水分補給の必要性と水分不足時の症状
健康維持や口内の環境悪化を防ぐためにも、水分は欠かせないものです。まずは、人間の身体における水分の役割や、水分が不足した時の症状などを解説します。
人間の身体の半分は水分が占めている
人間の体内には、水分が大量にあるのをご存知でしょうか。体内の水分の割合は個人差もありますが、成人の場合だと一般的に体重の5~7割ほどと言われています。
体内の水分量は若いほど多く、歳を重ねるほど少なくなっていきます。新生児の体内水分量の平均は7~8割ですが、高齢者の場合は5割程度にまで減少します。
体内の水分が持つ役割
体内の水分は、体温調節や筋肉を動かす際など、さまざまな働きに使われます。栄養素を血液に乗せて全身に運んだり、老廃物を汗や尿と共に排出したりするなど、水分は体内が正常に機能するためには欠かせません。
体内の水分の排出量
体内の水分は、摂取と排出のサイクルでバランスを取り一定量を保つように調節されています。例えば、体重70Kgの男性の場合だと1日に約2.5Lの水分を摂取、排出するとされています。
水分の摂取と排出がバランス良く行えていれば問題ないのですが、夏場にたくさん汗をかいているのに水分を全く摂取していないなど、サイクルのバランスが崩れると身体に不調が現れてしまうため注意が必要です。
水分不足はさまざまな症状を招く
体内から排出されるのと同量の水分を摂取しないと、脱水を起こしてしまうかもしれません。人間は体内水分量の5%を失うと脱水症や熱中症の症状が現れ、20%を失うと命を落とすと言われています。脱水が起こると血液中の水分が減少し、血液がドロドロになるため血栓ができやすくなります。血の流れが滞るので、脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性も上がるでしょう。
また、水分不足になるとドライマウスを招く恐れもあります。ドライマウスになると口内の自浄作用や抗菌作用が弱まるため、むし歯や歯周病になりやすくなったり、感染症になりやすくなったりと、さまざまな口内トラブルのリスクが高まってしまいます。
正しく上手な水分補給のポイント
水分補給は効率良く、吸収しやすい方法で行うのがポイントです。ここからは、水分補給を上手に行うためのコツについてご紹介します。
1日に飲む量を決める
自分にとって必要な量の水分をあらかじめ用意しておき、1日かけてこまめに摂取するようにしてみましょう。体重70Kgの成人男性の場合、飲料で摂取する適切な水分量は1日1.2L程度と言われています。
少なく感じるかもしれませんが、これは健康的な食生活を実践できている場合の目安です。1日3回の食事から約1Lの水分が摂取できていると仮定すると、飲料で摂取する水分量は2L以下になります。また、運動などで通常よりも多く汗をかいた時は、普段より水分を多く摂取しても問題ありません。
水分補給の回数と時間を決める
1日に必要な量の水分は、何回かに分けて摂取するようにしましょう。コップ1杯程度の量を、朝昼夕食時、入浴の前後、起床後と就寝前など、こまめに飲むのが理想的です。
また、厚生労働省の「健康のために水を飲もう」推進運動では、就寝時に枕元に水分を置いておくことを推奨しています。寝ている間は汗で水分を排出します。乾きを感じて目が覚めた際にすばやく水分補給できるように、ぜひ実践してみてください。
参考:厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動
渇きを感じる前に水分補給をする
喉の乾きを感じるのは、脱水が始まっているサインと考えられます。身体の水分不足を予防するためには、喉の渇きを感じる前に水分を補給するのが大切です。喉が渇くまで待つのではなく、早めの水分補給を心がけましょう。
喉が渇きやすいと感じる場合は、水分不足以外の原因があるかもしれません。
水分を摂っていても喉が渇く原因や、水分の摂り方についてはこちらの記事も参考にしてください。
水分を摂っていても喉が渇く原因や、水分の摂り方についてはこちらの記事も参考にしてください。
水分補給をする時の注意点3つ
水分補給時には、水分の種類や温度に注意が必要です。ここからは、水分補給時に注意するポイントをチェックしていきましょう。
1.一度にまとめて飲まない
水分を一度に大量に摂っても、体はうまく利用することができません。体に負担をかけてしまったり、利用できなかった水分が尿などで排出されてしまったりします。水分は一度にたくさん摂取するのではなく、こまめにゆっくりと、少しずつ飲むようにしましょう。
2.糖分・利尿作用のある飲料は避ける
水分補給をする際は、飲料の種類にも注意しなくてはいけません。糖分や塩分が高いものは吸収まで時間がかかるため、効率的な水分補給には不向きな傾向にあります。特に、糖分を含んだ飲料はむし歯リスクを高めてしまうというデメリットもあるので、口内環境を守るためにも過剰に摂り続けないようにしましょう。
ただし、体から水分が失われていく時は、同時に塩分やミネラルも失われています。大量に汗をかいた時などは、飲み過ぎに注意しつつも糖分や塩分を含む飲み物を適度に摂取すると、水分が効率よく体内に吸収される上に、失われたミネラルなども補給できます。
また、無糖だからといって、炭酸水ばかり飲むのもあまりおすすめできません。炭酸水によって歯の表面のpH値が酸性に傾くと、歯が溶けてしまう恐れがあるためです。
その他、アルコールやカフェインなどの利尿作用のある飲料も、体内の水分を逃がしてしまうため水分補給には不向きです。
その他、アルコールやカフェインなどの利尿作用のある飲料も、体内の水分を逃がしてしまうため水分補給には不向きです。
3.飲み物の温度に注意する
水分補給時の飲料の温度は、体温と差が少ない常温のものの方が吸収が良くなると言われています。冷たすぎたり、熱すぎたりするものは胃に刺激を与える恐れもあるため、なるべく常温のものを選ぶようにしましょう。
ただし、運動時や夏場の熱中症対策の時などは、体内へ吸収されやすく、冷却効果も高い5℃~15℃程度の冷たい飲料が補給に適しています。体調やシーン、季節に合わせて、適切な温度の飲料で水分補給をしてくださいね。
口内の乾きを防ぐ、水分補給以外の予防方法
水分補給以外にも、口内の乾きを予防する方法はあります。また、水分が不足している時は、身体だけではなくドライマウスになっていないかも注意しましょう。ここでは、水分補給以外の乾き予防についてご紹介します。
高温・乾燥した場所に長時間滞在しない
脱水症や熱中症を予防するためにも、高温で風通しの悪い場所や、乾燥した場所には長時間滞在しないように心がけましょう。特に閉め切った日中の室内は熱が籠りやすく、汗が蒸発しにくいです。体温が下がりにくくなるので、熱中症のリスクも上がってしまいます。
口内の乾きだけでなく健康を守るためにも、室温が高い時は決して我慢をせず、冷房機器で気温を調整してくださいね。
汗をかいた時は塩分も補給する
運動時や夏場など、短時間で汗を大量にかいた時は水分だけではなく、塩分の補給も同時に行うようにしましょう。水分だけを摂取してしまうと体内の塩分濃度が低くなり、気分が悪くなるなどの体調不良を起こす恐れがあります。
体内の水分と塩分のバランスを正常に保つためにも、水分と同時に塩分が含まれるものを摂取してください。塩分の補給には、一口で食べられる塩昆布や梅干しがおすすめです。
歯科医院を受診したりシルハで口内環境を確認する
水分不足はドライマウスを引き起こす原因にもなります。ドライマウスは唾液の分泌量が減ってしまう症状が代表的で、放置するとむし歯や歯周病、口臭などさまざまな口内トラブルを招く恐れがあります。水分を適度に摂取しているのに口の乾きを頻繁に感じる時は、自分がドライマウスではないか疑って、一度歯科医院を受診してみましょう。
ドライマウスになると口内環境にも悪影響を及ぼします。唾液検査のシルハは、簡単に口内の状態をチェックできます。むし歯菌の活性度や酸性度も調べられるため、糖分の入った飲料で水分補給をすることが多い人も、一度検査を検討してみてはいかがでしょうか。
シルハを導入しているお近くの歯科医院は、こちらから検索できます。
水分不足やドライマウスはこまめな水分補給で予防を
体や口内環境を正常に保つためにも、水分補給は欠かせないものです。飲料の種類や温度に気を配りながら、こまめに行うのが何より大切です。こちらの記事でご紹介した正しい水分補給方法を参考にして、身体と口内に効率良くうるおいを与えてあげましょう。