現役歯科衛生士が伝授!!正しい歯磨き粉の使い方【歯科衛生士座談会Vol.9】

現役歯科衛生士が伝授!!正しい歯磨き粉の使い方【歯科衛生士座談会Vol.9】

この記事では、歯磨き粉の基本的な使い方から適量、効果を高めるためのうがいの回数、そしてフッ素をしっかり活かす考え方までを現役歯科衛生士が分かりやすく解説します。

               
歯磨きは毎日の習慣だからこそ大切な健康管理の一つです。
歯磨き粉の使い方ひとつで、むし歯や歯周病、口臭の予防効果は大きく変わります。
例えば、歯磨き粉の量をたくさん使えば良いということではありません。
歯磨き粉の量だけではなく、うがいの仕方やフッ素の残り方にも重要なポイントがあります。
【注意書き】
※お断り 本記事における歯磨き粉の特徴や使い方は、メーカーの公式見解とは異なる場合があります。実際の製品の詳細や使い方については、各社もしくはかかりつけの歯科医院にお問い合わせください。

【登場人物紹介】
前回の歯磨き粉レビュー引き続き、歯科衛生士さん3名にご協力いただきました。
歯科衛生士 渡部 麻奈さん

歯科衛生士 石川 知春さん

歯科衛生士歴 24年
豊富な歯科知識と臨床経験、さらに自身の子育ての経験を活かし日々臨床の場で患者様の口腔ケアサポートに貢献。
ホームヘルパー2級とフェイシャルエステの資格を取得している。
歯科衛生士さん 渡部 麻奈さん

歯科衛生士さん 渡部 麻奈さん

歯科衛生士歴 10年
一般歯科から病院歯科の経験を経て現在フリーランス歯科衛生士として活動。
歯科と医科の専門知識を活かし、幅広い年齢層の患者様の口腔ケアを担当している。
歯科衛生士 南嶋美来さん

歯科衛生士 南嶋美来さん

歯科衛生士歴 8年
現在予防歯科を中心とした診療に携わり、日々の診療でセルフケア指導やメインテナンスを担当。
その経験を活かしフリーランス歯科衛生士として口腔ケア活動を続けている。
こちらの3名の歯科衛生士さんに協力いただいた座談会ではおすすめする歯磨き粉と歯磨き粉を選ぶとき気にしたい成分についても紹介しています。詳しくはVol.7、Vol.8も読んでみてください。

歯科衛生士さんが使う歯磨き粉の量を聞いてみた。

歯磨き粉の適量

年齢によって、歯磨き粉の適切な量が異なります。
実は、使う量が多すぎても少なすぎても、効果や安全性に影響が出ることがあります。
特に子どもの場合は、成長段階に応じた正しい量を知ることが大切です。
年齢別に適した歯磨き粉の量をご紹介します。

3~5歳

量:グリーンピース程度(約5mm)

6歳~成人

量:歯ブラシの先端〜全体(1〜2cm程度)

歯科衛生士さんが1回の歯磨きで使う量

今回集まっていただいた歯科衛生士さん3人に「普段使っている1回分の歯磨き粉の量」を出してもらったところ、それぞれ少しずつ異なる結果になりました。

歯科衛生士 南嶋美来さん

●歯ブラシ:青
それぞれで全然量が違いますね。私は歯磨き粉の量が多いとたくさん泡立ってしまっておえっとなりやすいのでいつもこのぐらいの少ない量を使っています。

歯科衛生士 石川 知春さん

●オレンジの歯ブラシ
普段人と比べることがないのでこうやって比較すると面白い結果ですね。私は歯磨き粉の量は特に理由なく普段当たり前にこの量を使っていました。

歯科衛生士 渡部 麻奈さん

●ピンクの歯ブラシ
私も石川さんと同様です。特に意識してこの量を使う!みたいなのはないですが、ただ、ある程度歯磨き粉の量を使用しないとフッ素が浸透しないと思うので歯ブラシの先端から毛先ぐらいの量が必要だと私は思います。

歯磨きのあとうがいは何回する?

歯磨き粉を使った歯磨き後のうがいの回数と使用する水の量が、どのように変わるのかを調べました。
実際に歯磨きを行った後のうがいの回数や水の使用量を比較しました。その結果、歯磨き粉の特性によって、うがいの必要回数や使う水の量に差が見られることが分かりました。

ペーストタイプの歯磨き粉

  • うがいの水量:116.7 ml
  • うがいの回数:4 回

シェルタイプの歯磨き粉

  • うがいの水量:75.8 ml
  • うがいの回数:2 回
実際に結果を比較してみると、ペーストタイプの歯磨き粉を使用した場合は「泡立ちが多いため、口の中に残る感じがあり何度もうがいしたくなる」、一方でジェルタイプは「泡立ちが少なく口の中に残りにくい為少ない水で済む」という傾向が見られました。
ジェルタイプの歯磨き粉の方がゆすぐ回数と使用する水の量が少ないことが分かった。
なぜペースト状の歯磨き粉はうがいの回数やゆすぐ水の量が多くなったのでしょうか。

ペーストタイプの歯磨き粉には、清掃感や爽快感を高めるために、発泡剤や研磨剤が多く含まれている傾向にあります。
そのため、磨いた後に口の中に泡感や残っている感覚が残りやすく、「しっかり洗い流したい」と感じやすくなる傾向にありました。
  • 泡をしっかり流したい
  • 口に中をスッキリさせたい
  • 口の中の残留感を減らしたい
という心理が働き、自然とうがい回数が増える傾向がありました。
特に「泡立つ=磨けている」というイメージを持つ方ほど、最後に大量の水で何度もすすぐ行動につながりやすいと考えられます。
また、ペーストは粘度が高く、口腔内に広がりやすいため、

歯科衛生士 渡部 麻奈さん

ペーストタイプは泡立ちが良い分、全部流したいって感じる方が多いですよね。患者さんを見ていても、何回もすすぐ方が多い印象があります。
ではなぜジェルタイプの歯磨き粉はうがいの回数やゆすぐ水の量が少なくなったのでしょうか。
ジェルタイプの歯磨き粉は発泡が少なく、口の中に残る刺激も比較的少ないため、ペーストタイプの歯磨き粉に比べ「早く洗い流したい」という感覚が起こりにくく、少量の水で少ないうがい回数でも不快感が少ないという特徴がありました。
さらにジェルは透明感があり、泡が少ないことで、
<ul>
 <li>磨いている部分が見えやすい
 <li>必要以上に流したくならない
 <li>残っていても気になりにくい
という特徴があるため自然に少ないうがい回数や水の量に繋がったと考えられます。

歯科衛生士 石川 知春さん

ジェルタイプは刺激が少ないので、少ない水でもしっかりゆすげた感じがしやすいと思います。特にフッ素をお口の中にしっかり残したいお子様や矯正中の方には、ジェルをおすすめすることもあります。
今回の比較では、ペースト状の方が「多くすすぎたくなる」という行動につながりやすく、結果として水の使用量もうがい回数も増える傾向が見られました。
一方で、ジェル状は少ないすすぎでも不快感が少ないため、自然と低回数のうがいになりやすいことが分かりました。
この違いは、単なる使用感だけではなく、フッ素をどれだけ口の中に残せるかということにも関係しています。

フッ素をしっかり残すのが大切

歯磨き後のすすぎ方は、実はフッ素の残り方にも大きく関係しています。

今回行った座談会では、「ブラッシング後にどれだけフッ素を口の中に残せるか」が重要なポイントとして話題になりました。

歯磨き粉に含まれるフッ素濃度や、磨いた後のうがいの回数・水の量によって、口内に残るフッ素量は大きく変わります。

一般的に、フッ素濃度の高い歯磨き粉ほど含まれる量が多いので、歯の表面に多くのフッ素が残ります。

一方で、何度もうがいをしたり、多量の水ですすいだりすると、せっかくのフッ素も洗い流されてしまいます。

そのため、歯磨き後は少量の水で軽く1回すすぐ程度にすると、フッ素を口腔内により長く留めやすく、再石灰化を促しやすいとされています。
「しっかり磨くこと」に加えて、「どうすすぐか」も、むし歯予防には大切な習慣といえそうです。
ブラッシング時間については、短すぎると歯垢が十分に除去されず、長すぎると唾液でフッ素が薄まる可能性があるため、1〜2分程度が適切とされています。

このように、フッ素が歯の表面に適切に残ることが、再石灰化を促進し、むし歯予防効果を最大化するための重要なポイントとなります。

歯科衛生士 南嶋美来さん

しっかりすすぐ=良いことだと思われがちですが、実はすすぎすぎることでフッ素まで流れてしまうことがあります。最近は少量の水で1回程度を意識する方も増えています。

歯磨きをする際、歯ブラシは濡らして使う?そのまま使う?

答えは「毛先を軽く濡らす」です。
歯ブラシは水で軽く濡らしてから使うのが一般的にはおすすめです。
濡らして使う効果として、
  1. 毛先を柔らかくする
  2. 歯磨き粉の泡立ちをよくする
  3. 軽く洗う
毛先を軽く濡らす程度で、びしょびしょにする必要はありません。
歯磨き粉は適量をつけて磨きます。
歯磨きのあとはよくすすぎ、風通しの良い場所で乾かしましょう。

おすすめしない歯磨き粉の使い方

毎日しっかり歯磨きをしているのに、
「歯がしみる」
「歯ぐきが下がってきた気がする」
「以前より着色がつきやすくなった」と感じることはありませんか?

実はその原因は、歯磨き粉と歯ブラシの組み合わせが原因かもしれません。

間違ったケアが、歯や歯ぐきを傷つけてしまうことも。

意外と知られていない、「歯磨き粉のNGな使い方」をご紹介します。
  • 研磨剤入りの歯磨き粉は使い方に注意
  • かための歯ブラシは歯や歯ぐきへの負担になることも
  • やさしく、正しく磨くことが大切

歯科衛生士 石川 知春さん

ポイントは 『しっかり磨く』より『優しく正しく磨く』ことが大切です。
しっかり磨いた感じを得られたいから硬い歯ブラシを使用しているという患者さんがとても多くいらっしゃいますが正しくブラッシング方法で磨けばしっかり汚れを落とすことができます。

歯科衛生士 南嶋美来さん

歯は強く磨いた方がキレイになると思っている方は多いですよね。
普段は、患者様にブラッシング指導する際には、軽い力でも毛先がしっかり当たっていれば汚れは落とせるということをお伝えしています。

歯科衛生士 渡部 麻奈さん

ホワイトニング系の歯磨き粉など、着色汚れを落とすタイプには研磨剤が含まれていることがあるので、特に注意が必要ですね。

歯科衛生士 渡部 麻奈さん

もちろん、すべてが悪いわけではありません。
ただ、強く磨くと歯の表面に細かい傷がついてしまい、逆効果に繋がることもあります。

歯科衛生士 渡部 麻奈さん

研磨剤が含まれている歯磨き粉を使用する際は特に歯ブラシの硬さや磨き方を意識する必要がありますね

まとめ 歯科衛生士から読者へのメッセージ

歯磨き粉は「むし歯予防」「歯周病予防」「口臭対策」など目的によって選ぶ成分が異なります。

むし歯予防にはフッ素や再石灰化を促す成分、歯周病予防には殺菌・抗炎症成分、口臭予防には殺菌や消臭成分が大切です。

おすすめの歯磨き粉もそれぞれの目的に合った製品を選ぶことで、毎日のケアの効果を高めることができます。

さらに、効果をしっかり引き出すには、年齢に応じた適量の使用、歯ブラシを軽く濡らして磨くこと、うがいの回数や水の量にも注意することがポイントです。

一方で、研磨力が強すぎる歯磨き粉やフッ素不使用、成分表示が不明確なものは避けるようにしましょう。

目的に合った成分入りの歯磨き粉を正しく使うことが、健康な歯と口内環境を保つ最も確実な方法です。

今回、参加いただいた歯科衛生士さんからのメッセージです。
毎日使うものだからこそ、自分に合う歯磨き粉を選んでいきたいですね。

歯科衛生士 渡部 麻奈さん

歯磨き粉選びでのポイントは、泡じゃない!ですかね。
泡立ちが良いからいい歯磨き粉というわけではないと私は思います。
泡立ちが良すぎてしまうと、磨いている部分が見えにくくなってしまい磨いた気になってしまう方が多いのとゆすぐ回数や使用する水の量も必然的に多くなってしますので、有効成分をしっかり残すという面でも私はジェルタイプの歯磨き粉をおすすめします。

歯科衛生士 南嶋美来さん

人それぞれ味の好みもあると思うので、継続して使いやすい歯磨き粉を選ぶのもポイントだと思います。
私自身、歯ぐきが腫れているなと感じたら歯磨き粉の裏面の成分表を見て自分に合った歯磨き粉を選ぶようにしています。

歯科衛生士 石川知春さん

沢山ある歯磨き粉の中から選ぶと何がいいか、、と迷ってしまいますが、
今の症状に合わせて歯磨き粉を選んでいただくと選びやすいかと思います。
今回の記事を参考に皆さんもぜひ自分に合う歯磨き粉に出会ってください。
毎日の歯みがきは正しい知識と使い方で大きく結果が変わります。色々な歯磨き粉を手に取っていただき、その中で自分に合ったぴったりの歯磨き粉をみつけてくださいね。

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