手足口病とは? 子供だけではなく大人が感染した時の治療法も紹介

手足口病とは? 子供だけではなく大人が感染した時の治療法も紹介

手足口病は、手や足、口内に発疹ができることが特徴の感染症です。乳幼児が感染することがほとんどですが、大人も感染するおそれがあり、大人が感染すると重症化しやすい病気です。
夏場に子ども間で流行することがあり、子どもを育てる家庭内で感染が広がるケースも珍しくないため注意が必要です。
この記事では、手足口病の概要や、子どもだけではなく大人が感染した場合の治療法などについてご紹介いたします。

               

手足口病とは

手足口病の症状や感染する原因などの概要について詳しく解説していきます。

症状

手足口病とは、口内や唇・手のひら・足の裏に2〜3mmほどの小さな水疱性の発疹ができる感染性の病気です。感染をしてから3〜5日ほどの潜伏期間を経て、発疹の症状が現れ、発熱や喉の痛みが出ることもあります。
病名のとおり、発疹は手・足・口に出ることが多いですが、ひじやひざ、おしりなどの別の部位にも出るケースがあります。
ほとんどの場合には、1週間〜10日間ほどで発疹は消えて治りますが、ごくまれに脳髄炎や脳炎、心筋炎が生じることがあるため、注意が必要です。

感染する原因

手足口病の病原は、主にコクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71などのウイルスに感染することです。
これらのウイルスへの感染経路は、感染者のくしゃみや咳などからの飛沫感染、感染者が触ったおもちゃやスマートフォンなどからの接触感染です。
はしかや水ぼうそうは、子どもの頃に1度感染すると免疫がつきます。一方で、手足口病の場合は再発する場合があります。手足口病も、1度かかったウイルスであれば再発はしません。しかし、病原ウイルスにはさまざまな種類があり、年によって流行するウイルスが入れ替わります。そのため、まだ感染したことのないウイルスにはあらたに感染し、発症するおそれがあります。

流行時期

手足口病の流行時期は初夏〜初秋の6月〜8月にかけてで、流行のピークは7月前後です。「ヘルパンギーナ」「咽頭結膜熱(プール熱)」とともに子どもの3大夏風邪といわれるほど、夏の時期に流行します。

感染しやすい年齢は?

手足口病が発症しやすい年齢は、5歳以下の乳幼児が中心で、その半数は2歳以下です。多くは子どもの時期に原因ウイルスに感染して免疫をつけていきます。

手足口病の治療

手足口病には特別な治療はありません。発疹にかゆみが生じることはまれであるため、外用薬なども使用することはありません。口内の発疹は痛みを伴うケースがあるため、痛みがひどい場合には、鎮痛剤を使用することがあります。発熱に対しても解熱剤が処方されることはあまりなく、経過観察となるケースが多いです。
水疱性の発疹のなかには、ウイルスが潜んでいます。水疱を潰すとウイルスが拡散して周りの人に感染が広まるおそれがあります。発疹がひどくなったり治りが遅くなったりもするため、掻いたり潰したりせず、なるべく触れないようにしておきましょう。

医療機関を受診する際、子どもの場合には小児科、大人の場合には内科を受診します。
手足口病に特別な治療はないとはいえ、脳髄炎や脳炎、心筋炎などを発症するおそれもあります。高熱が出ている、発熱が2日以上続いている、ぐったりとしているなどの場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

手足口病の予防

手足口病は、感染対策が1番の予防法です。感染経路は飛沫感染と接触感染のため、手足口病が流行する時期には、特に手洗いやうがいをしっかり行い、感染した人が使用したタオルなどには触らないように注意しましょう。また、洗えないものは消毒をするようにしましょう。

手足口病は子どもに多い病気ですが、大人も発症することがあります。子どもがウイルスに感染した場合、家庭内でも感染が広まるおそれがあるため、直接の接触をなるべく避けて、子どもが使用したものはできるだけ触らないようにしましょう。
とはいえ、保護者が子どもとの接触を避けることは難しいことです。子どものオムツ交換や、トイレを使った後、看病する前後には手洗いとうがいを徹底しましょう。
手足口病のウイルスはうんちのなかにも存在しており、治癒したあとも数週間は便の中に残っています。感染対策は継続して行いましょう。

大人が手足口病に感染したら?

手足口病は乳幼児が発症することの多い病気ですが、大人も発症するケースがあります。大人が手足口病を発症した場合の症状や治療法についてご紹介します。

症状が重症化しやすい

大人が手足口病を発症した場合、子どもに比べて重症化しやすいため注意が必要です。子どもの場合、発熱しても高温になるケースは少ないですが、大人の場合には40度近い高熱になることがあります。全身の筋肉痛や関節痛などの症状が現れる他、嘔吐や下痢、手足のしびれなどの症状を伴うこともあります。

大人が罹った時の治療

上述したとおり、手足口病に特別な治療や薬はありません。これは大人が罹っても同じです。大人の場合には、睡眠不足や疲労による抵抗力の低下が原因で発症することも多いため、ゆっくり休息をとることが大切です。医療機関を受診した際、発疹の痛みが強い場合には鎮痛剤や粘膜保護剤、かゆみがひどい場合にはかゆみ止めなどが処方される場合もあります。
痛みがおさまるまでには10日間ほど、発疹が消えるまでには2〜3週間ほどかかるため、子どものケースよりも完治までに倍の期間が必要になります。

手足口病の時におすすめの食事

手足口病は口内や唇に発疹ができるため、食事がとりづらくなります。発熱や喉の痛みを伴って飲み込むのがつらい場合もあります。ここでは、手足口病の時のおすすめの食事をご紹介します。

どんな食べ物が良い?

手足口病の時には、口内を刺激しないよう、できるだけ噛まずに飲み込める柔らかい食べ物がよいでしょう。
お豆腐やおかゆ、よく煮て柔らかくしたうどんなどがおすすめです。味付けも薄味にすると刺激が少なくて安心です。子どもの場合には、麺を小さくカットする、パンを牛乳に浸して柔らかくするなど、食べやすいように工夫してあげるとよいでしょう。
子どもが発熱や喉の痛みを伴っている場合、飲み込むのを嫌がり水分不足になるおそれもあります。こまめな水分摂取を意識して脱水症状とならないように注意しましょう。

どうしても食欲がない時におすすめの食べ物

手足口病では、口内の発疹や発熱により、食欲がない場合もあります。そのようなときは、ゼリーやヨーグルトなど噛まずに食べられるものや、バナナなどの柔らかくて簡単に食べられるものがおすすめです。
飲み物も、普段ならコップで飲めていても、発疹によって飲みづらくなっていることがあります、ストローを使うと飲みやすくなります。

避けたほうがいい食べ物

口内を刺激する食べ物は避けたほうがよいでしょう。たとえば、柑橘系などの酸っぱいものや、香辛料が効いた辛い食べもの、塩気の強いものは、発疹に刺激を与えてしまいます。熱い食べ物や冷たい食べ物も同じく刺激につながるため、避けるようにしましょう。

手足口病の時、歯磨きはどうする?

手足口病に感染すると、口の中にも水疱性の発疹ができます。粘膜にできた水疱は潰れやすく、潰れた後は口内炎になってしまうケースがあります。
口内に発疹があるときや、口内炎の痛みで歯磨きができない場合にどうすればよいのかをご紹介します。

口内炎にあたって痛むとき

口内の発疹や口内炎が治るまでは、無理をしていつも通り歯磨きをしないようにします。無理に歯磨きをして発疹を潰してしまうと、治るまでに長引いてしまうためです。基本的に歯磨きは食後に行うことがベストとされていますが、数日間であれば毎食後に歯磨きをしなくても虫歯になるリスクは大きく変わらないことが予想されます。

痛みがひどくない場合でも、発疹や口内炎ができている場合は、歯磨き粉をつけずに歯を磨きましょう。このとき、患部に触れないよう、歯を1本ずつ丁寧にブラッシングするのがおすすめです。
痛みがひどくて歯磨きができない場合には、刺激の少ないノンアルコールタイプのマウスウォッシュなどで口をゆすぐことで汚れを落とすようにしましょう。とくに、ゼリーなどの糖類が多く含まれたものを食べたあとには、口をゆすぐようにしましょう。
なお、唾液には口内の自浄作用や抗菌作用があり、口内環境を整える力があります。発疹や口内炎を早く治すためにも、ガムを噛んだり唾液腺マッサージを取り入れたりしつつ、こまめに水分補給も行うようにして、唾液の分泌を促すようにしましょう。

感染時の歯磨きに関する注意点

歯磨きで使用した歯ブラシやコップ、洗面台の消毒をしないと、他の家族に感染を広げてしまうおそれがあります。口につけるものは熱湯消毒し、洗面台などはアルコールスプレーなどで除菌をして拭き取ります。タオルは毎回消毒するのは大変なため、使い捨てのペーパータオルを使用するのもおすすめです。除菌に使ったものをゴミに出すときは、ゴミ袋を分けたり封を閉じたりしてウイルスの拡散対策をするようにしましょう。

まとめ~大人も感染するので注意しましょう~

手足口病が発症するのは、大半は乳幼児の子どもですが、大人でも原因ウイルスに感染して発症することがあります。子どもが発症した場合は発疹や発熱などの症状がありますが、高熱になることは少なく、発疹も1週間〜10日間で消えて治癒します。
一方、大人が発症してしまうと、症状が重くなるケースが多く、高熱を伴い発疹が消えるまでには2〜3週間ほどかかることが特徴です。
手足口病は夏場に乳幼児の間で流行することが多いので、小さな子どもを持つ家庭や子どもと触れ合う仕事に従事されている方は感染するおそれがあります。使用したものを共有しないようにしたり手洗いとうがいを徹底したりして、感染対策を心掛けましょう。

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