(2023年10月12日更新)
唇にヒリヒリとした痛みや違和感、できものが現れたら、口唇ヘルペスかもしれません。唇やその周辺に腫れや水ぶくれが発生する口唇ヘルペスは、他の人に感染する場合もあるため、発症した際には注意が必要です。本記事では、口唇ヘルペスの症状や発症した際に気を付ける点、日常生活における予防方法などを解説していきます。
唇のヒリヒリは口唇ヘルペスが原因かも
唇にヒリヒリとした痛みや違和感がある場合、口唇ヘルペスの疑いがあります。まずは、口唇ヘルペスとはどのような病気か、特徴や原因について解説します。
口唇ヘルペスとは
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって引き起こされる病気です。口唇と名前がついている通り、唇やその周辺に痛みやかゆみなどの症状が発生します。
一度ヘルペスウイルスに感染してしまうと、口唇部の症状が治まっても神経細胞内にウイルスが住み着いてしまいます。住み着いたウイルスは、体の抵抗力が落ちた時に神経細胞内で活発化し、再発することが大きな特徴です。
ヘルペスウイルスの種類
ヘルペスウイルスには8つの種類がありますが、その中でも多く見られるものは3種類です。口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスは、1型(HHV-1)と2型(HHV-2)に分けられます。
また、名前には「ヘルペス」とついておりませんが、水痘・帯状疱疹ウイルス(HHV-3)もヘルペスウイルスに属します。
ヘルペスウイルスに感染する原因
ヘルペスウイルスは感染力が非常に強いため、発症中の水ぶくれに触ったり、ウイルスが付着した皮膚や粘膜に接触したりすることで簡単に感染してしまいます。感染は、子どもの頃に家族間で起こるケースが多いです。
もちろん子どもの頃だけではなく、大人になってから初めて感染することもあります。大人になってからの初感染の場合は、症状が重くなる恐れがあるため、発症時は注意が必要です。
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口唇ヘルペスの症状
口唇ヘルペスの症状には段階があります。段階ごとに症状が異なり、1週間から2週間ほどかけて治癒していきます。ここからは、口唇ヘルペスの症状を段階別にチェックしていきましょう。
前駆症状
前駆症状は、口唇ヘルペスの本格的な症状である水ぶくれや赤みが出る前の段階です。唇や周辺にヒリヒリ、チクチクとした違和感やかゆみが生じます。口唇ヘルペスの発症を繰り返している方は、前駆症状の段階で再発に気がつくこともあります。
発症期①
前駆症状で違和感のあった場所に赤みや腫れを伴うようになると、本格的な発症の合図です。ヘルペスウイルスが活発になり、増殖している時期でもあります。赤みや腫れは、前駆症状を自覚してから数時間から半日ほどで現れるケースが多いでしょう。
発症期②
前駆症状から2~3日程度経つと、水ぶくれが発生します。口唇ヘルペスの場合、水ぶくれは1ヵ所に現れることがほとんどです。水ぶくれは小さいものが集まったような状態であることが多く、小さな水ぶくれが融合して1つの大きな水ぶくれになってしまう場合もあります。
また、口唇ヘルペスの再発を繰り返していると、水ぶくれは小さくなる傾向にあります。
回復期
回復期は、水ぶくれが乾き始める段階です。水ぶくれは完全に乾くとかさぶたになります。個人差もありますが、前駆症状から回復期までのサイクルは、おおよそ1週間から2週間です。
口唇ヘルペスの治療
初めて発症をしたときは、速やかに医療機関を受診しましょう。初感染の場合は重症になる場合があります。自己判断をせず、医療機関で正しく診断をしていただくことをお勧めします。一般的に皮膚科で診断・治療を受けることができます。
口唇ヘルペスの治療は、抗ウイルス薬という種類の、塗り薬(外用薬)もしくは内服薬を用いて治療します。現在、販売されている抗ウイルス薬では、ウイルスを完全に体内から取り除くことはできません。ですが、抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑制し、症状を抑える効果が期待できます。内服薬は処方のみですが、外用薬はドラックストアなどでも購入することができます。
すぐに病院に行けない時に使える口唇ヘルペスの市販薬
口唇ヘルペスに効果のある市販薬は2種類あり、どちらもヘルペスウイルスの増幅を抑制することで効果を発揮します。市販薬については、以前に口唇ヘルペスと診断を受けたことがある人以外は使用できませんので注意が必要です。
有効成分の種類
市販薬の有効成分には、アシクロビルとビダラビンという2種類があります。どちらもウイルスのDNAの合成を阻害することで増殖を防ぐ効果があります。
アシクロビルの配合された市販薬には、アクチビア軟膏やヘルペシアクリームなどがあります。ビタラビンの入った市販薬はアラセナSが該当します。
薬の中には有効成分以外にも様々な成分が入っています。薬剤師の方に相談をしながら、ご自分に合う薬を選ぶようにしましょう。
外用薬のタイプ
市販薬は、塗り薬のみが販売されており、クリームタイプと軟膏タイプがあります。クリームは、ベタつきが少なく、伸びが良くて広げやすいため、患部が広い場合やベタつきが気になる場合に選ぶと良いです。患部が裂けていたり、ただれていたりすると、軟膏にくらべて刺激を感じることがあります。軟膏は、クリームとくらべて伸びは少なくベタつきがありますが、皮膚を保護する作用があり刺激も少ないため、患部が痛んだりひどく荒れている場合に適しています。
市販薬でも改善されなかったり広い範囲に水ぶくれやただれがあったりするときは、再発の場合でも早めに医療機関を受診しましょう。
口唇ヘルペスを発症したら気を付けること
口唇ヘルペスを発症した時は、他の人にウイルスが感染しないように注意する必要があります。乳幼児や子どもとの接触には、特に気を付けなければなりません。ここからは、口唇ヘルペス発症時に日常生活で注意する点をご紹介します。
患部を触らないようにする
口唇ヘルペス発症時にできる腫れや水ぶくれには、なるべく触らないようにしましょう。腫れや水ぶくれには、ヘルペスウイルスが詰まっています。患部に触れるとヘルペスウイルスが手指に付着し、他の人に感染する恐れがあります。もし患部に触れてしまった場合は、石鹸で丁寧に手洗いをしてヘルペスウイルスを落としてください。
タオルや食器を分ける
ヘルペスウイルスの感染は、手指を介さずに起こるケースもあります。タオルや食器などを共用することで、物を介して感染してしまうかもしれません。
そのため、口唇ヘルペス発症中はタオルや食器類の共用を避ける必要があります。自分が使用する物は、なるべく分けるようにしましょう。使用後は、洗剤を使ってしっかりと洗います。
子どもとの接触を避ける
口唇ヘルペスは多くの場合、子どもの頃に家族間で感染します。小さな子どもや乳幼児はまだヘルペスウイルスを持っていないことも多いため、接触はなるべく避けてください。特に乳幼児はヘルペスウイルスに感染すると重い症状が出る恐れがあるので、注意が必要です。
家族に子どもがいてお世話をする前には、手洗いやアルコール消毒での除菌を徹底しましょう。また、患部には絶対に触れないでください。
日常でできる口唇ヘルペスの予防と対策
口唇ヘルペスの発症を予防するには、抵抗力を上げることが重要です。生活習慣に気を付けるだけでも、抵抗力は高められます。ここでは、日常生活でできる口唇ヘルペスの予防と対策方法をご紹介します。
疲労やストレスを溜めない
過労やストレスも、抵抗力低下の原因になります。疲れを感じたら、しっかりと休養を取って心身を休めるようにしてください。また、適度な運動はストレスの発散になります。30分程度のウォーキングやジョギングを生活に取り入れることは非常に効果的です。血行や代謝が良くなることによる抵抗力アップも期待できます。
バランスの良い食事と十分な睡眠をとる
栄養バランスの偏りや、睡眠不足があったりすると、抵抗力が低下してしまいます。ストレスの軽減や口唇ヘルペスの予防において、規則正しい生活は基本中の基本です。食事は栄養も間隔も、バランス良くとることを心がけてください。また、就寝時間も十分に確保し、睡眠不足にならないように気を付けましょう。
強い紫外線を長時間浴びない
紫外線の浴びすぎは皮膚の免疫力を低下させるため、口唇ヘルペスを誘発する恐れがあります。夏場の紫外線が強い時期や長時間屋外で過ごす際は、UVケアアイテムで紫外線対策をしましょう。
<SIllHa.com編集部コメント>
実は、顔や腕よりも皮膚が薄い唇は紫外線の影響を受けやすいです。下記の記事では唇の日焼けについて症状や対策について解説しているので、参考にしてみてください。
こんなときは何が原因?唇まわりの様々なトラブル
唇まわりのトラブルには、症状やできる場所の違いで他にも様々なものがあります。症状別に様々なトラブルについて紹介します。
唇の端・唇のふちが痛い
唇の端や縁が赤くなり、切れたりただれたりするのは口角炎かもしれません。
口角炎となる原因は、乾燥や、ストレスなどによる免疫力の低下、カンジダ菌によるものなどが考えられます。
唇が腫れる
唇がヒリヒリするだけでなく腫れも出ている場合は、口唇ヘルペスの他に、口内炎やアレルギーが原因の場合があります。
特に突然の腫れの場合は、クインケ浮腫(血管性浮腫)や肉芽腫性口唇炎(にくげしゅせいこうしんえん)など、口唇ヘルペス以外が原因かもしれません。
唇が乾燥している
口唇ヘルペスの治りかけではなく唇がカサカサしている場合、空気の乾燥や紫外線、摩擦などの外部刺激による口唇炎の可能性があります。また、体調不良も唇の乾燥の原因になります。口呼吸や脱水症でも唇が乾いてしまうおそれがあります。
唇がかゆい
唇のかゆみは、乾燥のときと同じように外部刺激による口唇炎が原因の一つです。また、口唇ヘルペスでもかゆみが生じる場合もあります。白い塊のような湿疹が見られるときは、口唇カンジダかもしれません。
唇がヒリヒリしたら病院の受診を
唇にヒリヒリとした違和感がある時や口唇ヘルペスを発症した時は、なるべく早く病院を受診してください。口唇ヘルペスの際には何科を受診すれば良いのかを解説していきます。
病院は何科を受診すれば良いのか
口唇ヘルペスは、皮膚科で診療可能な病気です。再発例に関しては内科でも治療できる場合がありますが、症状が初めて出た方は皮膚科にいきましょう。
その他、皮膚科や内科だけではなく、歯科や口腔外科でも口唇ヘルペスの治療ができます。診てもらえるかどうかが心配な場合は、事前に病院に連絡をして確認しておきましょう。
口腔外科では口内の状態チェックも可能
歯科や口腔外科の医師は、口元と口内のトラブルを熟知しています。歯科や口腔外科で口唇ヘルペスを診てもらうのであれば、口内の状態も一緒にチェックしておくのがおすすめです。むし歯や歯周病は口内のバランスを乱すため、免疫力を低下させる原因になり得ます。また、口内の状態を知ることは、口唇ヘルペスの予防にもなります。
そこでおすすめなのが、水ですすぐだけで口内の状態を簡単にチェックできる、唾液検査のシルハです。シルハは、全国の歯科医院や口腔外科に導入されています。受診する予定の歯科や口腔外科に導入されているか事前に確認しておくと良いでしょう。
シルハを導入している歯科、口腔外科はこちらから確認できます。
口内環境を知る重要性については、こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
唇のヒリヒリは放置せず口唇ヘルペスを疑って
口唇ヘルペスは1週間から2週間程度で治りますが、痛みを伴うため不快感が強い病気です。また、ヘルペスウイルスは人へ感染するため、他者への配慮が必要になります。唇にヒリヒリとした違和感があったら口唇ヘルペスを疑って、なるべく早く受診をするなどの対処をしましょう。
監修医師:種田 研一 先生
平和台皮フ科 院長。
2004年に順天堂大学医学部を卒業後、同大学院にて研究を行ないながら皮膚科医療に従事。2014年からは種田医院に勤務し、2021年に現在の平和台皮フ科を開業。
日本皮膚科学会専門医として、審美性と機能性の両方を兼ね備えた治療の提供に努める。
平和台皮フ科 ホームページ
https://heiwadai-skin.clinic/