「最近、二重顎が気になる」
「滑舌が悪くなった」
「朝起きると口が乾いている」
こうした悩みの背景には、実は「舌の筋力低下」が隠れているかもしれません。舌は単なる味覚器官ではなく、数多くの筋肉が複雑に組み合わさった精密な筋肉の集合体です。呼吸・食事・会話・見た目まで、全身の健康と深く関わっています。
「滑舌が悪くなった」
「朝起きると口が乾いている」
こうした悩みの背景には、実は「舌の筋力低下」が隠れているかもしれません。舌は単なる味覚器官ではなく、数多くの筋肉が複雑に組み合わさった精密な筋肉の集合体です。呼吸・食事・会話・見た目まで、全身の健康と深く関わっています。
舌は「筋肉のかたまり」―構造と役割の基礎知識
舌の大きな特徴は、舌自体の内部には骨が存在せず筋肉で作られている点です。口の中で自由自在に動く必要があるため、舌はほぼすべてが自分の意思で動かせる「骨格筋」で構成されています。
舌を形づくる筋肉は、主に次の2グループ、計8種類に分類されます。
・舌の「形」を変える:内舌筋(ないぜつきん)
・舌の「位置」を動かす:外舌筋(がいぜつきん)
これらが協調して働くことで、食べ物を噛み砕き、飲み込み、明瞭に発音し、唾液を口内に循環させるといった、日常のあらゆる動作がスムーズに行われています。
舌を形づくる筋肉は、主に次の2グループ、計8種類に分類されます。
・舌の「形」を変える:内舌筋(ないぜつきん)
・舌の「位置」を動かす:外舌筋(がいぜつきん)
これらが協調して働くことで、食べ物を噛み砕き、飲み込み、明瞭に発音し、唾液を口内に循環させるといった、日常のあらゆる動作がスムーズに行われています。
舌の形を操る「内舌筋」
内舌筋は、舌の内部に走る筋肉で、舌の長さ・厚み・幅・カーブなど、形そのものを精密にコントロールします。
上縦舌筋・下縦舌筋
舌を短くしたり、舌先を上下に曲げる役割があります。例えば、英語のL・R、早口言葉など、舌先を機敏に動かすときに活躍します。
この筋肉が弱ると、舌先のコントロールが難しくなり、滑舌の悪さや「舌がもつれる」感覚につながることがあります。
この筋肉が弱ると、舌先のコントロールが難しくなり、滑舌の悪さや「舌がもつれる」感覚につながることがあります。
横舌筋
舌の幅を狭くし、細長く突き出すときに使われます。まっすぐ前に「べー」と舌を出す動きをするときなどに使われます。横舌筋の働きが弱いと、舌を前方に送り出す力が不足し、食塊(食べ物のかたまり)を喉の方へ押し出しにくくなることがあります。
垂直舌筋
舌を上下方向に薄くし、平らに押し広げる役割があります。舌全体を上顎にピタッと付けるときに重要です。
垂直舌筋がうまく働かないと、舌を上顎側に保持しづらくなり、「正しい舌の位置」を保ちにくくなります。
垂直舌筋がうまく働かないと、舌を上顎側に保持しづらくなり、「正しい舌の位置」を保ちにくくなります。
舌の位置を動かす「外舌筋」
外舌筋は、舌と下顎骨・頭蓋骨・舌骨などをつなぎ、舌を前後・上下へダイナミックに動かします。呼吸や嚥下、発声、睡眠時の気道確保にも直結する重要な筋肉です。
オトガイ舌筋
舌を前方にグッと突き出す、最も力強い筋肉です。仰向けで寝たときに舌が喉の奥へ落ち込むのを防ぐ役割もあります。筋力が落ちると、睡眠中に舌が後方へ落ち込みやすくなり、いびきや睡眠時無呼吸のリスクが高まります。
舌骨舌筋
舌を下方へ引き下げる働きを持つ筋肉です。嚥下時に舌と喉の動きを連携させ、気道の開き具合にも関与します。舌骨舌筋の機能低下は、飲み込みづらさや喉の違和感につながることがあります。
茎突舌筋
舌を後方かつ上方へ引き上げる筋肉です。食べ物を喉の奥へ送り込む最後に働く筋肉です。嚥下の終盤で重要な役割を持ち、「むせやすさ」の改善に関わる筋の一つです。
口蓋舌筋
飲み込む瞬間に舌の付け根をグッと持ち上げる筋肉です。上顎の奥(軟口蓋)と舌をつなぎ、のどを開閉する役割があります。この筋肉が弱いと、いびきや鼻への逆流など、上気道周辺のトラブルに影響する場合があります。
舌の筋肉が弱るとどうなる?低位舌・睡眠時無呼吸・歯並びへのリスク
舌の筋力が低下すると、重力に負けて舌が「下方向・後ろ方向」に落ちやすくなります。その結果、舌の定位置である上顎側ではなく、下の歯の裏や口の底に沈んだ状態が常態化しやすくなります。これが「低位舌(ていいぜつ)」です。
低位舌がもたらす日常のサイン
舌の筋力が低下すると、舌を上顎(口蓋)へ持ち上げて保つ力が弱まり、舌が下がった位置で安定しやすくなります。ここで特に関わりやすいのは、舌の“形・硬さ・薄さ”を作る筋群である内舌筋(上縦舌筋・下縦舌筋・横舌筋・垂直舌筋)です。
- いつの間にか口がポカンと開いている
- 無意識に口呼吸になっている
- 夜中に口が乾く、朝の口臭が気になる
- 舌の位置を意識すると「下についている」感覚が強い
睡眠時無呼吸症候群(SAS)との深い関係
日本では睡眠時無呼吸症候群(SAS)の潜在患者数が約2,000万人に達すると推計されており、その要因の一つが、睡眠中に舌が喉の奥へ落ち込む「舌根沈下」です。
関与する舌の筋肉では、オトガイ舌筋が睡眠時無呼吸症候群で特に注目されることが多いです。舌の付け根を前方に保ち、気道がつぶれないように支える役を担います。オトガイ舌筋の働きが落ちると、仰向け時に舌が後方へ移動しやすくなり、気道が狭くなります。
- 仰向けで寝る
- 舌が重力で喉の奥にと落ちる
- 気道が狭くなる・ふさがる
この流れで、いびきや無呼吸が起こりやすくなります。日中の眠気や集中力低下、生活習慣病リスクとも関連するため、疑わしい場合は医療機関での検査が重要です。
歯並びと「顔のバランス」との関係
舌は上顎(口蓋)に沿って、歯列(歯並びのアーチ)の形を維持する非常に重要な役割を果たしています。 そのため、低位舌で舌の支えが弱まると、頬の筋肉の圧力に負けて歯列が内側へ倒れ、「出っ歯」や「ガタガタした歯並び」の一因になります。さらに口呼吸が続くと、顔全体の筋肉が緩み、アデノイド顔貌(面長・顎が後退した顔立ち)を招くリスクも指摘されています。
アデノイド顔貌について気になる方はこちらをご覧ください。
舌の筋肉を鍛えるメリット
舌の筋肉(舌筋)は、食べる・飲み込む・話すといった口の働きを支えるだけでなく、唾液分泌や呼吸とも深く関わっています。そのため舌を意識して鍛えると、口内環境の改善にもつながります。
また、口内の働きだけでなく、フェイスラインの形成や首まわりの筋肉の使い方とも深く関わっています。そのため、舌の筋肉を鍛えるとフェイスラインの引き締めや姿勢サポートなどへの効果が期待できます。
口内環境の改善
舌筋を動かすと、唾液の分泌と循環が活発になります。
唾液は下記のような機能を持つため、舌トレーニングはドライマウス対策やむし歯・歯周病・口臭予防に役立ちます。
- むし歯・歯周病を防ぐ自浄作用
- 口臭の原因菌を抑える抗菌作用
- 口内のpHを整える緩衝作用
美容効果(フェイスライン・二重顎)
舌の付け根と連動するオトガイ舌筋などを鍛えることで、
- 顎下のたるみを引き締める
- 二重顎の解消・予防
- 横顔のラインをスッキリ見せる
といった美容面での効果が期待できます。体重が大きく変わらなくても「顔だけ太って見える」「下膨れが気になる」といった悩みには、舌・首周りの筋肉の使い方が影響していることも多いです。
姿勢改善・首こり対策
正しい舌の位置は、上顎の前歯の少し後ろ(スポットと呼ばれる位置)に舌先が触れ、舌全体が上顎側にふわっと張り付いている状態です。この位置に舌が収まると、頭が前に出づらくなり、
- 首の余計な緊張を減らす
- ストレートネックの改善に役立つ
- 肩こり・首こりの軽減につながる可能性
といった、姿勢面でのメリットも期待できます。
舌や口周りを鍛える基本トレーニング4選
ここからは、自宅でできる基本の舌筋トレーニングを4つご紹介します。どれも器具不要で、1日3分程度から始められます。
※痛みや強い違和感がある場合は中止し、必要に応じて歯科・耳鼻咽喉科など専門医に相談してください。
※痛みや強い違和感がある場合は中止し、必要に応じて歯科・耳鼻咽喉科など専門医に相談してください。
あいうべ体操の目的
- 口呼吸から鼻呼吸への移行サポート
- 口唇・頬・舌の協調運動による口周りの筋力アップ
- 唾液循環の促進による、むし歯・歯周病・口臭リスクの低減
- 表情筋活性化による、口角アップ・表情の若々しさ維持
あいうべ体操のやり方
- 「あー」:口を大きく縦に開き、のどの奥が見えるくらい開ける
- 「いー」:口角を耳の方向にしっかり引き、歯が見えるように横に広げる
- 「うー」:唇を前に突き出し、ストローをくわえるようにすぼめる
- 「べー」:舌を思い切り前・やや下向きに突き出し、舌根までしっかり動かす
あいうべ体操のポイント・頻度
声を出すかどうかは自由ですが、口と舌の可動域を最大限大きくすることが重要です。
鏡で左右差や動きの大きさを確認すると、筋肉の偏りにも気づきやすくなります。
目安:1日30回(10回×3セットなど小分けでOK)
鏡で左右差や動きの大きさを確認すると、筋肉の偏りにも気づきやすくなります。
目安:1日30回(10回×3セットなど小分けでOK)
舌回し
舌回しの目的
- 舌・頬・口輪筋を同時に鍛え、口周り全体のたるみ予防
- ほうれい線付近の血行を促し、ほうれい線の目立ちにくさをサポート
- 舌の持久力を高め、滑舌低下の予防
- 唾液分泌を促し、咀嚼・嚥下動作のスムーズさ向上
舌回しのやり方
- 口を閉じ、舌先を上の前歯の歯ぐきの外側(唇と歯の間)に当てる
- そのまま、上の歯の外側 → 頬の内側 → 下の歯の外側と、歯ぐきをなぞるように舌で一周する
- 右回り・左回りの両方を行う
舌回しのポイント・頻度
顎を動かさず、「舌だけで円を描く」感覚を意識します。
最初は小さな円・ゆっくりした動きでOK。慣れたら、動く範囲とスピードを少しずつ広げましょう。
目安:右回し・左回し 各20回
最初は小さな円・ゆっくりした動きでOK。慣れたら、動く範囲とスピードを少しずつ広げましょう。
目安:右回し・左回し 各20回
舌の突き出し
舌突き出しの目的
- オトガイ舌筋・舌骨上筋群を鍛え、二重顎・フェイスラインのたるみ対策
- 舌を前方に保持する力を高め、舌根沈下によるいびき・無呼吸リスク低減をサポート
- 嚥下時の舌の送り出し力を強化し、むせ・誤嚥の予防に寄与
舌突き出しのやり方
- 椅子に浅く腰かけ、背筋をまっすぐ伸ばす
- 顎を突き出さないよう注意しながら、顔をやや上に向けて天井を見る
- 舌を真っ直ぐ天井方向に最大限突き出し、そのまま5秒キープ
- ゆっくり戻して脱力する
舌突き出しのポイント・頻度
顎下から首の前側にかけて「グッ」と働く感覚があればOK。首や肩に余計な力が入らないよう、肩はリラックスさせます。
目安:1日10回
目安:1日10回
舌鳴らし(ポッピング)
舌鳴らしの目的
- 舌全体を上顎に吸い付ける力を鍛え、正しい舌の位置(上顎側)の獲得
- 口蓋舌筋・垂直舌筋を中心に強化し、鼻呼吸しやすい口内環境づくりをサポート
- 吸い付け〜解放のリズムで口蓋周辺の血流を促し、口のこわばりを和らげる
舌鳴らしのやり方
- 口を軽く開け、舌全体を上顎(口蓋)にピタッと吸い付ける
- 舌先だけでなく、奥の方までしっかり密着させる
- その状態から一気に力を抜き、「ポンッ」と音を鳴らす
舌鳴らしのポイント・頻度
最初は音が小さくても問題ありません。「しっかり吸い付けて、一気に離す」動きができていればOKです。続けるうちに音が大きくなり、舌の筋力アップを実感しやすくなります。
目安:1日20回
目安:1日20回
まとめ―健康と美容の土台は「舌」にある
舌は「呼吸・食事・会話・見た目」すべての土台を支える大切な筋肉のかたまりです。筋力が低下して低位舌の状態になりやすくなります。低位舌になること、口呼吸になると睡眠時無呼吸やいびきによって睡眠の質が下がったり、むし歯・歯周病・口臭のリスクが高まったりなどのおそれがあります。
今回ご紹介したトレーニングの中から、まずは一つだけでも始めてみてください。毎日の小さな積み重ねで、舌の筋肉を育てていきましょう。
今回ご紹介したトレーニングの中から、まずは一つだけでも始めてみてください。毎日の小さな積み重ねで、舌の筋肉を育てていきましょう。