ガムを噛む効果・メリットは? 体にいいガムの選び方も解説

ガムを噛む効果・メリットは? 体にいいガムの選び方も解説

(2023年9月29日公開)
「ガムを噛む」ことには、むし歯の予防、口臭の軽減、ストレスの緩和、フェイスラインの引き上げなど、多くの効果・メリットがあります。しかし、ガムの選び方や噛み方によってデメリットもあります。例えば、砂糖を含むガムはむし歯の原因になります。長い時間噛んでいたり、強い力で噛んだりすると歯の詰め物が損傷する原因となります。本記事では、ガムを噛むことのメリットとデメリット、体にいいガムの選び方や効果的なガムの噛み方について解説します。

               

体にいいガムとは?

ガムには、板ガム、粒ガム、風船ガムなどさまざまな種類があります。ミント系やフルーツ系などフレーバーも豊富です。また、ガムの種類によって含まれる化学調味料や添加物も異なります。そのため、体への効果を求める場合は、ガムの成分を確認しましょう。特に、砂糖が含まれているガムはむし歯の原因になるため、「体にいいガム」としてはおすすめできません。ガムの選び方については後述します。

ガムを噛むことで得られる4つの効果・メリット

ガムを噛むことで、むし歯や歯周病の予防、口臭の軽減、ストレスの緩和、フェイスラインの引き上げという4つの効果・メリットがあります。それぞれを詳しく解説します。

むし歯や歯周病の予防につながる

ガムを噛むと唾液の分泌が促され、むし歯の予防につながります。唾液には、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)や食べカスを取り除く自浄作用があるためです。また、唾液の質には、ストレスを感じた時に分泌されるネバネバした唾液と、食べ物を口に入れたりリラックスしている時に分泌されるサラサラした唾液の2種類があります。ガムを噛むとさらさらした唾液の分泌が促されます。自浄作用がある唾液は、サラサラした唾液です。そのため、ガムを噛むことで分泌を促し、歯の表面が清潔に保たれ、むし歯や歯周病の予防に効果があります。

また、食後、口内はむし歯の原因となるミュータンス菌の影響によって酸性になりますが、唾液には酸性を中和する緩衝作用や、酸によって溶け出したエナメル質を修復する再石灰化作用もあります。
キシリトールが配合されたガムなら、よりむし歯や歯周病の予防に効果的です。キシリトールは砂糖と同じくらいの甘みを持つ天然素材の甘味料です。むし歯はミュータンス菌が糖分を分解して酸を生成することが発生要因のひとつですが、キシリトールにはミュータンス菌を減らす効果があります。また、プラークを形成している初期の段階を抑える効果もあるため、歯周病の予防にも効果があります。

口臭が軽減・予防する

口臭の主な原因は、口内が乾燥することによって細菌が増殖することです。ガムを噛むとさらさらした唾液の分泌量が増えます。口内がネバネバした唾液になっていると、納豆の臭いになるムチンという成分が含まれているため口臭の原因になります。ガムを噛むことで、さらさらした唾液が分泌されるようになるため、口臭を抑えることができます。そして、自浄作用により口内が洗浄されることで口臭を軽減することができます。また、唾液の分泌やキシリトールは、歯周病予防につながるため、歯周病により発生する口臭を予防できます。
舌苔(ぜったい)も口臭の原因です。舌苔とは舌の表面にできる白い苔状の汚れで、細菌がこの汚れに含まれるタンパク質を分解することによって口臭が発生します。ガムを舌の上で軽く転がし続けながら噛むと、舌苔を取り除くのに効果的です。
また、ガムには香料が含まれていることが多く、一時的ではありますが、香料が口臭をカバーする役割をしてくれます。

ストレスの緩和につながる

ガムを噛むことはストレスの緩和にもつながります。ガムを噛むときのリズム運動は、セロトニンという神経伝達物質の分泌を促し、緊張をほぐす効果があります。スポーツ選手が試合中にガムを噛んでいるのは、ガムを噛むことで得られるリラックス効果で、緊張や興奮を落ち着かせていると考えられます。
ロッテが医師と行った共同研究では、ガム咀嚼の継続が、自律神経バランスの改善やネガティブな気分状態の改善、唾液中の免疫成分濃度の増加に効果があることが明らかになっています。

フェイスラインが引き上がる

ガムを噛むことで、顎やほほの筋肉が鍛えられ、フェイスラインが引き上がるのもメリットです。ガムを噛むことで咀嚼筋が鍛えられ、顎やほほ、口周りのたるみが改善し、顎周りのシェイプアップにつながります。
フェイスラインのたるみは悩みでありながらも、時間の確保が難しい、コストがかかるなどの理由で対策やケアができていない方も少なくありません。ガムを噛むことなら時間がなくても「ながら」でできるので、時間やコストを心配する必要もありません。

ガムを噛むデメリット

ガムを噛むことにはメリットだけでなくデメリットもあります。三つのデメリットについて詳しく解説します。

歯の詰め物が損傷する可能性がある

むし歯の治療等で詰め物や被せ物がある方は、硬いガムを噛んだり過度な力を入れて噛んだりした場合、詰め物や被せ物が壊れてしまうことがあります。また、詰め物や被せ物をしている歯でガムを噛むと、ガムにくっついて損傷するおそれがあります。詰め物や被せ物が取れたり壊れたりしたときは、むし歯が再発する前に歯科医院を受診しましょう。

長時間噛み過ぎると顎が疲労する

長時間にわたってガムを噛むと、顎が疲労し、顎関節や筋肉に痛みが出る恐れがあります。この痛みは顎関節症の症状のひとつです。ガムを1日のうちに何回も、強く噛み過ぎることが習慣になっている場合、症状が悪化して顎関節障害や咬合不良を引き起こしたり、顔が歪んだりする危険性もあります。

ガムに含まれる砂糖がむし歯の原因になる

ガムを噛むと唾液の分泌量が増え、むし歯を予防する効果があると前述しましたが、砂糖が含まれているガムの場合は逆効果です。砂糖が含まれているガムを摂取すると、口内に糖がある状態が続きむし歯のリスクが高まるため、注意が必要です。できれば砂糖を含まないガムを選びましょう。

体にいいガムの選び方

体にいいガムを選ぶときは、どのような成分が配合されているかを確認する必要があります。ちなみに、板ガムや粒ガムなど、ガムにはさまざまな形がありますが、形が違っても効果に違いが出ることはありません。体にいいガムを選ぶときに確認すべきポイントを解説します。

シュガーフリーのガムかどうかを確認する

まず、砂糖が含まれていないかどうかを確認しましょう。砂糖はむし歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、健康のリスクを高める原因にもなります。砂糖を含まないシュガーフリーのガムなら、歯の健康を保ちながらガムを楽しめます。
注意点は、「砂糖不使用」と表記されていても、砂糖以外の糖が含まれている場合があることです。「シュガーレス」や「ノンシュガー」という表記も砂糖を使っていないことを意味しますが、代わりにブドウ糖や水あめなどが含まれていると、むし歯や歯周病のリスクがあります。
「レス」「ノン」「無」「ゼロ」という表記の場合、基準値が食品・飲料100 g中の含有量が0.5未満とされています。そのため、基準値以下の糖質量であればこのような表現をしても良いことになっています。こうした表記の製品には、基準値以下の糖質が含まれている場合があるということを知っておきましょう。

キシリトール入りのものを選ぶ

次に、キシリトールが甘味料として50%以上配合されているかを確認しましょう。キシリトールは砂糖の代わりに甘みを付けるために使われる代表的な人工甘味料で、むし歯を予防する効果があります。歯科医院で販売されているガムはキシリトールが甘味料として100%配合されているものもあるため、歯科医院で購入するののもおすすめです。キシリトール以外に、ソルビトールという甘味料もあります。キシリトールほどではないですが、むし歯予防の効果があります。
キシリトールやその効果、子どもへ与えるときの注意点などを、こちらの記事で紹介していますので参考にしてみてください。
キシリトール以外の人工甘味料について紹介している記事もございますので参考にしてみてください。

アレルギー物質が含まれていないかチェックする

食物アレルギーのある方は、アレルギー物質の確認も必要です。なぜなら、ガムに含まれるキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの甘味料がアレルギーを引き起こすこともあるからです。
ほかにも、天然ゴムが原因となってアレルギー症状が出るラテックスアレルギーの方も注意が必要です。ガムのベースには天然ゴムの木であるサポジラやクワガタノキの樹液が使われていることがあります。含有率は低いため、アレルギー症状が出るのは稀ですが、心配な方はアレルギーの原因となる物質が使用されていないガムを選ぶと安心です。

効果的なガムの噛み方

ガムは正しく噛むことで、むし歯予防や口臭予防の効果が出やすくなります。ガムを噛むのに効果的な時間やタイミングを解説します。

ガムを噛む時間は15分程度

ガムは味がなくなってもからも噛むようにしましょう。その時に、分泌された唾液がまんべんなく口内に広がるように意識して噛みましょう。特にキシリトールが含まれたガムの場合、成分が溶けた唾液が歯に浸透することによってむし歯予防の効果が出るため、少し噛んだだけですぐに吐き出してしまうとその効果が得られません。
おすすめの噛む時間は15分程度です。あまりに長時間噛み続けると、歯のエナメル質を壊してしまうリスクがあるため、噛みすぎには注意しましょう。キシリトールを含まないガムであっても、15分程度噛むことによって脳が活性化します。車を運転する前や勉強の前に噛むと、集中力向上やストレス緩和などの効果が期待できます。

ガムを噛むタイミングは食後がおすすめ

ガムは、食後5~15分の間に噛むと、むし歯予防や口臭予防に効果的です。効果があるといっても一度に多くの摂取するのではなく、1日のなかで数回に分けて摂取するのがポイントです。
摂取量は粒ガムで1日4~7粒以内にし、毎食後、毎日継続して噛むのがおすすめです。キシリトール配合率が100%で砂糖をまったく含まないガムであれば、歯磨き後や就寝前に噛んでも問題ありません。食後に限らず、ストレスを感じたときに噛むのも良いでしょう。また、1日に数回ガムを噛むことはフェイスラインのたるみ解消にもつながります。

ガムのほかにタブレットもおすすめ

むし歯や歯周病、口臭の予防にはガムのほかにタブレットもおすすめです。タブレットには口臭をカバーするもの、口内の細菌を調整するもの、舌苔を取り除くものなどさまざまな種類があるため、目的にあわせて選ぶのがポイントです。ミントや香料が含まれたタブレットは一時てきな口臭対策になり、キシリトール入りのタブレットはむし歯や歯周病の予防に効果的です。生きた乳酸菌LS1を凝縮し、歯周病菌の活動を抑制してくれるタブレットもあります。
タブレットは、歯の治療中や仕事中でガムを噛めないときや忙しいときでも気軽に舐められます。ゴミが出ないので外出するときにも便利です。また、ガムを飲み込んでしまう恐れのある子どもにも安心して食べさせられます。

ガムの効果を賢く日常に取り入れましょう

ガムを噛むと唾液が分泌され、むし歯の予防に効果的ですが、砂糖が含まれたガムはむし歯の原因になる恐れがあります。むし歯を予防するには、キシリトールが50%以上含まれたガムやシュガーフリーのガムがおすすめです。体にいいガムを選び、15分程度噛むようにしましょう。

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