スカッとした爽快さに魅力のある炭酸水。近年、健康面や美容面での効果も注目を集めています。しかし、飲み方を間違えると、逆に体へマイナスをもたらすおそれがあるため、飲むタイミングや量には注意が必要です。また「炭酸水を飲むと歯が溶ける」という話もよく聞かれ、炭酸水を飲むことに不安を感じている方もいるかもしれません。今回は、炭酸水を飲むメリット・デメリット、健康効果を高める飲み方をご紹介します。
そもそも炭酸水とは

炭酸水とは、水に二酸化炭素を溶かして作られた炭酸飲料のことです。パチパチと弾けるような口当たりと、爽快感のある喉ごしが特徴です。農林水産省は、炭酸飲料を「飲用適の水に二酸化炭素を圧入したもの、及びこれに甘味料、酸味料、フレーバー等を加えたもの」と定義しています。その中でも、糖質を含まない「無糖炭酸水」が一般的に炭酸水と呼ばれるものです。無糖の炭酸水はそのまま飲めばカロリーゼロで、美容や健康に効果があることで注目されています。
炭酸水を飲むメリット

血流が良くなる
炭酸水を飲むと血液中の二酸化炭素濃度が上昇します。その際、体は酸欠状態に陥ったと勘違いして、酸素を運ぶために血管を拡張し、より多くの血液を供給しようと働くのです。血液循環が良くなることで代謝も良くなり、冷えやむくみ、 肩こりの改善につながります。血行が改善すると、歯ぐきに酸素や栄養が行き渡りやすい状態になり、唾液の分泌も促されることから、歯周病や口臭予防にも役立ちます。
消化吸収を助ける
炭酸水を飲むと、胃粘膜が刺激されて胃酸が分泌されやすくなり、胃の働きが活発になります。また、腸にも刺激が加わって、食べ物を運ぶために行われる腸の「ぜん動運動」が促され、消化作用が促進されます。
疲労回復効果がある
炭酸水を飲んで血流が良くなると、体内に蓄積された疲労物質が老廃物として排出されやすくなるため、疲労回復の効果が期待できます。また、ミネラルや炭酸ガスなどの成分により、心身をリフレッシュさせる効果も期待できます。
ダイエットに役立つ
炭酸水を飲むと、炭酸ガスによって胃が膨らむため、満腹感が得られます。食前に炭酸水を飲むことで、食べすぎの防止に役立ちます。
飲み過ぎによる体への影響
炭酸水はたくさん飲めば良いというわけではなく、飲みすぎると以下のようなデメリットもあります。
下痢や腹痛になるおそれがある
炭酸水は少量であれば胃腸の働きが良くなり、便秘解消に役立ちます。しかし、飲みすぎると胃腸が過剰に刺激されるため、下痢や腹痛といった症状が出やすい方は注意が必要です。
ゲップやおならが出やすくなる
炭酸水を大量に飲むと、炭酸ガスによって胃が膨れて膨満感が生じたり、ゲップが出たりすることがあります。とくに、もともと逆流性食道炎の症状がある方は、炭酸水が食道への胃酸の逆流を誘発しやすいため、飲みすぎないようにしましょう。
むくみの原因になることもある
炭酸水には血管を広げて血流を促進し、老廃物をスムーズに排出させる働きがあるため、むくみの軽減が期待できます。しかし、炭酸水の中には微量ながら塩分(ナトリウム)が含まれているものもあり、飲みすぎると塩分の摂りすぎで、逆にむくみの原因となることもあります。例えば、ペリエ100 mLに含まれるナトリウムの量は1.18 mgです。ペリエを500 mL飲むと、食塩を15 mgほど摂取することになります。なお、厚生労働省が推奨する1日当たりの塩分摂取の目標量は、成人男性7.5 g(7,500 mg)未満、成人女性6.5 g(6,500 mg)未満です。
無糖の炭酸水でも歯への影響はある
炭酸飲料を飲むと歯が溶けるという話をよく聞きますが、無糖であれば歯への影響は小さいです。ただし、注意した方が良いこともあります。
歯を溶かしてしまうおそれがある
歯の表面を覆っているエナメル質は、鉄よりも硬いのですが、酸による刺激に弱いという特徴があります。炭酸水は名称に「酸」がついているとおり、酸性の飲み物です。炭酸水のほとんどがpH5.5以下の数値を示しています。pHとは、酸性、アルカリ性の度合いを表す数値のことです。7が中性、7より大きければアルカリ性、7より小さければ酸性になり、数字が小さくなるほど酸性度が高くなります。
炭酸水以外のpHは、煎茶、緑茶、ウーロン茶、ミネラルウォータで6前後、紅茶が5.5前後、オレンジジュースは 3〜4、コーラは2~3とかなり強い酸性です。
コーラやサイダーなどの炭酸飲料は酸性度が高いだけでなく、糖質が含まれているため、酸によるダメージに加えて、むし歯のリスクも高くなります。糖質が入った炭酸飲料を頻繁に飲むことは避けたほうがいいでしょう。
炭酸水以外のpHは、煎茶、緑茶、ウーロン茶、ミネラルウォータで6前後、紅茶が5.5前後、オレンジジュースは 3〜4、コーラは2~3とかなり強い酸性です。
コーラやサイダーなどの炭酸飲料は酸性度が高いだけでなく、糖質が含まれているため、酸によるダメージに加えて、むし歯のリスクも高くなります。糖質が入った炭酸飲料を頻繁に飲むことは避けたほうがいいでしょう。
無糖でも炭酸水は酸性
炭酸以外は何も含んでいない無糖の炭酸水の場合、他の炭酸飲料と比べて酸性度は低いため、歯への影響は少ないです。ただし、炭酸水はもともと酸性であり、酸性度の強さも製品によって様々です。そのため、無糖の炭酸水であっても頻繁に飲んでいたり、長い時間をかけて飲んでいたりすると口の中が酸性のままになるため、リスクが高くなります。
種類と健康面への影響の違い
炭酸水の種類は「ガスの充填法による違い」と「炭酸の強度による違い」によって分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ガスの充填法による違い
炭酸水は「天然のもの」と「人工のもの」の2種類に分けられます。
天然炭酸水
湧水の時点で炭酸ガス(二酸化炭素)を含んで発泡しているものです。日本には天然の炭酸水はほとんどありませんが、欧米では珍しくありません。ヨーロッパの天然炭酸水は、ミネラルが多く含まれた硬水が多いのが特徴です。ナトリウム含有量も多いため、塩分を気にしている方は、飲みすぎに注意しましょう。
人工炭酸水
天然水やろ過水、純水に、後から人工的に炭酸ガスを含ませたものです。飲料水に二酸化炭素を圧入して作られるため、炭酸の強さを調整できます。フレーバーが追加された炭酸水は酸性度が高くなっているため注意が必要です。とくに、レモンなどの柑橘系フレーバーの場合、クエン酸が加わっていることが多く、オレンジジュースと同じくらい酸性度が高いものもあります。
炭酸の強度による違い
炭酸の強さは、飲料中の炭酸ガス含有量を示すGV(ガスボリューム:1 GV =1 Lの液体に1 Lの炭酸ガスが溶けている状態)によって表されます。どこからが強炭酸といった明確な基準はありませんが、一般的にGVの数値が高いものを強炭酸水、低いものを微炭酸といいます。
強炭酸水
明確な定義はありませんが、3.5 GV以上のものを指すことが多いようです。なかには5.0 GV以上のものも存在します。刺激的な飲み口や喉ごしを楽しめますが、消化器への刺激も強くなるため、胃腸の弱い方は避けたほうがいいでしょう。
弱炭酸水
強炭酸とは反対にGVの数値が低いものを微炭酸といいます。炭酸の泡がきめ細かいほど刺激は弱く、シュワシュワとしたさわやかな口当たりが特徴です。炭酸を飲み慣れていない方は、刺激の少ない弱炭酸水から飲み始め、体調を見ながら炭酸の強度を調整することをおすすめします。
炭酸水の健康効果を高める飲み方と注意点

一度にたくさん飲まない
炭酸水は胃腸を刺激する作用があるため、一度に大量に飲むと胃腸に負担をかけるおそれがあります。通常の水と同様に、1回につきコップ1杯を目安に飲みましょう。
無糖・無香料の炭酸水を選ぶ
炭酸水の中には、カロリーゼロとうたっていても、甘味料やフレーバーが加えられたものがあります。これらは酸性度が高い傾向にあり、歯が溶けるリスクが高いため注意が必要です。また、糖質が含まれることで、むし歯のリスクも高くなります。成分表を確かめて、水と炭酸ガスだけで作られたものを選びましょう。
胃腸が弱っている時は避ける
胃腸が弱っている時に炭酸水を飲むと、胃が刺激されて胃痛を引き起こす場合があります。 過剰に摂取しなくても胃に負担がかかるおそれがあるため、炭酸水を控えて、通常の水を飲むようにしましょう。
常温で飲む
冷たい炭酸水は胃腸への刺激が強くなるため、下痢や腹痛を引き起こすおそれがあります。また、冷えた炭酸水だと体を冷やしてしまい、炭酸水の血行を良くする効果がにくいおそれがあります。冷やさずに常温で飲むのがおすすめです。
炭酸水を上手に取り入れて、健康に役立てよう
炭酸水は、血行促進や便秘解消などさまざまな効果が期待されている飲料水です。ただし、飲みすぎると、胃腸や歯に負担がかかることもあるため、飲み方には注意しましょう。ぜひ炭酸水を毎日の生活に上手に取り入れて、美容と健康に役立ててみてください。