどに気づくことが多いでしょう。

原因は、抗菌薬や副腎皮質ステロイドを長期間使用したことによる菌交代現象や、口内が不衛生なことなどです。菌交代現象は、薬剤に対して感受性がある細菌が死滅し、耐性を持つ細菌だけが残ることを指します。残った細菌の中に色素を生産する細菌が存在する場合に舌が褐色か黒色になります。また、糸状乳頭が長くなった部分は通常は白く見えますが、範囲や食事の内容などによっては灰色や黄色、褐色、黒色にも変化します。

口腔カンジダ症

口腔カンジダ症は、口の中の真菌によって引き起こされる感染症で、急性型と慢性型に分類されます。急性型には、偽膜性口腔カンジダ症があり、口の中に白い膜が付着します。慢性型には肥厚性口腔カンジダ症や萎縮性口腔カンジダ症があり、それぞれ異なる症状が見られます。

肥厚性口腔カンジダ症は、粘膜が肥厚して硬くなることに加え、口の中にできものができたり、白くなったりすることがあります。萎縮性口腔カンジダ症は、痛みや赤みを帯びたびらん、舌乳頭の萎縮が、舌がピリピリと痛くなる、口内に違和感があるなどさまざまな症状が現れます。原因は免疫機能の低下や抗生物質の使用、口内ケアの不足などです。ストレスが溜まっていたり、歯磨きが十分にできていなかったりすると口腔カンジダ症のリスクが高まります。

口腔カンジダ症について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

毛様白板症(もうようはくばんしょう)

毛様白板症は、主に舌の側面に白い斑点ができる状態です。舌の裏側や頬、口腔底(舌と歯ぐきの間のくぼんでいる部分)にも見られる場合があります。口腔カンジダ症と症状が似ていますが、原因は細菌ではなくウイルスであるため、カンジタ症のように抗真菌剤では効果がありません。また、口腔カンジタ症との違いとして、指などでこすっても取れることはありません。

原因は、エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)の感染です。免疫系が低下している状態で現れることが多いとされています。心身のストレスや加齢だけではなく、糖尿病やHIV感染症によっても免疫系が低下することから、症状が現れた際は早期に医師に相談することが重要です。

舌白板症

舌白板症は、舌や歯ぐき、頬の粘膜が白くなる状態です。毛様白板症は白い斑点が現れるのに対し、舌白板症は白い膜を張ったような見た目になります。また、粘膜が浅く欠損した状態の「びらん」になった場合は、食べ物に触れると痛みが生じます。

原因は、入れ歯や喫煙、アルコールなどによる粘膜への刺激、ビタミンAやビタミンBの不足、加齢などです。舌白板症になった場合は、食生活や生活習慣の改善や禁煙を検討しましょう。

扁平苔癬

扁平苔癬は、舌や唇、頬の粘膜などがレース状に白くなり、周囲に赤みが現れる状態です。びらんや潰瘍になった場合は、食べ物に触れたときに痛みを生じます。

ストレスや歯科用金属などから自己免疫疾患や代謝障害まで、さまざまな原因が考えられていますが、完全には解明されていません。稀にがん化することがあるため、気になる症状がある方は、口腔外科を受診しましょう。

舌が白い状態を放置する問題点

舌が白い状態を放置することには、次のようなことにつながるおそれがあります。
  • 舌が白い原因の悪化につながる
  • 口臭や誤嚥性肺炎につながる
  • 重大な病気を見落とすおそれがある
各内容について詳しく説明します。

舌が白い原因の悪化につながる

舌が白い状態を何もせずに放置することは、その原因である心身のストレスや疾患を放置することを意味します。ストレスや疲労が蓄積されると、頭痛や肩こり、下痢や便秘、胃・十二指腸潰瘍、うつなど、さまざまのトラブルのリスクが高まります。

たとえば、地図状舌は風邪や疲労、病み上がり、過度なストレスや睡眠不足、不規則な生活、ビタミンBやミネラルの不足などと関係があるため、放置すると倦怠感が強くなったり肌トラブルが起きたりするおそれがあります。

口臭やむし歯などにつながる

舌苔の原因は、口内が不衛生なことです。そのため、舌苔を放置することは口内ケア不足を放置することを意味します。口内が不衛生だと口内の細菌が増殖し、口臭やむし歯、歯周病、誤嚥性肺炎につながるおそれがあります。口内ケア不足によって口臭が起きる理由は、口内の細菌が食べかすに含まれるタンパク質を分解した際にニオイを出すためです。さらに、むし歯や歯周病の症状が進行し治療期間が伸びたり、より複雑な治療が必要になったりします。

このような口の症状だけではなく、口内ケア不足によって口内の細菌が増えると、肺に食べ物を誤嚥したときに細菌も一緒に侵入しやすくなり、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性も高まります。

毛舌の中でも、特に糸状乳頭が著しく伸びていると、より食べかすが舌に溜まり口内の細菌が増殖しやすい状態です。、そのため、口臭やむし歯、歯周病、誤嚥性肺炎などにより一層の注意が必要です。

重大な病気を見落とすおそれがある

舌が白くなる疾患の中には、HIV感染症や自己免疫疾患のような重大な病気によって現れるものがあります。そのため、舌が白くなった状態を放置すると、重大な病気の発見が遅れるおそれがあります。
たとえば、毛様白板症はHIV感染症の症状として現れる場合があります。HIV感染症は免疫不全の状態となることで、さまざまな合併症を引き起こす疾患です。また、自己免疫疾患は免疫機能が正常に働かなくなり、正常な細胞を誤って攻撃することで心身の機能に影響を及ぼす疾患で、関節リウマチや重症筋無力症、慢性甲状腺炎などがあります。

舌が白くなったときは、重大な病気が隠れていることもあります。早めに医師の診察を受けて早期発見につなげましょう。

舌が白くなったときの対処法

舌が白くなったときの対処法は次のとおりです。
  • 耳鼻咽喉科か口腔外科を受診する
  • 舌苔や口腔カンジダ症の場合は正しい口腔ケアを習慣づける
  • 地図状舌や扁平苔癬の場合は生活習慣を整えましょう
  • 舌白板症は食生活を整えましょう
  • 舌白板症の場合は喫煙やアルコールの摂取をなるべく控える
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。

耳鼻咽喉科か口腔外科を受診する

舌が白くなる疾患に対応している診療科は、耳鼻咽喉科と口腔外科です。まずは、医療機関を受診し、舌が白くなっている原因を知ることが重要です。検査の結果、HIV感染症やがんなどが疑われる場合は、他の診療科をご紹介される場合があります。

医療機関では、舌が白くなる疾患に応じた治療や舌の状態を改善するアドバイスを受けることができます。

舌苔や口腔カンジダ症は正しい口腔ケアを習慣づける

舌苔の原因は口内ケアが不十分であることが多いです。また、舌苔や口腔カンジダ症が口内ケア不足によって起きている場合は、歯磨きや舌磨きなどを正しく行うことを習慣づけましょう。口内ケアができていると思っていても、歯ブラシや舌ブラシが自分に合っていなかったり、使い方を間違っていたりする場合があります。自分だけで正しい口内ケアを身につけるのが難しい場合は歯科医院で指導を受けるのもおすすめです。歯ブラシや舌ブラシの選び方や磨き方などのアドバイスを受けることができます。

地図状舌や扁平苔癬は生活習慣を整える

地図状舌や扁平苔癬などはストレスが原因の1つのため、生活習慣を整えて心身ともに健康な状態を保つことが重要です。たとえば、十分な睡眠、こまめなストレスの発散、適度な運動を習慣づけましょう。ただし、生活習慣を整えても、地図状舌や扁平苔癬が改善しない場合もあります。改善がない場合は口腔外科や耳鼻咽喉科などで相談をしてみましょう。

舌白板症は食生活を整え、喫煙やアルコールを控える

舌白板症の原因には、ビタミン不足、喫煙、アルコール摂取などがあります。まず、このような習慣を改善することが大切です。

食生活を整える

舌白板症は、ビタミンAやビタミンBの不足が原因の1つです。そのため、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。ビタミンAは、にんじんやほうれん草、うなぎ、鶏レバーなどに含まれています。ビタミンBにはさまざまな種類がありますが、いずれも健康な身体づくりに必要です。ビタミンB群は魚介類や納豆、牛乳、バナナなどに含まれています。
ビタミンAの働きやレシピを下記の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

喫煙やアルコールを控える

舌白板症は、喫煙やアルコールなどによる刺激も原因の1つです。そのため、アルコールや喫煙を控えることが大切です。今後のことを考え禁煙を検討するのも良いでしょう。しかし、喫煙やアルコール摂取がストレス緩和につながっていることもあります。いきなりやめることでストレスとなってしまうことも考えられるため、少しずつ減らしたり他のストレス解消法を取り入れたりなども検討しましょう。

まとめ:舌が白い場合は体調の変化に注意しよう

舌が白い場合は、心身のストレスや栄養不足以外に、自己免疫疾患やHIV感染症などの疾患が関係していることがあります。舌が白くなっている場合は、まず医師に相談して原因を突き止めましょう。

原因に応じて適切な治療を受けつつ、生活習慣や食生活の改善、適切な口腔ケア、喫煙やアルコール摂取を控えるなど対策をすることで、改善を早め再発の防止につながります。

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