口臭が発生するのはなぜ? 代表的な原因と対策をわかりやすく解説

口臭が発生するのはなぜ? 代表的な原因と対策をわかりやすく解説

この記事では、口臭の原因と対策にわかりやすく解説します。

               
人との会話が楽しみなはずなのに、自分の口臭が気になった、そんな経験はありませんか?口臭は、誰しもが一度は悩んだことがある身近な悩みと言えるでしょう。この記事では、口臭の原因と、その原因に応じた具体的な対策について解説します。

口臭を引き起こす生理的原因と対策

口臭が引き起こす原因のうち、生理的な原因として挙げられるのは唾液の減少です。

唾液の減少

誰にでもよく起こるのが、生理的口臭です。これは主に唾液が減少することが原因で発生する口臭です。

唾液には自浄作用があり、口の中に分泌されることによって口臭を抑えています。唾液の分泌量が減少することで口の中の細菌が繁殖し、揮発性有機化合物が作られることが生理的口臭の原因です。硫黄のようなニオイや、ネギのようなニオイと表現されることもあります。

起床後や空腹時、緊張時などは唾液の分泌量が減るため、特に口臭が強くなりがちです。朝起きたときや緊張したときなど、口の中が乾いてネバネバするのが気になるという方も多いかもしれません。普段口呼吸をしている方は、口の中が乾燥しやすいので注意が必要です。

女性は生理や妊娠などでホルモンの変化によって、唾液が減少するため、口臭の原因になることもあります。

唾液の減少による口臭への対策

生理的口臭の予防策は、唾液を分泌させることと細菌の増殖を抑えることです。よく噛んで食事をすると筋肉が唾液腺を刺激して、唾液の分泌を促します。こまめに水分補給をして口内の乾燥を防いだり、ガムを噛んだりするのもおすすめです。さらには、歯磨きやうがいをして細菌の増殖を抑えるのも効果的です。

緊張している場合は、リラックスすると唾液が出やすくなります。自分の口臭が気になって不安に感じると、より口臭が強まる可能性があるため、なるべく気にしないように努めることも大事です。

口臭を引き起こす病的原因と対策

口臭を引き起こす病的原因は、むし歯、歯周病、鼻の病気などです。

日本口腔外科学会によれば、「病的口臭の90%以上は口の中にその原因があり、歯周病、むし歯(う蝕)、歯垢(しこう)「歯の周りに付く細菌の固まり」、歯石、舌苔(ぜったい)「舌の表面に付くコケ状の細菌の固まり」、唾液の減少、義歯(入れ歯)の清掃不良などがあげられます。」とされています。口臭を引き起こす病的原因と対策について詳しく見ていきましょう。

参考:口臭がひどい|口腔外科相談室|日本口腔外科学会

むし歯

むし歯が小さいうちはそれほどニオイがしませんが、進行してくると徐々にニオイは悪化します。むし歯により歯に穴が開くとそこに食べかすが詰まりやすくなり、菌が増殖するからです。

さらにむし歯が進行すると、歯の奥の歯髄にまで達し、歯髄炎となって神経や血管に影響が及びます。神経組織が腐敗するとガスが発生し、口臭はより強まります。

むし歯が歯の根元にまで達して、そこに膿が溜まることも口臭の原因です。歯ぐきから出る膿は腐敗臭を放ち、それが口臭となります。

歯周病

歯周病になると歯周ポケットができ、細菌の格好のすみかとなります。歯周病の原因となる細菌の中には、代謝の過程で嫌な口臭の原因であるメチルメルカプタンや硫化水素などの成分を発生するものがあります。

歯ぐきからよく出血する、歯ぐきがよく腫れる、歯がグラグラするなどの症状があれば、歯周病のおそれがあります。

むし歯や歯周病による口臭への対策

むし歯や歯周病が原因の場合、歯科医院で治療する必要があります。どちらも放っておいても良くなることはないうえ、セルフケアだけでは治せません。早いうちに歯科医院で治療しておくと、口臭がひどくなるのを防げます。痛みがないからといって放置せず、早めに受診するのがおすすめです。

むし歯により歯に穴が開いている場合の代表的な治療は、むし歯を取り除いて、必要に応じて詰め物を入れるというものです。歯周病の治療では、歯垢や歯石を除去し、歯周ポケットに溜まった汚れを落とします。

このようなむし歯や歯周病の治療をすることで、悪臭の原因を根本的に取り除けます。

舌苔(ぜったい)

舌苔とは、舌の表面に細菌が堆積して形成されるコケ状のものです。舌の表面にある凸凹に口内細菌が付着してできたもので、これが口臭を引き起こします。口臭が発生する原因で最も多いのが、舌苔から発生する口臭です。

舌苔ができる原因は、口内の乾燥や喫煙、飲酒などです。薄く舌苔があるのは正常な状態ですが、舌苔が分厚くなると細菌の温床となるので舌ブラシなどでケアする必要があります。

舌苔による口臭への対策

舌苔自体は病気ではないので、舌苔があるからといって治療する必要はありません。しかし、舌苔を取り除くことによって口臭の対策ができます。

舌苔を防ぐには、専用の舌ブラシを使って舌を清掃することが肝心です。シリコンタイプなど舌を傷つけにくいものを選び、力を入れずにやさしくこすって落としましょう。また、歯磨きをしっかりして口の中の細菌を減らしましょう。さらに、こまめに水分補給をして唾液の分泌を促すことで、細菌を洗い流しやすくできます。

また、飲酒や喫煙は口内細菌の増殖を促進するため、禁酒禁煙するのも効果的です。

鼻の奥の病気

口臭の原因になる病気というと、むし歯や歯周病のような「口の病気」をイメージするかもしれませんが、口以外の病気も口臭につながります。たとえば、鼻の奥とのどとの境目の鼻咽腔(びいんくう)疾患です。鼻から出た膿がのどへと流れる際、膿のニオイによって口臭を発生させます。

よく原因と言われている、胃や食道などの消化器官の病気によって口臭が出ることは稀です。胃食道逆流症(逆流性食道炎)で胃液や酸性ガスが口に上がってくることで、口臭が発生することはあります。

そのほかの病気

口臭につながるそのほかの病気は、糖尿・肝硬変・肝がんなどの代謝性疾患です。

糖尿病

生活習慣病である2型糖尿病になると、体はインスリンを十分に活用できなくなります。インスリンがうまく働かないと、細胞はエネルギー不足に陥り、代わりに脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとします。この脂肪の分解過程でアセトンが作られます。

ところが、アセトンの量が多すぎると血液中にあふれて息にもれ出し甘酸っぱいニオイをもたらします。また、糖尿病になると唾液の分泌量が減ってしまうことも口臭の一因となります。

肝機能の低下

肝臓の働きが低下すると正常時には分解される臭い物質のアンモニアが分解されずに血液に溶け込みます。これにより、アンモニア濃度が高くなった血液が肺に回り、呼気にアンモニアが多く混ざることも口臭の原因となります。肝臓の代謝機能が弱まるほど、口のアンモニア臭が強くなります。

また、肝機能が低下しているときに腸の働きが弱まった場合も、腸内の悪玉菌が増えることで、ニオイ物質が血液に溶け込みます。通常は肝臓で分解されるニオイ物質が分解されず、肺まで回って、呼気が臭くなります。

病気による口臭への対策

病気が原因である場合は、疾患の治療を行いましょう。

とはいえ、病気の症状は自分では気づきにくいものもあります。口臭が気になって歯科医院を受診し、そこで異常が発見されなければ全身の病気についても考慮しましょう。早めに対処するためにも、歯科医院を定期的に受診して口の中をチェックしてもらうことが大切です。

口臭を引き起こす原因となる行動・環境と対策

口臭は、口呼吸や食習慣、喫煙などの日常的な習慣によっても引き起こされます。

口呼吸

口呼吸をしていると、口内が乾燥しやすく唾液の分泌量も減少するため、口臭の原因となります。口呼吸による口臭はよくあることで、子どもの口臭の原因で一番多いのは口呼吸です。口の中が乾いていると細菌が増殖しやすいため、むし歯や歯周病にもつながります。

口呼吸が原因の口臭への対策

口呼吸から鼻呼吸にすることで、改善することができます。鼻呼吸に変えるために、口呼吸の原因を見極めることが大切です。

口呼吸の原因が鼻炎やアレルギーであれば、治療して鼻づまりを改善します。歯並びが原因の場合は、歯列矯正を検討してみましょう。寝るときに口が開いてしまう場合は、口にテープを貼って寝れば鼻呼吸をアシストできます。ガムを噛んで口回りのトレーニングをし、筋肉を鍛えるのも口を閉じた状態を保つのに効果的です。

ニンニクやアルコールの摂取

ニンニクやネギ、アルコール、栄養ドリンクなどニオイの原因となる飲食物が原因の場合もあります。口の中に残っているものから直接ニオイがすることもあれば、ニオイ物質が体内に吸収された後、血液により運ばれて肺に回り、呼気となることで口臭になることもあります。

ニンニクやアルコールなどによる口臭への対策

飲食物が原因の場合の口臭は食べた直後から数時間は強いニオイを発することがあります。ニンニクなどニオイが強い物を食べたいけれど、口臭が気になる場合は、口臭ケアに役立つ物を一緒にとるのがおすすめです。

ニンニクを食べる際は、牛乳を食前にコップ1杯程度飲んでおきましょう。ニンニクに含まれるアリインという成分がニオイを発生させる原因になります。牛乳に含まれるカゼインというたんぱく質が、アリインと結合しやすいため、アリインが分解されるのを防ぎニオイの発生を予防する効果が期待できます。食後に飲むのも期待できる効果の1つです。しかし、ニオイ予防の主な効果を得るには、食前に飲むことが重要です。

アルコールが原因の場合は、こまめに水を飲んだり、体内のニオイの原因物質に働きかけるサクロフィール錠を服用したりします。

このほか、口臭全般にはリンゴや緑茶も効果的です。リンゴに含まれるリンゴポリフェノールが、悪臭ガスであるメチルメルカプタンの生成を抑制します。リンゴは食後に食べるのがおすすめで、特にポリフェノールが多く含まれる皮ごと食べるとより効果的です。緑茶に含まれているカテキンには殺菌や消臭作用があるので、食事の前後に緑茶を飲むのが口臭予防におすすめです。

喫煙

タバコに含まれるタールやニコチン、二酸化炭素などが口臭の原因となります。

タバコのヤニ成分であるタールは、ネバネバするため口内に残りやすく、歯や歯ぐき、舌などに付くと、独特のヤニ臭さを発生させ口臭の最大の原因となります。また、ニコチンは唾液の分泌量を減少させるため、ドライマウスを引き起こします。唾液には口の中を洗浄し細菌の繁殖を抑える働きがあるため、ニコチンによって唾液が減ると、口臭が悪化しやすくなります。

喫煙による口臭への対策

喫煙による口臭を改善したいなら、最善は禁煙をすることです。喫煙は口内だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあります。まずは1日に吸うタバコの本数を減らしてみることから始めるのはいかがでしょうか。

また喫煙後は、歯磨きや舌磨き、うがいなどで口の中のネバネバを除去するのもおすすめです。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯にこびりつくタールを丁寧に落としましょう。

口臭ケアのタブレットやマウスウォッシュで口臭を和らげることもできますが、効果は一時的なものです。ただ、手軽にできる対策なので、タバコを吸った直後や歯磨きができないときなど、気になるタイミングで使うのがおすすめです。

ストレス

ストレスによって強い口臭が発生する場合もあります。緊張によって唾液の分泌量が減少すると、唾液の持つ洗浄作用や抗菌作用が弱まるためです。ストレスで自律神経の働きが低下し、胃が不調となり口臭がするケースもあります。

ストレスによる口臭への対策

ストレスが原因の口臭対策は、ストレスを解消することです。適度な運動をしたりゆっくりお風呂に入ったりして、リラックスできる時間を取りましょう。

意識的に唾液の分泌量を増やすことも効果的です。口内の乾燥を感じたらガムを噛み、食事をとるときはよく噛んで食べれば唾液の分泌を促せます。

漢方薬を取り入れるのもおすすめです。ストレスにより口内炎ができたり、口の中がネバネバとして口臭になったりしている場合は、水分を補う「麦門冬湯」で改善できます。ストレスで胸やけや胃の痛みがあり、口臭につながっているときは「竜胆瀉肝湯」を試してみましょう。

口臭を引き起こす心理的原因と対策

最後に、心理的原因が口臭を引き起こしている場合の原因と対策を見てみましょう。

口臭恐怖症

口臭恐怖症とは、実際は強い口臭がないにもかかわらず「強い口臭がある」と本人が強く思い込んでしまい、日常生活に影響が出ている状態です。口臭を気にして人とうまく話せなくなったり、対人恐怖症にまで発展したりする場合もあります。

口臭恐怖症になりやすいのは、過去に口臭を人から指摘されたことがある人や、こころの病が隠れている人などです。過度に口臭を気にしてストレスを感じるあまり、唾液の分泌量が減少するという悪循環に陥ることも多いです。

口臭恐怖症への対処法

むし歯や歯周病、舌苔がなくても口臭がするのなら、これまで挙げてきたような、時間帯による唾液の減少や口呼吸、喫煙などのせいではないか確認してみましょう。思い当たる原因がないのに口臭に悩んでしまう場合は、自己判断せずに歯科医院で検診を受けるのがおすすめです。歯科医院で特に異常が見つからなければ、ほかの病気についても相談しましょう。

第三者にはわからない口臭が、本人はあると強く思い込んでいることもあります。それが歯科医院で客観的に認められれば、精神科や心療内科での治療を検討する必要があるかもしれません。保険適用になるかどうかは症例によって異なります。自費での治療になる可能性もあるので、事前に医療機関に確認することをおすすめします。

口臭のさまざまな原因を確認し、適切な対策をとりましょう

舌苔、むし歯、歯周病、消化器系の病気など、口臭の原因はさまざまです。口臭が実際にあるかどうかや、その原因は、自分ではなかなか判断しにくいものです。口臭で周囲の人に不快な思いをさせていないか気になったら、ぜひ一度歯科医院で相談してみましょう。

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