口の中にできる水ぶくれは何?水ぶくれの原因・治療法・予防法を解説

口の中にできる水ぶくれは何?水ぶくれの原因・治療法・予防法を解説

口の中にできる水ぶくれは様々な原因があり、治療法も異なります。この記事では、口の中にできる水ぶくれについて解説します。

               
口の中に水ぶくれができた場合、物理的な刺激によるものから病気によるものまで、さまざまな原因を考える必要があります。放置すると悪化する場合もあるため、「ただの水ぶくれだから心配ないだろう」と思い込まないことが大切です。今回は、口の中に水ぶくれが現れるトラブルについて、それぞれの原因や治療法、予防方法まで詳しく解説します。

口の中に水ぶくれができるトラブルとは

口の中に水ぶくれができるトラブルには、ウイルス性の病気や刺激によるもの、歯周病によるものなどさまざまです。それぞれ対処法や予防法が異なるため、水ぶくれだからといって同じ対応では症状が悪化することもあります。そこで、口の中に水ぶくれができるトラブルについて、以下の4つについて解説します。
  • 粘液嚢胞
  • 単純疱疹
  • 物理的な刺激による水ぶくれ
  • フィステル

口の中の水ぶくれ①粘液嚢胞(ねんえきのうほう)

粘液嚢胞は、頬や下唇、口内の粘膜に生じる水ぶくれのような袋状の病変です。舌の裏側に現れることが多いです。口の中の床部分に生じる粘液嚢胞のことを、ラヌーラ(ガマ腫)とも呼びます。どの部位にできた粘液嚢胞もピンク~赤色をしています。

また、一部が透明で、内容物がたまっていることが外見でわかります。触っていないとき、触ったときのいずれの場合も痛みはありません。潰れたあと自然に治癒することもありますが、再発を繰り返すこともあります。

粘液嚢胞で水ぶくれになる原因

粘液嚢胞は、頬や下唇、口内の粘膜の外傷によって唾液腺が詰まる、または唾液腺が破れて漏れ出した唾液が薄い組織に取り囲まれることで生じる袋状の病変です。唾液腺は、シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスといった病気や、水分の摂取量が過度に少ない場合、口呼吸やストレスなどによって、その機能が低下します。その結果、唾液腺が詰まってしまうことがあります。また、唾液腺が破れる原因には、下唇や舌などを噛んだり、歯や硬い食べ物などで頬の粘膜を傷つけたりすることなどがあります。

粘液嚢胞の対処法

粘液嚢胞による水ぶくれは、外科治療によって摘出することで治療します。ただし、口底部に唾液がたまって生じるラヌーラ(ガマ腫)の中でも大きいものは、一部を切って唾液を流出させる方法をとることもあります。

また、いずれの場合も破れたり詰まったりしている唾液腺を同時に除去します。除去した唾液腺は再生しません。また、唾液腺は唾液を分泌する器官のため、除去することで唾液の分泌が減少します。

粘液嚢胞の予防法

唾液菅が詰まったり破れたりする原因に対処することで予防をすることができます。たとえば、硬すぎる歯ブラシを避ける、硬い食べ物は慎重に咀嚼する、水分を適度に摂取する、ストレスをためないなどの方法があります。

ただし、シェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスなど、唾液の機能低下を引き起こす疾患には予防法がないため、日常の注意だけで粘液嚢胞を確実に予防できるとは限りません。

口の中の水ぶくれ②単純疱疹

単純疱疹は、単純ヘルペスウイルスの感染によって皮膚や粘膜に小さな水ぶくれやただれが生じる病気です。単純ヘルペスウイルスは、初感染後に体内の神経節(脊髄の近くにある神経細胞の集まり)に潜伏し、ストレスや感染症などで免疫力が低下した際に再活性化することがあります。その際は、初感染時に症状が現れた部位に水ぶくれを引き起こします。

小さな水ぶくれが複数できて、結合したり大きくなったりします。赤みを帯びていて丸く、軽いチクチクとした痛みやかゆみを伴います。ただし、口内にできたヘルペスは痛みが強いため、食事に影響がでることがあります。

単純疱疹で水ぶくれになる原因

単純疱疹では、単純ヘルペスウイルスの感染によって免疫反応として炎症が生じ、細胞が損傷を受けることで水分がにじみ出て、タンパク質と混ざりあうことで水ぶくれができます。

単純疱疹の対処法

単純疱疹による水ぶくれは、つぶしてはいけません。水ぶくれの中にはウイルスが含まれているため、つぶすとウイルスが排出されて周りの組織に広がってしまいます。単純疱疹には、抗ウイルス薬による効果が期待できるため、早めに医療機関を受診しましょう。


単純疱疹の予防法

単純ヘルペスウイルスは、ウイルスが付着した食器やタオルの共用によって、人から人へうつります。そのため、単純疱疹の人との食器やタオルの共用を避けることで予防しましょう。

過去に単純ヘルペスウイルスに感染した場合は、体内の神経節にウイルスが潜伏することがあります。ストレスや風邪、疲労、強い紫外線などの影響でヘルペスウイルスの再活性化が誘発されます。

そのため、体調管理や紫外線対策などを心がけることが予防につながります。

口の中の水ぶくれ③物理的な刺激による水ぶくれ

水ぶくれは、物理的な刺激で口内炎になることによって起きるものがあります。口内炎は、口の中の粘膜に水ぶくれやただれなどがみられる症状のことです。
物理的な外傷によってできる口内炎をカタル性口内炎といい、水ぶくれのほかに、赤みやざらつき、白くなるなどの症状が現れます。痛みを伴うため、食事に支障をきたすこともあるでしょう。

物理的な刺激で水ぶくれになる原因

物理的な刺激を受けると、細胞に含まれるタンパク質や水分などが出てきて水ぶくれを作ります。刺激の原因は、頬の内側を噛む、折れた歯やギザギザの歯が頬に触れる、矯正器具が触れるなどです。

物理的な刺激の対処法

物理的な刺激による水ぶくれは、組織が自然に修復されることで少しずつ改善します。刺激を与える硬い食べ物を避けて過ごしましょう。医療機関の治療では、抗生物質を含む軟膏、殺菌効果がある薬などを使用します。

物理的な刺激の予防法

ギザギザの歯や折れた歯などは頬の粘膜を傷つけるリスクがあるため、歯科医院で処置を受けましょう。また、矯正器具が粘膜に触れる場合は、何らかの対処ができないか歯科医師に相談することが大切です。

口の中の水ぶくれ④フィステル

フィステルは、歯が生えてくるところの下付近の歯ぐきにできる、赤や白のふくらみです。フィステル自体に痛みはありませんが、その原因によってフィステルの周りに痛みが生じます。

フィステルを放置すると大きくなっていき、周りの歯の根が溶けたり神経が壊死したりするおそれがあります。さらに放置すると、歯の根の治療(根管治療)では完治ができず、抜歯せざるを得なくなります。

フィステルで水ぶくれになる原因

フィステルの正体は、膿の袋です。むし歯が歯の根に達すると神経が壊死し、膿がたまることでフィステルが形成されます。また、歯周病によって歯ぐきが下がると、歯と歯ぐきの間のすき間が広がり、そこに細菌が侵入し炎症が起きることでフィステルができます。

フィステルの対処法

フィステルは、原因を取り除くことで改善が期待できます。むし歯によって神経が壊死する段階まで進行している場合は、根管治療を受けることになるでしょう。根管治療は、歯の神経が通っている根管内をすみずみまできれいにして、薬を詰めて密封し、かぶせもので歯の形態を整える治療法です。

根管治療でフィステルが改善しなかった場合は、歯の根を切除するケースもあります。これらの治療でも改善しなかったり、歯根が折れていたりする場合には、抜歯を検討します。

フィステルの予防法

フィステルを予防するためには、原因となるむし歯や歯周病の早期発見・早期治療が必要です。むし歯の場合、歯の神経に達する前に治療することで、根管治療ではなくむし歯の部分を削るだけで治療できます。また、歯周病は歯のクリーニングで歯垢や歯石を取り除き、適切なセルフケアを続けることで改善します。

口の中の水ぶくれ⑤血種(血豆)

血腫(けっしゅ)は、赤い水ぶくれのような症状で、中に血液がたまっている状態です。いわゆる血豆のことで、頬や舌、歯ぐきなどにできます。

血腫ができる原因

口の中を噛んだり切ったりぶつけたりすると、粘膜の下で出血し、血液が塊になることで血種ができます。

血腫を作るきっかけとなる刺激としては、矯正器具やギザギザの歯などがあります。また、間接的な原因として、ストレスにも注意が必要です。ストレスがたまると、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなり、口内の粘膜に歯が触れるため、結果的に頬の粘膜を傷つけてしまいます。

なお、口内炎も口内の粘膜を歯で傷つけることで起こりますが、ほかにもストレスや栄養不足、単純ヘルペスウイルス感染、アレルギーなどでも起こります。

血腫の対処法

痛みが強い場合は、歯科医院に相談するとよいでしょう。状態によっては薬が処方されます。血種は1週間程度で自然に治ることが多いため、通常は経過観察で問題ありません。

ただし、時間経過とともに大きくなる場合は悪性黒色腫(口腔がん)のおそれもあるため、心配な場合は歯科医院または口腔外科に相談しましょう。

血腫の予防法

血腫を予防するためには、口内の粘膜を傷つける行為を避ける必要があります。例えば、食事中に口の中を噛む、硬い食べ物で傷つけるなどに注意しましょう。また、矯正器具やギザギザの歯があるときは歯科医院に相談し調整や治療をうけましょう。

口の中に水ぶくれができたときのNG行為

口の中に水ぶくれができた場合、次のような行為は避けましょう。

水ぶくれをつぶす

どのタイプの水ぶくれでも、つぶさないことが大切です。特に単純疱疹の場合、水ぶくれの中にウイルスが含まれているため、つぶすと感染が口内に広がるおそれがあります。単純疱疹以外であっても、水ぶくれを安易につぶすと、傷ができてしまいます。その傷に細菌感染が起きて痛みや腫れの原因となります。

辛いものや熱いものを口にする

水ぶくれがつぶれた後の傷とカタル性口内炎による水ぶくれは、刺激すると痛みが生じます。特に辛いものや熱いものを口にすると傷口が刺激され、痛みを感じることが多いため、なるべく避けることが大切です。

刺激を受けると炎症が起きて、ますます痛みが強くなることがあります。

口の中の水ぶくれは原因に応じて適切に対処しよう

口の中に水ぶくれができたときは、原因を突き止めることが先決です。単純疱疹のように周囲の人にうつす可能性がある疾患が原因の場合もあります。水ぶくれをなるべく防ぐためには、硬いものを食べるときは慎重に咀嚼したり、定期健診で歯の健康チェックをしたりすることが有効です。

今回、解説した内容を参考に、口の中の水ぶくれを適切に対処しましょう。

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