【歯科医師監修】
熱い食べ物や刺激のある食べ物などを食べていないのに、口の中にヒリヒリとした痛みがある場合、どのような原因があるのか気になりますよね。口の中がヒリヒリするのは、口内炎や火傷など、日常生活の中で起きる症状の他に、口腔カンジダ症などが原因と考えられます。本記事では、口の中がヒリヒリする原因や対処法や受診の目安などについてご紹介します。
口の中がヒリヒリする原因①口内炎
口がヒリヒリする原因の1つで、多くの人がかかりやすい口内炎。口内炎には、いくつかの種類があります。まずはその種類ごとに、症状や原因、対処法や受診の目安をご紹介します。
口内炎の症状
口内炎で最も多いのがアフタ性口内炎です。アフタ性口内炎は2~10㎜ほどの白くて丸い潰瘍のことです。頬や唇の内側、舌、歯ぐきなどに発症します。水泡ができたり、口の中の粘膜が赤く腫れたりして、味覚がわかりにくくなることもあるようです。また、小さな潰瘍(かいよう)が2~3個ほど群がって発症するケースもあります。
口内粘膜にできたたくさんの小さな水ぶくれは、ウイルス性口内炎によるものと考えられます。発熱や痛みを伴ったり、水泡が破れてびらんになったりすることもあるようです。
口内炎の原因
アフタ性口内炎は、ストレスや疲れなどによる免疫力の低下が原因で発症することが多くあります。
また、歯並びの悪さや頬の内側を噛んだ時にできる、カタル性口内炎などもあります。
ウイルス性口内炎で最も多いのが、ヘルペスウイルスによるものです。ヘルペスウイルスによる口内炎は、3歳くらいまでの子どもが特に発症しやすく、大人も体調不良のときや疲労時に発症することがあります。人から人へ、また物を介して人へ感染するため、発症した人が使ったタオルなどを共有しないように注意しましょう。
口内炎の対処法や、受診の目安と治療法
アフタ性口内炎やカタル性口内炎は、10日~2週間ほどで自然に治るケースが多いですが、市販の口内炎用の塗り薬などで早めに対処することも可能です。
しかし、症状が2週間以上続いている時や、何度も繰り返し口内炎ができるなどの場合は医療機関を受診しましょう。医療機関では、症状に合った薬を処方してもらえたり、痛みが強い場合には、患部にレーザー治療が行われたりもするようです。
口内炎について詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてくださいね。
口の中がヒリヒリする原因②火傷
火傷により舌が腫れたり、粘膜が剥がれてしまうと口の中がヒリヒリします。舌を火傷した際には、すぐに処置しましょう。火傷の症状や応急処置、受診の目安をご紹介します。
火傷の症状
口の中を火傷すると、舌が赤くなったり、水ぶくれができたり、粘膜が剥がれたりします。粘膜が剥がれた部分に刺激物があたると、しみて痛むことが多くあります。また、口の中を火傷するとカタル性口内炎を引き起こしてしまうこともあります。
火傷の応急処置や受診の目安
口の中を火傷した時は、応急処置をしましょう。まず、口の中をすすぎ、その後、冷たい水や氷で口の中を冷やします。痛みを伴う場合は、塗り薬や飲み薬など市販の薬剤を使用してみても良いかもしれません。
水ぶくれにならなければ、数日~1週間ほどで治ります。炎症が悪化したり、応急処置を行っても痛みが続いたりする場合は医療機関を受診するようにしましょう。
舌を火傷した際の応急処置などを詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてくださいね。
口の中がヒリヒリする原因③口腔カンジダ症
口の中がヒリヒリする場合、口腔カンジダ症が原因となっている場合もあります。口腔カンジダ症は、カンジダ菌が口の中で異常に増えてしまった際に発症することが多いようです。ここでは、口腔カンジダ症の具体的な症状や原因、対処法、受診の目安をご紹介します。
口腔カンジダ症の症状
口腔カンジダ症は、舌や口の中に白い膜のようなものができる病気です。初期の段階では痛みを伴わないことが多いですが、進行するとヒリヒリとした痛みが出てきます。なかには苦みを感じるなど、味覚障害になる人もいます。
口腔カンジダ症の原因
口腔カンジダ症は、常在菌(普段から人の身体に存在している菌)の一種であるカンジダ菌によって起こる口の中の感染症です。体が健康な時は、カンジダ菌が一定数以上増えないように、他の菌と共存してバランスがとれています。
しかし、ストレスや体調不良、栄養不足などにより免疫力が低下すると、カンジダ菌が増えて口腔カンジダ症を発症しやすくなる場合があります。また、長期間に及ぶ抗生剤やステロイド剤、抗がん剤など、薬剤の使用が原因で口腔カンジダ症になる場合もあります。
口腔カンジダ症の対処法や、受診の目安と治療法
口腔カンジダ症の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。口腔カンジダ症は、抗真菌薬のうがい薬や内服薬、貼り薬などを数日間使用すると治るケースが多くあります。ただし治った後も、再発しないように歯磨きやうがいなどをして、口の中を清潔に保つよう心がけてくださいね。
口の中がヒリヒリする原因④舌痛症
①口内炎、②火傷、③口腔ガンジダ症の、どの症状・原因にも心当たりがなく口の中がヒリヒリしている場合は舌痛症の可能性が考えられます。一般的にはあまり知られていない、舌痛症の症状や原因、対処法、受診の目安を解説します。
舌痛症の症状
舌痛症は口の中に炎症や傷、腫れものなど、明確な原因を確認できないにもかかわらず、ヒリヒリとした痛みがある症状の名称です。人によってチクチクとした痛みやムズムズとした違和感など、感じ方はそれぞれ異なるようです。また、人によっては、日によって痛む箇所が違う場合もあります。
舌痛症の原因
舌痛症の原因は特定されていませんが、精神的なストレスによるものと考えられています。また、更年期以降の女性に多く見られる症状でもあるため、ホルモンが関係しているとの見方もあるようです。
舌痛症の対処法や、受診の目安と治療法
眠れないほど痛みが強い時は、医療機関を受診しましょう。医療機関では、原因の特定から行われます。最初に口内炎や口腔カンジタなどの口の中の疾患の確認や、口の中に痛みを伴う全身疾患を見極めるための検査をするケースが多いです。
口の中の症状の確認や全身疾患の検査を行っても原因が分からない時は、舌痛症と診断され、患者さん各々に合わせた治療や漢方薬・内服薬などの処方が行われます。精神的な要因が考えられる時は、心療内科等の受診も検討してみると良いでしょう。
口の中を清潔に保つ方法
口の中がヒリヒリする症状がある場合、適切な対処法をするだけでなく、口の中を清潔に保つことも大切です。最後に、口の中を清潔に保つ方法をご紹介します。
歯磨きやうがいを行う
口の中がヒリヒリしている時など、口内トラブルが起きている時は、普段以上に口内環境を清潔に保つよう心がけましょう。歯磨きでは、自分に合う形状やサイズの歯ブラシを選び、丁寧に歯を磨くようにしてくださいね。力を入れて歯磨きをすると、口の中の粘膜を傷つけてしまい、逆に痛みを引き起こす要因になってしまうかもしれません。
口内炎の場合は、殺菌成分を含んだ洗口液でのうがいもおすすめです。歯磨きのやり方は下記の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
定期検診で口内環境をチェックしてもらう
口内トラブルを防ぐには、歯科医院で定期的に口の中をチェックしてもらい、口内環境を診てもらうことも大事です。3~6ヵ月に1度は、定期検診を受けてくださいね。
また、定期検診の際に自分の口内環境を把握できる唾液検査シルハも受けてみてください。シルハは10秒間ほど水で口をすすぐだけで行える唾液検査です。口の中の炎症がわかる白血球を始め、むし歯菌の活性度や、歯を溶かす酸の強さがわかる酸性度など全部で6項目を検査・測定することで、口内環境を把握できます。
シルハは全国1,500件以上の医療機関で導入されています。シルハでわかることや検査の方法、気になるお値段を知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。検査を体験した人の感想もご紹介しています。
口の中がヒリヒリする時の原因を知り、医療機関を受診しよう
口の中がヒリヒリする原因には、口内炎や口腔カンジダ症などがあります。症状の軽い口内炎や火傷であれば数日~2週間ほど様子を見ても良いですが、口腔カンジダ症などの場合はすぐに医療機関を受診しましょう。また、このような口内トラブルを早い段階で発見し、対処するためにも、歯科医院で定期検診を受けるようにしてくださいね。
監修歯科医師:吉田亜矢 先生
明海大学 歯学部歯学科を卒業後、同大学病院病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学分野1講座、群馬県内総合病院歯科口腔外科部長、埼玉県内歯科クリニック勤務を歴て、2015年「あやクリニック歯科・皮ふ科」を開業。「歯の健康は全身の健康」という思いから、トラブルを起こしている部分だけでなく全身の状態も把握した上で、患者と一緒に相談しながら治療計画を立てて治療を行っている。
YouTube 「あやクリニックTV」、FMラジオ川越「あや先生の歯ッピークリニック❤︎」などでもお口の健康についての情報発信を積極的におこなっている。