現役歯科衛生士がおすすめする歯磨き粉の成分とは?むし歯・歯周病・口臭に効く歯磨き粉も紹介〜歯科衛生士座談会Vol.8〜

現役歯科衛生士がおすすめする歯磨き粉の成分とは?むし歯・歯周病・口臭に効く歯磨き粉も紹介〜歯科衛生士座談会Vol.8〜

この記事では、現役歯科衛生士3名に選んでいただいた歯磨き粉の中から、むし歯・歯周病・口臭予防それぞれのおすすめの歯磨き粉を紹介していただきました。

               
毎日なんとなく選んでいる歯磨き粉、本当に自分に合っていますか? むし歯・歯周病・口臭はそれぞれ原因も予防方法も異なります。

今回は、前回のおすすめ歯磨き粉の中からさらに、むし歯・歯周病・口臭予防それぞれのおすすめの歯磨き粉を紹介してもらいました。

※お断り
本記事における歯磨き粉の特徴や使い方は、メーカーの公式見解とは異なる場合があります。実際の製品の詳細や使い方については、各社もしくはかかりつけの歯科医院にお問い合わせください。
前回の歯磨き粉レビューから引き続き、歯科衛生士さん3名にご協力いただきました。
渡部 麻奈さん

渡部 麻奈さん

歯科衛生士歴:10年
一般歯科から病院歯科の経験を経て現在フリーランス歯科衛生士として活動。
歯科と医科の専門知識を活かし、幅広い年齢層の患者様の口腔ケアを担当している。
石川 知春さん

石川 知春さん

歯科衛生士歴:24年
豊富な歯科知識と臨床経験、さらに自身の子育ての経験を活かし日々臨床の場で患者様の口腔ケアサポートに貢献。
ホームヘルパー2級とフェイシャルエステの資格を取得している。
南嶋 美来さん

南嶋 美来さん

歯科衛生士歴:8年
現在予防歯科を中心とした診療に携わり、日々の診療でセルフケア指導やメインテナンスを担当。
その経験を活かしフリーランス歯科衛生士として口腔ケア活動を続けている。

歯磨き粉に入っている大事な成分

毎日使う歯磨き粉、種類が多くて選ぶのに迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

実は、大事な成分を知るだけで、お口のトラブルへの備え方は大きく変わります。こだわって選んでいる方も、改めて確認するいい機会に。ぜひ、自分に合った歯磨き粉選びのヒントとして参考にしてください。

歯磨き粉に含まれる主な成分と役割

研磨剤

  • 役割:歯の表面の汚れや歯垢(プラーク)を落とす
  • 代表的な成分:炭酸カルシウム、シリカ、リン酸カルシウム、
  • 効果:歯をツルツルにする

フッ素(フッ化物)

  • 役割:むし歯予防の中心的な成分
  • 効果:歯のエナメル質を強くし、再石灰化を促進/むし歯菌の働きを抑える

発泡剤(界面活性剤)

  • 役割:泡立ちをよくして汚れを落としやすくする
  • 代表的な成分:ラウリル硫酸ナトリウム
  • 効果:口の中に広がりやすくなる

保湿剤(潤滑剤)

  • 役割:ペースト状を保つための成分
  • 代表的な成分:グリセリン、ソルビトール
  • 効果:乾燥を防ぐ

粘結剤

  • 役割:成分を均一に保つ
  • 代表的な成分:カルボキシメチルセルロース
  • 効果:分離しないようにする

香味剤

  • 役割:味や香りをよくする
  • 代表的な成分:ミント、サッカリン、キシリトール
  • 効果:歯磨きを快適にする

薬用成分(製品による)

  • 役割:目的に応じて追加される
  • 例:殺菌成分(歯周病予防)、抗炎症成分(歯ぐきケア)、知覚過敏抑制成分

歯磨き粉の重要な成分

フッ素(フッ化物)

最も重要な成分で以下の効果があります。
  • エナメル質を強化し、むし歯菌が出す酸に強くする
  • 初期むし歯を修復(再石灰化)する
フッ素濃度は多くの製品でパッケージに記載されています。「1450ppm配合」など、目立つ位置に表示されていることが多いので、購入時にチェックしてみてください。
※歯磨き粉の基本成分の中でも「フッ素」はむし歯予防の主役です。
〈年齢別でみるフッ素濃度(日本の推奨)〉
年齢 フッ素濃度 使用量の目安
0〜2歳 〜500ppm 米粒サイズ
3〜5歳 500〜1000ppm グリーンピース大
6〜14歳 1000〜1450ppm 約1cm

研磨剤(シリカ・炭酸カルシウムなど)

研磨することで、歯についた歯垢(プラーク)を物理的に除去し、むし歯菌や歯周病菌の住処を減らします。

ただし、研磨剤が多い歯磨き粉は歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあります。研磨剤の配合量は、日本は表示義務がないため、判断がつきにくいです。そのため、研磨力が気になる方は、「低研磨」と明記されている製品を選ぶか、歯科医院で相談することをおすすめします。

キシリトール

  • むし歯菌の活動を抑制
  • 酸の生成を防ぐ
キシリトールは量が少なすぎると効果が弱くなるため、濃度が重要です。
ただしむし歯予防はキシリトール単独より、フッ素+正しいブラッシングの方が効果は大きいです。
キシリトール配合率は一部の製品でパッケージに記載されています。キシリトール配合を重視したい方は、配合率が明記されている製品を選ぶか、歯科医院でおすすめの製品を聞いてみてください。

むし歯予防で大事な成分、おすすめの歯磨き粉は?

むし歯を予防するためには、「歯を強くする」「再石灰化を促す」成分が大事です。

むし歯予防に大事な成分

  • フッ素(フッ化物):エナメル質を強化し、再石灰化を促進
  • キシリトール:むし歯菌の活動を抑制

むし歯予防におすすめの歯磨き粉

DENT.Check-up standard(LION社)

内容量:135g / 価格:600円(税込)※メーカー希望小売価格
[製品の主な特徴]
  • フッ素濃度:1450ppm
  • フッ素の種類:フッ化ナトリウム
  • 研磨剤:低研磨性
  • 発泡剤:低発泡
  • 特徴:フッ素滞留性を高めた処方で、むし歯予防に特化した歯科専売品

〈渡部さん〉

むし歯予防ならやっぱりフッ素濃度が大事。DENT.Check-Up standardはしっかり配合されていて、毎日のケアに安心して使えます。

〈石川さん〉

再石灰化を促すフッ素を効率よく残せる処方がポイント。DENT.Check-Up standardはむし歯予防を重視する方におすすめです。

〈南嶋さん〉

泡立ちが控えめでじっくり磨けるのがいいですね。DENT.Check-Up standardは"ちゃんと磨ける歯磨き粉"だと思います。

歯周病予防で大事な成分、おすすめの歯磨き粉は?

歯周病予防には、「殺菌」「抗炎症」成分が入っている歯磨き粉を選びましょう。

歯周病予防に大事な成分

[殺菌成分]
例:塩化セチルピリジニウム(CPC)、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)など
  • 歯周病菌の増殖を抑える
  • プラーク内の細菌を減らす
塩化セチルピリジニウム(CPC)は日本の薬用歯みがき粉に含まれる殺菌成分でもっとも一般的です。IPMP(イソプロピルメチルフェノール)はバイオフィルムの内部まで浸透して殺菌できる特徴があります。

[抗炎症成分]
例:グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール(ビタミンE)
  • 歯ぐきの腫れや出血を抑える
  • 歯肉炎の進行を防ぐ
グリチルリチン酸ジカリウム(GK2)は薬用歯みがき粉で最も一般的な抗炎症成分です。あくまで「炎症を抑える補助」であり、原因菌そのものの殺菌は主に別成分(CPCなど)が担います。

歯周病予防におすすめの歯磨き粉

DENT.システマ SP-TジェルPlus(LION社)

内容量:85g / 価格:1,600円(税込)※メーカー希望小売価格
[製品の主な特徴]
  • フッ素濃度:1450ppm
  • 殺菌成分:IPMP(イソプロピルメチルフェノール)
  • 抗炎症成分:酢酸トコフェロール(ビタミンE)、グリチルリチン酸ジカリウム
  • 形状:ジェルタイプ
  • 研磨剤:無配合
  • 発泡剤:低発泡
  • 特徴:歯周ポケットに薬用成分が留まりやすい処方の歯科専売品

    〈南嶋さん〉

    薬用成分が歯周ポケットにとどまりやすい処方がポイント。DENT.システマ SP-TジェルPlusは歯周病のリスクが気になる方に適しています。

    〈石川さん〉

    歯周病ケアは殺菌+抗炎症が大切。DENT.システマ SP-TジェルPlusはその両方をしっかりカバーできるのが強みです。

    〈渡部さん〉

    ジェルタイプで歯ぐきにやさしくなじむのがいいですね。DENT.システマ SP-TジェルPlusは歯周ポケットを意識してケアしたい方におすすめです。

    口臭予防で大事な成分、おすすめの歯磨き粉は?

    口臭を予防するためには、「原因菌の抑制」「においの中和」成分が大事です。

    口臭予防に大事な成分

    [殺菌成分]

    「ラウロイルサルコシンNa(薬用成分)」
    • 口臭の原因となる細菌を減らす
    • 歯周病菌と共通するケースも多い

    口臭予防におすすめの歯磨き粉

    NONIO(LION社)

    内容量:130g / 価格:200~300円(税込)
    [製品の主な特徴]
    • 殺菌成分:LSS(ラウロイルサルコシンNa)
    • 特徴:口臭の原因菌を殺菌し、口臭の発生を防ぐ
    • 入手しやすさ:ドラッグストア等で購入可能(市販品)
    ※NONIOシリーズには複数のタイプがあります。フッ素配合の有無は製品によって異なるため、パッケージでご確認ください。

    〈石川さん〉

    歯周病と口臭は原因菌が共通することも多いです。NONIOは殺菌アプローチで両方ケアしたい方に向いています。

    〈渡部さん〉

    歯周病は原因菌のコントロールが重要。NONIOは殺菌成分でしっかりケアできるのがポイントです。

    〈南嶋さん〉

    口臭が気になる方に使ってほしいですね。NONIOは原因菌にアプローチできて、スッキリ感も続きます。

    歯科専売品と市販品どっちがいい?

    「市販の歯磨き粉ではダメなの?」「やっぱり歯科専売品の方がいいの?」これは多くの方が気になるポイントではないでしょうか。

    結論から言うと、「市販品がダメなわけではないが、目的や症状に合わせて選ぶなら歯科専売品がおすすめ」というのが今回協力いただいた歯科衛生士さんたちの共通見解でした。

    ただし、重視するポイントは人それぞれ。「続けやすさ」「目的別の設計」「ホワイトニング効果」など、3人の歯科衛生士さんがそれぞれの視点からコメントしてくれました。

    〈南嶋さん〉

    私は、毎日続けて使えることが一番大事だと考えています。
    どんなに良い歯磨き粉でも、使い続けなければ意味がないんですよね。
    市販でも今はフッ素1450ppm配合のものもありますし…。
    ただ、歯科専売品はより症状に合った設計がされているので、歯科衛生士目線で見るとやっぱり歯科専売品の方がおすすめです。

    〈石川さん〉

    私は、使う方の目的次第かなと思います。市販がダメというわけではありません。
    市販品は続けやすさ・味・入手しやすさが強みです。ただし、フッ素濃度や有効成分の"設計の細かさ"は製品によってばらつきがあるのも事実です。
    一方で歯科専売品は、むし歯予防・歯周病予防・口臭予防など明確な目的別に成分が最適化されているものが多いです。
    なので、リスクが高い人(むし歯になりやすい、歯周病がある人、口臭が気になる人)は専売品の方が合理的かなと思います。

    〈渡部さん〉

    私は少し違う視点で、目的をどこに置くかをすごく重視します。
    例えばホワイトニング目的で市販品を選ぶ人は多いですが、実際は着色を落とす成分の強さには限界があります。
    歯科専売品の方が、ステイン除去や再着色予防の設計がしっかりしている印象なので目的に合った歯磨き粉を選ぶのであればやっぱり歯科専売品がいいと思います。

    おすすめしない歯磨き粉の特徴

    「どんな歯磨き粉を選べばいいか」と同じくらい大切なのが、「どんな歯磨き粉を避けるべきか」を知っておくことです。

    歯科衛生士さんたちからは、「研磨剤が強すぎるもの」「フッ素が入っていないもの」「成分表示が曖昧なもの」など、避けたほうがいい歯磨き粉の特徴について具体的なアドバイスをいただきました。

    「良さそうに見えて実は注意が必要」なポイントを、プロの視点から詳しく解説していきます。

    研磨剤が強すぎる

    過度な研磨剤は歯のエナメル質を削りすぎてしまい、知覚過敏になったり、色がくすんだりする原因になります。特に「ホワイトニング」を強調しすぎる商品の中には研磨力が強いものがあります。

    また、研磨剤が強すぎる歯磨き粉と硬めの歯ブラシを一緒に使うと、歯のエナメル質や歯ぐきを傷つけるおそれがあるためおすすめできません。

    〈石川さん〉

    歯ぐきが下がってる人も注意ですね。歯の根の部分は弱いので研磨剤が強いものを使用すると知覚過敏を起こす可能性があります。

    〈南嶋さん〉

    白くなる=良い歯磨き粉」って思われがちなのもこわいところです。強い研磨剤で実際は"削って白く見せてる"ケースもありますからね。
    避けたほうがいい表示例:
    • 「激落ち」「強力クリーニング」など極端な表現
    研磨力は主に「研磨剤(清掃剤)」の種類で判断できます。
    研磨力の高さを選ぶ際のポイントは、
    歯磨き粉の裏面の成分表で「清掃剤」「研磨剤」と書かれている部分をチェックしていただくのが一番です。
    ※成分表を見るポイントとして、成分の配合量が多い順に表示されています。
    (歯科専売品も市販品も同様)

    研磨剤の強さが気になる方へ

    「低研磨」と明記されている製品を選ぶか、歯科医院で相談することをおすすめします。歯科専売品は研磨性を考慮して設計されているものが多いです。

    フッ素が入っていない

    フッ素はむし歯予防のエビデンスが多く、歯科でも推奨される成分です。
    フッ素が全く配合されていない歯磨き粉はむし歯予防効果が弱くなります。

    フッ素濃度はパッケージで確認できます。「フッ素配合」「1450ppm」などの表示をチェックしましょう。

    成分表示が曖昧・不明瞭

    有効成分が不明確なものや、何を目的に作られたのかわからない歯磨き粉は避けたほうが安心です。
    • 「天然成分100%」とだけ書いてあるが具体的な成分名がない
    • どの効果を意図しているのかわからない

    発泡剤が強すぎる

    泡が大量に出るタイプは、一見使い心地が良く感じても、しっかり磨けていないのに「磨いた気になる」といった誤解を招きやすいです。

    刺激が強く歯茎に痛みが出る

    ミントが極端に強い、スパイス系成分が多い、などで歯茎が痛くなったり、口内炎ができやすくなるもの。

    保存料・香料が多すぎる

    人工的な香料や防腐剤を大量に使っているものは、敏感な人にとって刺激やアレルギー反応を起こす可能性があります。

    〈渡部さん〉

    それぞれの成分の特性や有効的な使い方を理解して、自分の症状やお悩みに合った歯磨き粉を選ぶことが一番大切です。

    まとめ

    毎日の歯みがきは「なんとなく」ではなく、正しい知識で大きく結果が変わります。
    色々な歯磨き粉を手に取っていただき、その中で自分に合ったぴったりの歯磨き粉をみつけてくださいね。

    「自分の歯や歯ぐきの状態に合った歯磨き粉を選びたい」という方は、ぜひかかりつけの歯科医院で相談してみてください。歯科衛生士さんが、あなたのお口の状態に合った製品を一緒に選んでくれます。

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