口の中に血豆ができる原因は? 治し方や受診目安、症状が似ている病気まで紹介【歯科医師監修】

口の中に血豆ができる原因は? 治し方や受診目安、症状が似ている病気まで紹介【歯科医師監修】

(2023年5月22日公開)
口の中に違和感があり、鏡を見てみるとぷにぷにした血豆ができていた、ということはありませんか。 歯ブラシを強く当ててしまったり口の中を噛んでしまったりしたことが原因であれば、基本的に1週間程度で自然治癒します。しかし、原因の分からない血豆が急にできたときは、口腔がんなどの重大な病気のサインになることもあるため、注意が必要です。この記事では、口の中にできる血豆の原因や治し方についてご紹介します。

               

口の中の血豆は放置してもよい?

口の中に血豆ができると違和感があり気になりますよね。
口内にできた赤黒く腫れた血豆は、血腫(けっしゅ)と呼ばれます。舌や頬の粘膜、歯ぐきなど口内のどこにでもできるものですが、とくに舌や頬の粘膜は噛んでしまうことが多いため、血豆ができやすい場所です。
血豆は1週間ほど経過すると自然に治って消えてしまうことが多いです。そのため、基本的にはそのまま放置しておいて問題ありません。
血豆が長期間治らない場合には、まれに他の病気による症状が出ているおそれもあるため注意が必要です。

口の中に血豆ができる原因

血豆ができる原因には、外傷やストレス、アレルギーなど、さまざまなことが挙げられます。それぞれについて詳しく紹介していきます。

外傷

血豆ができる主な原因は、外傷によるものです。頬をかんでしまったり、寝ている間に歯ぎしりをしたり、歯ブラシが勢いよく当たってしまったりしたことが原因で、口内を傷付けてしまい、傷口から出た血が固まって血豆となります。
他にも、硬い食べ物が当たって傷ついたり、むし歯により欠けた歯が口内を傷つけたり、歯列矯正の器具が当たったりするなどのケースも考えられます。

ストレス

ストレスが血豆をつくる原因になっているケースもあります。ストレスを抱えると無意識に歯を食いしばるようになります。そうすると、睡眠中に食いしばりや歯ぎしりをすることが多くなり、口の中に血豆ができやすくなります。
睡眠中に食いしばりや歯ぎしりが多くなる原因は、精神的なストレスだけではありません。睡眠不足や肉体疲労の蓄積なども影響します。ストレスと睡眠不足、肉体疲労は深く関係しています。気づかないうちにストレスを溜め込んでいることもあるため、ストレス発散が一つの改善ポイントです。
歯ぎしりや食いしばりにより口内を傷付けないようにするには、マウスピースを装着することも有効な対策になります。

逆流性食道炎

睡眠中に食いしばりや歯ぎしりをしてしまう原因には、逆流性食道炎もあります。
睡眠中は体が横になるため、逆流性食道炎を患っている場合に胃酸が口内まで上がってきやすくなっており、口内を酸性化してしまいます。口内が酸性化すると歯にダメージを与えるため、体ではこれを抑えようと唾液の分泌を促すため、歯ぎしりや食いしばりが起こるのです。
逆流性食道炎が歯ぎしりや食いしばりの原因になっている場合には、逆流性食道炎自体の治療のため、消化器科の受診をすることが望ましいです。

アレルギー

血豆はアレルギーによってできる場合もあります。同じ食べ物を食べた後に血豆ができているように感じる場合は、アレルギーが原因かもしれません。アレルギーが原因の場合、口内以外にも症状が出るおそれもあるため、放置をせずに速やかに医療機関を受診してアレルギーの検査を受けたほうがよいでしょう。
まれなケースですが、歯科治療を行っている場合にはラテックスによるアレルギーも考えられます。ラテックスは歯科治療の際に使用されるゴム手袋の素材となっている場合があります。そのため、治療の際に口内に触れることでアレルギー反応が起き、血豆ができるケースがあります。

口の中の血豆の治し方

血豆を治す方法は、基本的には自然治癒を待つことです。自然治癒までの注意点や期間の目安、薬の必要性などについてご紹介します。

治癒までの注意点

まず、血豆に舌や指で触れないように注意します。ついつい気になって触れてしまいそうになりますが、あまりいじっていると治りが遅くなります。
また、口の中を噛んだり、歯ブラシを強く当てたりしたなど、血豆ができる前に口内を傷付けた心当たりが無ければ、ストレスやアレルギーなどの別の可能性を疑いましょう。原因を取り除かなければ、繰り返し血豆ができてしまうだけでなく、口内以外にも悪影響が出るおそれがあります。アレルギーならアレルゲンを摂取しない、ストレスならストレス解消といった対策が必要となります。

血豆は潰しても良い?

血豆を潰すのはNGです。口はよく動かす器官であるため異物があると気になってしまいますが、できるだけ刺激を与えないようにしてください。血豆が潰れると、治るまで長い時間がかかってしまいます。さらに、傷口から細菌に感染して化膿したり、症状が悪化して重症化したりするおそれもあります。もしも血豆が破れた場合には、歯科医院に相談しましょう。

血豆はどのくらいで治る?

血豆の生じた原因が外傷やアレルギーの場合、1週間程度でよくなる場合が多いです。血豆が潰れない限りは、そのまま刺激を与えず放置していれば自然と消えて治ります。
万が一、血豆が潰れてしまった場合には、治るまでに時間がかかります。また傷口からの細菌感染のおそれもあるため、受診して治療する必要もあります。
血豆を早く治すには、口内を清潔に保って刺激を与えないようにすることが望ましいです。潰さないようにすれば、安全に早く治るでしょう。

血豆に市販薬を使っても良い?

血豆には市販薬の使用は不要とされています。清潔にして、様子を見ているだけでよいでしょう。
血豆ではなく、他の病気が原因で血豆や他の口内トラブルが発症している場合には、誤った対処をすると悪化するおそれもあります。1週間以上経っても治らなかったり、血豆ができた原因に心当たりがなかったりする場合には、歯科医院に相談することをおすすめします。

口の中に血豆ができた時の受診目安は?

血豆ができた原因が分からない場合には、その他の疾患が原因となっているかもしれません。その場合、口内の専門である歯科医院か口腔外科に相談することをおすすめします。
受診したほうがよい目安についてご紹介いたします。

【目安1】1か月経過しても治らない

血豆は通常であれば、1週間ほどで自然に治り消えていきます。しかし、1か月ほど様子を見ても血豆が治らなかったり悪化したりしている場合は、治癒に時間がかかりすぎているといえます。口内や身体に他の原因があるかもしれません。この場合は放置せずに受診しましょう。

【目安2】1度に複数の血豆ができている

血豆が一度に複数できている場合には、重大な疾患がかくれていることが考えられます。外傷が原因ではないのに複数の血豆ができるときは、深刻な異常を知らせる身体のサインかもしれません。早めに医療機関を受診することをおすすめします。

【目安3】同じ場所に繰り返しできる

血豆が同じ場所に繰り返しできる場合には、歯の詰め物や被せ物、かみ合わせなどが影響していることが考えられます。むし歯で歯が欠けていたり、歯がぐらついていたりするケースもあります。血豆が同じ場所にできる何らかの原因があるはずですので、歯科医院に相談するとよいでしょう。

【目安4】原因が分からない

血豆ができた原因が分からない場合、不安に感じる方も多いでしょう。また、口内の場所によっては自分の目での確認が難しく、血豆かどうかが判断できないで違和感だけがあり、とくに心配になってしまうものです。無理に確認をしようとして刺激を与えてしまっては血豆が潰れるおそれもあるため、不安を抱かれる方はまずは歯科医院で一度相談してみるとよいでしょう。

【目安5】血豆が潰れて出血が止まらない

血豆がもし潰れてしまった場合、ガーゼなどで抑えていれば5分ほどで出血が止まるはずです。しかし、それでも出血が止まらない場合には、血豆ではなく他に原因があることも考えられます。この場合も早めに歯科医院を受診しましょう。

血豆と似ている症状の口内の病気

血豆と似ている症状を示す病気についてご紹介します。1週間ほど経っても治らない、または悪化しているなどの場合には、他の病気であるおそれもあります。

血管腫

血管腫とは、血管が変化をしてかたまりを作ってしまう病気です。粘膜の中で血管のかたまりがうっすらと透けて、赤黒い膨らみが血豆のように見えます。とくに痛みがでない点も血豆と似ています。表面が腫れるため、誤って噛んでしまうことが多く、噛むと出血や痛みが起きるおそれがあります。血管腫の場合、とくに影響がなければ経過観察することが多いです。治療をする場合には、麻酔をしてレーザー照射を行う治療法があります。

口腔がん

口腔がんは、口内に悪性腫瘍ができ、粘膜の色が赤や白に変色したり、しこりができたりします。舌や歯ぐき、頬の内側、上顎、口唇など、口内のさまざまな場所にできます。口内炎のようなのにしこりがあり、2週間以上してもなかなか治らない場合には、口腔がんのおそれがあります。口腔がんの場合、悪化するとただれや痛み、出血などの症状も起きます。
血豆は1週間ほどで治癒していきますが、口腔がんの場合にはしこりは治らずに拡がっていきます。初期は痛みがそれほど強く出ないことがあります。

白血病

白血病は、血液のがんです。白血病はさまざまな症状がでますが、歯ぐきの腫れや出血が起きたり、口内の粘膜にあざができたりする場合もあります。
その他、出血が止まらない、リンパ節が腫れる、動悸や息切れがする、発熱があるといった多くの症状がでることがあります。

まとめ 長く治らない場合は早めに受診を

血豆ができる原因や、治し方のポイントについてご紹介いたしました。
血豆は刺激を与えず1週間ほど経過すると自然に消えて治るため、潰さないように刺激を与えず清潔に保っていれば問題ありません。
血豆は口内を噛むなどの外傷がきっかけで生じるケースがほとんどですが、ストレスやアレルギーなどが原因となってできる場合もあります。
血豆が長期間治らなかったり、、複数できていたり、同じ場所に繰り返しできたりする場合には、外傷以外の病気や原因が考えられるため、医療機関を受診することをおすすめします。口内のトラブルであるため、まずは歯科医院や口腔外科に相談するとよいでしょう。

監修歯科医師:ひぐち歯科クリニック 樋口 均也 先生

ひぐち歯科クリニック院長。
大阪大学歯学部を卒業。インターネット医科大学口腔内科教授。
歯科治療に対する患者様の不安や恐怖心を緩和するため「痛みのコントロール」を徹底し、安全性を最重視した無痛治療を行っている。

ひぐち歯科クリニックのホームページはこちら
https://higuchidc.com/

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