嗜好品として古くから人々に愛されているコーヒー。朝に目覚めの一杯や仕事の休憩時間にコーヒーを飲む方も多いのではないでしょうか。しかし、コーヒーは口臭の原因になるといわれており、愛飲している方にとって気になる問題です。今回は、コーヒーが口臭を引き起こす理由や、その対処法について解説します。
コーヒーを飲んだ後に口臭がきつくなる原因

コーヒーはとてもいい香りがするのに、飲んだ後は「自分の口のニオイが気になる」という方は多いのではないでしょうか。いい香りが不快なニオイに変化する作用は、コーヒーに含まれる成分が大きく関係しています。以下で詳しく見ていきましょう。
含硫アミノ酸が化学反応を起こす
コーヒー豆に多く含まれる含硫アミノ酸は、タンパク質を構成するアミノ酸の一種です。焙煎時に糖類と結合して、コーヒー独特の香りが生み出されます。含硫アミノ酸にはゆで卵のようなニオイをもつ硫黄が含まれていますが、コーヒーが口の中に入った時に口内細菌がタンパク質を分解してアミノ酸の部分を食べてしまうため、化学反応が起こり、ガスが発生して口臭の元となります。
コーヒー豆の細かい粒子が舌に残る
コーヒーを飲んだ後は、コーヒー豆の粒子が舌の表面に付着しやすく、これが口内細菌や食べかすと混じり合うことで、口臭の原因となる舌苔(ぜったい)ができやすくなります。舌苔とは細菌などが固まってできたもので、白っぽい色をしています。舌苔は口臭の原因の1つなので、粒子や食べカスなどが舌に残っていると、口臭が強くなる可能性が高いのです。
カフェインの利尿作用で口の中が乾燥する
コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があり、体内の水分を体の外に出す働きがあるため、唾液の分泌量が低下します。唾液が減って口の中が乾燥すると、自浄作用が低下して細菌が繁殖しやすくなり、口臭の悪化につながります。
口内が酸性になる
コーヒー豆には、クロロゲン酸をはじめとするさまざまな種類の酸が含まれています。コーヒーを飲むと、通常は中性に保たれている口内のpHが酸性に傾いてしまうため、酸性の環境を好む口内細菌の活動が活発になり、口臭が発生しやすくなります。
胃酸の分泌を促進する
クロロゲン酸はコーヒーに豊富に含まれているポリフェノールの一種で、コーヒーの主な酸味成分です。空腹時にクロロゲン酸を摂取すると、胃酸の分泌を促進させる作用があり、口臭の発生を誘発します。
コーヒーによる口臭は何時間で消えるのか

コーヒーによる口臭は一時的なもので、時間の経過とともに不快なニオイもなくなります。しかし、1日に何杯も飲んでいると、コーヒーの微粒子が舌に堆積して舌苔が増えやすくなるため、口臭がきつい状態が続くことになります。さらに、口内の衛生状態が悪いと、そのニオイはさらに強くなるので注意が必要です。
コーヒーとタバコの組み合わせはNG
コーヒーとタバコは親和性が高い嗜好品です。これは、コーヒーに含まれるカフェインと、タバコに含まれるニコチンの働きが関係しています。カフェインとニコチンには、脳に快感をもたらす物質(ドーパミン)を分泌させる作用があり、両方を摂取すると相乗効果で「気持ちがいい」という感覚が増します。コーヒーを飲みながらタバコを吸うことで、リラックスタイムを満喫しているという方も多いかもしれません。しかし、その組み合わせは口臭を強めるおそれがあります。喫煙後の口臭は、45分~1時間ほど残るといわれていますが、コーヒーが加わることで、その時間がさらに長くなることも考えられるでしょう。さらに、タバコに含まれるニコチンには、唾液の分泌を減少させる作用もあるため、口の中が乾燥して口臭の原因となります。
口臭が気になりにくいコーヒー豆の種類はある?
口臭の原因になりにくいコーヒー豆の種類や焙煎方法について紹介します。
酸味の強い豆ほど口臭につながりやすくなる
前述したように、コーヒーの酸味成分は口の中を酸性に傾けて、口内細菌が発生しやすい環境を作り、口臭を引き起こします。したがって、酸味の強い豆ほど口臭につながりやすいといえるでしょう。口臭が気になるのであれば、酸味の少ないコーヒー豆を選ぶことをおすすめします。
酸味が強いコーヒー豆の種類
一般的にコーヒー豆は、栽培された標高が高くなるほど、高地特有の寒暖差により、酸味が強く出やすいといわれています。酸味が強いコーヒーは中南米やアフリカ産のものが多く、とくに、モカ、キリマンジャロ、ブルーマウンテンなどの品種は強い酸味が特徴的です。
酸味が少ないコーヒー豆の種類
ブラジルやインドネシアのコーヒー豆は、低地で栽培されることが多く、酸味が少ない傾向にあります。ブラジル サントスやインドネシア マンデリンは酸味が少なく、マイルドな苦味が特徴です。
深煎りの方が口臭につながりにくい
コーヒー豆の焙煎の度合いは、大きく「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3つに分類されます。浅煎りは焙煎時間が短く、深煎りは時間をかけて焙煎したもので、その間が「中煎り」です。
口臭の原因となるクロロゲン酸は熱に弱く、焙煎する過程で分解されます。また、カフェインの量は焙煎が進むほど減少します。浅煎りに比べて深煎り豆のほうが焙煎の時間が長く、カフェイン・クロロゲン酸の含有量が少ないため、コーヒーによる口臭を防ぎたい方におすすめです。
口臭の原因となるクロロゲン酸は熱に弱く、焙煎する過程で分解されます。また、カフェインの量は焙煎が進むほど減少します。浅煎りに比べて深煎り豆のほうが焙煎の時間が長く、カフェイン・クロロゲン酸の含有量が少ないため、コーヒーによる口臭を防ぎたい方におすすめです。
コーヒー以外にも! 口臭の原因になる意外な飲み物

コーヒー以外にも口臭の原因になる飲み物があります。コーヒーと一緒に摂取する時は注意しましょう。
乳製品を含む飲料
牛乳やヨーグルトドリンクなどの乳製品を含む飲料には、含硫アミノ酸が多く含まれており、口内細菌によって分解される時に、口臭を発生させます。コーヒーにミルクを入れて飲む習慣がある方も注意が必要です。また、コーヒーにスイーツを合わせて味わう方も多いかもしれませんが、洋菓子には生クリームやバターなどを使ったものが多く、砂糖も多く含まれているため、口臭の原因になります。口臭が気になる場合は、ケーキではなく、和菓子を組み合わせるのがおすすめです。
ジュース
ジュースなどの糖分が多く含まれている飲料は、口内の唾液の分泌量を減少させて、細菌が繁殖しやすい環境を作り、口臭を引き起こします。コーヒーに砂糖を入れる場合も、口臭のリスクが高まるので注意しましょう。
エナジードリンク
エナジードリンクには「元気が出る」感覚をもたらすために、カフェインが配合されています。コーヒーよりも多くのカフェインを含むものも少なくありません。エナジードリンクを頻繁に飲むと、カフェインの利尿作用により唾液の分泌が抑制されて、口の中が乾燥して口臭につながります。カフェインだけでなく、糖分も多く含まれているため、毎日飲むのは控えましょう。
アルコール類
アルコールは肝臓で毒性が強いアセトアルデヒドという物質に分解されて、さらに分解を繰り返して無害な物質に変わります。アセトアルデヒドには、刺激的な息が詰まるニオイがあり、それが体内を循環することで、体臭や口臭を引き起こします。
コーヒーを飲んだ後の口臭を予防するには?
水を飲む
水を飲むことは、コーヒーによる口臭を防ぐ方法として最も手っ取り早い解決策です。水分補給によって、口の中に残ったコーヒーの成分が洗い流され、口内のうるおいを取り戻すことができます。また、酸性に傾いた口の中を中和し、細菌の繁殖を防いで口臭を抑えます。
うがいをする
うがいをすると、舌に付着したコーヒーの粒子が洗い流されて、口臭予防に効果的です。水によるうがいでも十分ですが、効果を高めたい方は携帯用マウスウォッシュを持ち歩くのもおすすめです。
キシリトールガムを噛む
コーヒーを飲んだ後にガムを噛むと、唾液の分泌が促されて、口の中が洗い流されます。また、キシリトールはむし歯菌を寄せつけない天然の甘味料なので、噛み続けていてもむし歯になる心配がありません。ガムを噛む際は、甘味の成分として、砂糖ではなくキシリトールを使っているものを選びましょう。
ブラックで飲む
口臭が気になる方はブラックで飲むのがおすすめです。ミルクや砂糖は、コーヒー豆と同様に、舌の表面に粒子が残って口臭の原因になります。とくにミルクには、硫黄成分が多く含まれているため、口臭を悪化させることがあります。
口臭を気にせずコーヒーを楽しもう
コーヒーを飲んだ後の口臭による周囲への影響が気になってしまうこともあります。しかし、飲む量やタイミングに気をつければ、気になるニオイを抑えることができます。きちんと対策をとって、口臭を気にせずコーヒーを楽しみましょう。