毎日当たり前のように使っている歯ブラシ。「かため」「ふつう」「やわらかめ」と様々な硬さが並んでいますが、実際にそれらが歯や歯ぐきにどのような物理的な違いをもたらすのか、目で見て確認する機会はほとんどありません。では、実際に磨き比べてみたらどんな違いがあるのでしょうか?
そこで今回は、歯ブラシの毛先の硬さが変わることで研磨力に違いがでるのかを視覚的に分かりやすくするため、さつまいもを使った比較実験を行いました。
そこで今回は、歯ブラシの毛先の硬さが変わることで研磨力に違いがでるのかを視覚的に分かりやすくするため、さつまいもを使った比較実験を行いました。
※本記事の実験は「歯ブラシの硬さによる研磨力の違い」を検証することが目的です。さつまいもと歯と歯ぐき(歯・象牙質)は別物であり、この実験結果は歯や歯ぐきへの影響を直接的に示すものではありませんので、ご了承ください。
【基本】毛の硬さは3タイプ
実験に入る前に、まずは歯ブラシの「硬さ」の基本をおさらいしておきましょう。一般的に市販されている歯ブラシは、主に以下の3つのタイプに分類されています。
- かため
- ふつう
- やわらかめ
この硬さの違いは、単に毛の材質が違うだけでなく、毛の太さや長さ、植毛の密度によって調整されています。
硬さが違うとブラッシングに伴う様々なことが変わります。一番の大きな違いは、毛先のしなり方と圧力の伝わり方です。硬い毛先はコシが強いため、私たちが手で加えた力がダイレクトに歯や歯ぐきへ伝わります。柔らかい毛先は力が加わると大きくしなるため、力が分散され、対象への当たりがソフトになります。この「力の伝わり方」の違いが、日々積み重なることよって、歯ぐきの健康状態や歯の摩耗具合に大きな差を生みます。
硬さが違うとブラッシングに伴う様々なことが変わります。一番の大きな違いは、毛先のしなり方と圧力の伝わり方です。硬い毛先はコシが強いため、私たちが手で加えた力がダイレクトに歯や歯ぐきへ伝わります。柔らかい毛先は力が加わると大きくしなるため、力が分散され、対象への当たりがソフトになります。この「力の伝わり方」の違いが、日々積み重なることよって、歯ぐきの健康状態や歯の摩耗具合に大きな差を生みます。
「かため」「やわらかめ」の研磨力について実験
それでは、実験内容について詳しく解説していきます。 今回は、両極端である「かため」と「やわらかめ」を使用し、同じ条件下で磨いた場合にどのような差が出るのかを検証しました。
実験の目的
この実験の最大の目的は、歯ブラシの硬さの違う歯ブラシでさつまいもを磨き比べたとき、「削れ方(ダメージ)」にどれくらい差が出るかを検証・可視化することです。
口の中の組織、特に歯ぐきは非常に繊細です。しかし、毎日のブラッシングで少しずつ傷ついても、初期段階では痛みを感じにくく、気づいたときには「歯肉退縮(歯ぐきが下がること)」が起きていることも少なくありません。 そこで、表面の変化(傷・めくれ)が分かりやすい素材を使い、その物理的なダメージの差を目に見える形で確認しようという試みです。
実験に使ったもの
▲ストロークを一定にするための装置
実験には以下のアイテムを使用しました。
- 歯ブラシA:かため(平切り)
- 歯ブラシB:やわらかめ(平切り)
- 対象物:さつまいも(生の状態で使用)
- 実験装置①:ストロークを一定に保つ簡易装置
- 実験装置②:圧力を一定に保つためのキッチンスケール
実験条件と内容
◀左:かための歯ブラシ
▶右:やわらかめの歯ブラシ
▶右:やわらかめの歯ブラシ
比較を行うために、以下の条件を設定しました。
- 磨く対象:同じさつまいもの隣接する面を使用(皮の厚さや質を揃えるため)
- ブラッシング圧:100 g~120 g前後(ストローク中の変動も含む)
- ブラッシング時間:各1分間
- 動かし方:横磨き、一定のストローク
※歯全体を磨くと3分〜10分程度必要ですが、今回は1箇所を集中的に磨いた場合として1分を設定しました。
※100 g~120 gは、歯科衛生士が推奨する「適切なブラッシング圧」です。正しい歯磨きの方法については下記の記事をご覧ください。
※100 g~120 gは、歯科衛生士が推奨する「適切なブラッシング圧」です。正しい歯磨きの方法については下記の記事をご覧ください。
さつまいもは「紫色の皮」と「黄色の実」のコントラストが明確で、以下のような比較がしやすいため採用しました。
- 皮の表面の汚れだけが落ちた状態
- 皮に細かい傷が付いた状態
- 皮がめくれて中身が見えてしまった状態
このように、ダメージの深度を段階的に視覚化するのに非常に適しています。
※注意点
本実験はあくまで物理的な研磨力の差を見るためのモデル実験です。さつまいもの皮と、人間の歯ぐき(粘膜)や歯(エナメル質・象牙質)は、構造も硬度も修復能力も全く異なります。「さつまいもが削れた=歯も同じ速度で削れる」というわけではありません。あくまで歯ブラシの毛先の硬さによる差を理解するための検証です。
※注意点
本実験はあくまで物理的な研磨力の差を見るためのモデル実験です。さつまいもの皮と、人間の歯ぐき(粘膜)や歯(エナメル質・象牙質)は、構造も硬度も修復能力も全く異なります。「さつまいもが削れた=歯も同じ速度で削れる」というわけではありません。あくまで歯ブラシの毛先の硬さによる差を理解するための検証です。
【実験結果】「かため」は削れるが「やわらかめ」は汚れだけ落ちる
◀左:かための歯ブラシ
▶右:やわらかめの歯ブラシ
▶右:やわらかめの歯ブラシ
実験装置を使い、一定のリズムで1分間磨き続けた結果、驚くほど明確な差が現れました。
写真をご覧いただくと一目瞭然ですが、結果を詳しく文章で描写・分析します。
「かため」の歯ブラシの場合
「かため」の歯ブラシで磨いた部分は、皮が完全にはがれ落ち、中身の黄色い実が露出してしまいました。
- 皮のめくれ:完全に除去され、段差ができている。
- 表面の状態:傷だらけで荒れており、ささくれ立っている。
- 結論:“削れ”が視覚的にハッキリと確認できるレベルのダメージ。
「やわらかめ」の歯ブラシの場合
一方、「やわらかめ」で磨いた部分は、皮はほとんどそのまま残っていました。 表面に付着していた土や汚れはきれいに落ちてつやが出ていますが、皮が破れることはありませんでした。
- 皮のめくれ:なし。紫色のまま。
- 表面の状態:汚れが落ちて滑らかになっている。目立つ傷は見当たらない。
- 結論:対象物への物理的なダメージはほとんどない。
この結果から、「かため」の毛先が持つ物理的な研磨力がいかに強いかが分かります。同じ100g前後という「適切な圧」であっても、毛の硬さが変わるだけで、対象物への影響力はこれほどまでに変わります。
「かため」だとダメージが大きい?メリット・デメリット
実験結果だけを見ると「かためは危険だから使わない方がいい」と思ってしまうかもしれませんが、必ずしもそうではありません。それぞれの特徴を理解して使い分けることが重要です。
かための歯ブラシを使うメリット
高い清掃効率
毛に強いコシがあるため、ブラシを細かく動かさなくても、歯の平らな面の汚れ(プラーク)や着色汚れをパワフルに落とせます。短時間で効率よく汚れを落としたい場合には有利です。
耐久性がある
毛先が開きにくいため、「やわらかめ」に比べて1本の歯ブラシが長持ちします。
爽快感を感じやすい
磨いた感触が手に伝わりやすく、磨き終わりの「ツルツル感」や「スッキリ感」を最も実感しやすいタイプです
かための歯ブラシを使うデメリット
歯や歯ぐきを削るリスク
今回の実験のように研磨力が強いため、長期間使い続けると歯の根元が削れてしまったり、歯ぐきが下がって歯の根が露出する「歯肉退縮」の原因になったりしすいです。
隙間に弱い
毛が硬く「しなり」が少ないため、歯と歯の間の狭い隙間や、歯並びの悪い部分の凹凸に毛先が入り込みにくい傾向があります。
知覚過敏を悪化させる
歯ぐきが下がって露出した象牙質をさらに傷つけやすく、冷たいものがしみる症状を引き起こしたり悪化させたりするリスクがあります。
「やわらかめ」だと汚れは落ちない?メリット・デメリット
「やわらかめ」は実験で皮が剥けなかったように、汚れを落とす力は弱いのでしょうか? 実は「歯垢(プラーク)」はさつまいもの皮ほど硬く張り付いているわけではなく、柔らかい汚れなので、「やわらかめ」でも十分に落とすことができます。
やわらかめの歯ブラシを使うメリット
歯と歯ぐきに優しい
毛先が柔らかく、圧力が分散されるため、歯や歯ぐきを傷つけるリスクが低いです。出血しやすい方や、歯ぐきが腫れている方でも安心して使えます。
隙間に入り込みやすい
毛先が柔軟にしなるため、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目にもフィットしやすく、歯垢を効果的に除去しやすいです。
適切なブラッシング圧を維持しやすい
汚れを落とそうとして強くこすりたくなりますが、プラークは過度な力よりも、軽い力で丁寧に当てたほうが落ちやすいです。やわらかめの歯ブラシは毛先がしなる分、自然と力が入りにくくなり、結果として歯や歯ぐきへの負担を抑えやすくなります。
やわらかめの歯ブラシを使うデメリット
比較すると清掃効率が弱い
「かため」のように研磨力は低いためです。優しい力で、小刻みに、丁寧に磨く必要があります。しかし、適切な方法で磨くことで、優しくしっかり磨けます。
歯ブラシの寿命が短い
毛が細く柔らかいため、同じ期間使っていても毛先が広がりやすく、交換頻度が高くなります。毛先が開くと清掃能力が大きく落ちるため、毛先が広がり始めたら早めの交換が必要です。
磨いた感が少ない
「かため」に比べて刺激が少ない分、「洗った!」という感覚が得にくく、物足りなさを感じる方もいます。
【結論】基本は「ふつう」か「やわらかめ」がおすすめ
実験結果とそれぞれの特性を踏まえ、 多くの方にとって「ふつう」または「やわらかめ」がベストチョイスとなります。
ふつうが向いている方
最もスタンダードな選択肢であり、まずは「ふつう」を選ぶのが良いでしょう。
- 歯ぐきのトラブルが少ない健康な状態の方
- 力加減が適切で安定している方
やわらかめが向いている方
つい力を入れてしまう方こそ、歯ブラシを柔らかくすることで、歯や歯ぐきへの負担を軽減できます。
- 出血しやすい方(歯肉炎・歯周病の疑いがある)
- 歯肉退縮(歯ぐき下がり)が気になる方
- 知覚過敏がある方(冷たいものがしみる)
- 優しく丁寧に磨きたい方
- 歯磨き圧が高くなってしまう自覚がある方
かためが向いている方
かためが向いている方は限られますが、力加減をコントロールでき、必要性が明確な場合は選択しても良いでしょう。
- 歯科医師や歯科衛生士から勧められた方
- 圧が弱く、当て方が安定している方
- 手に力が入らない・入れにくい方
まとめ:おすすめは「やわらかめ」
今回の“さつまいも実験”で見えたのは、「硬い=汚れを落としやすい」と同時に、「硬い=研磨力が強い」という点でした。
「かため」が必ずしもダメというわけではありません。しかし、「やわらかめ」に比べて、同じブラッシング圧など同じ条件で磨いた場合に、研磨力が強いのはかためです。
そのため、「歯ぐきの負担」や「歯表面の微細な摩耗」が起きやすいといえます。まずは、歯磨きで力を入れすぎていないかなど、正しい歯磨きができているかチェックしてみましょう。ブラッシング圧を下げる方法の一つとして、歯ブラシをグーで握るのではなく、鉛筆を持つように軽く握るだけでも、余計な力が入りにくくなります。現在、かための歯ブラシを使っている方は、次に歯ブラシを買い替えるタイミングでは、ぜひ一度「やわらかめ」を試してみてください。
もし、自分の磨き方や歯ブラシ選びに迷う場合は、自己判断せずに歯科医院でブラッシング指導を受けてみてください。「あなたのお口に合った1本」をプロに選んでもらうのが、最も確実な近道です。
「かため」が必ずしもダメというわけではありません。しかし、「やわらかめ」に比べて、同じブラッシング圧など同じ条件で磨いた場合に、研磨力が強いのはかためです。
そのため、「歯ぐきの負担」や「歯表面の微細な摩耗」が起きやすいといえます。まずは、歯磨きで力を入れすぎていないかなど、正しい歯磨きができているかチェックしてみましょう。ブラッシング圧を下げる方法の一つとして、歯ブラシをグーで握るのではなく、鉛筆を持つように軽く握るだけでも、余計な力が入りにくくなります。現在、かための歯ブラシを使っている方は、次に歯ブラシを買い替えるタイミングでは、ぜひ一度「やわらかめ」を試してみてください。
もし、自分の磨き方や歯ブラシ選びに迷う場合は、自己判断せずに歯科医院でブラッシング指導を受けてみてください。「あなたのお口に合った1本」をプロに選んでもらうのが、最も確実な近道です。