唇をぶつけた...腫れた場合の対処法は? 何日で治る?

唇をぶつけた...腫れた場合の対処法は? 何日で治る?

(2023年10月4日公開)
唇をぶつけて腫れた場合、症状を悪化させないためにもできるだけ早く応急処置をするのが望ましいです。この記事では、ぶつけた唇が腫れたときにするべき対処法を詳しくご紹介します。また、唇をぶつけた際に確認しておきたい唇以外の部分や、唇が治るまでの日数、唇をぶつけていないのに腫れてしまう原因についても解説します。

               

唇をぶつけて腫れた場合の対処法

唇は、転倒や物がぶつかったなどの外部からの衝撃を受けると、内出血を起こすことがあります。
唇をぶつけた際に生じる腫れの多くは、この内出血が原因です。内出血とは、衝撃などで毛細血管が傷つき、皮膚の内側で血管の壁が破れて出血した状態のことです。内出血をしている患部は、組織を修復しようと腫れや熱感が生じます。内出血は、迅速に適切な処置を施すことで治りが早くなるため、以下の手順に従って対処しましょう。
  1. けがの程度をチェックする
  2. 出血している場合はガーゼやティッシュで止血を行う
  3. 腫れている場合は冷やす
  4. 痛みが強いときは、痛み止めや鎮痛剤で緩和する
  5. 患部を清潔に保って感染予防を行う

1.けがの程度をチェックする

まずは唇とその周辺の状態を確認します。腫れの大きさはどれくらいか、出血をしているかどうかをチェックしましょう。このとき、けがの状態が深刻な場合はすぐに医療機関を受診しましょう。たとえば、唇や口内に深い傷があったり歯に異常があったりした場合は口腔外科や歯科医院を、顎や頬など口内以外にダメージがあるようなら整形外科や形成外科を受診しましょう。
記事後半に、唇をぶつけて腫れたときに確認しておきたい唇以外の部分について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
また、けがの状態は写真に撮って保存しておきましょう。画像で残しておくことで、医師に状況を説明しやすくなり、保険の請求手続きの際にも役立ちます。

2.出血している場合はガーゼやティッシュで止血を行う

唇が出血している場合には、以下の手順に沿って止血を行います。
  1. 手を丁寧に洗います。
  2. 傷口が汚れている場合には、流水で傷口を洗い流します。
  3. 清潔なガーゼやティッシュを傷口に当てて数分間圧迫します。
汚れた手で患部を触ると、感染症などの原因にもなり、さらに症状を悪化させることも考えられます。清潔な手で処置するためにまずは手を洗います。傷口が汚れていたらゆっくりと流水で傷口を洗い、口の中に血を含んでいるようなら水で口をすすぎましょう。患部を圧迫して止血をする際は、数分間はガーゼを外さずに押さえ続けましょう。出血が止まったと思って1分程度でガーゼを外すと再び血が出てくることがあります。15分以上たっても出血している場合や明らかに出血の量が多い場合には、できるだけ早く歯科や口腔外科を受診してください。

3.腫れている場合は冷やす

唇の内出血で生じた腫れには「冷やす」のが効果的です。腫れた患部は熱をもった状態がしばらく続くため、冷却パックや氷のう、保冷剤などを患部に当てて冷やしましょう。ただし、いずれも直接唇に当てると低温やけどになるおそれがあるため、薄い布などに包んで使用してください。また、冷やしすぎも症状を悪化させてしまうため、1回15分程度を目安に間隔をあけて患部を冷やします。

4.痛み止めや鎮痛剤で痛みを緩和する

唇をぶつけて強く痛む場合には、鎮痛剤の使用を検討しましょう。鎮痛剤には軟こうタイプの塗り薬や錠剤などの種類があり、どれも含有する鎮痛成分が炎症を抑えて痛みを軽減します。
このような痛み止めや鎮痛剤は、薬局やドラッグストアなどで購入できますが、医師や薬剤師の指示に従って服用すると安心です。特に持病のある方や治療中の方、既存の薬の服用がある方などは、薬の飲み合わせが禁止されていることがあるため、医師や薬剤師に確認してから使用しましょう。
なお、鎮痛剤を飲んでも痛みが和らがないときや鎮痛剤を数日間飲み続けても痛みが続く場合には、できるだけ早く歯科や口腔外科などを受診しましょう。

5.患部を清潔に保って感染予防を行う

唇に傷口がある場合には、患部が治るまでできるだけ傷口には触らず、清潔に保つことが大切です。冷やしたら感染予防のために傷口をワセリンなどで塞ぎましょう。治るまでの間はこまめに塗り直しが必要です。医薬品のリップクリームであれば保湿効果に加えて抗炎症成分やビタミンなどが含有されています。また、腫れの状態によってはウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の成分が含まれた塗り薬を使うのもよいでしょう。
ただし、患部に水ぶくれや膿、発熱などの症状が現れた場合には感染症の疑いがあるため、できるだけ早く医療機関を受診してください。
唇に傷がある場合は、口内の細菌が傷口から侵入するおそれがあります。そのため、口内も清潔に保ちましょう。患部に痛みがある場合には、刺激の弱い歯磨き粉を使う、もしくは、完治するまでは歯磨き粉を使わずにケアしましょう。

唇をぶつけて腫れたときに確認しておきたい唇以外の部分

唇をぶつけるということは多くの場合、唇以外にも負傷している可能性が高いです。特に歯、舌、顎、首、筋肉などに違和感がないか確かめましょう。それぞれの詳しい確認ポイントについて解説します。

歯が損傷していないか確認する

唇をぶつけたとき、同時には、歯もダメージを受けることが多いです。「歯が欠けた」「歯が痛い」「歯がグラつく」「歯の位置がずれた」「歯が抜けた」といった異常があった場合には、できるだけ早く歯科医院で診察を受けましょう。
このとき、手や舌で患部に触れないようにしましょう。細菌が入ってさらに症状を悪化させたり、舌や口内の粘膜が傷ついたりするおそれがあります。歯の欠けた欠片や抜けた歯がある場合には、水で洗わずに生理食塩水や牛乳などに入れて、速やかに歯科医院へ行きましょう。状態によっては治療に使えることもあります。
また、唇をぶつけた直後は特に見た目の異常はなかったものの、数か月して歯の色が黒っぽく変わることがあります。これは唇をぶつけたときの強い衝撃により、歯の神経と血管が損傷してしまったことが原因で生じます。歯の痛みを感じたり変色に気づいたりしたら早めに歯科医院を受診してください。

唇や口内の他の部分に損傷があるか確認する

舌や歯ぐき、のどなど唇や口内の他の部分に損傷があるかの確認も必要です。鏡を使えば自分で確認できますが、よく見えないときや自分のチェックだけでは不安な場合には、迷わずに歯科医院を受診しましょう。
舌や歯ぐきから出血していた場合には、唇同様に清潔なガーゼなどで止血します。口の中に血が流れ出している場合には、吐き出しましょう。なるべく清潔な状態を保ち、止血しても出血が止まらない場合は早めに歯科や口腔外科へ行ってください。

顎や首の骨・筋肉に違和感がないかチェックする

顔や首の骨、筋肉などに違和感がないか確認しましょう。強い痛みや腫れがある場合には骨折や筋を痛めていることがあります。無理に動かそうとせずに早めに歯科や口腔外科など病院に連絡してください。
特に小さなお子さんは、大人と違い具体的にどこが痛いのかうまく伝えられないことがあります。そのような場合には、早めに医療機関を受診して必要な検査をしてもらいましょう。

ぶつけて腫れた唇は何日で治る?

ぶつけて腫れた唇は軽傷の場合、個人差はありますが、おおよそ1週間で治ります。ただし、人によっては腫れや痛みなどの症状が続くことがあります。また、感染症に罹った場合は症状が悪化し、患部が膿んだり、発熱したりすることがあります。そのような場合には速やかに歯科や口腔外科へ行ってください。

唇をぶつけていないのに腫れてしまう原因

唇はどこかにぶつけなくとも腫れることがあります。腫れてしまう原因としては以下のような病気が考えられます。ぶつける以外の原因に心当たりがあったり各原因で挙げている症状が見られたりする場合には、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

口唇ヘルペス

ヘルペスウイルス感染(単純ヘルペス)による感染症で、唇の周りに軽い痛みを伴う小さな水ぶくれができます。発熱や風邪など免疫力が低下しているときに症状が出やすいです。人に感染するため、接触には注意しましょう。
<口唇ヘルペスの詳しい記事はこちらです。原因や治療、予防について解説しています。>

アレルギー

特定の食品や化粧品、金属、外部刺激などが原因でアレルギー反応を起こし、唇が腫れ上がることがあります。腫れの原因がアレルギーの場合、症状が悪化すると呼吸困難などを伴ったアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるため、注意が必要です。

口内炎

唇や頬の内側、舌、のどなどの粘膜に起こる炎症で、腫れや痛みを伴います。はっきりとした原因はわかっていませんが、ストレスや栄養不足、免疫力の低下、口腔粘膜の損傷などが原因と考えられています。

クインケ浮腫(耳下腺炎)

顔(特に唇周辺)に腫れを引き起こす蕁麻疹(じんましん)の一種です。先天性、後天性がありますが、いずれも短時間~数日で改善します。ただし、鼻からのどにかけて腫れがあると呼吸困難に陥る可能性があるため、息苦しい場合にはすぐに医療機関を受診してください。

肉芽腫性口唇炎

唇が突発的に腫れ上がる病気です。はっきりとした原因は不明ですが、遺伝やアレルギー、自律神経機能異常などが原因と言われています。かゆみや痛みはありませんが、繰り返し症状か現れることが多いです。

口角炎

口角(口の端)に炎症が起きる症状です。口角炎になると唇が乾燥したり、口角に深く亀裂が入ったりして痛みや腫れが生じます。主な原因は空気の乾燥や化粧品、洗顔料などの刺激、内臓疾患、ストレスなどと考えられています。
「唇の腫れ」については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。

唇をぶつけて腫れたときは歯科医院を受診しましょう

唇をぶつけて腫れたときは、けがの状態をチェックして、出血している場合には止血を行いましょう。また、ぶつけた衝撃で唇が腫れるだけでなく、歯や骨などに異常が生じることがあります。気になる症状がある場合には、できるだけ早く歯科や口腔外科などの医療機関を受診しましょう。

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