ヨーグルトが歯周病に効く? 乳酸菌を使用した歯周病予防、セルフケアを解説

ヨーグルトが歯周病に効く? 乳酸菌を使用した歯周病予防、セルフケアを解説

(2024年1月29日公開)
ヨーグルトは、日常的に食べている方の多い食品の一つです。実は、ヨーグルトが歯周病予防に効果があると言われています。本記事では、ヨーグルトが歯周病予防に効果的とされる理由と、具体的な活用法を解説します。あわせて、ヨーグルト以外を使った歯周病予防のセルフケアについてもまとめました。

               

ヨーグルトが歯周病に効く理由を解説

日々の食卓で口にするヨーグルトが、実は歯周病の予防に効果があると考えられています。その理由について解説します。

歯周病とは、歯垢(プラーク)に存在する歯周病菌が原因で歯ぐきや骨が破壊されていく病気です。
歯垢は食べ物の残りかすではなく細菌の塊であり、わずか1mgの歯垢にさえ、約1億個以上もの細菌がいます。腸と同じように口内の細菌の中にも善玉菌と悪玉菌があり、歯周病菌などの悪玉菌が増えると歯周病やむし歯にかかりやすくなります。

一方、善玉菌の代表格が乳酸菌です。乳酸菌は悪玉菌の繁殖を抑え、口内環境を整えてくれます。
ヨーグルトは、生乳を乳酸菌で発酵させて作ります。ヨーグルトが歯周病に効果があると言われるのは、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が口内の善玉菌が増殖するのをサポートし、悪玉菌の動きを抑制するからです。
これは学術的にも検証されており、多くの研究で乳酸菌が歯周病の改善に影響を与える可能性が示唆されています。

乳酸菌の種類は200種類以上ありますが、歯周病予防に効果的なものとして、次のような菌種で報告があります。
  • ロイテリ菌(リモシラクトバチルス・ロイテリ、Limosilactobacillus reuteri)
  • L8020(ラクトバチルス・ラムノサス KO3株、Lactobacillus rhamnosus KO3)
  • LS1(ラクトバチルス・サリバリウス TI2711株、Lactobacillus salivarius TI2711)
  • WB21(ラクトバチルス・サリバリウス WB21株、Lactobacillus salivarius WB21)
効果として、これらの乳酸菌の摂取による歯周病菌の減少や歯ぐき状態の改善が報告されています。乳酸菌は唾液分泌を促進する効果もあるので、歯周病予防だけでなく、口臭やむし歯予防などのケアにも良い影響があるとされています。

ヨーグルト・乳酸菌を使用した歯周病予防

ヨーグルトや乳酸菌を使用して歯周病を予防する方法は、すぐにはじめられる簡単なものばかりです。商品を選ぶ際のポイントもあわせて解説します。

1.ヨーグルトを食べる・飲むなどで乳酸菌を摂取する

手軽に購入できる市販のヨーグルトを食べたり飲むヨーグルトを飲んだりするのが、続けやすい方法としておすすめです。ヨーグルトを選ぶ際は、歯周病予防を目的とするなら、砂糖を使っていない無糖タイプのヨーグルトを選びましょう。

2.乳酸菌配合タブレットを摂取する

食卓ではなく、外出先や仕事の合間などに乳酸菌を手軽に摂りたい場合は、乳酸菌の配合されたタブレットタイプがおすすめです。1粒のタブレットに複数かつ多量の乳酸菌が含まれているので、一度にまとまった量の乳酸菌を摂れることがメリットです。

例えば、次のような商品があります。
  • ラクレッシュPRO
  • システマ 歯科用オーラルヘルスタブレット
  • チュチュベビー L8020乳酸菌 タブレット

3. 乳酸菌入りの歯磨き粉を利用する

歯磨きのときにL8020乳酸菌入りの歯磨きジェルや液体歯磨き(ラクレッシュEX)を使うのも効果的です。通常の歯磨き粉は口内にとって良い菌も殺菌してしまいますが、この乳酸菌であれば良い菌は残しつつ、歯周病菌の増殖を抑える効果が期待できます。

4. 乳酸菌の種類で選ぶ

スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭には多くの種類のヨーグルトが並んでいます。また、乳酸菌が配合されたサプリメントも様々なものがあります。歯周病予防を目的とするなら、効果が報告されている菌株の入っている製品を選びましょう。

歯周病予防効果の報告があるのは、先にご紹介したロイテリ菌、L8020、LS21、WB21のほか、WB2000などの乳酸菌があります。

ヨーグルトのほかに歯周病を予防できる食べ物・飲み物

歯周病予防に効果的な食べ物はヨーグルト以外にもあるのでご紹介します。体全体の健康にも必要なものばかりなので、積極的に取り入れましょう。

タンパク質(大豆・じゃがいも・肉類など)

歯を支える歯周組織は、歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質の4つからなり、これらの組織を形作る上で、タンパク質の一種であるコラーゲンが欠かせません。日々の食事で良質なタンパク質を摂取することは、正常な口内環境を保つことにつながります。

タンパク質は大きく植物性と動物性に分けられます。植物性タンパク質は納豆や豆腐などの大豆製品のほか、アスパラガスやブロッコリー、じゃがいも、バナナ、アボカドなどの野菜や果物、とうもろこしなどの穀類にも含まれています。

一方、動物性タンパク質が豊富なのは肉類、魚介類、卵、牛乳などです。もちろんヨーグルトなどの乳製品にも含まれています。
タンパク質を摂取する際は、植物性と動物性をバランスよく取り入れることがポイントです。

なお、タンパク質は口内を殺菌するなど、口内環境を直に整える働きをすることはありません。あくまで歯周組織をつくるコラーゲン生成に必要な栄養素として重要です。

ビタミンC(レモン・イチゴなど)

美容や免疫力アップに効果があるとされるビタミンCは、歯周病予防にも効果が期待できます。
まず、歯周組織に欠かせないコラーゲンの生成にはビタミンCも欠かせません。歯周病を発症すると、歯ぐきのコラーゲンは破壊されてしまいます。ビタミンCはコラーゲンの再生を促進し、歯周組織を活性化させる効果があります。

ビタミンCが多く含まれているイチゴやレモン、キウイフルーツ、ブロッコリー、赤や黄色のピーマンなどを積極的に食べましょう。ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、調理する場合はできるだけ水にさらさず、短時間で加熱すると効率よく摂取できます。

カルシウム(牛乳・チーズ・小魚など)

カルシウムは歯や骨をつくるための重要な栄養素ですが、永久歯がそろったあとも歯の再石灰化において重要な役割を果たします。歯の再石灰化とは、むし歯菌によって溶かされた歯表面のエナメル質部分を唾液内のカルシウムなどが修復し、強い歯に戻す働きのことです。またカルシウムには歯周組織を丈夫にする作用もあります。歯周病予防のためにカルシウムの積極的な摂取をこころがけましょう。

カルシウムは、牛乳やチーズなどの乳製品、小魚などに多く含まれています。

なお、牛乳には乳酸菌は含まれていません。チーズには乳酸菌が含まれていますが、歯周病を予防する種類ではないとされています。

ポリフェノール(緑茶・コーヒー)

緑茶やコーヒーに含まれるポリフェノールには、抗酸化作用・抗炎症作用があります。

口内に歯周病の原因となる細菌が増えると、そこへ好中球が集まり活性酸素を出します。歯周病菌を攻撃するために活性酸素の量も増えますが、逆に歯ぐきの組織も破壊してしまいます。活性酸素は通常、外部から侵入した細菌を殺菌する重要な役割を果たしています。

しかし、活性酸素は酸化力が強いために、体内で一定量を超えると、正常な細胞も酸化させてしまいます。そのため抗酸化作用のあるポリフェノールを摂ることで、活性酸素の増加を抑えることができます。また、抗炎症作用により、歯周病による歯ぐきの炎症も鎮静します。

ただし、砂糖の入ったコーヒーを多く飲んだり、緑茶やコーヒーと一緒にスイーツを食べたりすると逆効果になるため、注意が必要です。歯周病を予防するためには、コーヒーならブラックを飲むなど、一緒に砂糖を摂取しないことがポイントです。

ヨーグルトとあわせて正しい歯周病のセルフケアも行いましょう

歯周病に効果のあるヨーグルトや乳酸菌配合のタブレット、そのほかの食材を摂ることはとても大切です。ですが、歯周病予防に最も重要なのはセルフケアです。ここでは歯周病予防に大切なセルフケアの方法を解説します。

歯磨きを徹底する

歯周病のもっとも効果的な予防は正しい方法で歯磨きをして、歯周病の原因になる歯垢を除去することです。

歯垢は細菌の塊です。口内の細菌の数は普段からのケアによって大きく変わります。きちんと歯磨きができていれば口内の細菌の数は100億個以下ですが、十分にできていないと細菌の数は1兆個にも上ると言われています。

歯を磨く際は、歯垢が溜まりやすい歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットをとくに意識しましょう。歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に対し45度の角度であて、5 mmほどの幅で小刻みに動かしながら軽くブラッシングします。力の入れ具合としては、歯ブラシの毛先が広がらないくらいが目安です。歯周ポケットのほか、歯と歯の間、奥歯のかみ合わせの面にも歯垢がたまりやすいので、毛先を届かせるようにしながら磨きます。

歯間ブラシ・デンタルフロスを行う

歯ブラシに加えて歯間ブラシやデンタルフロスを使うと、歯周病の予防効果がさらに高くなります。
デンタルケアは歯磨きが基本ですが、歯と歯の間などは歯ブラシでは届きにくく、歯垢がたまりやすくなっています。また、歯ブラシだけでケアした場合、歯垢の除去率は60%ほどです。しかし、歯間ブラシやデンタルフロスを使うことで除去率を80%ほどにできます。

デンタルフロスは歯ブラシの届きにくい歯と歯が接した狭いすきま部分に、歯間ブラシは歯ぐきの比較的広いすきま部分に使うと効果的です。

生活習慣を見直す

歯周病は歯周病菌による感染症ですが、生活習慣を見直すことで予防できます。
疲労やストレスをためがちな生活や、アルコールやたばこの過度な摂取は免疫力を下げ、細菌に感染しやすくなります。

歯周病予防には、前述のタンパク質やビタミンCを取り入れたバランスのよい食事をこころがけ、糖分を多く含むものやアルコール、たばこは控えめにしましょう。とくにたばこはビタミンCを破壊すると言われているので要注意です。

また適度な運動と十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送って、免疫力を高めましょう。

定期検診に通う

歯科医院ではむし歯や歯周病の治療だけではなく、定期検診も行っています。医師による検診を受けて歯のメインテナンスをすることで、効果的に歯周病を予防できます。年に2~3回が受診の目安です。

検診を受けることで歯周病の早期発見と早期治療が可能になります。また、専門家の手でセルフケアでは除去しきれないプラークや歯石を除去してくれるので、口内の健康を保てます。

まとめ:ヨーグルトとセルフケアで口内をより健康的に

ヨーグルトに含まれている乳酸菌が口内の善玉菌の働きをサポートすることで、歯周病を予防できます。このほかタンパク質やビタミンCを豊富に含んだバランスの取れた食事、正しい歯磨き、定期検診を受けるといったセルフケアを行って、口内を健康に保ちましょう。

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