人工甘味料は、砂糖の代替品として多くの食品に使われています。甘味だけでなく、低カロリーであったりむし歯予防の効果が期待できたりするなど、多くのメリットがあることが知られています。
化学的に作られているため、その使用に健康面での不安を感じる方もいますが、多くの人工甘味料は適切な摂取量であれば健康被害はないと報告されています。一方で、過剰に摂取するによるマイナス面も示唆されています。
この記事では、人工甘味料の種類や、そのメリット・デメリットについてご紹介をします。
化学的に作られているため、その使用に健康面での不安を感じる方もいますが、多くの人工甘味料は適切な摂取量であれば健康被害はないと報告されています。一方で、過剰に摂取するによるマイナス面も示唆されています。
この記事では、人工甘味料の種類や、そのメリット・デメリットについてご紹介をします。
甘味料とは?
甘味料とは、食品に甘味を付けることを目的としたものです。甘味料の分類は基本的に「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の大きく2種類に分類されます。
「糖質」とは、炭水化物のうち食物繊維を除いたものの総称です。そのため、砂糖のようにとても甘いものに加えて、デンプンなども糖質に入ります。
下の図は「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」のさらに細かい分類を示しています。
「糖質」とは、炭水化物のうち食物繊維を除いたものの総称です。そのため、砂糖のようにとても甘いものに加えて、デンプンなども糖質に入ります。
下の図は「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」のさらに細かい分類を示しています。
糖質系甘味料とは
糖質系甘味料とは、糖質に分類される甘味料です。最も良く使われる砂糖をはじめ、砂糖の代替甘味料として用いられるでんぷん由来の糖、糖アルコール、その他の糖に分類されます。この内、糖アルコールが人工甘味料にあたります。
糖アルコールは、元々自然に存在する糖質を原料にして作られます。例えばキシリトールの場合は、シラカバやカシノキに含まれるキシランから作られています。食品に良く使われる糖アルコールには、キシリトール、ソルビトール、トレハロースなどがあります。特にキシリトールはむし歯予防に良いとされています。
糖アルコールは、元々自然に存在する糖質を原料にして作られます。例えばキシリトールの場合は、シラカバやカシノキに含まれるキシランから作られています。食品に良く使われる糖アルコールには、キシリトール、ソルビトール、トレハロースなどがあります。特にキシリトールはむし歯予防に良いとされています。
非糖質系甘味料とは
非糖質系の甘味料にも、天然甘味料と人工甘味料に分類されるものがあります。
(非糖質系)天然甘味料
植物の葉や果実などから抽出した糖質以外の成分の甘味料です。
(非糖質系)人工甘味料
化学合成によって作られた甘味料です。砂糖の数十倍~数百倍の甘味度があります。
※甘味度について
甘味度とは、砂糖の主成分であるショ糖を基準として甘味料の甘味の強さを評価したものです。評価対象の甘味料とショ糖の両方を試験担当者が舐め比べて、ショ糖の甘さを1とした場合に評価対象の甘味料がどれくらい甘いのかを数値化します。規定濃度のショ糖が含まれる水溶液と同じ甘さになるよう、甘味料水溶液の濃度を調整します。この濃度が薄いほど甘味度が強いことになります。
甘味度とは、砂糖の主成分であるショ糖を基準として甘味料の甘味の強さを評価したものです。評価対象の甘味料とショ糖の両方を試験担当者が舐め比べて、ショ糖の甘さを1とした場合に評価対象の甘味料がどれくらい甘いのかを数値化します。規定濃度のショ糖が含まれる水溶液と同じ甘さになるよう、甘味料水溶液の濃度を調整します。この濃度が薄いほど甘味度が強いことになります。
人工甘味料と天然甘味料の違い
「糖質系甘味料」にも「非糖質系甘味料」にもそれぞれ人工甘味料があります。人工甘味料は、植物などの原料から抽出した成分に、さらに化学合成の過程も加えることで製造される甘味料です。
天然に存在しても人工?
糖アルコールの一つであるキシリトールは、もともと天然にも存在している成分であり、イチゴなどに含まれています。しかし、食品に使われているキシリトールは、シラカバなどから抽出した「キシラン」という糖質を化学的に分解して製造されています。そのため、人工甘味料に分類されています。
合成していないから天然
砂糖も、製造自体は工業的に行われています。しかし、砂糖はカブのような形をした「甜菜」(テンサイ)に含まれているショ糖を濃縮・精製したものであり、別の成分から新たな成分を合成していません。そのため、工業的に製造していても天然甘味料に分類されます。
人工甘味料のメリット
人工甘味料の安全性に不安を感じる方もいると思います。ですが、適切に使うことでメリットもあります。ここでは、人工甘味料を使うメリットを紹介します。
むし歯になりにくい
むし歯菌は、砂糖に含まれるショ糖を消化することで、エナメル質を溶かす酸を作りだします。このことから、砂糖はむし歯の原因の一つとされています。そこで、砂糖の代わりに人工甘味料を使用することで、むし歯菌が酸を産生する材料をなくして甘味を出すことができます。むし歯予防の代表的な甘味料としてはキシリトールやソルビトールが良く知られています。むし歯になりにくい機能を持ったガムや歯磨き粉などに良く使われます。
太りにくい
糖アルコールなどの一部の人工甘味料は、ショ糖などと異なり、体内で消化されにくい性質があります。そのため、摂取したときに体内に取り込まれるカロリーが少なくなります。また、アスパルテームやアセスルファムKなどの人工甘味料は、砂糖の数百倍と非常に高い甘味度があります。そのため、同じ甘味を感じるために使用する料を少なくできるため、カロリー摂取を抑えることができます。
過剰に摂取して消費しきれなかったカロリーは脂肪として体内に蓄えられるため、カロリー摂取を抑えることで太りにくくなります。
ただし、体内で消化されにくいものについては、多量に摂取するとお腹が緩くなる場合があります。そのため、過剰摂取にならないよう、注意が必要です。
過剰に摂取して消費しきれなかったカロリーは脂肪として体内に蓄えられるため、カロリー摂取を抑えることで太りにくくなります。
ただし、体内で消化されにくいものについては、多量に摂取するとお腹が緩くなる場合があります。そのため、過剰摂取にならないよう、注意が必要です。
血糖値が上がりにくい
砂糖を摂取すると、消化管で分解されてブドウ糖になり、小腸で体内に吸収されて血糖値を上げます。血糖値が上がると、これに反応して膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値が元に戻ります。過剰に砂糖を摂取すると、膵臓が大量のインスリンを分泌することになり、膵臓への負担が増えてしまい、糖尿病を発症しやすくなります。
一方で人工甘味料は、分解されてもブドウ糖にならないため、血糖値が上昇せず、過剰なインスリン分泌で膵臓に負担をかけることもありません。
一方で人工甘味料は、分解されてもブドウ糖にならないため、血糖値が上昇せず、過剰なインスリン分泌で膵臓に負担をかけることもありません。
危険?人工甘味料を使うデメリット
むし歯予防やダイエットの効果がある人工甘味料ですが、摂り過ぎることによる悪い影響も報告されています。
甘さに鈍くなる
先述の通り、アスパルテームなどの非糖質系の人工甘味料は、砂糖の数百倍の甘味度があります。この強い甘味に慣れてしまうことで、甘味に対する感覚が鈍くなってしまうおそれがあります。
<参考リンク>
人工甘味料と糖代謝(独立行政法人農畜産業振興機構)
人工甘味料と糖代謝(独立行政法人農畜産業振興機構)
腸内環境の悪化
人工甘味料は、小腸では消化・吸収されずに大腸まで届きます。このことから、過剰摂取による腸内環境への影響についても危惧されています。非糖質系人工甘味料の一種であるサッカリンをマウスに与えたところ、腸内環境が変化し、その影響により血糖値の異常を引き起こしたという報告があります。
<参考リンク>
人工甘味料と糖代謝(独立行政法人農畜産業振興機構)
人工甘味料と糖代謝(独立行政法人農畜産業振興機構)
人工甘味料を上手に活用するポイント
人口甘味料は、メリット・デメリットを理解して上手に活用することで、カロリー摂取量や血糖値の上昇を低く抑えたり、むし歯になりにくい口内環境にしたりする効果が期待できます。ここでは、人工甘味料を上手に活用する上でのポイントをご紹介します。
キシリトールを使う
特にむし歯予防に効果があるとされる人工甘味料はキシリトールです。これには2つの理由があります。
酸を産生しない
先述の通り、キシリトールは酸を作る材料とならないため、むし歯の原因となる口内の酸性化を避けられます。
ミュータンス菌の活動を弱める
キシリトールには、菌が持つ酵素の活性を弱める作用もあります。そのため、むし歯の原因になるミュータンス菌の活動を弱める働きがあります。
1日の摂取量を守る
人工甘味料を摂取しているからといってすぐに体調に影響が出ることはありません。しかし、様々な研究により、過剰に摂取していると体に悪い影響が出るという報告もあります。そのため、適切な量で摂取を行うことが大切です。
<(抜粋)人工甘味料の一日摂取許容量>
人工甘味料の種類 | 一日摂取許容量(mg/kg体重/日) |
アスパルテーム | 0~40 |
アセスルファムK | 0~1.5 |
スクラロース | 0~1.5 |
まとめ 特徴を理解して賢く利用しましょう!
人工甘味料は、砂糖の代わりに使用することでカロリーや糖質の摂取量を抑えられるため、ダイエットやむし歯予防の効果が期待できます。しかし、摂り過ぎた場合のリスクについても報告があります。基本的には、国の機関によって安全性の評価がされている摂取量の範囲を守り、摂り過ぎに注意して健康に役立てましょう。