唇の乾燥は病気の可能性もある!カサカサの原因5つと対処法を紹介【医師監修】

唇の乾燥は病気の可能性もある!カサカサの原因5つと対処法を紹介【医師監修】

(2023年10月12日更新)
唇がカサカサと荒れてしまうのは、空気の乾燥が原因だと思われがちですが、他にもさまざまな原因があります。なかには、病気のサインとして唇が乾燥するケースもあるので、適切な対処が必要です。この記事では、唇が乾燥する原因や対処法、唇が乾燥する症状が表れる病気とともに、子どもの唇が乾燥する原因と対処法もご紹介します。

               

唇が乾燥する原因と対処法

唇は皮脂腺や汗腺がない他、角質が薄く水分を保持する力が低いため、もともと乾燥しやすい部位です。まずは、唇が乾燥してしまう原因と対処法を見ていきましょう。

唇への接触や乾燥などの外部刺激

角質層が薄い唇は、外的刺激に弱いのが特徴です。そのため、唇を舐める、触る、噛むなどの癖がある人は唇が乾燥しやすくなります。その他、マスクなどによる摩擦や、外気の乾燥も唇への刺激になります。また、メイク残りも唇を乾燥させる原因の1つです。乾燥すると唇がカサカサするだけでなく、皮がめくれたり、亀裂が入って出血したりすることもあります。
<対処法>
・唇を舐める、触る、噛むなどの癖を意識してやめてみる

・唇のメイクをしっかりと落とす
→摩擦も唇が乾燥する原因になるため、擦り洗いは避けましょう。ポイントメイク用のリムーバーなどを使って優しく落とします。

・唇が潤っている状態を保つ
→リップクリームを使ってしっかりと保湿します。また、唇用パックなどでケアすることもおすすめです。唇を保湿しておけば、マスクの摩擦によって起こる唇の乾燥も防げます。

体調不良や内臓など身体の不調

風邪などで体調が優れない時も、唇が乾燥しやすいと言われています。これは、体内の栄養素が通常時よりも消耗されやすい状態にあるためです。胃腸が荒れる、内臓が冷える、血流が悪いなどといった症状がある時には、唇の色にも変化が表れ、紫色になります。
<対処法>
・暴飲暴食を控える
・冷たい物を食べ過ぎない
・ビタミンBを摂取する
→ビタミンB群は皮膚や粘膜を保護する働きがあるため、摂取することで唇の荒れに効果があります。

ストレス

ストレスも唇が乾燥する原因の1つです。ストレスが溜まると血行不良になりやすく、栄養や酸素が行き渡らなくなり、唇が乾燥してしまいます。なかには、ストレスによる緊張状態から唇を舐めて、乾燥を引き起こしてしまう人もいるようです。その他、生理中や妊娠中などは、ホルモンバランスの変化によって唇が荒れることがあります。
<対処法>
・体調を整える
→しっかりと睡眠をとる、栄養を摂るといった習慣を心がけましょう。
・ストレスを溜めない

食生活の乱れ

栄養不足も唇が乾燥する原因になります。食生活が乱れている時や無理なダイエットをしている時は、栄養不足に陥りやすいでしょう。なかでも、ビタミン不足は特に唇の乾燥につながると言われています。
<対処法>
・ビタミンを積極的に摂取する
→ビタミンAやビタミンB群には、粘膜の潤いを保つ働きがあるとされています。ビタミンB群には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸などが含まれます。
<各栄養素が含まれる食べ物>
  • ビタミンA:レバー、卵黄、にんじん、ほうれん草
  • ビタミンB1:豚ひれ肉、玄米ご飯
  • ビタミンB2:豚レバー、納豆
  • ビタミンB6:牛レバー、サンマ
  • ビタミンB12:あさり、サバ
  • ナイアシン:カツオ、ピーナッツ
  • パントテン酸:たまご、牛乳
  • ビオチン:大豆、しいたけ
  • 葉酸:鶏レバー、枝豆

口呼吸・ドライマウス(口腔内乾燥症)

口呼吸をしている人は唇が乾きやすくなります。また、口内が乾いている状態が慢性化したドライマウスも、唇が乾燥する原因の1つです。唇は唾液腺の働きによって潤うため、口内が乾いて唾液が行き渡らなくなると唇も乾燥してしまいます。これらの対処法は、原因によって異なります。
<対処法>
・鼻づまりが原因で口呼吸になっている
→耳鼻科の受診が必要です。

・口呼吸が癖になっている
→鼻呼吸を誘導するための専用のテープを貼るなどして、口の筋肉を鍛えましょう。口の筋肉を鍛えると口元が無意識に緩むことが減り、鼻呼吸がしやすくなります。

・唾液の分泌量が少ない
→唾液の分泌量は、歯科医院などで検査できます。必要に応じて、唾液腺マッサージや薬物療法などの治療を受けましょう。

矯正

矯正治療の器具を装着することで口内が乾き、唇の乾燥につながるケースもあります。矯正器具が唇に引っかかり、口が閉じにくくなったり開いた状態になったりすることが、口内乾燥の原因です。
<対処法>
・マスクを着用して口内の湿度を保つ

・口内の乾燥を防ぐための口腔保湿ジェルを使用する

・定期的に歯科医院へ通い、相談する
ドライマウスや口呼吸、矯正の相談などで歯科医院を受診する際は、シルハで口内環境もチェックしてみてください。シルハは、全国1,500以上の医療機関で導入されている唾液検査です。
水で口を10秒すすぐだけで、口内環境に関わる6つの項目「むし歯菌・酸性度・緩衝能・白血球・タンパク質・アンモニア」をチェックできます。検査結果をもとに、歯科医から適切なアドバイスをもらえるので、口内環境の改善に役立つでしょう。

唇の乾燥が症状として表れる病気

病気の症状の1つとして、唇が乾燥することもあります。唇の乾燥に加えて他の症状も出ている場合は、病気のサインかもしれません。続いては、唇の乾燥が症状として表れる病気をご紹介します。

口唇炎

口唇炎(こうしんえん)は、唇の皮膚に炎症が起き、腫れやただれなどが生じる病気です。外気の乾燥や紫外線の刺激などが原因で、唇のバリア機能が低下してしまいます。子どもから高齢者まで幅広い年代で発症し、悪化すると唇の皮がむけて亀裂や出血を引き起こすこともあります。口唇炎が疑われる場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

口唇カンジダ・口唇ヘルペス

細菌やウイルスなどに感染すると、体に発疹が現れる場合があります。口やその周りに発疹が現れる代表的なものが口唇カンジダや口唇ヘルペスで、これらが唇にダメージを与えると乾燥してしまいます。どちらも再発を繰り返すのが特徴で、悪化させないためには皮膚科や内科の受診が必要です。

脱水症

体内の水分量が不足することで陥る脱水症の症状として、唇の乾燥が挙げられます。脱水症は、水分不足、もしくは体から水分が過剰に排出されることによって起こります。唇の乾燥以外にも、めまいや動悸、吐き気、頭痛などの症状も現れることが特徴です。これらの症状が見られたら、内科を受診しましょう。
<上手な水分補給のポイントについてはこちらの記事を参考にしてください>
口や喉が渇くのは水分補給が足りていないのかも|水分を摂るときのポイント&注意点を解説

シェーグレン症候群

自己免疫疾患の1つで、免疫システムに異常が起こり、涙腺や唾液腺などを攻撃して破壊する病気です。目や口の乾燥が特徴で、口が乾燥することにより唇も乾燥してしまいます。その他にも、疲労感や関節痛、うつ傾向などの症状が表れることもあります。
シェーグレン症候群を根本的に治癒する方法は、まだ解明されていません。症状に合わせて眼科や歯科、内科、婦人科などを受診して、症状の軽減や疾患の進行予防について相談してみると良いでしょう。

ひび割れ、ただれには医薬品のリップクリームを使う

リップクリームには、化粧品や医薬部外品以外に医薬品のものもあります。口唇炎や口角炎、乾燥による唇のひ割れ、唇のただれなどがひどい場合には、医薬品のリップクリームを使うのも良いです。よく知られている商品では、ヒビプロLP があります。有効成分として、炎症を抑えたりする成分、皮膚を修復する成分が含まれています。薬局やドラッグストアで薬剤師に相談をしてみてください。  

子どもの唇が乾燥する原因と対処法

子どもの唇の乾燥は、こまめな保湿ケアで十分な場合がほとんどです。しかし、まれに専門の病院での治療が必要になるケースもあるので、注意して観察しておきましょう。子どもの唇が乾燥する原因と対処法をご紹介します。

原因

子どもの唇が乾燥したり荒れたりする原因として多いのが、水分不足や舐め癖です。その他、乳幼児はアトピー性皮膚炎を発症することが多いので、唇の乾燥や荒れがひどい場合には、この可能性も考えられます。また、唇の乾燥を放置することでかゆみや炎症が悪化し、アトピー性皮膚炎につながるケースもあります。

対処法

赤ちゃんや子ども向けのワセリンなどで、唇を保湿ケアすることが大切です。ワセリンやリップクリームは、口に入っても安全なもの、乳幼児向けのものを選びましょう。ただし、発疹ができる、ただれるなどの症状がひどい場合は、小児科や皮膚科を受診してください。

唇が乾燥する原因に合った対処をしよう

唇が乾燥する原因は、複数あります。原因によって対処法も異なるので、唇の乾燥や荒れが気になった時には、空気の乾燥以外の原因も考えてみましょう。そうすることで、病気のサインに気づけるかもしれません。乾燥や荒れなどの唇の不調を放置せず、適切なケアを行いましょう。

監修医師:藤堂 沙織 先生

Alohaさおり自由が丘クリニック 院長。
2003年に日本歯科大学を卒業後、同大学付属武蔵小杉病院の内科に勤務。2009年から善仁会丸子クリニックにて院長を務めた後、2019年に現在のAlohaさおり自由が丘クリニックを開業。
日本内科学会の認定内科医であり、日本透析医学会や日本腎臓学会、日本美容皮膚科学会、点滴療法研究会などの多くの学会に所属。

Alohaさおり自由が丘クリニック ホームページ
https://aloha-saori-jiyugaoka-cl.jp/

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