口の中にあるしこりの原因は舌がん?間違いやすい口内炎との違いを解説

口の中にあるしこりの原因は舌がん?間違いやすい口内炎との違いを解説

この記事では、口の中にしこりができる原因と口腔がんについて解説しています。

               
口の中にしこりが見つかった場合、舌がんのおそれがあります。初期の舌がんは症状に気づきにくく、口内炎と間違えるケースもあります。舌がんになる原因や、舌がんと口内炎の違いについて解説します。

舌がんとは?

口内に発症するがんは総称して口腔がんと呼ばれ、舌がんも口腔がんの一種です。ここでは、舌がんの特徴や原因について解説します。

口腔がんの一種

日本における口腔がんの発生頻度は、全がんの約1~2%とそれほど高くはありません。しかし、罹患率、死亡率ともに年々増加傾向にあります。発症した人数は、2020年時点で22,052例(男性15,490例、女性6,562例)でした。

口腔がんの種類はいくつかあり、歯ぐきにできる歯肉(しにく)がん、 下顎の歯ぐきと舌に囲まれた口腔底と呼ばれる部分にできる口腔底(こうくうてい)がん、上顎にできる硬口蓋(こうこうがい)がん、 頬粘膜(きょうねんまく)がんなどです。

舌がんも口腔がんの一種になります。一般的には、舌前方の2/3(有郭乳頭より前方)と舌の縁、下方面にできるがんのことです。口腔がんの中における舌がんの割合は約60%も占めており、もっとも発生頻度が高いがんといわれています。

男女比は約3:2と女性より男性に多く、50~70歳代の発症率が高いとされます。しかし、50歳未満の割合も全体の1/4を占め、20~30歳でも発症するおそれがあります。

原因

現在、舌がんの発症について、明確な原因はわかっていません。しかし、発症のリスクを高める要因はいくつか考えられます。

飲酒・喫煙などの生活習慣

とくに喫煙は、舌がんを含む口腔がん全体の80%の原因と考えられています。また、飲酒と喫煙両方の習慣がある人の場合、すべての口腔がんにおいて発症するリスクがより高くなるとされています。

口内のトラブル

むし歯や歯にあっていない詰めもの、入れ歯などを放置していると、絶えず舌へ刺激を与えてしまい、舌がんが発症するリスクが高まると考えられています。そのほか、口内が不衛生な状態であることも、発症リスクを高めるおそれがあります。

初期症状

舌がんができるのは、舌の先端や中央部はまれであり、ほとんどが側面に生じます。初期段階では触ってもわからないことや、痛みがないケースもあります。症状が進行すると、硬結(周囲が固くなること)や潰瘍(えぐれたような状態)が発生したり、場合によっては外側に膨らんだりして、痛みや出血が続くようになります
  • 舌に腫れや痛み、触ると痛いしこりがある
  • 舌の粘膜にできたただれや口内炎が2週間以上続く
  • 舌の粘膜に白斑、または紅斑ができる
  • 舌の側面縁に詰めものや入れ歯が当たってこすれる
このような症状がある場合、歯科・口腔外科や耳鼻咽喉科に相談しましょう。

舌にしこりができる舌がん以外の原因

口内にできるしこりのような症状には、舌がん以外にもいくつか原因があります。

原因1 良性腫瘍

口内にできるしこりの中には、良性のものも存在します。例えば、脂肪腫・血管腫・線維腫・神経鞘腫などです。良性腫瘍の原因は、歯や入れ歯などによる慢性的な物理的刺激だといわれています。これらの腫瘍は通常、痛みがなく、大きくなる速度も緩やかです。

しかし、大きくなると周りの組織を圧迫し、機能障害や審美的な問題を引き起こすおそれがあります。そのため、良性であっても場合によっては治療が必要となるため、変化は定期的にチェックが必要です。

原因2 唾石症

唾液腺に石のような塊ができる「唾石症」は、痛みや腫れを伴う場合が多いといわれます。唾石症の原因は、唾液腺や唾液の流れる管に炎症や異物、細菌などが入り込み、唾液中のカルシウムが沈着することとされています。唾石症は、主に顎下腺や耳下腺に発生し、唾液の分泌が阻害されることで、痛みを感じることがあります。特徴として、食事の際に痛みが感じやすくなることがあり、唾液の流れが改善されると症状が和らぐことがあります。

改善するには、唾液腺マッサージや水分摂取の増加、酸味のある食品を摂取して唾液分泌を促進する方法があります。ただし、重症の場合は外科的に石を除去するケースもあります。予防には、定期的な口腔ケアと水分摂取が効果的といわれています。

原因3 炎症や感染症

口内の炎症や感染症が、しこりの原因となることもあります。口内炎は、ストレスや栄養不足、免疫低下などが原因で発生し、小さなしこりや潰瘍ができます。また、口内の衛生状態が悪化して炎症が起こることで、しこりのような膿が溜まったものができる場合があります。

これらの炎症や感染症は、痛みを伴うケースが多く、口内のケアが不十分であると再発しやすいです。予防には、適切な口腔ケアやバランスの取れた食事、ストレス管理などが重要になります。

舌がんの初期症状と似ている口内炎の見分け方

舌がんの初期段階では、口内炎と症状が非常に似ているため、間違えやすいといわれています。とくに、舌がんに見られることがある舌の粘膜にできる赤や白の斑点と、口内炎に見られることがある赤い縁取りのある白い潰瘍の見た目がよく似ています。
初期の舌がんには痛みが少なく、しこりや軽度の違和感があるだけのケースが多いため、口内炎と見分けがつきにくいのです。

見た目が似ていたとしても、自覚症状や症状が起こる期間などから見分けられる場合もあります。ここでは、舌がんと口内炎と見分け方を解説します。ただし、ご紹介する症状は一般論であり、自己判断は危険です。気になる症状がある場合は必ず医療機関を受診しましょう。

舌のできものが痛くない

口内炎にはいくつか種類があります。一般的に多い口内炎は、ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が低下したことでできる「アフタ性口内炎」です。特徴は、2~10㎜ぐらいの丸くて白い潰瘍をしており、何かが当たるとしみるような痛みやピリッとする痛みを感じます。
しかし、初期の舌がんの場合は口内炎と違って痛みを感じないケースもあります。また、舌にしびれるような感覚があったり、舌が動かしにくかったりする場合も舌がんのおそれがあります。

舌のできものが2週間以上治らない

一般的な口内炎であれば、多くの場合1~2週間程度で自然に治ります。口内炎のような状態が2週間以上続く時は、舌がんのおそれもあります。

そのほかに、ウィルス感染による「ヘルペス性口内炎」や薬物・食物に対するアレルギーによる「アレルギー性口内炎」の可能性も考えられます。この場合は、原因が解消されない限り治りません。いずれにしろ、2週間以上症状が続くようならば、口内炎ではないおそれがあるため、医療機関を受診しましょう。

舌の粘膜が白い

舌の粘膜に白い病変ができた場合は「白板症」(はくばんしょう)かもしれません。白板症は舌がんとは異なります。しかし、がんの前段階と呼ばれる状態で、後にがん化するおそれがあります。舌の側面に白板症ができた場合は、もっともがんになるリスクが高いとされます。

白板症は、痛みなどの自覚症状がないことが多いです。そのため、歯磨きの時などにセルフチェックを行ったり、定期的に歯科医院で口腔がん検診を受診したりすることで、早期発見につなげることが大事です。

舌がん(口腔がん)になりやすい人の特徴

これからご紹介する特徴は、舌がんを引き起こすリスクを高めるおそれがあります。いずれかに当てはまった場合、口内の状態チェックや習慣の改善を意識することをおすすめします。また、習慣には個人差があるため、医師に相談して正しい対策をとることが大切です。

喫煙する

喫煙する人が口腔がんになる危険性は、非喫煙者の約7倍といわれています。葉巻やパイプ喫煙も同様に口腔がん発生のリスクを高めます。喫煙の習慣は、舌がんだけでなく、肺がんや動脈硬化などを引き起こす原因にもなるため注意が必要です。

飲酒の習慣がある

飲酒の習慣がある人は、ない人に比べて口腔がんが発生するリスクは約6倍といわれています。アルコール濃度の高いお酒は、口腔がんの危険率がさらに増します。先にご紹介した、喫煙と飲酒の両方を習慣とする人は、口腔がん発生リスクが非常に高くなってしまいます。

合っていないかぶせ物や入れ歯がある

むし歯で欠けた歯があったり、かぶせ物や入れ歯が合わずにこすれるなどの刺激があったりすると、口腔がんのリスクが高まる要因になるとされています。とくに舌がんの発症には、歯やかぶせ物による刺激が関係するといわれています。

がんになったことがある

口腔がんのリスクは、過去に他のがんを経験した患者においても増加するといわれています。とくに、食道がんや肺がん、子宮頸がんなどの特定のがんと口腔がんの関連性が指摘されています。これらのがんは、喫煙や飲酒などの共通のリスク因子をもつため、相互に影響を及ぼすおそれがあります。

日々の口内ケアで舌のしこりをチェックしましょう

舌にしこりを感じた時は、舌がんのおそれがあります。初期の舌がんと口内炎と見分けることは簡単ではありませんが、今回説明した症状を含め気になることがあればまずは医療機関に受診してみてください。

舌がんの予防には、喫煙や飲酒の習慣がある人は、習慣を断つ努力とともに、歯磨きなどで口内を清潔に保つことも重要です。
日々口内のチェックをして、歯科医院の定期検診に行くように心がけることが大切です。また、舌がんは歯科医院だけでは判断が難しいため、専門医師にも相談しましょう。

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