牛乳でむし歯になる?牛乳の効果や注意点を徹底解説

牛乳でむし歯になる?牛乳の効果や注意点を徹底解説

(2024年3月6日公開)
牛乳は一般的に健康に良いイメージがありますが、ほのかな甘みがあることで、むし歯の原因になるのでは?と心配する方もいるようです。本記事では、牛乳はむし歯の原因になるのかをはじめ、歯の健康に与える影響について解説します。

               

牛乳とむし歯の関係は?歯に良い効果はある?

牛乳の甘みの元である乳糖は、口内で細菌の餌となるので、むし歯を引き起こすリスクはあります。牛乳を飲んだら、寝る前は必ず歯を磨くことが大切です。

ただし、牛乳にはカルシウムやカゼインといった歯の健康に役立つ成分が豊富に含まれています。そのため、むし歯予防のためにも、しっかり歯を磨くという前提で、積極的に牛乳を取り入れるのが効果的です。以下で、牛乳がむし歯予防につながる仕組みを詳しく紹介します。

牛乳はむし歯予防になる?その理由は再石灰化の促進

牛乳に含まれる成分の中でも、特にむし歯予防効果が期待されるのが、牛乳に含まれるタンパク質の8割を占める「カゼイン」です。カゼインには、エナメル質の再石灰化を促進する効果があり、むし歯予防にも効果が期待できます。

エナメル質とは、歯の最も外側の硬い部分で、カルシウムなどのミネラルで構成されています。口内が酸性に傾くと、このエナメル質からミネラルが溶け出す脱灰が起こり、むし歯へと繋がります。一方で、唾液には酸を中和する効果があり、一度溶け出したミネラルは唾液の作用によって歯に戻っていき、エナメル質が修復されます。この作用が再石灰化です。

牛乳に含まれるカゼインには、エナメル質が溶ける脱灰を弱めて、さらに再石灰化を促進する、2つの効果を持ちます。まず、カゼインは、歯の表面に吸着して保護する働きによりエナメル質が溶け出すのを防ぐ効果があります。

また、カゼインは、脱灰によって溶け出したミネラルを唾液中で高濃度のままに保ち、沈殿を妨げる作用があります。これによりミネラルがエナメル質に吸収されやすい状態を作り出し、エナメル質の再石灰化を促進します。

そのため、牛乳は、歯の健康維持やむし歯予防に効果があります。

むし歯予防に牛乳を飲むときの注意点

上記のように、牛乳は基本的にむし歯予防に役立つ効果を持ちますが、際限なく摂取すれば良いものではありません。ここでは、むし歯予防の観点から、牛乳を飲む際に気をつけた方が良いポイントを解説します。

摂取量は1日コップ1杯分が目安

むし歯予防のために牛乳を飲む場合、推奨される摂取量は1日コップ1杯(約200ml)が目安です。冒頭で述べた通り、牛乳には乳糖という糖分が含まれているため、頻繁に飲んでいると乳糖が口内に常にある状態となるので、むし歯のリスクを高めてしまいます。

また、むし歯以外の健康面から見ても、牛乳の過剰摂取は栄養バランスの偏りを生みます。牛乳は脂質を多く含んでおり高カロリーなので、飲みすぎると太りやすいことも注意が必要です。これらの観点から、牛乳の健康効果を最大限に活かすには、1日200ml程度にしておくことをおすすめします。

朝起きたタイミングで飲む

牛乳のむし歯予防効果を最大化するには、朝起きた直後に飲むのが適しています。この時間帯は、牛乳に含まれるトリプトファンというアミノ酸が最も効果的に作用するタイミングです。トリプトファンはセロトニン、いわゆる「幸せホルモン」の生成に寄与します。セロトニンは、気分や感情を安定させる効果があり、日中のパフォーマンスに良い影響を与えることがあります。

また日中に減少することはなく、体内で適切に利用されます。そして睡眠の調節にも関与しており、夜間に睡眠ホルモンのメラトニンに変わるので、セロトニンが多く分泌されていると、睡眠の質が向上し、結果として免疫力が高まります。

免疫力は、むし歯を防ぐためにも重要です。そのため、メラトニンの源泉となるトリプトファンの効果が強まる朝のタイミングがおすすめです。朝食と一緒に牛乳を1日コップ1杯(約200 ml)飲む習慣をつけるようにしましょう。

寝る直前に飲むのは効果的ではない

反対に、牛乳の効果を最大限得られないタイミングとしては、寝る直前が挙げられます。その理由は、寝ている間は唾液の分泌が減少するためです。唾液は口内の食べかすなどを自然に洗い流し、むし歯の原因となる細菌の増殖を抑制する役割を担います。

また、先に説明した再石灰化現象は、唾液中のミネラルを使ってエナメル質を修復しますが、唾液が減少することで生じにくくなってしまいます。そして一部の人にとっては、横になることで胃酸が食道に逆流しやくなり、消化不良や胃の不快感を引き起こす可能性もあります。牛乳を寝る前に飲むことで、お腹がゆるくなるなど消化器官に異常が出やすくなる人もいます。

牛乳の効果を最大化するセルフケア

牛乳を飲む際は、適切なセルフケアと組み合わせることで、口内環境への効果を最大限に引き出せます。以下では、牛乳のメリットを高めつつ、そのデメリットを最小限に抑えるためのセルフケア方法を解説します。

牛乳を飲んだ後は歯磨きをしましょう

どのようなタイミングで牛乳を摂取した場合でも、共通して気をつけることは、牛乳を飲んだ後には歯磨きをすることです。牛乳に含まれる乳糖は、放置するとむし歯菌など口内細菌の餌となり、むし歯の原因になります。したがって、牛乳を飲んだ後は、早めに歯を磨き、乳糖が残らないようにすることが大切です。

牛乳は口の中の酸を中和し、歯の石灰化を促進するため摂取が推奨されますが、牛乳に含まれる乳糖がずっと口内に留まっていると、むし歯のリスクを高める可能性があるため、「牛乳を飲むこと」と「飲んだ後は歯磨きをすること」の組み合わせが、歯の健康にとって最も望ましいです。

綺麗に歯を磨く方法は下記の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

歯間ブラシやデンタルフロスを利用する

歯ブラシでは、歯の間に溜まる汚れを完全に取り除くことは難しいです。そのため、歯ブラシと一緒に、歯間ブラシやデンタルフロスを使いましょう。

歯磨きと一緒に少なくとも1日1回、歯磨き後にこれらのアイテムで歯と歯の間もケアすることでむし歯の原因となる磨き残しを大きく減らすことができます。

食習慣を改善する

食習慣の改善も、むし歯予防においても非常に重要です。日頃から何を飲食するかは、口内環境や唾液のpHに直接影響を及ぼします。特に砂糖が豊富な食品や飲料を頻繁に摂取することは、口内を常に酸性に傾けて脱灰を進行させ、むし歯リスクを高めてしまいます。肥満や生活習慣病を防ぐためにも、砂糖の過剰摂取は望ましくありません。

積極的に取り入れたい食材は、食物繊維を豊富に含むものです。こうした食べ物の摂取は、唾液の分泌を促進させ、口内を自然と綺麗に保ったり、再石灰化を促進したりする助けとなります。また、牛乳以外にチーズ、ヨーグルトなどもおすすめです。これらの乳製品にもカゼインが含まれているので、牛乳と同様に歯の脱灰の低減と再石灰化の促進をしてくれます。また、これらの乳製品にはそれぞれ牛乳と違った特徴があります。

チーズは、アルカリ性であるため酸性の口内を中和する効果があります。また、製造過程で乳糖もほとんどが失われています。そのため、むし歯の原因にもなる乳糖の摂取量も抑えることができます。乳糖不耐症の方は牛乳を飲むとお腹を下してしまうことがあるので、牛乳の代わりとしてチーズを食べることもおすすめです。

ヨーグルトには乳酸菌が多く含まれています。この乳酸菌の種類によって、歯周病の予防に効果のあることが多く報告されています。そのため、むし歯予防だけでなく、歯周病予防にも効果が期待できます。

また、乳酸菌には腸内環境を整える効果が期待できますが、近年の研究で、腸内環境は全身の免疫とも密接に関わっていることが報告されています。
<乳酸菌による歯周病予防についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてみてください>

まとめ:歯の健康のために牛乳を賢く取り入れましょう

牛乳には乳糖が含まれているため、歯磨きをしないとむし歯に繋がるリスクはたしかにあります。しかし、同時に、牛乳には歯を強くする効果があることも事実です。そのため、1日にコップ1杯程度の牛乳を食習慣に取り入れることをおすすめします。飲んだ後は忘れずに歯磨きをすることでむし歯のリスクを減らし、歯の健康に役立てましょう。

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