舌がピリピリする原因は「舌痛症」? こんな症状がある場合は歯科受診がおすすめ【歯科医師監修】

舌がピリピリする原因は「舌痛症」? こんな症状がある場合は歯科受診がおすすめ【歯科医師監修】

見た目には異常がないのに、舌がピリピリする、しびれて痛いといった症状が続く場合、舌痛症(ぜっつうしょう)の可能性があります。本記事では舌痛症の原因や、かかりやすい人の特徴、舌痛症の症状について解説します。また、舌に痛みやしびれを感じるその他の病気や、舌痛症の予防と治療法についてもご紹介しますので、参考にしてくださいね。

               

舌がピリピリするのは「舌痛症」? 

原因不明の舌の痛みやしびれなどが続く症状は、舌痛症(ぜっつうしょう)が疑われます。まずは舌痛症とはどんな病気なのか、また、舌痛症にかかりやすい人の特徴についてご紹介します。

舌痛症とは

舌痛症は、舌に炎症や潰瘍などの明らかな病変が見られないにもかかわらず、ピリピリ、ヒリヒリした痛みが1日2時間以上、さらに3ヵ月以上続く病気で、一次性舌痛症とも呼ばれています。痛みが慢性的に続くため、日常生活にも支障をきたすケースもあるようです。一方、原因が舌にあると特定できるものは、二次性舌痛症と呼ばれています。

舌痛症の原因

現段階では、はっきりとした原因が明らかになっていません。ホルモンバランスの変化、うつや自律神経の失調など心因的な要因との関係が示唆されています。最近の研究結果により、舌痛症は神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)と言われる神経痛の一種であり、末梢および中枢神経が複合して影響しているとの考えが支持されているようです。

舌痛症にかかりやすい人の特徴

舌痛症の症状を訴える人は、特に更年期を迎える女性に多く見られます。肩こりや腰痛など、慢性的に長引く痛み(慢性痛)にかかっている人は、舌痛症にもかかる傾向があると言われています。精神的に緊張した時や、舌に意識が集中した時などに症状が現れやすいようです。

舌痛症に見られる症状

原因不明で次のような症状がある場合は、舌痛症の可能性があります。次に舌痛症によく見られる症状をご紹介します。なお、舌痛症では舌の前方2/3辺りに痛みを生じるのが一般的です。自身の症状と照らし合わせてみてください。

口内粘膜の痛みやしびれ

舌や唇などの口内の粘膜に、ピリピリ、カーッといった焼けるような痛みや、ズキズキ、チクチクといった刺すような痛み、しびれなどの症状が現れます。これらの症状が3ヵ月以上慢性的に続くのが特徴です。日中は痛みが持続しますが、痛みの強さには波があり、就寝時に痛みで眠れないということはあまりありません。

口内の乾燥

舌痛症では、口内の乾燥を感じる人が多く見られます。口内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなったり、舌に痛みやしびれといった症状が起きたりします。ガムや飴を口にすることで痛みが和らぐ人もいるようです。

味覚障害

飲食物の味や温度が分かりにくいなどの味覚障害を訴える人も多いようです。また、口内の乾燥により、苦味や辛味などに敏感になることもあります。

亜鉛・鉄分の不足による貧血

舌痛症の人の中には、貧血の症状がある人も少なくありません。味覚障害から栄養が偏り気味になってしまうため、亜鉛や鉄分、ビタミンB12の欠乏により貧血になりやすいようです。

舌痛症以外で舌に痛みやしびれが起こるケース

舌に痛みやしびれが起きる症状は、舌痛症だけでなくさまざまケースや病気で見られます。ここからは、舌痛症以外で舌に痛みやしびれが起こるケースや病気について見ていきましょう。

歯の被せ物・入れ歯などによる刺激

歯科医院で治療を受けた後に、被せ物や詰め物、入れ歯などが舌に当たり、傷ができて炎症を起こし、しびれたり痛みを生じたりすることがあります。加齢とともに、舌の粘膜上皮が薄くなるため、物理的な刺激によって外傷を受けやすくなります。

口内炎

口内炎は口内粘膜にできる白いできものですが、舌にもできることがあります。口内炎の中で最もよく見られるのが、アフタ性口内炎です。栄養の偏り、精神的なストレスなど、さまざまな原因で発症します。カンジダ性口内炎は、口内の常在菌の一種であるカンジダ菌が増殖し、舌や口の側面に白いぶつぶつが現れます。疲れがたまっている時や病気などで免疫力が低下している時に発症しやすいです。患部を布などで拭うとヒリヒリとした痛みを伴います。その他、入れ歯や矯正器具が原因でできやすい口内炎もあります。
詳しい口内炎の種類については、こちらの記事をチェックしてみてください。

口腔乾燥症(ドライマウス)

口腔乾燥症(ドライマウス)は、さまざまな理由で唾液の分泌量が低下し、口内が乾燥する病気です。唾液には、粘膜を保護する潤滑作用や細菌の繁殖を抑える抗菌作用、食べカスや汚れを洗い流す自浄作用などがあります。唾液の分泌が低下することで舌が傷つきやすくなり、炎症を起こしたり、重症の場合には舌表面にひびが入ったりして痛みを生じます。その結果、摂食障害や味覚障害を引き起こすケースもあるようです。また、口内に細菌が増え、清潔に保たれなくなることから、むし歯や歯周病になるリスクも高まります。
口腔乾燥症(ドライマウス)については、こちらの記事をチェックしてください。

口腔アレルギー

野菜や果物を食べた後に、舌や唇、喉などがピリピリと痛むことがあります。これらの症状は、食べ物に含まれるアレルギー物質が原因であると考えらます。食後しばらくすると自然に治ることが多いですが、なかには鼻炎や発疹、下痢・嘔吐、咽頭浮腫などを発症するケースもあるようです。まれに、アナフィラキシーショックを起こす場合もあります。

舌咽(ぜついん)神経痛

舌咽神経は、味覚や唾液分泌をつかさどる神経です。血管により近い神経が圧迫されると、舌の付け根辺りに刺すような鋭い痛みや電気が走るような痛みを感じ、患部から離れた耳や咽頭にも痛み(放散痛)を伴います。
<舌の部位別に舌が痛くなる原因について、下記の記事で解説しています。ぜひこちらも参考にしてみてください。>

舌痛症の予防と治療

舌痛症は、日常生活の中で気を付けたり、歯科医院で治療を受けたりすることで改善が期待できます。次に、舌痛症の予防と治療についてご紹介します。

舌痛症の予防

口内が不衛生だと、細菌が繁殖して舌痛症の症状が誘発されてしまうため、口内を清潔に保つことが大切です。また、舌痛症は精神的疾患とも関係があると言われています。ストレスをためない生活を心がけましょう。

舌痛症の治療

舌痛症は原因が特定されていないため、症状を改善する対処治療が取られます。入れ歯や被せ物が舌に当たる場合は、歯科で調整してもらいましょう。うつ病や自律神経失調などの症状は、心療内科や精神科での治療が必要です。原因不明の舌の痛みが続く時は、まずは歯科医院へ相談してみてください。  

シルハで口内環境をチェックして、口内の健康を維持しよう

舌痛症の予防や治療には、口内を清潔に保ったり、被せ物や入れ歯などの不具合を調整したりする必要があります。その他の口内トラブルを防ぐためにも、定期的に歯科検診を受け、自分の口内環境を知っておくことが大切です。唾液検査シルハでは、口内の清潔度など口内環境に関わる項目がチェックできます。定期的に検査をして、口内の健康維持につなげましょう。
唾液検査シルハを受けられる全国の医療機関は、こちらから確認できます。

舌がピリピリする時は、早めに歯科医院で受診を

舌がピリピリする症状は、いろいろな病気やケースで起こります。なかでも舌痛症は特定するのが難しい病気の1つです。舌痛症が疑われる舌の痛み、しびれの症状が続くなら、まずは行きつけの歯科医院へ相談をしてみてください。舌痛症は慢性的に痛みが続き、日常生活にも支障をきたすかもしれません。早めに治療を受けてくださいね。

監修歯科医師:本荘 真也 先生

本荘歯科クリニック院長。日本大学歯学部卒業後、浅賀歯科医院(埼玉県越谷市)副院長を経て2020年10月本荘歯科クリニックを開院。
30年以上の歴史を持つ本荘歯科医院のあとを引き継ぐかたちで開院した同クリニックでは、赤ちゃんからお年寄りまで生涯にわたって通えるクリニックを目指す。全国でもまだ導入例の少ない歯科用機器や歯科技術も取り入れた診療を鳥取市内で行っている。

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