唇が日焼けした時の症状とは? 正しいケア方法や予防対策について解説

唇が日焼けした時の症状とは? 正しいケア方法や予防対策について解説

(2023年10月27日更新)
冬は春や夏に比べて、日差しが弱いため夏ほど対策されていない方も多いのではないでしょうか。冬に受ける紫外線量は、日照の角度が低くなることや雪など路面の状況が影響し当たる紫外線量も変化します。また、実は、顔や腕などの部位だけでなく、唇も紫外線の影響を受けやすい箇所です。しかも、唇は顔や腕などの部位と比べて皮膚が薄く、紫外線からのダメージを受けやすいため、日焼け予防や日焼け後のケアを適切に行わなければなりません。この記事では、唇の日焼けによるダメージからの回復方法から、適切な予防策までを詳しく解説します。日焼けした唇のケアと予防について理解し、健康な唇を保ちましょう。

               

唇が日焼けした時の症状

唇は、角質層が薄く、皮脂を分泌する皮脂腺が存在しないため、皮膚全体の中でも特に乾燥しやすい部分です。乾燥すると、皮膚のバリア効果が薄れ、紫外線のダメージを受けやすくなります。また、唇は紫外線から細胞を守ってくれるメラニン色素も少ないため、日焼けによる影響を受けやすいのが特徴です。

唇が日焼けした時の4つの症状

①乾燥・痛み

唇が日焼けをすると、当日から翌日にかけてカサカサと乾燥したり、ヒリヒリとした痛みが感じられたりします。これは紫外線が唇の皮膚細胞にダメージを与え、炎症が起きているサインです。
<唇の乾燥についてはこちらの記事で解説しています>
唇の乾燥は病気の可能性もある!カサカサの原因5つと対処法を紹介

②腫れ

過度の日焼けをしてしまうと、火傷に近い状態になり、唇が腫れ上がることがあります。炎症が強く起こっている状態のため、冷やすなどの適切なケアが必要になります。
<日焼け以外の唇が腫れる原因についてはこちらの記事を参考にしてください>
唇が腫れる原因は病気? 症状と対処法、受診の目安を解説【歯科医師監修】

③水ぶくれ

さらにひどい場合には水ぶくれが発生することもあります。ここまでくると、かなり重度の日焼けと考えられ、症状が長引くこともあります。

④色素沈着(シミ、黒ずみ)

日焼けによって紫外線によるダメージが蓄積すると、メラニン色素が活性化し、将来的に色素沈着につながります。
顔のシミや黒ずみのように、唇にも斑点のような黒ずみが出てくるようになります。色素沈着の発生を予防するためには、日焼け後のケアが重要になります。唇の黒ずみは、紫外線以外にも、乾燥や摩擦によるダメージ、血行不良、口紅などのメイクの洗い残しも原因となります。

回復までの期間

人間の皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層でできています。この中の「表皮」が一定の周期で生まれ変わる仕組みを「ターンオーバー」と呼びます。

唇以外の健康な皮膚の場合、ターンオーバーは4週間程度です。しかし、唇のターンオーバーは3~5日程度と非常に短いです。唇は角質層が薄く皮脂腺がないため、バリア機能がなくダメージを受けやすいですが、一方ですぐに新しい表皮ができるためダメージの修復が早いことが特徴です。日焼けをしても、適切なケアを早めに行うことで、早期回復が期待できます。

症状を放置すると、症状が長引いたり、悪化したりすることもあります。唇が日焼けしてしまったときには、速やかに適切なケアをおこなうことが大切です。

また、日焼けをしてしまわないように、日頃から唇への紫外線対策を怠らないことも大切です。

唇が日焼けした時の正しいケア方法について

唇が日焼けしてしまった時には、すぐに適切なケアを行うことで症状の進行を防ぎ、早期の回復につながります。また、色素沈着の予防にも効果的です。具体的にどのようなケアが必要なのかを、詳しく解説します。

【ケア方法1】 冷やす

唇が日焼けをすると、痛みやヒリヒリとした感覚があります。この状態はやけどに近いため、ほてりや炎症を抑えるために冷やす必要があります。
冷水でゆっくりと唇を冷やしたり、冷やしたタオルや氷嚢(ひょうのう)、保冷剤を唇にあてたりしましょう。ただし、氷などを直接あてると刺激が強くなり、逆に皮膚にダメージを与えてしまいます。ハンカチやタオルなどで包んで使用しましょう。また、冷やす時間が長すぎると皮膚にダメージを与えてしまうので、適度な時間にとどめましょう。

【ケア方法2】刺激しない

日焼けした唇の症状が出ている時には、唇に刺激を与える行為は避けることが重要です。唇を舐めたり、触ったりしないようにしましょう。また、辛い食べ物などの刺激のある食べ物も避けましょう。

特に唇を舐める行為は、一見、乾燥を和らげるように感じますが、実は逆効果です。一時的に唇が潤いますが、舐めた唇はすぐに乾き、結果的に乾燥した状態は改善しません。

また、リップメイクにも注意が必要です。口紅やグロスなどは日焼けした唇には刺激になるおそれがあります。特に落ちにくい口紅やティントは、化粧品による刺激だけではなく、落とす時にも強くこすることで、症状を悪化させるおそれがあります。日焼けによって唇が荒れてしまい口紅やグロスでカバーしたくなると思いますが、症状が落ち着くまでは、化粧品などメイクグッズの使用を控えましょう。どうしても、必要な場合は色付きのリップクリームで代用する方法もあります。
<唇荒れを防ぐリップケアの仕方についてはこちらの記事も参考にしてください。>
唇が荒れる原因は? NGなクセやリップケアのポイントを解説

【ケア方法3】保湿する

唇が乾燥すると、刺激を受けやすくなるため、炎症が悪化するだけでなく、さらにダメージを受けやすくなります。そのため、唇の保湿は非常に重要です。保湿により唇の乾燥を防ぎ、潤いを与えることで、唇の健康な状態を保つことができます。
唇はリップクリームを使って保湿することができます。日焼けなどの影響ですでに炎症を起こしている場合には、抗炎症作用のあるリップクリームを使用することで炎症を抑える効果が期待できます。また、就寝時にはリップパックなどを使用することで、深夜の乾燥から唇を守るとともに、炎症を鎮め、修復を促進できます。就寝中の長時間にわたる保湿ケアは、日中のケアとあわせて、唇の日焼けからの回復を早める効果が期待できます。特に唇が次のような状態の、場合は、積極的に保湿ケアを行うことが推奨されます。
  • カサついている。
  • ヒリヒリとした感覚がある。
  • 色素沈着が気になる。

【ケア方法4】ビタミンCを摂取する

日焼けからの回復には、体内からのケアも欠かせません。その中で特に注目したいのが、ビタミンCの摂取です。ビタミンCは、唇の健康に直結する二つの重要な働きを持っています。

抗酸化作用

紫外線を浴びるとタンパク質を酸化させやすい活性酸素が発生します。活性酸素により酸化されることで、唇が荒れたり色素沈着を引き起こしたりします。酸化により引き起こされる有害な作用を酸化ストレスと呼びます。ビタミンCは強力な抗酸化作用を持つため、この酸化ストレスから唇を守り、健康な状態を保つことができます。

コラーゲン生成を促す作用

コラーゲンは皮膚の弾力やハリを保つ成分で、唇の健康にも欠かせません。ビタミンCはコラーゲン生成を促進することで、紫外線によるダメージから唇を回復させ、健やかな状態を取り戻す手助けをします。
ビタミンC以外にも皮膚や粘膜を保護する作用を持つビタミンB2や、正常な免疫機能を保つ働きがあるビタミンB6の摂取も有効です。

そのため、ビタミン摂取を意識したバランスのよい食事を摂ることが大切です。食事だけで補うのは難しい方は、ビタミンをサプリなどで補強してあげるのもおすすめです。

【ケア方法5】病院へ行く

自己ケアにより症状が改善しない、あるいは症状が悪化した場合には、専門的な医療機関での診察を受けることが必要です。

また、日焼け以外が原因で症状が出ている場合もあります。たとえば、水ぶくれは口唇ヘルペスの症状とも重なります。色素沈着が続く場合は、メラニンの過剰生成など他の疾患のおそれもあります。

水ぶくれなどの症状がある場合や症状が長期間続く場合は、日焼け以外の疾患の可能性も考慮して、速やかに医療機関を受診しましょう。

紫外線による口唇ヘルペスの再発

紫外線による免疫力の低下が原因で体内に潜伏しているヘルペスウイルスが活動を再開し、口唇ヘルペスを再発することがあります。
口唇ヘルペスは、一度感染するとウイルスが神経細胞に潜伏し、体調の変化やストレス、紫外線などの刺激によって再発します。そのため、唇に水ぶくれがあり、ケアを行っても改善しない場合は、口唇ヘルペスの発症も考慮して、専門の医療機関を受診しましょう。
口唇ヘルペスは感染力が強く、正しい治療を行わないと症状が長引くおそれがあるため、早めの対応が必要です。
<口唇ヘルペスについてはこちらの記事も参考にしてください。>
唇がヒリヒリする原因は口唇ヘルペス?治療と予防のポイント

唇の日焼けを予防する4つの対策方法

日焼けによる唇のトラブルを予防するには、紫外線対策が重要です。紫外線は、UVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)の2種類に大きく分けられます。UVAは波長が長く、皮膚の深部まで届き、シミやたるみ、しわなど肌の老化を引き起こします。一方、UVBは波長が短く、皮膚の表層を刺激し、皮膚の炎症や皮膚がんの原因となります。これらを効果的に防ぐための具体的な対策をご紹介します。

【予防対策1】 日焼け止めを使用する

日差しの強い日や外出時には、UVカット効果のあるリップクリームを使いましょう。特に唇は、皮膚が薄いため、ボディ用や顔用の日焼け止めでは刺激が強く、適していません。唇には唇専用の日焼け止めを選びましょう。また、日焼け止めの選び方としては、SPFとPAの数値が基準となります。

SPF(Sun Protection Factor)

SPFとは、皮膚が赤くなる日焼けの原因になるUVBを防ぐ指標として使われます。何もしていない状態をSPF1とし、SPF1=約20分として計算されます。つまり、SPF50の日焼け止めの効果は、何もしていない状態よりもUVBを防ぐ効果が50倍あることになります。SPF50以上の場合は、SPF50+と表記され、現在日本では最高値です。SPFの通知が大きいほど紫外線の影響を受けにくくなります。

PA(Protection Grade of UVA)

一方、PAは紫外線A波(UVA)から皮膚を守る指標です。UVAは日差しを浴びた後に肌をすぐに黒くする作用があり、たるみやシワなど肌の老化を引き起こします。PAはこのUVAからどの程度肌をも守ってくれるかを表しています。記号の"+"の数が多いほどUVAからの保護効果が高く、"PA++++"が最高ランクとなります。
<分類表示>
  • PA+:UVAを防ぐ効果がある。
  • PA++:UVAを防ぐ効果がかなりある。
  • PA+++:UVAを防ぐ効果が非常にある。
  • PA++++:UVAを防ぐ効果が極めて高い。

【予防対策2】 日傘や帽子を使用する

日焼け止めだけではなく、直射日光から肌を守るために、日傘や帽子を使用することも効果的です。特に唇は顔の中心部に位置しており、どの方向からの日差しにもさらされやすい部位です。そのため、日傘や帽子で日差しを遮ることで、紫外線によるダメージを最小限に抑えられます。帽子を選ぶ際は、ひさしが広い物や長い物を選ぶと良いです。

【予防対策3】 頻繁に保湿する

唇の保湿は、炎症を抑えるためだけではなく、予防対策としても効果があります。唇は皮膚が薄く、皮脂腺がほとんどないため乾燥しやすい部位です。乾燥をすると紫外線によるダメージを受けやすくなるため、頻繁に保湿を行うことが重要です。日頃からリップクリームやバームを用いてしっかりと保湿しましょう。

【予防対策4】日頃の食生活を意識する

体の内側から唇の健康を守るためには、日頃の食生活を意識することが重要です。たとえば、適度な水分の補給は体全体の健康に欠かせませんが、唇の保湿にも効果的です。また、上記で日焼けケアのポイントとしてビタミンCの摂取を紹介しましたが、予防としても効果的です。さらに、ビタミンAを豊富に含む食品を摂取することで、紫外線によるダメージから皮膚を守る抗酸化作用を強化できます。ビタミンAは、他にも皮膚の新陳代謝を促進し、皮膚の機能を維持したり乾燥を防いだりする効果もあります。これらの栄養素をバランスよく摂取することで、日焼けからの予防だけでなく、唇を健康に保つことができます。

冬も紫外線対策が大切です

実は、日差しが弱い冬でも紫外線対策は大切です。冬の紫外線量は夏に比べて減少しますが、UVBについては一年中ほとんど変わらないと言われています。
しかし、夏のジリジリとした日差しと比べて、冬は暖かな日差しのため、つい日光を浴びている時間が長くなりがちです。しかも、日差しも弱いので、紫外線の対策も夏ほど意識されなくなります。さらに、冬は夏と比べて日差しが低い位置からあたります。紫外線を日傘や帽子では防ぎにくいため、肌に当たりやすくなってしまいます。
また、雪の降る地域に住んでいる方やウィンタースポーツをする方も紫外線による日焼けに注意しましょう。実は、雪の紫外線の反射率は80%と言われています。アスファルトの反射率が10%ですので、雪からも日光と同等の紫外線を受けるとすると、街中にいる状態と比べ2倍近くの紫外線を受けることになります。
日差しが弱く気温も低くなり、紫外線対策を夏ほどされない方も多い時期ですが、ダメージを受けやすい唇の紫外線対策は欠かさないようにしましょう。

まとめ:唇の日焼けは対策と予防が重要

唇の日焼けは、ヒリヒリとした痛みや腫れ、水ぶくれなどを引き起こす炎症の元となり、色素沈着につながるため、適切なケアを速やかにおこなうことが大切です。腫れや水ぶくれなどの症状が悪化したり、長引いたりする場合には医療機関を受診しましょう。
日焼けをしてしまう前に、紫外線対策を日常的におこなうことも大切です。

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