永久歯に生え替わったときはむし歯や歯周病に注意!対処法やポイントを解説

永久歯に生え替わったときはむし歯や歯周病に注意!対処法やポイントを解説

この記事では、永久歯の仕組みや、生え替わり期に起こりやすいトラブルとその対処法、予防のポイントまで解説します。

               
子どもの歯が乳歯から永久歯へと生え替わる時期は、口内環境が大きく変化する重要なタイミングです。この時期に正しい知識と習慣を身につけておくことで、生涯にわたって健康な歯を維持しやすくなります。

永久歯の仕組み

乳歯は全部で20本ですが、永久歯は親知らず(第三大臼歯)を含め、全部で基本的に32本です。ですが親知らずの4本は生えない人も多いようです。永久歯は、象牙質やエナメル質が乳歯の約2倍になるため、乳歯よりも大きくなります。また、生え変わりから2年ほどは歯が弱く、むし歯になりやすい時期です。

乳歯は6歳頃から抜け始め、同時期に奥歯の奥に第一大臼歯という永久歯が生えてきます。第一大臼歯は6歳頃生えることから6歳臼歯とも呼ばれています。その後、前歯から奥歯に向かって順に生え変わっていくケースが多いようです。12歳頃になると、12歳臼歯と呼ばれる第二大臼歯が、第一大臼歯のさらに奥に生えてきます。

歯の生え変わり時期に気になること

子どもの乳歯がグラグラしはじめると、「もう永久歯が生えてくるのかな?」「抜けるまで放っておいて大丈夫?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

歯の生え変わり時期によくある疑問や、不安になりやすいポイントについて解説します。

乳歯がグラグラしているのに抜けない

生え変わりの時期を過ぎても乳歯がグラグラせずに残っている場合、永久歯がうまく育っていない、あるいは生える位置がずれている可能性があります。

通常、永久歯は乳歯の真下から生えてくることで、乳歯の根を吸収しながら押し上げ、自然に乳歯が抜ける仕組みになっています。しかし、永久歯が斜めの方向に生えてきたり、位置がずれている場合には、乳歯の根の吸収が進まず、いつまでも乳歯が抜けないことがあります。

また、「先天性欠如」といって、もともと永久歯が作られていないために、乳歯が抜けないケースもみられます。

乳歯が抜ける前に永久歯が生えるケース

乳歯が抜けずに、少し舌に近いところから永久歯が生えてくる子どももいます。長期間2枚歯の状態だと、汚れが溜まりやすいため、むし歯や歯肉炎になりやすいです。また、歯並びに影響がでる可能性もあります。しかしその後、乳歯が抜け永久歯のスペースができれば、舌と唇の力によって自然と本来の位置に動くため、焦る必要はありません。

乳歯が抜けずに永久歯が生えてきたときには、まずは2週間程度様子を見てみましょう。2週間後、乳歯がグラついていれば、さらに2週間を目安に様子を見ましょう。乳歯がグラついていないときは、歯科医院に相談するのをおすすめします。

永久歯が生えない乳歯が抜けた後、数ヵ月たっても永久歯が生えてこない場合、歯科医院に相談した方が良いでしょう。多くの場合、レントゲン撮影をし、永久歯が作られているかどうか確認します。なかには「先天性欠如」という、永久歯が生まれつき生えてこない人もいるようです。

生え変わったばかりの永久歯は、むし歯や歯肉炎などになりやすいです。口内トラブルの予防や対策に役立てるために、ここでは永久歯に生え変わる時期の、口内トラブルについて紹介します。

①むし歯

生え替わりの時期は、歯が抜けている部分や、乳歯と永久歯が混在している部分が多く、歯磨きが難しくなるため、むし歯のリスクが高まります。特に注意が必要なのが、永久歯が生えて間もない時期です。

厚生労働省の「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」によると5~9歳ではむし歯のある子どもは約2.5%程度なのに対し、10~14歳では約32%に増加しており、生えたばかりの永久歯がいかにむし歯になりやすいかがわかります。

このリスクの背景には、エナメル質の“未成熟さ”があります。永久歯が生えたばかりの段階では、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトの結晶がまだ小さく、結晶構造に不純物も多く含まれているため、酸に対して非常に脆弱で、脱灰(歯の表面のミネラルが溶け出す現象)を起こしやすい状態です。

エナメル質は、時間の経過とともに唾液中のミネラルイオン(カルシウムやリン酸など)によって結晶が成長し、脱灰と再石灰化を繰り返しながら“萌出後成熟”という過程をたどります。この過程を経て、歯のエナメル質はフッ素も取り込みながら、酸への抵抗力を高めていきます。こうしておよそ20歳頃になると、歯冠部のエナメル質は強く安定し、初期むし歯ができにくくなるのです。

さらに、歯が生え始めた時期は、表面がざらついていたり、唾液の自浄作用が安定していなかったりするため、むし歯の原因菌が付着・定着しやすい傾向にあります。

こうしたリスクに備えるためには、定期的な歯科健診でフッ素塗布を行い、エナメル質を強化することが効果的です。必要に応じて奥歯の溝を樹脂で埋める「シーラント」処置も検討しましょう。

②歯肉炎

歯肉炎は、子どもでもなります。歯磨きをするときの出血や、歯ぐきが赤く腫れているときは、歯肉炎が原因である可能性が高いです。歯肉炎は歯と歯の境目の歯垢が原因で起こるため、歯と歯の境目もしっかりと歯磨きしましょう。また、生え変わりの時期には奥歯の方が歯肉炎になることもあります。萌出性(ほうしゅつせい)歯肉炎と呼ばれており、6歳臼歯などの奥歯が生えてくるときに生じるようです。
6歳臼歯や12歳臼歯などの奥歯は、生えてから半年ほど歯の上に歯肉を被っていますが、歯と歯肉の間は磨きづらく、歯垢が溜まると炎症を引き起こしてしまいます。子ども自身では特に磨きにくいため、大人がしっかりと仕上げ磨きをしてくださいね。

③歯並び

生え変わり時期には、歯並びが悪くなる子どももいます。歯並びが悪いと上手く歯磨きができず、歯肉炎やむし歯になることもあるようです。他にも、食べ物をしっかりと噛めない、正しい発音ができないなど、子どもの成長を妨げる原因にもなります。しかし、歯並びは成長に合わせて良くなるケースも。その判断は難しいため、気になる場合は歯科医院に相談しましょう。早く相談するほど、治療の選択肢は多く、簡単な処置で終わる場合もあるようです。

健康的な永久歯でいるためのポイント


永久歯に生え変わる段階で、歯磨きに力を入れて取り組むと、その後も健康的な歯でいられるでしょう。ここでは、そのポイントについて紹介します。    

生え変わる時期の歯磨きのやり方を教える

生え変わる時期には手鏡などを使い、歯ブラシの毛先がしっかりと当たっているか確認しながら行います。乳歯の奥歯の奥に生える第一大臼歯の生え始めは、手前の歯よりも背が低いため、磨きにくくなっています。この場合は、口の横から歯ブラシを入れて磨くと良いでしょう。歯が抜けているところには、その部分に歯ブラシを入れ、両側の歯を磨きます。歯ブラシを斜めや縦にすると、磨きやすいのでおすすめです。歯が飛び出していたり、引っ込んでいたりとデコボコしている部分は、歯ブラシを縦にして磨くと良いですよ。

フッ素を活用する

生え変わったばかりの永久歯は、表面が荒くなっています。汚れが付着しやすく、酸への抵抗力も低いため、むし歯になりやすい傾向にあります。生え変わったばかりの永久歯には、フッ素による歯質強化が効果的です。フッ素を配合した歯磨き剤の使用や歯科医院でのフッ素塗布、フッ素洗口法などを行い、生え変わったばかりの永久歯を強くしましょう。

定期的に歯科医院を受診する

約3ヵ月に1回程度、歯科医院で定期検診を受けるのが望ましいです。定期検診では、生え変わりやむし歯の確認の他、磨き残しのチェックなどもしてくれます。フッ素塗布も定期検診のタイミングでしてもらいましょう。

定期検診と一緒に唾液だけで口内をチェックできる唾液検査というものもおすすめです。 唾液検査は複数の種類があり、歯科医院によっても実施されている方法が違います。一例として、唾液検査シルハは、むし歯菌の活性度や、口内の酸性度とタンパク質の量など、口内環境に関わる6つの項目を検査できます。


下記から、シルハが導入されているクリニックを検索できます。

永久歯を健康に保つためにやめるべき4つのこと

永久歯は一度失ってしまうと、二度と生え変わることはありません。将来まで健康な歯を保つためには、毎日のケアだけでなく、「やってしまいがちな習慣」を見直すことも大切です。ここでは、永久歯の健康を守るために避けたい4つの習慣と、その理由を解説します。

間食・甘い飲み物を時間をかけて摂る

糖分を含む食べ物や飲み物を長時間かけて摂取すると、口内が酸性に傾いた状態が続きます。この「長時間の酸性状態」は、歯の表面のエナメル質を溶かす「脱灰」を引き起こす大きな原因です。特に生えたばかりの永久歯はエナメル質が未成熟なため、酸に弱く、むし歯のリスクがさらに高まります。

飴やジュース、スポーツドリンクなどをちびちび飲む習慣や、時間を空けずに間食をとる行為は避け、食べる・飲むタイミングを決めてだらだら摂取しないことが重要です。また、飲んだあとは水やお茶で口をすすぐ習慣をつけると、口内の酸性状態を和らげるのに役立ちます。

口呼吸

呼吸が続くと、口腔内が乾燥しやすくなります。唾液は、歯の表面を洗い流したり、むし歯を引き起こす菌の繁殖を抑える重要な働きを担っているため、唾液の分泌や働きが弱まると、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

さらに、口呼吸は前歯に持続的な乾燥や刺激を与えるため、歯肉の炎症や歯並びの乱れにつながることもあります。特に成長期の子どもは、口元の筋肉や骨格が発達段階にあるため、口呼吸の習慣が顔つきにまで影響を与えることもあります。

対処法は下記のとおりです。
  • 鼻詰まりなどの原因がある場合は耳鼻科を受診する
  • 口周りの筋肉を育てるあいうべ体操や、ガム・おやつを使った咀嚼トレーニングをする
このような対応で、鼻呼吸を促すことができます。

舌で生えたばかりの歯を押す

永久歯が生えてくるタイミングで、無意識に舌で押してしまう子どもは少なくありません。しかしこの行為は、歯の生える方向や位置に影響を与え、前歯が前方に傾いてしまったり、歯並びの乱れを引き起こす原因になります。

もし舌で押す癖がある場合は、「舌は上あごに軽く触れているのが正しい位置」と子どもに意識させたり、歯科医院でMFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるトレーニングを行うのも有効です。

片側ばかりで噛む癖

食事のときに、左右どちらか片方の歯ばかりで噛むくせがあると、あごや顔の発達に左右差が出てしまうことがあります。

また、片側でしか噛まない理由として、反対側の歯に違和感があったり、歯並びが悪かったりすることも少なくありません。

そのため、もしお子さんがいつも同じ側で噛んでいる様子が見られる場合は、一度歯科医院で噛み合わせや永久歯の状態を確認してもらうのがおすすめです。

適切なケアをして、いつまでも健康的な永久歯で過ごそう

永久歯に生え変わる時期は、磨き残しがないように気を付けたりフッ素を活用したりして、むし歯予防に特に気を付けることが大事です。また、いつまでも健康的な歯でいるために、歯科医院で定期検診を受けるようにしましょう。定期検診では、むし歯などの早期発見の他、生え変わる時期の悩みなども相談できますよ。

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