口内炎の原因と種類、早く治す方法

口内炎の原因と種類、早く治す方法

(2023年5月30日公開)
口内炎の原因や特徴についてご紹介します。口内炎は口の中の粘膜に生じる炎症の総称で、口の中であればいろいろな場所で発生し、痛みが強くなると食事や会話、睡眠がしにくくなります。アフタ性口内炎、カタル性口内炎、ウイルス性口内炎といった口内炎の種類についても紹介します。

               

口内炎とは

「口内炎」とは名前の通り、口の中の粘膜に生じる炎症の総称です。頬の内側に加えて、歯ぐきや舌など、口の中であればいろいろな場所で発生します。一度に複数の口内炎が生じたり、なかなか治らずに長引いたりするケースもあります。口内炎ができた箇所は赤く腫れるケースや水疱が生じたり出血が伴ったりするケースも少なくありません。

口内炎は、男性よりも女性、高齢層よりも若年層の方が発症しやすい傾向があります。これは、女性はホルモンバランスの乱れによる体力の消耗が原因であり、また若い方は外食や偏食など食生活の乱れにより、口腔内の抵抗力が低下し、粘膜がダメージを負いやすくなるためです。

口内炎の主な原因

口内炎は、さまざまな要因により生じる病気です。たとえば、疲労がたまって代謝や免疫が低下し、口内に潰瘍ができ、口内炎になるケースがあります。

また、ストレスや疲労が蓄積して口内炎が生じるケースもあります。これは、心身の疲れで粘膜を守るのに必要なビタミンB群が浪費されてしまうからです。偏った食事が続き、粘膜保護に特に重要なビタミンB2が不足することで、口内炎が生じるケースもあります。

その他に、ドライマウスなどで唾液が少なくなったり歯磨きを怠ったりして、口の中の細菌が増加している状態も口内炎が生じやすいです。他にも、歯磨き粉に含まれる成分や食べ物などの影響によるアレルギー反応や口内の治療による副作用で口内炎になるケースもあります。

繰り返す口内炎の詳しい要因については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

口内炎の種類とそれぞれの特徴

口内炎にはさまざまな種類が存在し、なかでもアフタ性口内炎、カタル性(外傷性)口内炎、ウイルス性口内炎の3種類が主なものとされています。ここでは、それぞれの口内炎の特徴を解説します。

アフタ性口内炎の特徴

アフタ性口内炎は、口内炎のなかでも一番多いタイプです。アフタ性口内炎では、白色か黄色の小さな(2~10mm程度)楕円形の潰瘍ができ、粘膜との境目がくっきりと判別できます。アフタ性口内炎は、特に舌や頬の内側、歯ぐきにできやすいです。

アフタ性口内炎ができると痛みを生じます。飲食物がしみたり出血したりするケースもありますが、ほとんど1週間~2週間経過すれば自然に治ります。ただし、症状が似ていても回復に時間がかかっている場合は、他の病気のおそれもあるため長期間治らないようであれば医師に相談しましょう。

アフタ性口内炎のなかには、何度も生じる再発性の高いタイプもあり注意が必要です。アフタ性口内炎では、炎症の跡が残ってしまうことはほとんどありません。

カタル性(外傷性)口内炎の特徴

カタル性(外傷性)口内炎では、口の中に赤くて熱を持つ炎症が生じたり水疱やひび割れが生じたりします。症状が悪化すると、潰瘍が白っぽくなって口の臭いが強くなったり、口の中が焼けるような感じがしたりするのも特徴的です。

カタル性口内炎になると食事を口にしたときに痛みを覚えたり、味覚に異常をきたしたりするケースもあります。粘膜との境目が明確なアフタ性口内炎とは異なり、カタル性口内炎はその境目が不明瞭です。

カタル性口内炎は、たいてい1週間ぐらいで自然におさまります。ただし、症状が似ていても腫れや痛みが長引くときは、他の可能性も疑わなくてはなりません。

ウイルス性口内炎の特徴

ウイルス性口内炎とは、名前のとおりウイルスが要因となり生じる口内炎です。原因となるウイルスの種類によって、ヘルペス性口内炎や手足口病、ヘルパンギーナなどに分類されます。

ウイルス性口内炎は、口の中の粘膜に多くの水疱ができ、破裂すると潰瘍になるのが特徴です。また、他の口内炎と比べて痛みが強かったり、高熱になったりするケースもあります。ウイルス性口内炎は大人よりも、免疫が少ない子供によくみられるタイプの口内炎です。

アフタ性口内炎とは

アフタ性口内炎は、最も一般的な口内炎です。アフタ性口内炎になった場合は、舌や頬の内側に白色か黄色の潰瘍が生じます。ここでは、アフタ性口内炎の原因と早く治す方法について解説します。

アフタ性口内炎の原因

アフタ性口内炎は他の口内炎に比べ症例は多いのですが、はっきりとした原因は分かっていません。ストレスや疲労、睡眠不足、栄養不足などで免疫が下がることが、アフタ性口内炎の原因といわれています。

アフタ性口内炎が口の内側に生じると、その部分を食事中に噛んでしまいやすいため、悪化することも多いです。女性に関しては、ホルモンバランスが乱れたり、生理前で体力が低下したりして免疫が下がり、アフタ性口内炎が生じるケースもあります。

アフタ性口内炎を早く治す方法

アフタ性口内炎はほとんどの場合、何もしなくても1~2週間で自然に治ります。早く治したいときは、以下の方法が効果的です。

口の中を清潔に保つ

いつもの歯磨きを丁寧に行い、食後にも歯磨きやうがいをすることで口の中を清潔に保ちます。口の中を清潔に保つことで細菌の発生を防ぎ、炎症が発生するのも防ぐことができます。

ビタミンB群を積極的に摂取する

ビタミンBは、皮膚や粘膜の働きを正常に保つのに役立ちます。ビタミンB群を効率よく摂取するには次のような食べ物を選ぶのが効果的です。
●牛・豚・鶏のレバーや、納豆、いわしなど(ビタミンB2を多く含む)
ビタミンB2は粘膜を健康に維持する働きがあり、口内炎の予防や改善に有効です。

●鶏肉やニンニク、マグロ、ゴマ、ピスタチオなど(ビタミンB6を多く含む)
ビタミンB6には粘膜の修復を促す働きが期待できます。

上記以外にも、サプリメントや市販薬などでビタミンBを摂取する方法も効果があります。

刺激物を控える

刺激の強い飲食物は粘膜のダメージを悪化させるおそれがあり、治りを遅くしてしまいます。
口内炎があるときは、次のような食べ物を避けるようにしましょう。
  • 柑橘類のような酸味が強いもの
  • 香辛料の効いたもの

生活リズムを整える

ストレスをためないようにしたり、質の良い睡眠をとったりすることで、免疫をあげるのも口内炎を治すのに効果があります。生活リズムを整え、規則正しい生活を送ることも早く治すためには有効です。

口の中が痛くて食事もできないときには、外用薬の活用もおすすめです。専用の塗り薬や張り薬を患部に使って、炎症を鎮めることができます。ドラックストアなどでも購入することができます。

これらの方法を試しても改善がみられない場合や長引く場合は、病院へ行くことをおすすめします。

カタル性口内炎とは

カタル性口内炎は、口内の粘膜が赤くなって熱を持ち、水疱やひび割れが生じることもあるタイプの口内炎です。以下、カタル性口内炎の原因と早く治す方法を紹介します。

カタル性口内炎の原因

カタル性口内炎は、強い刺激や傷によって生じる口内炎です。下記のように、さまざまな原因から生じます。
【カタル性口内炎の原因】
  • 頬の内側を歯で噛む
  • 入れ歯や矯正器具が合っておらず口の中に傷がつく
  • 熱湯などの熱いものや化学薬品の刺激
  • 過度の喫煙や薬の服用
  • 疲労やストレスによる免疫の低下

カタル性口内炎を早く治す方法

カタル性口内炎は傷が原因となっているので、傷口の治癒を早めることが重要です。

口の中を清潔に保つ

まずは口内をいつも以上に、清潔に保つようにします。刺激の少ないぬるま湯でうがいをするのも効果的です。

喫煙を控える

喫煙者の方は、カタル性口内炎ができているときは喫煙を控えましょう。

刺激物を控える

カタル性口内炎の原因となるさまざまな刺激を避けることも重要です。少なくともカタル性口内炎が治るまでは、熱い食べ物など刺激がある飲食物は控えましょう。

矯正器具や入れ歯を調整する

矯正器具や入れ歯が口に合っていないと口内を傷つけてしまうことがあります。合っていない場合は、調整してもらいましょう。

ストレスを軽減する

ゆっくり休養や睡眠をとって、ストレスを軽減することもカタル性口内炎を早く治すには重要です。痛みが我慢できないときは、抗生物質が入っている専用の軟膏やトローチなどを使用します。

ウイルス性口内炎とは

ウイルス性口内炎は、さまざまなウイルスの感染によって発生するタイプの口内炎です。口内に多くの水疱が発生し、激しい痛みや高熱を伴うことも少なくありません。以下にウイルス性口内炎の原因と早く治す方法を紹介します。

ウイルス性口内炎の原因

ウイルス性口内炎の原因は、文字どおりウイルスに感染することです。感染者の唾液との接触により、そのウイルスに感染しウイルス性口内炎が発生します。

たとえば、ウイルス感染した母親が子供にキスをしたり、感染者が使ったタオルや食器に触れたりするのも感染する原因です。その他、梅毒やクラミジア、淋病といった性感染症もウイルス性口内炎の原因になります。

ウイルス性口内炎を早く治す方法

ウイルス性口内炎を早く治すためには、できるだけ早めに内科や歯科を受診しましょう。治療法は、口内炎の原因であるウイルスの種類によって異なります。また、市販薬の服用は症状が悪化することがあるため、ウイルス性口内炎の場合はおすすめできません。

なおウイルス性口内炎になったときは、強い痛みや発熱で食欲がなくなることも多いです。しかし、脱水を起こすことで口内炎の症状が悪化し回復が遅れるため、できるだけ水分の補給は心掛けるようにしましょう。

その他の口内炎の特徴

これまでにあげた代表的な種類以外にも、以下のようにさまざまなタイプの口内炎があります。
  • 元々口内に存在するカンジダと呼ばれるカビの一種が、口内で過剰に増殖することで発生する「カンジダ性口内炎」
  • ヘビースモーカーに多い、ニコチンが原因の「ニコチン性口内炎」
  • アレルギー反応によって、粘膜の炎症が生じる「アレルギー性口内炎」
  • レース状の白斑が口内にできる、原因が特定されていない炎症性疾患「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」による口内炎

その他の口内炎の原因

例に挙げた口内炎の原因は、種類によってそれぞれです。たとえばニコチン性口内炎は過剰なニコチンの摂取、アレルギー性口内炎は文字どおり食べ物や金属などのアレルギーが原因としてあげられます。一方、扁平苔癬の原因については、遺伝や金属によるアレルギー、ストレスなどが考えられていますが、明らかになっていません。

その他の口内炎を早く治す方法

カンジダ性口内炎は市販薬が効かないため、なるべく早く病院で治療を受ける必要があります。

ニコチン性口内炎を早く治すには、禁煙が一番効果的です。いきなり禁煙するのが難しい場合は、少しずつ吸うタバコの本数を減らしましょう。禁煙に伴う禁断症状が心配なら、ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙グッズを利用するのもおすすめです。

扁平苔癬のように原因が分からない口内炎についても、自分でできる対処法がないため早めに医療機関を受診しましょう。金属で作られた詰め物や被せ物、入れ歯などを、チタンやセラミックで作られたものに換えることで、症状が改善した例もあります。

口内炎を早く治すには原因に応じた対処が大切

口内炎とは、舌や頬の内側など口内に発生する炎症の総称です。一口に口内炎と言っても、原因などによってさまざまな種類に分類されます。口内炎を早く治したいときは、種類ごとの原因に応じた対処が必要です。口内炎の種類によっては市販薬などが効かない場合はなるべく早く病院へ行くことが推奨されます。

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