歯の矯正の種類は? 大人になってもできる?

歯の矯正の種類は? 大人になってもできる?

(2023年5月30日公開)
歯の矯正には、コンプレックス解消、噛み合わせの改善、虫歯や歯周病の予防というメリットがあり、大人になってから歯の矯正を行う方も多いです。この記事では、歯の矯正の費用や実施を判断するポイント、注意点、矯正方法の種類、始めるときの流れについても紹介します。

               

歯の矯正は大人になってもできる?

歯の矯正は、「子ども時代にした方が負担が少ないため良い」という認識の方は多いでしょう。実際には大人になってからでも歯を矯正するケースは多いです。ここでは、矯正を奨められるケースについて紹介します。

大人でも歯の矯正をした方が良いケース

噛み合わせや歯並びに問題があるケースでは、大人でも歯の矯正をおすすめします。噛み合わせに問題があると、歯周組織に余計な負担をかけてしまいます。また、歯並びが悪いとブラッシングがしにくく汚れが溜まりやすくなるため、むし歯や歯周病リスクが高まります。

噛み合わせに問題がある

頻繁にむし歯になってしまう、食べ物をしっかり噛めない、きれいな発音ができない、といった方は噛み合わせに問題があるかもしれません。

噛み合わせが悪いと食べ物を嚙みにくいことから、過度に強く噛んでしまうことが多く、特定の歯や歯ぐきなどの歯周組織に過度な負担をかけてしまいます。その結果、歯ぐきの炎症や歯の損壊などを引き起こす可能性があります。また、歯のすき間などに汚れが溜まりやすく除去しにくいことから、むし歯や歯周病になりやすい環境でもあるため、歯の寿命を縮めるおそれもあります。

歯の矯正を行うことで、噛み合わせが悪いことで起きる口内のトラブルを回避できます。きちんと食べ物を噛めるようになり、特定の歯へかかっていた負担も分散するため、歯が長持ちします。また、嚙み合わせがよくなれば、口腔内を清掃しやすくなり、衛生的に保つことができます。

むし歯が発生しやすい歯並び

歯並びが悪いと、歯磨きなどのケアが行き届かなくなる場合があります。そのため、むし歯ができやすい状態となってしまいます。たとえば、歯の向きがバラバラに生えていたり歯が前後に凸凹な生え方をしていたりします。このような歯並びをしていると、ブラッシングがしにくく細かいところのプラークまで除去できません。結果的に、むし歯や歯周病になりやすくなってしまいます。

歯の矯正を行えば、むし歯や歯周病になりやすい歯並びの改善が可能です。歯並びの改善によってブラッシングがしやすくなり磨き残しも無くなるため、むし歯や歯周病のリスクも軽減します。

大人でも歯の矯正ができるケース

生活に支障はないものの歯並びが悪く人前で口を開くのが恥ずかしい、嚙み合わせに問題がありきれいに発音できない、という悩みを持っている方もいます。歯並びが悪いことが原因であれば、歯の矯正を行うことで自信を持てるようになるでしょう。歯を矯正することで、見た目のよい歯並びへの改善ができるため、歯並びをコンプレックスと感じている方は検討しても良いでしょう。

歯の矯正のメリット

歯の矯正を検討しているのなら、施術を受けることで具体的にどのようなメリットを得られるのかを把握しておきましょう。代表的なメリットとしては、むし歯や歯周病の予防につながる、食べものをうまく噛めるようになる、コンプレックスを解消できるの3つが挙げられます。

むし歯や歯周病の予防につながる

歯並びが改善すると、歯同士の重なりをなくし、歯のすき間や細かいところまで歯ブラシが届くようになるので、むし歯や歯周病の予防につながります。

また、矯正後は口を閉じやすくなるため、口呼吸の傾向にある方はその改善が期待できます。歯が極端に出っ張っているようなケースでは、口が閉じにくいためつい口呼吸になってしまいます。口呼吸をしていると、口内の乾燥や唾液の分泌量の低下によって、むし歯や歯周病のリスクが高まります。歯の矯正をすることで、口が閉じやすくなるので、口内の乾燥を防ぐことができるためむし歯や歯周病のリスクを下げることに繋がります。

食べ物がうまくかめるようになる

歯の矯正によって、食べ物をうまくかめるようになるのもメリットです。噛み合わせがよくない状態では、日常の食事で特定の歯や歯ぐきへ過度に負担がかかり歯の寿命を縮めてしまいます。

歯を矯正することで、食べ物をうまく噛めるようになり、一部の歯や歯ぐきに過度な負荷をかけることも少なくなります。また、噛み合わせの悪さは頭痛や肩こりの原因にもなります。不自然な嚙み合わせは顎や肩、首周辺の筋肉を過度に緊張させ、血行不良を招いた結果頭痛や肩こりを生じることがあります。噛み合わせが原因であれば、矯正によってこれらの症状が改善されることもあります。

コンプレックスが解消する

歯の矯正によって歯並びが改善すると、顔の印象が変わり周囲の人が抱くイメージも変化します。しっかり食べものを噛めるようになり、頬の筋肉を使うためフェイスラインがスッキリするほか、口角が上がりやすくなり笑顔が魅力的になります。コンプレックスが解消され、自信をもって堂々と振る舞えるようになるのもメリットです。

コンプレックスを解消して自信をもてるようになれば、ポジティブな思考ができます。前向きな考えができるようになり、仕事や恋愛などいろいろなことへ積極的になれる可能性があります。

歯の矯正が必要か判断するポイント

歯の矯正が必要か悩んでいる方は、矯正歯科を標榜している歯科医院に相談しましょう。ただし、矯正するかまだ決めかねているのに歯科医院へ足を運ぶのは不安だ、という方もいるでしょう。そこで、ここでは矯正が必要かどうかを判断する、セルフチェックポイントを紹介します。
<セルフチェックポイント>
  • 歯が重なっていないか
  • 家族や友人から口臭を指摘されたことがないか
  • 鏡で見たとき顔が左右非対称か
  • 上下の前歯が前方へ突き出ていないか、もしくは引っ込んでいないか
  • 極端にすり減っている歯はないか
  • 顔を横から見たとき、唇が極端に前方へ突き出ていないか、もしくは引っ込んでいないか
※これらの項目に該当したからといって、必ずしも歯並びに原因があるとは限りません。ほかの原因で上記チェックポイントに該当するケースも考えられます。

歯の矯正の注意点

歯の矯正にはメリットがあるものの、注意点もあります。

はじめに、歯の矯正には長い期間がかかることを覚えておきましょう。個人差はあるものの、歯の矯正には相応の治療期間がかかります。

次に、高額な費用がかかります。治療費が高額にならないケースもありますが、基本的に歯の矯正は保険適用外となるため、自費で賄わなければなりません。そのため、治療を始める前にどの程度の費用が発生するのか、確認しておく必要があります。

治療には痛みを伴う場合があることも注意しましょう。矯正に使用する装置によっては、歯や歯ぐきに負担がかかり、痛みを生じます。また、マウスピース矯正は自分で着脱ができるため、正しい方法で装置を装着し続けないと、せっかく矯正した歯がもとに戻ってしまうこともあるので正しい装着方法を実践する必要があります。

どのくらいの期間が必要?

歯の矯正にかかる期間は、ケースバイケースです。矯正は、歯を動かす治療期間と動かした歯がもとに戻らないように状態を維持する保定期間に分類できます。

治療期間は、すべての歯を対象とした全体矯正の場合、1~3年程度が目安です。奥歯だけ、前歯だけの部分矯正では、3ヶ月~1年半程度治療を行います。

治療期間が終わったあとは、保定期間に入ります。リテーナーと呼ばれる装置を装着し、動かした歯がもとの状態に戻らないように維持する期間です。一般的には、治療期間が終了してから半年ほど保定期間が必要です。

歯の矯正の種類

歯の矯正の方法について解説します。

ワイヤー矯正

歯の矯正でよく知られているのは、ワイヤーとブラケットを用いたワイヤー矯正です。ブラケットは、ワイヤーを通す穴を設けた装置で、歯に密着させて固定するのに用います。表側矯正、裏側矯正と呼ばれる手法では、ブラケットを歯の表面にあて、ワイヤーで固定して矯正を行います。

マウスピース矯正

マウスピース矯正もよく知られる方法です。自分の歯型から作成したマウスピースを装着し、矯正を行います。矯正で使用するマウスピースは透明色のものが多いため、装着していても目立ちにくいです。また、脱着もしやすいため食事やブラッシングがしやすいことが特徴です。

部分矯正

部分矯正と呼ばれる方法は、特定の部分をマウスピースやワイヤーを用いて矯正する手法です。下の前歯、上の奥歯などピンポイントで狙った部分のみの矯正することができます。

歯の矯正にかかる費用

歯の矯正には、決して少なくない金額がかかります。治療前と治療中、治療後でそれぞれ費用が発生するため、どれくらい必要なのか把握しておきましょう。

治療前にかかる費用

治療を始める前には、診察料やカウンセリング料がかかります。診察料とは、歯科用CTやレントゲンなどを用いて、口腔内の状態をチェックするのにかかる費用です。カウンセリング料は、カウンセリングによって治療方針を決めたり費用の相談をしたりするための費用です。

治療開始にかかる費用

治療が始まると、矯正装置の費用や処置・調整料が発生します。矯正装置の費用は、マウスピースやワイヤーなど使う矯正装置によって大きく変化します。矯正装置や口腔内の様子を定期的にチェックする必要があり、その際に処置・調整料がかかります。

治療後にかかる費用

治療後に発生するのが、保定料や保定観察料です。保定料は、使用する保定装置の種類によって費用が大きく変わります。保定観察料は、途中経過のチェックにかかる料金です。

値段の相場は?

矯正にかかる費用の相場は、総額10万円~150万円が目安です。あくまで目安であり、実際には口内の状況や治療方法などによって金額が変化します。

金額が大きく変化するのは、使用する矯正装置の種類です。マウスピースなのかワイヤーなのか、ワイヤーの場合どのような素材にするのかなど、さまざまな要素によって最終的な金額が変化します。
矯正装置の種類ごとの費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

保険は適用される?

歯の矯正は見た目など審美的な改善の要素も含まれているため、原則は自由診療です。ただし、以下の条件を満たせば保険診療の対象となります。
「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
<公益社団法人 日本矯正歯科学会より引用>
①「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
※「別に厚生労働大臣が定める疾患」……ダウン症候群やターナー症候群、小舌症、軟骨形成不全症など60以上の 疾患が定められています。
②前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療
なお、これら保険適用される矯正歯科治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみになります。」

引用:公益社団法人 日本矯正歯科学会

歯の矯正を始める時の流れ

まずは、治療を行っている歯科医院にアポイントをとり、カウンセリングの日時を決めましょう。カウンセリングでは、どのような悩みがあるのか、どう治療したいのかを漏れなく伝えます。

カウンセリングのあとは、診察や検査を受けるのが一般的です。口内の状況を医師がチェックし、データをもとに治療計画を練ってから見積もりを算出します。提出された見積もりの内容に納得すれば、治療がスタートします。大まかですが、これが歯の矯正を始めるときの流れです。

歯の矯正について悩んでいるのであれば、かかりつけの歯科医院があれば相談してみましょう。また、かかりつけの歯科医院が無い方でも、無料で相談を受けてくれたり、カウンセリングでしっかりと相談をしてから治療するか決められたりする歯科医院も多いです。もし悩んでいるのなら、自分にはどのような矯正があっているかだけでなく、そもそも矯正が必要なのかをご相談する意味でも、歯科医院にご連絡をしてみるのはいかがでしょうか。心配であれば、相談する際に「まだ矯正するかも悩んでいる」と伝えておくと良いでしょう。

歯の矯正について理解し納得した治療を受けることが大切

歯の矯正をおこなうメリットは、嚙み合わせが改善し、食べものを噛みやすくなるだけでなく、口腔内の汚れを除去しやすくなり常に衛生的な口内環境を維持できます。また、美しい歯並びも手に入れコンプレックスを解消できます。ただし、高額な費用や手入れが大変という面もあります。まずは、歯科医院へ相談してみましよう。

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