その口臭、実は歯周病が原因?口臭対策とセルフチェックの方法を解説

その口臭、実は歯周病が原因?口臭対策とセルフチェックの方法を解説

(2024年4月16日公開)
自分の口臭が気になった経験はありませんか?実はそのニオイは歯周病が原因かもしれません。根本的には、歯周病を治す必要がありますが、まずこの口臭を何とかしたい!と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで、このコラムでは、歯周病による口臭の特徴と、口臭をセルフチェックする方法、一時的に口臭を防ぐ対策を解説します。

               

歯周病とは

歯周病とは、歯と歯ぐきの間に侵入した細菌が原因で発生する疾患です。初期には歯ぐきの腫れなどの炎症が見られますが、痛みは少ないため自覚症状がないこともあります。

しかし、歯周病を治さず放置したままにしておくと、歯ぐきから血や膿が出てきて、歯を支える骨が徐々に破壊されていきます。最終的には歯が抜け落ちるおそれもあり、決して軽視できるものではありません。歯周病にはその他にもさまざまな弊害がありますが、その代表例の1つに口臭の問題があります。

歯周病についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

歯周病による口臭の特徴

一口に口臭と言っても、その原因やニオイにはさまざまな種類があります。歯周病による口臭は、揮発性硫黄化合物と呼ばれるガスが主な原因となります。揮発性硫黄化合物にはいくつかの種類があり、その1つである「メチルメルカプタン」は、「腐ったタマネギのようなニオイ」と表現されるニオイが特徴です。この物質は単に悪臭を出すだけでなく、毒性が強いため、歯周病を悪化させてしまいます。

歯周病によって発生する揮発性硫黄化合物には、他にも「硫化水素」や「ジメチルサルファイド」という物質もあり、これらも悪臭の原因です。硫化水素は「腐った卵のようなニオイ」、ジメチルサルファイドは「生ごみのようなニオイ」と表現されます。こうした複数種類の悪臭が混ざり合って、歯周病特有の嫌な口臭が形成されています。

Q「腐ったタマネギのようなニオイ」や「腐った卵のようなニオイ」って何?

「腐ったタマネギのようなニオイ」や「腐った卵のようなニオイ」という表現は分かりにくい方も多いのではないでしょうか。これらは、都市ガスや市販ガス管などからする安全対策のために付臭剤として活用されています。ですので、ガスコンロからガスボンベを抜いた際にするニオイです。また、「腐った卵のようなニオイ」は、温泉からもするニオイのことです。

歯周病で口臭が起こる仕組み

歯周病によって口臭の原因となる揮発性硫黄化合物ができるメカニズムは、「歯周病菌によるタンパク質の分解」と「歯槽膿漏による膿」の2つに大別できます。それぞれの仕組みは以下のとおりです。

歯周病菌によるタンパク質の分解

歯周病を引き起こす菌は、口内に残る食べカスなどのタンパク質を分解します。このタンパク質には、「システイン」や「メチオニン」といった硫黄を含むアミノ酸が含まれています。これらのアミノ酸自体は悪臭を発しません。

問題なのはこれらのアミノ酸がさらに歯周病菌によって分解される際に、「メチルメルカプタン」「硫化水素」「ジメチルサルファイド」といった揮発性硫黄化合物、つまり一種のガスが発生することです。先述したとおり、これらのガスはそれぞれに悪臭を放ち、歯周病特有の嫌なニオイを形成します。

歯槽膿漏による膿

歯周病が進行すると、歯ぐきから膿が出る「歯槽膿漏」を発症します。歯槽膿漏では、歯ぐきや歯を支える骨などの歯周組織が細菌に感染します。そして壊れた歯周組織や死んだ細菌、白血球などのタンパク質を多く含む膿が出てきます。この膿の中のタンパク質を口内細菌が分解し、悪臭の原因となるガス、揮発性硫黄化合物が発生します。

また、歯槽膿漏になると歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が歯周病の初期よりも深くなります。すると歯ブラシが歯周ポケットの奥まで届かなくなり、歯磨きで口内を清潔に保つのが難しくなります。そうなると、歯周病菌はさらに繁殖しやすくなり、口臭の原因となるガスの量が増えてニオイがさらに強くなります。

歯周病の口臭は自分でわかる! セルフチェックの方法

歯周病の口臭について理解を深めたところで気になってくるのが、「実際に自分がそんなに嫌なニオイを発しているのか」ということではないでしょうか。実は、自分の口臭を自分で感じることは難しいです。なぜなら、自分の鼻は、普段から自分の口臭に曝されているため、ニオイに慣れてしまっているからです。

とはいえ、他者に自分の口臭を確かめてもらうのは抵抗があります。そこで、歯周病による口臭の有無を自分で確認するセルフチェック方法をいくつかご紹介します。

袋や紙コップに息を吹き込んで嗅ぐ

自分の口臭を確認する手軽な方法としては、コップやビニール袋を使用する方法があります。この方法は、息を吹き込んだ後にその容器をすぐに閉じ、数秒待ってから再びニオイを嗅ぐというものです。

使用する紙コップや袋自体が強いニオイを発していると自分の口臭がわからなくなってしまうので、基本的に未使用で、なるべく清潔かつ無臭のものを選ぶようにしましょう。また、寝起き直後は歯周病とは関係なしに口臭が強くなりやすいので、日中など平常時の状態で確かめることをおすすめします。

唾液のニオイを嗅ぐ

唾液も口臭に大きな影響を与えるので、そのニオイを確認するのも有効な方法です。口内で細菌がタンパク質を分解して悪臭の原因となるガスを発生させると、唾液も臭くなります。唾液のニオイの確認方法としては、舌の上や歯と歯ぐきの間などを指でなぞり、指に付着した唾液のニオイを嗅ぐというものがあります。

特に口内が乾燥した際に嫌なニオイが出ているおそれがあります。なお、舌を指でなぞる場合は、舌を傷つけないように優しく行いましょう。他の方法と違って特に道具を用意する必要もないので、口臭が気になっている方はぜひ試してみましょう。

市販の口臭測定器を使用する

先にご紹介した2つの方法は「自分で自分のニオイを嗅ぐ」方法です。この方法だと、ニオイがわかりにくいこともあります。嗅覚には、普段から嗅ぎ慣れているニオイに対して鈍感になってしまうという性質があるからです。もしニオイを嗅ぐだけでわからない場合は、市販の口臭測定器を使用することも検討しましょう。

この測定器は、息を吹きかけることでメチルメルカプタンや硫化水素、ジメチルサルファイドなどの揮発性硫黄化合物を検出し、口臭の程度を数値化します。簡易的なものであれば数千円程度で購入可能であり、ドラッグストアや家電量販店、ネットショッピングなどで入手できます。

ただし、口臭測定器を使用する場合も、タイミングや状況によっては、正確な数値を得られません。特に、喫煙後や歯磨きの直後には、タバコや歯磨き粉の香りが測定データを乱してしまいやすいので注意が必要です。測定器の精度自体もまちまちなので、他の方法と併せて参考程度に留めましょう。

歯周病による口臭は根本治療が必要! 一時的に抑える方法はある?

歯周病に起因する口臭を根本的に解決するためには、ニオイの大元になっている歯周病自体への治療が必要になります。つまり、歯周病による口臭を治したいなら、歯科医院でしっかり治療を受けるのが最善です。

とはいえ、仕事や私生活が忙しいなどの理由で、すぐには歯科医院で受診できない方も多いのではないでしょうか。そこで以下では、歯科医院で治療するまでの一時的な対処法として役立つ口臭対策をご紹介します。

キシリトール入りのガムを噛む

対策の1つは、キシリトール入りのガムを噛むことです。ガムを噛む行為は唾液の分泌を促進するため、口臭対策になります。唾液には口内を潤してキレイに保つ自浄作用があるからです。寝起きに口臭が気になるのも、睡眠中に唾液の分泌が抑制されて口内が乾燥するためです。

加えて、キシリトールには歯周病菌の活動を抑制したり、口内の酸を中和したりする効果があります。そのため、キシリトールを含有したガムを噛むことで、「ガムを噛んで唾液を分泌する効果」と「キシリトールによる効果」を相乗的に得ることができます。実際、ある研究者グループは、キシリトール入りのガムに歯垢形成を抑制したり、口臭を抑えたりする効果があることを発表しています。
ただし、キシリトールガムを選ぶ際には、砂糖などを使用していない商品を選ぶように気をつけましょう。砂糖は細菌の餌になりやすく、歯周病やむし歯を進行させ、口臭悪化の原因になります。

市販のキシリトール入りのガムには、実際には少量しかキシリトールを配合していない商品があります。歯周病対策でキシリトール入りのガムを購入する際は、成分表をしっかり確認し、甘味料としてキシリトールが100%使用されているガムを選ぶことをおすすめします。キシリトールを高配合したガムは歯科医院やドラッグストア、大手通販サイトなどで販売しています。

カテキンを摂取する

緑茶などを飲んで、カテキンを摂取するのも口臭対策に役立ちます。カテキンの消臭効果は強く、消臭剤の主成分の1つとしてよく使われているほどです。カテキンは、揮発性硫黄化合物などの口臭の原因物質と結合し、消臭する効果があります。
カテキンを多く含む飲料の代表例としては、緑茶、紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶、番茶などが挙げられます。なかでも、 糖分を含まないお茶を摂取するのが、むし歯の予防にもつながります。

また、緑茶には、エピガロカテキンガレート(EGCG)というカテキンが含まれており、強い抗菌作用があります。このため、口臭対策はもちろん、むし歯菌や歯周病菌の増殖を抑える効果が期待できます。

マウスウォッシュで口をゆすぐ

一時的に口臭を軽減するためには、マウスウォッシュの使用も有効です。そもそも口をゆすぐ行為には、歯周病菌の餌となる食べカスを洗い流す効果があります。

加えて、マウスウォッシュには、トリクロサン(TC)、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム(CPC)など、口臭の原因となる細菌を殺菌する効果のある成分が含まれています。また、同様に含まれている亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、塩化亜鉛などは、悪臭の原因となるガス、揮発性硫黄化合物の発生を抑制する効果のある成分です。

ただし、殺菌作用が強いマウスウォッシュの頻繁な使用は、必要な菌も殺菌してしまうため、かえって口内環境を悪化させるおそれがあるため注意しましょう。また、アルコール分が強いマウスウォッシュは口内を乾燥させ、口臭が悪化するおそれもあります。そのため、マウスウォッシュを使用する際は、成分や適切な利用頻度をしっかり確認するようにしましょう。

<歯科衛生士さん3名からマウスウォッシュに含まれるおすすめの成分について伺いました。こちらも参考にしてみてください。>  

まとめ:歯周病による口臭を治したいなら、歯科医院を受診しましょう

歯周病は悪臭を発する原因物質を発生させ、口臭の原因となります。口臭の抑制にはキシリトール入りのガムを噛んだり、カテキンを摂取したりすることが役立ちますが、これらはあくまで一時的な対処方法です。歯周病に起因する口臭を根本的に消すためには、早めに歯科医院で治療を受けるようにしましょう。

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