「歯が痛いのか顎が痛いのかわからない」という方へ。考えられる原因を紹介

「歯が痛いのか顎が痛いのかわからない」という方へ。考えられる原因を紹介

この記事では、歯や顎あたりが痛い時に考えうる原因を症状別にご紹介します。

               
「歯や顎あたりが痛いけど、歯が痛いのか顎が痛いのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。そのような時は歯や顎、筋肉など原因はさまざまです。原因を知るためには歯科医院や病院に行くのが一番ですが、この記事では考えうる原因を症状別にご紹介します。

顎が原因で歯の近くまで広く痛みが発生する原因

なんとなく歯よりも顎が痛むと感じるなら、むし歯以外の原因が考えられます。顎関節や筋肉の異常、あるいは噛み合わせや歯ぎしりなどで炎症が起きやすいとされています。

歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは顎の動きの異常な習慣で、結果的に顎だけでなく、歯やその周辺にも負担がかかり、痛みに発展することがあります。「顎に痛みを感じるものの、特定はできないが顎だけでなく歯にも違和感や痛みを覚える」という場合があります。

顎下腺炎

顎の下には、唾液を分泌している顎下腺という組織があります。ウイルスや細菌などが感染して炎症を起こすと痛みを感じることがあり、顎下腺炎と呼ばれています。顎下腺炎は顎から口周り周辺に痛みを感じることがあるため、痛みの発生源がわからないこともあるでしょう。

顎関節症が口の開閉や噛み合わせの問題で痛みが出るのに対し、顎下腺炎は左右の耳の下や顎の下で炎症を起こしやすいとされています。水分不足や口内の衛生管理が不十分な方、体力が低下している方、唾液分泌が少ない方は発症リスクが高まるといわれています。顎関節症は歯ぎしりやストレスなどが原因になりやすいですが、顎下腺炎は細菌感染などが大きく影響します。

関節リウマチ

関節リウマチは、自己免疫の乱れによって関節に炎症が生じ、痛みや腫れ、動かしづらさが続く病気です。本来は体内に入ってきた細菌やウイルスなどと戦う免疫細胞が、自分自身の身体を攻撃してしまう病気です。

顎にも症状が及ぶ場合があり、噛む動作がしにくくなることもあります。顎関節の一部が痛む場合もあれば、全体が痛む場合もあるため、歯の近くまで広い痛みを感じる方もいるかもしれません。冷えやストレスを多く抱える生活、偏った食事などが関節リウマチになるリスクを高める要因とされています。

咀嚼筋の炎症

咀嚼筋の炎症は、筋肉が過度に緊張したり微細な損傷を受けたりすることで起こり、顎を動かす時の鋭い痛みやこわばりを引き起こす炎症です。顎関節症に分類されますが、筋肉が原因となる症状のため個別に取り上げました。咀嚼筋は歯の付近まで広く顎を覆っており、広い範囲の炎症の場合は、痛む場所がわかりにくく感じるかもしれません。

咀嚼筋とは物を噛む力を生み出す筋肉のことです、現代人は固い物を噛む機会が減り、咀嚼筋も脆弱になっているといわれています。長時間の歯ぎしりや無意識の食いしばり、歯並びの悪さ・むし歯などによる噛み合わせ不調などで咀嚼筋に偏った負担が蓄積し、発症することがあります。また咀嚼筋の炎症により噛む回数が減り、唾液の分泌が抑えられると口内環境の清潔さが保てなくなったり、健康な歯を維持しにくくなったりと、口内全体へ悪影響があります。

歯が原因で顎の近くまで広く痛みが発生する原因

歯に強い痛みがあっても顎に症状がない場合は、むし歯や歯の神経の問題が疑われます。炎症が進行すると別の部分にも影響が及ぶことがあるため、早期に歯科医院を受診して状態を確認し、必要な治療を受けることが大切です。

むし歯

むし歯は歯の表面が酸によって溶かされ、内部で炎症や痛みが起こりやすい疾患です。冷たい水や甘い物を口にするとしみる、痛みが続くといった症状が出やすいです。糖質の多い食事や不十分な歯磨き、間食が多い方はむし歯が進行しやすくなります。放置すれば歯の神経や根にまで炎症が及び、歯が痛いのに顎も痛いように感じる場合があります。

歯髄炎

歯髄炎は歯の内部にある神経や血管が細菌に感染して炎症を起こすため、激しい痛みや刺激に過敏な反応をしやすくなる炎症です。歯髄炎が進行して歯まで進行すると顎骨骨髄炎になることがあり、顎まで痛みを感じることがあります。

むし歯でも痛みは起こりますが、歯髄炎も似た症状のため、痛みで見分けることは難しいかもしれません。冷たい物や温かい物を食べた時や、何もしていない時に一瞬ズキッと強い痛みを感じる場合は、むし歯や歯髄炎のおそれがあります。

むし歯が深く進行して歯髄炎になることもあるため、甘い物を頻繁に摂る方や歯磨きが不足しがちな方は発症リスクが高いといわれています。

歯根膜炎

歯根膜炎は、歯と歯槽骨(歯を支える骨)をつなぐ歯根膜に炎症が生じ、噛んだ時や触れた時に鋭い痛みを感じる炎症です。骨根膜炎は骨まで炎症が及ぶことがあります。顎の骨近くの炎症なので、歯が痛いのに顎も痛みを感じる方も多いです。

症状としては、歯の根元の歯肉(歯ぐき)が赤く腫れて圧迫して痛くなり、歯が浮いた感じがするといわれています。また、食べ物を噛んだり、歯を叩いたりすると強く痛みを感じる場合が多いようです。

歯根膜炎の原因としては、放置されたむし歯や転倒などの外的要因が挙げられ、強い力や細菌により歯根膜に負担がかかることで発生することもあります。

歯列接触癖

歯列接触癖は、頻繁に歯と歯が接触する歯並びの癖です。とくに何も噛んでいない状態で上下の歯が接触し続けることで負荷が大きくなり、歯の摩耗や割れといった損傷が要因となり痛みを感じます。

顎にも圧力がかかるため、歯痛だけでなく顎のこわばりや痛みを感じることがあり、集中時の無意識の食いしばりやストレスを抱えている方に多いといわれています。長期的に放置すると歯のすり減りや知覚過敏も起こりやすくなるため早期の改善が望まれます。

歯ぐきや顎骨にできた腫瘍

歯ぐきや顎骨にできた腫瘍は、初期段階では痛みや腫れが軽度な場合もありますが、進行すると顎の腫れによる変形やしこりの感触、神経への圧迫などを感じやすくなり、顎周辺に痛みを感じることがあります。

腫瘍は顎や歯ぐきの組織が異常増殖して形成される塊です。良性・悪性にかかわらず痛みや腫れが発生することが多いですが、悪性の場合は顎下腺がんなど、健康に大きな被害を及ぼす病気に発展する可能性があるため、速やかな専門治療が必要になります。

「歯も顎も痛い気がする」場合に考えられる原因

歯と顎の両方に痛みがあるように感じる場合、むし歯と顎の筋肉や関節に同時に負担がかかっているケースが考えられます。噛み合わせや歯ぎしりなど多様な要因が絡むことも多いため、歯科医院を受診して専門的な診療をしてもらい、原因を特定することが重要です。

むし歯や歯周病の進行

むし歯や歯周病が進行すると、炎症が歯や歯肉の周囲から顎の骨や筋肉に広がり、歯だけでなく顎にも痛みを感じることがあります。細菌が根の先まで到達して骨を侵食すると痛みが強まる場合もあります。重度に進行すると、顎の骨が溶けたり、顎骨骨髄炎に発展したりします。

顎骨骨髄炎では骨髄に達した細菌が血流不足によって死滅せずに繁殖し、痛み、リンパ節の腫れ、口が開かない、つばを飲み込むと痛みを感じる、倦怠感などがあることがあります。免疫機能が低下している時や、口内の環境が悪い方はかかりやすくなるといわれています。

口腔顔面痛

口腔顔面痛は歯や顎だけでなく、口や顔面全体に痛みが広がる症状となる場合もあります。神経や筋肉、心理的な要因などが複合的に絡み合って発生し、見た目では原因がわかりにくいこともあります。

ストレスの多い生活や不規則な睡眠、歯ぎしりなどで疲労が蓄積している方は発症リスクが高いといわれています。原因によって治療法も異なるため、専門の医師に相談することをおすすめします。

親知らずの放置

親知らずは前歯から数えて8番目の奥歯で、10代後半から20代前半にかけて生えます。顎が小さいと斜めに生えるなどスペースが不足しがちで、磨き残しが発生して細菌が繁殖しやすくなります。放置すると歯ぐきや顎骨まで炎症が広がって痛みが強まることがあります。

多くの場合、抜歯をしないと症状の改善は難しいですが、抜歯後も数日は顎に炎症が残る場合があるため痛みを感じやすいです。歯科医師に状況を確認して必要な処置を受けることで、悪化を防ぎやすくなります。

わからない痛みはまず歯科医師に相談することが大事

ここまで、歯と顎の痛みに関連するさまざまな症状や原因をご紹介してきました。一言で「歯や顎が痛む」といっても、さまざまな原因があることをおわかりいただけたのではないでしょうか。どれが自分の痛みの原因かを、この記事で特定することは難しいでしょう。。ぜひ心当たりがある方は、専門の歯科医師に相談してみてください。

近隣のクリニックを検索

関連記事

ピックアップ

医療機関の方へ

シルハは口腔環境6項目を簡単操作で5分でスクリーニングできる口内環境測定システムです。
製品情報・お問い合わせはコチラ

SillHa.comでは全国の歯科医院の情報を掲載しています。
より詳細なご施設情報の掲載をご希望される場合はこちら