歯痛の原因と歯科医院受診のタイミング
歯科医院を受診するきっかけはさまざまです。過去1年以内に歯科健診を未受診の20~64歳男女4,815名を対象とした、令和6年の「歯科口腔保健の実態等に関する調査」報告書によると、何かしらの悩みがあって1年以内に歯科医院を受診した人の割合は67.4%でした。
そのうち、見た目や定期検診以外の理由としては、歯周病が19.4%、むし歯が12.9%という結果です。歯の痛みが理由で受診した人は7.0%で、年代(20~60代)で大きな差はなく、一定数の人が理由として挙げています。 ここでは、歯が痛む原因や、受診が推奨される症状などを解説します。
そのうち、見た目や定期検診以外の理由としては、歯周病が19.4%、むし歯が12.9%という結果です。歯の痛みが理由で受診した人は7.0%で、年代(20~60代)で大きな差はなく、一定数の人が理由として挙げています。 ここでは、歯が痛む原因や、受診が推奨される症状などを解説します。
歯痛の主な原因
歯痛を伴う口内トラブルは非常に多岐にわたります。歯や口内が原因となるものには、むし歯・歯周病・知覚過敏・親知らず・かみ合わせトラブル・外傷などがあります。
歯以外が原因となるものには、神経障害性歯痛・筋膜性歯痛・上顎洞性歯痛・心臓性歯痛・ストレスなどがあります。
歯以外が原因となるものには、神経障害性歯痛・筋膜性歯痛・上顎洞性歯痛・心臓性歯痛・ストレスなどがあります。
歯科医院の受診が推奨されるケース
歯が痛い時に歯科医院に行くか迷う方も多いのではないでしょうか。痛みの種類や程度によって受診の緊急性は異なりますが、以下のような症状がある場合はできるだけ早く受診しましょう。
- 激しい痛みが続く
- 顔が腫れている
- 痛みで眠れない
- 歯ぐきの腫れや出血がある
- 呼吸がしにくい
- 詰め物・被せ物が欠けた
- 歯のぐらつきがある
- 全身の体調不良がある
市販の歯の鎮痛薬に使われる主な成分と特徴
鎮痛薬の代表的なものである非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)は、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑えて、全身に作用します。該当する成分はロキソプロフェン、イブプロフェンなどがあります。
他にも、アセトアミノフェンも代表的な鎮痛薬の成分です。
いずれも、すぐに痛みを緩和したいときに効果的ですが、鎮痛薬は一時的な効果であるため、歯痛が続く場合は歯科医院を受診しましょう。
他にも、アセトアミノフェンも代表的な鎮痛薬の成分です。
いずれも、すぐに痛みを緩和したいときに効果的ですが、鎮痛薬は一時的な効果であるため、歯痛が続く場合は歯科医院を受診しましょう。
ロキソプロフェン
NSAIDsの一種で、解熱・鎮痛・抗炎症作用をもつ成分で、頭痛、月経痛、関節痛など色々な痛みに対応でき、歯痛にも効果があります。比較的効果が早く現れるとされ、急性の痛みにも役立ちます。代表的な製品にはロキソニンがあります。
イブプロフェン
こちらもNSAIDsの一種で、解熱・鎮痛・抗炎症作用があり、発熱・関節痛・筋肉痛・腰痛など炎症を伴う痛みにも効果的です。比較的強い痛みを抑える作用があり、代表的な製品はイブA錠です。イブプロフェンの鎮痛効果を高めるアリルイソプロピルアセチル尿素や無水カフェインも配合されています。ただし、アリルイソプロピルアセチル尿素による眠気が起きることがあるため注意しましょう。
アセトアミノフェン
非NSAIDsの成分で、解熱・鎮痛作用があり、風邪やインフルエンザなど発熱時の症状にも有効です。頭痛や筋肉痛の緩和にも使われます。胃腸への負担が少ないのも特徴です。代表的な製品はバファリン(バファリンプレミアム、バファリンプレミアムDX)です。胃の粘膜を保護する成分(乾燥水酸化アルミニウムゲル)が配合されているものもあります。
エテンザミド
NSAIDs系の成分の一つで、解熱・鎮痛作用があり、一般には軽度~中等度の痛みに使用されます。鎮痛効果は比較的穏やかで、軽い頭痛などに適しています。代表的な製品はナロンエースです。
アスピリン
古くから使われているNSAIDs系の成分で、解熱・鎮痛・抗炎症作用があり、比較的軽度~中等度の筋肉痛、関節痛、頭痛、歯痛、生理痛まで幅広い痛みに効果が期待できます。代表的な製品はバイエルアスピリンです。
イソプロピルアンチピリン
NSAIDsの一種でピリン系の解熱鎮痛薬です。とくに鎮痛作用が強いとされています。アレルギーの副作用が出ることがあるため、注意が必要です。代表的な製品はセデス・ハイです。
歯科の処方薬と市販薬との違い
市販薬と歯科の処方薬は、主成分が同じでも用量や剤形が異なる場合があります。 市販薬は緊急時の一時的な痛みの緩和を目的としており、比較的安全性を重視した用量設定となっています。一方、処方薬は歯科医師の診断のもとで、より症状に合った用量や剤形が選択できます。処方薬は保険適用となるため、費用の面でもメリットがあります。
「ロキソニン」(成分:ロキソプロフェン)
「ロキソニン」はNSAIDsとして有名で、日本で広く使用されています。即効性が高く、できるだけ早く歯痛を抑えたい方に向いています。ただし、妊婦や乳幼児、小児にはNSAIDsは使用できないため注意が必要です。
処方薬と市販薬のロキソニンは、どちらも同じ成分ですが、市販薬は短期・頓服使用が目的で、用法や効果に違いがあります。ロキソニンは処方内容に応じて用量調整され、ロキソニンSは15歳以上、1回1錠、1日2回までとされています。
処方薬と市販薬のロキソニンは、どちらも同じ成分ですが、市販薬は短期・頓服使用が目的で、用法や効果に違いがあります。ロキソニンは処方内容に応じて用量調整され、ロキソニンSは15歳以上、1回1錠、1日2回までとされています。
「カロナール」(成分:アセトアミノフェン)
「カロナール」は非NSAIDs系解熱鎮痛剤で、中枢神経や体温調節中枢に作用し、炎症や痛みを抑えます。200 mg、300 mg、500 mg錠と種類があり、含有量が多いほど鎮痛効果が強くなります。 ロキソニンよりも作用は穏やかですが、副作用のリスクが低いため妊婦や幼児、小児にも使用できます。市販薬ではバファリンやセデス・ハイなどにも同様の成分が含まれます。ただし、バファリンでも小児用でないものは「15歳未満(あるいは7歳未満)は服用不可」とされていますので注意しましょう。
「ボルタレン」(成分:ジクロフェナク)
「ボルタレン」は歯科医院で処方される医薬品です。強力な消炎鎮痛効果を持つNSAIDsの一つで、歯痛、神経痛、腰痛、手術後の痛みなどさまざまな痛みへの効果が期待できます。ロキソニンよりも効果が強い一方、副作用が多い傾向があります。錠剤やカプセルの飲み薬は処方薬のみで、市販はされていません。妊婦や授乳中の方は使用できません。
飲みすぎの悪影響や飲むのは避けた方がいいケース
市販薬は手軽ですが、飲む際の注意点や避けた方が良いケースがあります。
飲みすぎによる副作用
自己判断で規定量より多く飲んだり、間隔を空けずに服用すると、副作用のリスクが高まります。 NSAIDsの副作用には消化器症状があり、症状が進行すると胃炎や胃潰瘍などを発症することも。薬物乱用頭痛という副作用もあります。
痛み止めが効きにくいケース
普段効いていた薬が効かなくなることがあります。原因としては、
- 炎症が進行して膿がたまっている
- 症状が悪化し、鎮痛剤では抑えきれなくなっている
- 痛みの原因が歯以外にある
などが考えられます。この場合は薬を飲み続けても効果は期待できないため、歯科医院を受診しましょう。 また同じ成分の痛み止めを長期間使用し続けると薬に対する耐性がつき、効果が感じられなくなる場合や副作用リスクが高まるため注意してください。
薬以外で歯の痛みに対処する方法
歯痛が起きた時に薬を使わない応急処置として、冷やすことが効果的です。氷をタオルで包んだり冷却シートを頬の外側から当てて、血流を抑えて痛みを和らげます。 冷たいものが原因で痛みが悪化する知覚過敏の場合は、逆効果になることもありますのでご注意ください。冷やしても痛みが治まらない・悪化する場合はすぐに中止しましょう。
またツボ押しも効果が期待できます。「合谷(ごうこく)」や「歯痛点(しつうてん)」など、歯痛に効果があるとされるツボをやさしく刺激しましょう。
またツボ押しも効果が期待できます。「合谷(ごうこく)」や「歯痛点(しつうてん)」など、歯痛に効果があるとされるツボをやさしく刺激しましょう。
痛みを増強・悪化させてしまう行動
歯が痛い時にやってはいけない行動例です。
痛む歯を触る
痛む歯を触ると刺激となり、雑菌が患部につくことで症状悪化のおそれがあります。物理的な刺激を与えるという意味では、歯ブラシで激しくブラッシングを行うことも同様に刺激となるため、優しくブラッシングしましょう。
熱い風呂や熱い食べ物・飲み物の摂取
熱いものは血流を促進し痛みを増強させる場合があるため逆効果です。その他、アルコール摂取も血行を促進し、症状を悪化させる原因となるため避けましょう。
歯痛に効果的な市販薬を正しく飲みましょう
歯が痛くても歯科医院へすぐ行けない場合、市販薬は一時的な痛みの緩和に便利です。しかし、痛み止めは根本的な治療ではありません。市販薬を使う場合は、用法・用量を守り、痛みを悪化させる行動を避け、早めに歯科医院を受診しましょう。