口の中にほくろができたとき、ふくらみや見た目がつい気になってしまうことがあります。人によっては重い病気だったりがんかもしれないと不安になったりするかもしれません。
口の中に黒い点がある場合、ほくろの場合とほくろと似ている別のできものの場合とがあります。
そこで本記事では、口の中のほくろの原因や、できた場合の対処法に加え、ほくろに似た症状についても詳しく解説します。
口の中に黒い点がある場合、ほくろの場合とほくろと似ている別のできものの場合とがあります。
そこで本記事では、口の中のほくろの原因や、できた場合の対処法に加え、ほくろに似た症状についても詳しく解説します。
口の中にも”ほくろ”はできる
口の中にも、顔などと同様にほくろができることがあります。
ほくろは、メラニン色素産生細胞(メラノサイト)が異常に増殖することで、腫瘤を形成したものです。口の中にほくろができる理由は、口内にもメラノサイトが存在しているためです。口の中のほくろは、頬の内側や歯ぐき、舌などに見られます。
形は左右対称で色の濃さが均一、周囲の粘膜との境界が明瞭です。また、多くのほくろは直径6mm以上になることはありません。
形は左右対称で色の濃さが均一、周囲の粘膜との境界が明瞭です。また、多くのほくろは直径6mm以上になることはありません。
ほくろと間違いやすい「シミ」との見分け方
ほくろと混同されやすいものに「しみ」があります。ほくろはメラノサイトが異常に増殖したものですが、しみはメラノサイトから生成されるメラニンが粘膜に沈着したものです。ほくろはふくらんでいますが、しみは色素が沈着したもののため、手触りがありません。実際にさわってみないと、ほくろとしみを見分けることは難しいでしょう。
ここからは、口の中にほくろができる原因や治療法について、詳しく解説します。
口の中にほくろができる原因
ほくろができる原因は不明な点が多いですが、遺伝性、紫外線による刺激、女性ホルモンなどが関係しているといわれています。口の中に紫外線が降り注ぐことは通常ないため、遺伝性もしくは女性ホルモンの影響が考えられます。
女性ホルモンのうち、プロゲステロンの分泌が活発になると、メラノサイトが活性化します。メラノサイトの活性化は、メラノサイトの異常な増殖を促すと考えられています。プロゲステロンの分泌が活発になるのは、月経前や妊娠中、出産時などです。
また、ほくろは思春期以降に増加し、年齢とともにふくらんでいき、中年以降は色が少しずつ薄くなる傾向があります。
女性ホルモンのうち、プロゲステロンの分泌が活発になると、メラノサイトが活性化します。メラノサイトの活性化は、メラノサイトの異常な増殖を促すと考えられています。プロゲステロンの分泌が活発になるのは、月経前や妊娠中、出産時などです。
また、ほくろは思春期以降に増加し、年齢とともにふくらんでいき、中年以降は色が少しずつ薄くなる傾向があります。
口の中のほくろの治療法
ほくろは、見た目に影響が出ること以外に日常生活や健康に支障をきたすことはほとんどありません。そのため、良性であれば治療は必須ではありません。見た目が気になる場合には、切除することも可能です。
しかし、まれに悪性化することがあるため、気になる場合は医師の診察を受けることが大切です。
ほくろが悪性化したものは「悪性黒色腫(メラノーマ)」といい、皮膚がんの一種です。肉眼またはダーモスコピーという拡大鏡のような機器を用いて見た目を詳しく調べることで、おおよその診断ができます。確定診断には、組織の一部を採取して詳しく調べる「生検」が必要です。
合併症の有無や年齢、メラノーマを疑う程度などに応じて、生検を行うかどうか、また部分的に切除して生検を行うか、すべてを切除して生検を行うかを医師が判断します。なお、非対称で粘膜との境界が不明瞭、多彩な色調を持ち、直径6mmを超えるものは、メラノーマを強く疑われます。
日本口腔外科学会のWebサイトでは、「口の中の色素性母斑は悪性化を考えて摘出する」と明示されているため、がん化がまれであっても、口の中のほくろに関しては摘出の判断となることもあるでしょう。
参考:日本口腔外科学会「口唇や頬の粘膜に黒い色素斑がある/歯ぐきに色素斑がある」
しかし、まれに悪性化することがあるため、気になる場合は医師の診察を受けることが大切です。
ほくろが悪性化したものは「悪性黒色腫(メラノーマ)」といい、皮膚がんの一種です。肉眼またはダーモスコピーという拡大鏡のような機器を用いて見た目を詳しく調べることで、おおよその診断ができます。確定診断には、組織の一部を採取して詳しく調べる「生検」が必要です。
合併症の有無や年齢、メラノーマを疑う程度などに応じて、生検を行うかどうか、また部分的に切除して生検を行うか、すべてを切除して生検を行うかを医師が判断します。なお、非対称で粘膜との境界が不明瞭、多彩な色調を持ち、直径6mmを超えるものは、メラノーマを強く疑われます。
日本口腔外科学会のWebサイトでは、「口の中の色素性母斑は悪性化を考えて摘出する」と明示されているため、がん化がまれであっても、口の中のほくろに関しては摘出の判断となることもあるでしょう。
参考:日本口腔外科学会「口唇や頬の粘膜に黒い色素斑がある/歯ぐきに色素斑がある」
ほくろ以外で口の中が着色する原因
口の中には、ほくろに似ているがほくろではないものができることがあります。飲食物に含まれる色素によって起きる「色素沈着」と、喫煙の影響でメラノサイトから生成されたメラニンが歯ぐきや舌、頬の粘膜などに沈着する「色素沈着」、「悪性黒色腫(メラノーマ)」に分類されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
飲食による色素沈着
色素沈着には、メラノサイトから分泌されたメラニンが組織に沈着したものと、飲食物に含まれる色素が組織に沈着したものがあります。
お茶やコーヒー、ワイン、カレーなど色素が濃いものを口にすると、歯ぐきに色素が沈着し変色することがあります。
お茶やコーヒー、ワイン、カレーなど色素が濃いものを口にすると、歯ぐきに色素が沈着し変色することがあります。
飲食による口内の変色を改善する方法
すでに着色してしまっている部分を改善する方法として、レーザーを照射し、皮膚(上皮)の生まれ変わりを促すことで、改善が期待できます。
飲食による着色を予防する法としては、色の濃い飲食物を摂取する際に、飲食後すぐに水で口をすすぐことが大切です。また、食後に歯磨きを行えば、より一層の予防効果が期待できます。口をすすぐことができない外出時には、可能な限り色素が薄い飲食物を選ぶことが望ましいでしょう。
飲食による着色を予防する法としては、色の濃い飲食物を摂取する際に、飲食後すぐに水で口をすすぐことが大切です。また、食後に歯磨きを行えば、より一層の予防効果が期待できます。口をすすぐことができない外出時には、可能な限り色素が薄い飲食物を選ぶことが望ましいでしょう。
タバコによる色素沈着
タバコによる色素沈着は、タバコに含まれるニコチンやタールなどがメラノサイトを刺激し、メラニンを多量に生成させることで、歯ぐきや舌、頬の粘膜などに沈着したものです。
また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素も、色素沈着に関係しています。ニコチンや一酸化炭素は、毛細血管の収縮作用によって血流を悪化させるため、細胞の生まれ変わりが遅れてメラニンを排出しきれなくなり、色素沈着を助長するといわれています。
なお、タバコによる色素沈着は、受動喫煙でも起きるおそれがあります。
また、口呼吸の方は、歯ぐきが外気に頻繁に触れることで乾燥し、バリア機能が低下して外部刺激を受けやすくなるため、タバコによる色素沈着が起こりやすくなります。
また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素も、色素沈着に関係しています。ニコチンや一酸化炭素は、毛細血管の収縮作用によって血流を悪化させるため、細胞の生まれ変わりが遅れてメラニンを排出しきれなくなり、色素沈着を助長するといわれています。
なお、タバコによる色素沈着は、受動喫煙でも起きるおそれがあります。
また、口呼吸の方は、歯ぐきが外気に頻繁に触れることで乾燥し、バリア機能が低下して外部刺激を受けやすくなるため、タバコによる色素沈着が起こりやすくなります。
タバコによる口内の変色を改善する方法
タバコによる色素沈着を予防するためには、禁煙するしかありません。しかし、禁煙は自己流では難しい面があるため、必要に応じて禁煙外来を利用するのもよいでしょう。
すでに色がついてしまった場合は、飲食による色素沈着と同じく、レーザーによって色素沈着した部分の皮膚の生まれ変わりを促すことで、改善が期待できます。
すでに色がついてしまった場合は、飲食による色素沈着と同じく、レーザーによって色素沈着した部分の皮膚の生まれ変わりを促すことで、改善が期待できます。
重金属による色素沈着
重金属による色素沈着は、亜鉛や鉛、水銀、銀などが慢性的に炎症が起きている歯ぐきに取り込まれて、沈着したものです。過去に疾患の治療として重金属を含む薬剤の投与を受けた方や、職業の関係で重金属に触れている方などによくみられます。
また、歯科治療で銀歯やメタルコアなど金属の歯科材料を使用した際に歯が黒ずむ現象も、これに該当します。
歯科材料によって起きた歯ぐきの黒ずみは「メタルタトゥー」といいます。金属の歯科材料から溶け出した金属イオンや、金属製の歯の支台を削ったときに出る金属粒子が歯ぐきに沈着し、空気中の酸素によって酸化することで黒くなります。
また、歯科治療で銀歯やメタルコアなど金属の歯科材料を使用した際に歯が黒ずむ現象も、これに該当します。
歯科材料によって起きた歯ぐきの黒ずみは「メタルタトゥー」といいます。金属の歯科材料から溶け出した金属イオンや、金属製の歯の支台を削ったときに出る金属粒子が歯ぐきに沈着し、空気中の酸素によって酸化することで黒くなります。
重金属による口内の変色を改善する方法
メラニンや飲食物に含まれる色素の沈着とは異なり、組織の深いところにまで入り込んでいるのが特徴です。これら重金属による色素沈着も、レーザー治療によって改善が期待できます。レーザーは、組織の奥深くにまで到達し、組織を蒸散させて黒ずみを除去します。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラノサイトががん化したことによる悪性腫瘍です。国立研究開発法人国立がん研究センターによると、日本全国で1年間にメラノーマと診断されるのは約1,800人です。ほかのがんと比べると発生頻度が低いとされています。
メラノーマは褐色~黒色をしており、ほくろのようにふくらんでいるものだけではなく、しみのような色素斑のものもあります。
メラノーマとほくろの違いは下記のとおりです。
メラノーマは褐色~黒色をしており、ほくろのようにふくらんでいるものだけではなく、しみのような色素斑のものもあります。
メラノーマとほくろの違いは下記のとおりです。
ほくろ | メラノーマ | |
形の対称性 | 対称 | 非対称 |
形の規則性 | 規則性がある | 不規則 |
正常な粘膜との境界 | 明瞭 | 不明瞭 |
色調 | 濃淡がない | 濃淡がある |
大きさ | 直径6mm未満 | 直径6mm以上 |
上記のように、ほくろとは見た目が異なります。ただし、メラノーマには赤色調のものもあるように例外があるため、診断の難易度が高いとされています。
メラノーマのはっきりとした原因はわかっていません。ただし、外的刺激や紫外線などが関係しているとの報告があるため、口の中に刺激を与えないよう心がけることが大切です。
治療法は、病変の厚さや潰瘍になっているかどうか、リンパ節や他の臓器に転移しているかどうかなどで異なります。臓器に転移していない場合は手術で切除し、手術できる状態ではない場合は化学療法に外科治療や放射線治療を組み合わせて治療計画を立てます。
メラノーマのはっきりとした原因はわかっていません。ただし、外的刺激や紫外線などが関係しているとの報告があるため、口の中に刺激を与えないよう心がけることが大切です。
治療法は、病変の厚さや潰瘍になっているかどうか、リンパ節や他の臓器に転移しているかどうかなどで異なります。臓器に転移していない場合は手術で切除し、手術できる状態ではない場合は化学療法に外科治療や放射線治療を組み合わせて治療計画を立てます。
ほくろではなく血豆の場合もある
口の中にできる赤黒い斑点や腫れ物が、ほくろやメラノーマに見えることがあります。血豆は外傷やストレス、アレルギーなどが原因で発生し、通常は1週間程度で自然に治癒します。一方、悪性黒色腫は非対称で不規則な形状、境界の不明瞭さ、色調の濃淡差などが特徴です。
血豆は口内を噛んだり、歯ブラシが強く当たったりすることで簡単にできます。もし原因が不明の腫れ物が1週間以上続く場合や、複数回同じ場所に繰り返し発生する場合は、医師の診察を受けることが推奨されます。
<口の中に血豆ができる原因や対処法について解説していますので参考にしてください。>
血豆は口内を噛んだり、歯ブラシが強く当たったりすることで簡単にできます。もし原因が不明の腫れ物が1週間以上続く場合や、複数回同じ場所に繰り返し発生する場合は、医師の診察を受けることが推奨されます。
<口の中に血豆ができる原因や対処法について解説していますので参考にしてください。>
まとめ:口の中のほくろと間違いやすいものがある
口の中にほくろのようなものができた場合、軽視せずに早めに専門医の診察を受けることが重要です。飲食やタバコによる色素沈着、重金属の影響、さらには悪性黒色腫など、原因はさまざまです。特に、口の中のほくろはがん化のリスクを踏まえて、摘出の対象となることが多いと考えられます。
自身の健康を守るためにも、口の中にほくろを見つけた場合は早めに医療機関を受診して、ほくろなのか確認しましょう。
自身の健康を守るためにも、口の中にほくろを見つけた場合は早めに医療機関を受診して、ほくろなのか確認しましょう。