いびきをかく理由とは? 原因や改善方法も解説

いびきをかく理由とは? 原因や改善方法も解説

(2023年9月30日公開)
大きな音で睡眠の妨げにもなってしまう「いびき」は、一時的なものから慢性的なものまでさまざまな理由により発生します。一時的ないびきは、アルコール摂取や風邪など一時的な身体的な状態によるもので、通常は健康に問題を起こしません。一方、慢性的ないびきは、体の構造的な問題によるものが多く、睡眠の質を低下させ、健康問題を引き起こすおそれがあります。本記事では、いびきの原因と改善法について解説します。

               

そもそも「いびき」をかく理由は?

「いびき」の原因には、一時的なものと慢性的なものがあり、それぞれに病的な要素がある場合とない場合があります。
一時的ないびきは通常、一時的な身体状態に関連して現れます。たとえば、アルコールを摂取したあとや風邪の症状があるときは、喉や鼻の組織が一時的に腫れたり、喉が乾燥したりすることがあります。これらの状況では、咽頭や口腔の通り道が狭くなり、空気の流れが制限されいびきが発生します。
一方、慢性的ないびきは、体の構造的な問題によって引き起こされることが多く、病的な要素があるおそれもあります。この場合、喉の筋肉や組織、下の顎や舌の位置によって空気の流れを妨げられることがいびきの原因となります。慢性的ないびきは、睡眠の質を低下させて、日中の眠気や集中力の低下などの健康問題を引き起こすおそれがあります。
いびきは、喉の振動により生じます。睡眠中は、喉と舌の周りの筋肉が緩み、喉や口腔の組織が振動しやすくなります。その結果、喉が震えていびきの音として聞こえるのです。一時的ないびきと慢性的ないびきの違いは、その振動の頻度や強度に関連しています。次に、いびきをかいているかどうかを確認する方法について詳しくみていきましょう。

「いびき」をかいているかのチェック方法

いびきをかいているかどうかを簡単に確認するために、以下の方法でチェックしてみましょう。

いびきをチェックする方法

録音モードを使用する

スマートフォンを録音モードにして、夜間の睡眠中にいびきを録音します。

スマートウォッチの機能を利用する

一部のスマートウォッチには、睡眠モニタリング機能が備わっています。いびきの有無や睡眠パターンを追跡できるものがあるため、これらを活用して確認します。

いびき計測のアプリを活用する

スマートフォン用のアプリとして、いびきを計測するためのアプリが多く開発されています。無料のアプリから高機能の有料アプリもあるので、ご自身にあったアプリを探して活用してみるのもおすすめです。
また、次のような症状がある場合は、いびきをかいているおそれがあります。

いびきをしているおそれのある症状

  • 寝起きに口が乾燥している
  • 寝ても疲れがとれない
  • 日中ぼーっとする
  • 頭痛や喉の痛みが頻繁にある
  • 何度も目が覚める
  • 寝ているあいだにむせることがある
以上のチェック方法と症状を参考に、いびきをかいている可能性を自己評価してみてください。
これらの症状が気になる場合や、これらの症状で日常生活に影響が生じている場合は、早めに医師の診断を受けることが大切です。いびきは適切な対策を取ることで改善でき、健康と睡眠の質を向上させられます。

一時的な「いびき」の原因と改善方法

一時的ないびきの原因は、お酒の摂取や風邪など、一時的な状態に起因することが多いです。ここでは、一時的ないびきの原因と対策について解説します。

お酒を飲んだあと

お酒を摂取したあと、多くの方がリラックスした状態に入り、眠りにつくことがあります。しかし、お酒を飲んだあとはいびきが発生しやすくなります。これは、お酒が中枢神経系を抑制し、喉や舌の筋肉を緩ませるためです。この状態では、喉の通り道が狭まり、空気が通ったときに振動していびきが生じやすくなります。
さらに、お酒を過剰に摂取すると、慢性的ないびきの元にもなる睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクも高まります。SASは、一時的な呼吸停止や低酸素状態が睡眠中に繰り返される症状で、深刻な健康問題を引き起こすおそれがあります。

改善法

お酒の摂取後のいびきを軽減するには、酔ったままの状態で眠らないことが大切です。飲酒の量をコントロールして適量を守り、飲んでから就寝までの時間を空けてアルコールの分解を助けましょう。水分補給も怠らないようにしてください。
また、寝るときは横向き寝の習慣をつけることで、いびきを軽減できる可能性があります。
しかし、SASの症状がある場合は、アルコール以外の影響があるかもしれません。いびきに伴う諸症状が慢性的にある場合は、医療機関を受診して、治療の必要性があるか医師に相談をするようにしましょう。

風邪や鼻炎で鼻がつまっているとき

風邪や鼻炎の症状があると、鼻の通り道が狭くなり、鼻腔内の組織が腫れることがあります。これにより、空気の通り道が制限されて口呼吸が増えることでいびきが引き起こされます。

改善法

風邪や鼻炎によるいびきを軽減する方法は、鼻を清潔に保ち空気の通りをよくすること、部屋の湿度を調整することです。乾燥した状態の部屋は、喉の炎症を引き起こすおそれもあります。加湿器などを使い乾燥を防ぎましょう。鼻が詰まっているときは、横向き寝を心がけましょう。
鼻炎の場合、原因によっては一時的な症状に留まらず長引くことがあります。鼻炎の原因に合わせて、耳鼻咽喉科やアレルギー科などの診療科を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

ストレスや疲れが溜まっているとき

ストレスや疲れが溜まると、喉や口腔周りの筋肉が緩みます。これにより、喉の通り道が狭くなり、いびきが発生しやすくなります。

改善法

ストレスや疲れによるいびきを軽減するには、リラックスをしてストレスを解消することが大切です。趣味の時間をとるなど、自分に合った解消法でストレスを軽減するようにしましょう。ウォーキングやストレッチなど、適度な運動を行うこともひとつの方法です。また、ストレスを溜めないようにして、解消と合わせてストレス管理をしていくことも重要です。

慢性的な「いびき」の原因と改善方法

慢性的にいびきをかいている場合は、十分な睡眠がとれなかったり、十分に酸素を取り込めなかったりするため、全身の健康にも影響するおそれがあります。また、慢性的ないびきの原因が、全身の何かしらの不調に起因しているおそれも大きいです。
そのため、一時的ないびきの原因に心当たりがない場合、またはいびきによる症状が長期に亘って続いている場合は、医療機関の受診をおすすめします。
ここでは、慢性的ないびきの原因と、自分で取り組める対策について解説します。

口呼吸をしている

口呼吸もいびきの原因となります。花粉症やアレルギー性鼻炎などの症状のある方は、鼻が詰まり口呼吸になりやすいです。慢性的に鼻詰まりの症状があると、睡眠中も気づかないうちに口呼吸となり習慣化されてしまいます。口呼吸は通常の鼻呼吸に比べて空気の通り道が広く、口内の組織が振動しやすいため、いびきを引き起こしやすくなります。

改善法

口呼吸によるいびきを軽減するには、鼻呼吸を心がけ、口を閉じる習慣をつけることが大切です。よい香りのするものを身の回りに用意し、鼻呼吸を意識づけるのもひとつの方法です。花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー性の疾患によって口呼吸になってしまう方は、アレルギー対策や予防などを行い、鼻詰まりを改善することが大切です。
また、口呼吸を防ぎ、鼻呼吸を促すアイテムの活用も効果的です。口を閉じるように貼るテープや、鼻腔を広げて呼吸しやすくする鼻腔拡張テープなどがあります。これらの対策を取ることで、口呼吸によるいびきを軽減できます。

扁桃・アデノイド肥大がある

扁桃とアデノイドは、喉の奥に位置していて、免疫系に関与している組織です。しかし、これらが肥大すると喉の通り道を狭めてしまい、いびきやSASの原因になります。
免疫力の弱い子どもの頃に肥大をすることがあり、通常は成長に伴って小さくなりますが、まれに成人になっても肥大化したままになることがあります。

改善法

扁桃やアデノイドの肥大によるいびきを軽減するためには、医師の診断を受けて状態に応じて適切な治療を行なうことが必要です。肥大の程度が大きい場合には手術を必要とすることがあります。

肥満傾向にある

肥満や過体重は、首回りの脂肪増加につながります。その結果、喉の通り道を狭くしてしまい、いびきやSASのリスクを高める原因となります。
首の太さが、男性で43 cm以上、女性で40 cm以上の場合は肥満によって首が太くなっており、SASが起こりやすくなります。

改善法

肥満によるいびきを軽減するには、肥満の解消が大事です。体重管理のために定期的な運動習慣を取り入れ、食事内容を見直し、高カロリー・高脂肪の食品の摂取を減らしていきましょう。ただし、明らかな肥満があり、すでにいびきの伴う症状がある場合は、自己判断での減量だけで改善しようとせず、医療機関を受診しましょう。医師や栄養士の指導のもとでの減量が不可欠です。また、肥満が解消する前に、SASの治療を行ない呼吸障害に対処することが必要です。

下顎が小さい・下顎が後退している

下顎が小さい場合、顎や舌、喉、その周辺の筋肉も小さくなり、舌の位置が下がりやすくなります。また下顎が後退していると気道が狭くなりやすくなります。舌の位置が下がることや気道が狭くなることは、いびきの原因となります。SASのリスクが増加するおそれもあり、治療が必要な場合があります。

改善法

下顎の位置によるいびきを軽減する方法には、いびき対策のマウスピースの使用や、矯正治療などがあります。外科手術によって下顎の位置を調整する方法をとる場合もあり、いずれも医療機関の診断に基づいて行なうことが望ましいです。

年齢を重ね舌の筋力が衰えている

年齢を重ねると、喉や舌の筋肉が衰えて、舌が喉奥まで落ち込み喉の通り道が狭まりやすくなります。この筋力の低下により、いびきが発生しやすくなります。

改善法

加齢に伴う筋肉の衰えがいびきの原因となっている場合は、舌まわりのエクササイズを習慣に取り入れて筋力を維持しましょう。意識的に口や舌を動かしたり発声したりすることで筋力を維持でき、いびきの改善に期待できます。
舌の筋肉が衰えると、いびきの原因になるだけでなく、食べ物を飲み込む力も衰えることがあります。食事のときにむせることが増えた場合は、医療機関を受診して医師のアドバイスを受けましょう。

喉や舌まわりのエクササイズ

舌の前後運動
口をあけ、舌を前に出し5秒キープ、舌先を上の歯の裏側につけて5秒キープ
舌の上下運動
口をあけ、舌を上顎と下顎にそれぞれ10秒ずつ押し当てる
舌の回転運動
口をとじ、歯の表面を舌でなぞるように、右回り左回りそれぞれ1周させる
口と頬の運動
口を大きくひらき「あいうえお」とゆっくり伸ばしながら発声する
頬の運動
口をとじ、頬を膨らませて5秒キープ、頬をすぼめて5秒キープ
エクササイズは各3セットずつ行うのが目安です。入浴中や歯磨き後などに、こまめに行いましょう。

タバコを吸っている

喫煙もいびきの原因となることがあります。タバコの煙に含まれる有害物質は、喉や気道の粘膜を刺激し、炎症を引き起こすことがあります。これにより気道が狭まり、いびきが発生しやすくなります。

改善法

タバコを吸っている場合、いびきを軽減するには禁煙をすることが望ましいです。
いきなり禁煙をすることは難しい場合は、本数を減らす節煙から始めてみましょう。少しずつ本数を減らすことで、タバコを吸う機会が日常から減り、習慣化していた喫煙が少なくできます。医師や禁煙カウンセラーにより、禁煙のサポートを受けることもおすすめです。禁煙外来を受診することで、専門家による禁煙プログラムのもとで取り組むことができ、必要に応じて禁煙補助薬を処方してもらえます。
禁煙はいびきを軽減するだけではなく、健康への多くの利点をもたらします。タバコを吸っている場合は、禁煙に向けて取り組みやすいことからおこなってみましょう。

仰向け寝で寝ている

寝る姿勢もいびきの発生に影響を与えます。仰向けで寝る方は、舌や口腔が喉の通り道を塞いでしまい、いびきを引き起こしやすくなります。

改善法

寝姿勢によるいびきを軽減するには、横向き寝を試してみるのもひとつの方法です。寝姿勢の改善は、いびきを軽減させるために効果的な方法です。横向き寝を習慣化することで、より質の高い睡眠を得られます。
また、いびき対策の枕を活用する方法もあります。いびきを軽減するために、特別な形状をした枕が市販されています。横向き寝をキープできるものや、寝返りしやすいものなどがあり、頭や首の位置を調整し、いびきを減少させるのに役立ちます。

慢性的なアレルギー性鼻炎がある

慢性的なアレルギー性鼻炎は、鼻腔内の粘膜を炎症させ、鼻づまりを引き起こすことがあります。鼻づまりがあると、口呼吸が増加し、いびきの原因となります。

改善法

いびきの原因がアレルギー性鼻炎による場合は、アレルギーの対策をすることが一番の解決策になります。部屋の換気や清掃をしたりして、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを除去しましょう。アレルゲンの特定ができていないのなら、医療機関でアレルギーの検査をおこなうことで確認できます。医療機関のアドバイスのもと、経口や点鼻のアレルギー薬を活用する方法もあります。

睡眠薬を服用している

睡眠薬の不適切な使用は、いびきを引き起こす原因となる場合があります。睡眠薬は中枢神経に影響を与え、筋肉の緊張を緩めることがあります。これにより、喉や気道の筋肉が弛緩していびきを引き起こしやすくなります。また睡眠薬は、ふらつき・頭痛・倦怠感などの症状が出たり、注意力障害やうつ病などを引き起こしたりする副作用もあるため、服用には注意が必要です。

注意点

睡眠薬を使用する際は、医師の指導を受け、適切な薬剤を適切な量とタイミングで服用することが重要です。指示どおりに使用し、医師の指導を超えて長期間にわたり連続使用をすることは避けましょう。不眠を改善するためには、薬物以外の方法もあります。医師にも相談の上で、自分にあった治療法を選択しましょう。

高さの合わない枕を使っている

枕の高さや形状が合わないと、首や気道の位置が不適切になり、いびきを引き起こす原因となります。

改善法

枕が合っていないことがいびきの原因になっている場合は、自分にあった適切な枕を選択することが大切です。枕専門店で自分に合った枕を探してみるのもいいかもしれません。いびき対策用の特別な枕を使う方法もあります。枕の高さが合わないのは、寝る姿勢に原因があるかもしれません。自分に合った枕を見つけ、寝姿勢に気をつけることでいびきを軽減できます。

「いびき」は放置していても大丈夫?

いびきは単なる騒音の問題だけでなく、睡眠の質を低下させて日常生活に支障をきたし、健康にも悪影響をおよぼすおそれがあります。特にSASは、睡眠中に十分な量の酸素を取り込めなくなるため、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な疾患のリスクにもなります。
また、いびきによる騒音は、パートナーや同居をしている方へストレスを与えてしまい、関係の悪化にもつながることも考えられます。
いびきがひどいようであれば、かかりつけの医師に相談したり、睡眠専門外来などを受診したりするようにしましょう。

まとめ

「いびき」は、健康や睡眠にも影響を与える問題で、原因や改善法も多岐にわたります。一時的ないびきの原因には、お酒、風邪、ストレスなどがあり、これらに心当たりがあれば対策は可能です。一方、慢性的ないびきは、状況を放置すれば健康に影響を及ぼすおそれもあります。原因によっては自分で取れる対策が限られているため、医療機関を受診する必要があります。原因に応じて対策を選び、健康的な睡眠がとれるようにしましょう。パートナーとの関係や生活の質の向上のため、いびきに真剣に向き合いましょう。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる唾液検査です。
製品情報・お問い合わせはコチラ