キシリトールを効果的に摂取するための方法と注意点を解説

キシリトールを効果的に摂取するための方法と注意点を解説

この記事では、キシリトールの歯や口内への効果と、摂取する時に意識したいタイミングや摂取法、注意点を解説します。

               
キシリトールはなんとなく歯によさそうというイメージをもっている方は多いのではないでしょうか。実際、キシリトールが歯や口内にどのような効果があるのか、また口内以外にも影響があるのかをご紹介します。摂取する時の注意点や効果的な摂取法も解説しますのでご覧ください。

キシリトールとは?

キシリトールは、白樺や樫の木などに含まれている、キシラン・ヘミセルロースという成分を原材料として作られた、天然甘味料です。ただし、商業用のキシリトールは天然成分でありながらも人工的に生成されることが多いため、人工甘味料の一部とされる場合があります。糖アルコールの一種で、その甘みは砂糖と同程度にもかかわらず、カロリー自体は砂糖の4分の3程度しかないことが特徴です。厚生労働省から食品添加物として認可されているほか、キシリトールがむし歯予防に有益であることを、世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)といった国際機関も認めています。

キシリトールのむし歯予防効果

キシリトールには、むし歯予防に効果があるといわれています。ここでは、むし歯予防に対する具体的な3つの効果をご紹介します。

1.むし歯菌のエサにならない

むし歯菌は砂糖などの糖質をエサにして、歯を溶かす原因となる酸を作り出しています。しかし、キシリトールはむし歯菌の餌とならないため、酸も産生されることはありません。

2.ミュータンス菌の活動を抑制する

キシリトールは砂糖と同等の甘みがあり、かつスーっとした冷涼感もあることから唾液の分泌を促す働きがあります。キシリトールには、歯垢中の砂糖を分解する酵素「シュクラーゼ」の活性を低下させて酸ができにくくする作用に加え、アンモニア濃度を高めて酸の中和を促進してくれる働きがあるとされています。これによって、ミュータンス菌の活動を抑制し、むし歯の原因となる脱灰が発生しにくくなります。

3.再石灰化

初期のむし歯は、歯の表面の結晶が崩れた状態です、崩れた結晶部分にミネラル成分を取り込むことによって回復することを再石灰化といいます。糖アルコールの一種であるキシリトールは、歯垢(プラーク)中のカルシウムレベルを上げる効果があるため、再石灰化に効果があります。また、糖アルコールとカルシウムでできた複合体が歯の組織内に入ることで再石灰化を促進する効果もあります。

キシリトールの健康への効果

キシリトールには、口内環境以外に身体の健康にも効果があります。

カロリー摂取を抑える

キシリトールは砂糖の代替品として使用されることがあります。低カロリーでありながら、砂糖に似た甘さがあります。キシリトールのカロリーは、砂糖の約75 %であり、砂糖の代替として利用することで、カロリー摂取を抑えられます。

腸内環境の改善

キシリトールは腸内環境の改善も期待されています。腸内細菌の理想的なバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」とされています。キシリトールは、腸内の有害な細菌の増殖を抑制し、善玉菌・悪玉菌・日和見菌(どちらにも属さない菌)のバランスを整える効果があるといわれています。その結果、便秘の改善や免疫力の向上につながるといわれています。

中耳炎の予防

キシリトールは耳鼻咽喉科の疾患の予防にも効果が期待されています。キシリトールは、口内の細菌の繁殖を抑制するだけでなく、細菌が耳の中に入り込んで増殖することを防ぐとの報告もあります。フィンランドの健康な子供1826人を対象とした ランダム化比較試験  (RCT)では、キシリトールが急性中耳炎の発生を25%減少させる中程度の質の証拠が得られました。この研究論文では、キシリトールはウィルスが鼻や喉の粘膜に接着するのを防ぐ働きがあり、キシリトールを摂取することで、中耳炎のリスクを防げると言われています。一方で、呼吸器感染症中や中耳炎を繰り返す子供に対する有効性は不明確であり、さらなる研究が必要とされています。

キシリトールの注意点

口内や健康のメリットがあるキシリトールですが、注意すべきこともあります。

また、国際NPO「コクラン共同計画」の研究グループは、「キシリトールのむし歯予防効果を示す明らかなエビデンス(根拠となる研究結果)はなかった」と発表しました。しかし、これは小規模で限られた参加者数から得られた研究結果でありエビデンスとしての疑問符が付くと考えられ、キシリトールに効果がないことが証明されたわけではありません。WHOでも、キシリトールはむし歯予防に有益な成分であると認定しています。
身体へ逆効果にならないためにも、ここではキシリトールを摂取する時の注意点を解説します。

過剰摂取による影響

キシリトールの過剰摂取によって起こる一般的な影響の1つが、消化不良や下痢といった腸内環境に関わる症状です。腸内での水分吸収を抑制するため、大量に摂取すると腸内で水分が増えることで、このような症状を引き起こすことがあるとされています。

キシリトールはカロリーが低く、天然甘味料の代替となる甘味料として活用されています。しかし、カロリーがゼロではないため、過剰に摂取すると当然ながらカロリー摂取が増え、体重増加、ひいては肥満の原因になる可能性があります。また、血糖値を急上昇しにくくする効果があるとされていますが、逆に過剰摂取してしまえば血糖値の上昇を引き起こすことがあります。いくら健康によいものでも、適切な摂取量を守らなければかえって逆効果となるため注意しましょう。

さらに最近の研究において、キシリトールの過剰摂取が血小板反応性を増強し、心血管の健康リスクをもたらすおそれがあると発表されました。キシリトールの安全性に関するさらなる研究が必要だといわれています。

砂糖が含まれるとむし歯予防にはならない

キシリトール配合であっても、そのほかに砂糖や水あめなどの酸を作り出す原因となる糖類がガムに含まれていると、むし歯予防にならないため要注意です。

キシリトールには、砂糖などがむし歯を起こす悪影響を打ち消す効果があるわけではありません。仮にキシリトールが95%配合されていても砂糖が5%含まれていれば、キシリトールは砂糖が及ぼす悪影響を一切止められません。そのため、食後の歯磨きは必須といえるでしょう。

キシリトールが50%以上含まれているものを選ぶようにしましょう

市販の商品はそれぞれキシリトールの含有量が違いますが、キシリトールが50%以上含まれているものを選ぶようにしましょう。キシリトールの含有率は、炭水化物の量に対するキシリトールの量の比率(キシリトール(g)÷炭水化物(g)×100)で計算できます。
この計算方法によると、炭水化物とキシリトールがほぼ同じ分量で表示されていれば、キシリトール含有率の高いガムと判断できます。

キシリトール製品を選ぶ時には、その成分分析表や栄養成分表を確認して、できるだけ炭水化物とキシリトールの分量が近く、糖質0gとなっているものを選んでください。キシリトールの含有量で選ぶ場合、歯科専売品を選ぶのがもっとも安心です。歯科専売品のキシリトールには、甘味料としてキシリトールが100%配合してあることがパッケージに記載されており、キシリトール以外の甘味料は含まれていません。

キシリトールの効果的な量とタイミング

キシリトール摂取における「1日の上限」の目安は5〜10g程度ですが、人によって適切な摂取量は異なり、キシリトールガムおよそ4~8個です。これを一度にまとめて食べるのではなく、1日3~4回程度に分けて少しずつ食べると効果的だといわれています。

皆さんも体感があるかもしれませんが、キシリトールをガムとして噛む場合、噛む行為によって唾液分泌も促進されます。キシリトールガムを噛むタイミングは、食後や寝る前がよいとされています。味がなくなっても、5分以上噛むようにすることもポイントです。

キシリトールは継続して摂取することが大切なため、毎日続けるのがおすすめです。キシリトールの効果については、さまざまな研究によるデータエビデンスがあります。
しかし、キシリトールを摂取するだけでなく、普段の口内ケアにキシリトールを取り入れることがより効果を高めてくれるとされる点に注意しましょう。

普段の口内ケアにキシリトール摂取をプラスしましょう

キシリトールは歯や口内の健康に非常に効果的なことがわかりました。歯の健康を守るには、基本的には適切なブラッシングやフッ素の応用、規則正しい食生活、歯科医院での定期検診などが大事です。キシリトールを使用しただけでは、むし歯予防にはなりません。しかし併用することでむし歯予防効果はアップしますので、積極的に取り入れましょう。

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