キシリトールだけじゃない! ガムに配合されている歯に良い成分

キシリトールだけじゃない! ガムに配合されている歯に良い成分

この記事では、キシリトールなどの歯に良い成分を配合したガムの効果、使い方のポイントや注意点を解説します。

               
ガムは手軽に取り入れられるオーラルケアの1つとして活用されています。キシリトールのむし歯予防効果は広く知られていますが、近年は、それ以外にも歯や口内の健康をサポートする成分が次々と登場しています。本記事では、ガムの基本的な健康効果から、注目の配合成分、効果的な使い方や注意点までを詳しく解説します。

ガムを噛むことの健康効果

ここでは、ガムを噛むことによって得られる代表的な健康効果についてご紹介します。

唾液の分泌を促し、口内を清潔に保つ

ガムを噛むと、唾液腺が刺激されて唾液の分泌が促進されます。唾液には、食べかすや細菌を洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用があり、口内を清潔に保つ役割を果たしてくれます。

顎の筋肉を鍛え、フェイスラインを整える

ガムを噛むと、顎の筋肉が鍛えられます。これにより、フェイスラインが引き締まり、加齢に伴うたるみの予防にも役立ちます。顔全体の印象を若々しく保つための、手軽なセルフケアとして取り入れてみるのも良いでしょう。

ストレス軽減・集中力の向上

一定のリズムでガムを噛む行為は、脳に心地良い刺激を与え、ストレスの軽減につながるとされています。実際に、咀嚼などのリズム運動は「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニン の分泌を促すことが、研究で明らかになっています。セロトニンは、興奮作用のあるホルモンの分泌を抑えて精神を安定させる作用があるといわれています。さらに、ガムを噛むことで脳の血流が活性化され、集中力や記憶力の向上にも良い影響を与えるといわれています。

唾液の働きで、消化をサポート

唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ」には、炭水化物を糖に分解する働きがあります。食後にガムを噛むことで唾液の分泌が促されると、アミラーゼの作用が活性化され、食べ物の中でもとくに炭水化物の消化を助けます。さらに、唾液には胃酸の過剰な分泌を抑える作用もあり、胃酸の逆流や胸やけといった不快な症状の緩和にもつながるとされています。

キシリトールのむし歯予防効果は?

歯に良い成分といえば、まず思い浮かぶのは「キシリトール」ではないでしょうか。キシリトールは、甘味料として使用される糖アルコールの一種です。むし歯の原因となるミュータンス菌の活動を抑える作用があり、砂糖のように口内細菌によって酸を生み出されることがないため、歯の表面を溶かす「脱灰」を防ぎ、口内を中性に保つ働きがあります。

るまた、キシリトールガムがむし歯予防に効果がある理由は、ガムを噛むという咀嚼行動自体が唾液の分泌を促進し、歯の再石灰化を助ける作用があるためです。これにより、むし歯の進行を抑制する効果も期待できます。v

市販のキシリトールガムには、キシリトール含有率が40%台のものから、50%以上、さらには100%配合された製品まで幅広くあります。むし歯予防を目的とする場合は、糖質として、キシリトールが50%以上配合されたガムが望ましいとされています。市販のキシリトールガムで「50%以上配合」とされている多くの商品は、残りを他の糖アルコール(ソルビトール、マルチトールなど)や非糖質系甘味料で補っている場合が多いです。これらの甘味料もむし歯の原因にはなりにくいです。しかし、砂糖などが使われている場合はむし歯のリスクとなるため、製品選びの際はパッケージに記載されている成分表示を確認することが大切です。

キシリトールだけじゃない 歯に良い成分

最近ではキシリトール以外にも、歯や口内の健康をサポートするさまざまな成分がガムに配合され、注目を集めています。代表的なものを見ていきましょう。

POS-Ca(リン酸オリゴ糖カルシウム)

じゃがいものでんぷんを原料とした、リン酸化オリゴ糖のカルシウム塩を主成分とする食品素材です。唾液中のカルシウム濃度を高め、歯の再石灰化を促す働きが期待されます。子どもから高齢者まで、年齢に限らず利用できます。

CPP-ACP(カゼインホスホペプチド-非結晶性リン酸カルシウム)

牛乳由来のタンパク質から作られた成分で、歯の再石灰化を促進し、初期のむし歯の進行を抑える働きがあります。子どもにも安全に使用できると考えられていますが、牛乳アレルギーを持つ場合は注意が必要です。

エリスリトール・ソルビトール

エリスリトールとソルビトールは、糖アルコールの一種で、砂糖の代替甘味料として多くの食品に使用されています。どちらもむし歯の原因となる酸をほとんど生成しないため、むし歯リスクを下げる目的でガムに配合されることがあります。一般的に安全性の高い成分とされていますが、大量に摂取するとお腹がゆるくなることがあるため注意が必要です。

ラクトフェリン

母乳や唾液に含まれる天然のタンパク質成分で、むし歯菌の活動を抑制する働きがあり、むし歯予防に役立ちます。人体にもともと存在する成分であり、母乳を介して乳児が多量に摂取していることから、安全性が高く評価されています。

将来に期待! 他にもある研究中の注目成分

現在はまだ広く商品化されているわけではありませんが、口内ケア分野において有望視され、研究が進められている成分も存在します。これらの成分は将来的にガムへの応用が期待されており、今後ますます注目を集めることでしょう。
ここでは、口内ケアへの効果が注目されている成分を紹介します。

バクテリオシン

乳酸菌などの細菌が作り出す抗菌活性を持つペプチドやタンパク質の総称です。特定の細菌、とくにむし歯菌や歯周病菌に選択的に作用するといわれており、口内の細菌バランスを整えて、むし歯を予防する効果が期待されています。

プロアントシアニジン

赤ワインやブルーベリーなどに多く含まれるポリフェノールの1種で、強力な抗酸化作用や抗菌作用が知られています。むし歯菌が歯の表面にバリアを作る「バイオフィルム」の形成を阻害することが報告されており、むし歯予防効果が期待されています。

シスタチン

唾液に含まれるタンパク質の1種で、抗菌作用があることで知られています。歯周病菌の活性を抑制する働きがあり、歯周病の予防効果が期待されています。

ガムの効果的な使い方・注意点

ガムは口内ケアに役立つアイテムですが、使い方によっては体に負担をかけることもあります。ここでは、ガムをより効果的に活用するためのポイントと注意点をご紹介します。

噛むタイミングと回数の目安

食後や集中力が低下したときなど、唾液の分泌が減りやすいタイミングでガムを噛むのがおすすめです。ガムを噛むことで唾液の分泌が促され、口内の自浄作用や再石灰化が期待できます。1回につき10〜20分程度を目安にすると良いでしょう。長時間噛み続けると顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクもあるため注意が必要です。

推奨量を守って摂取する

機能性ガム、とくにキシリトールガムは一度に多く摂取するとお腹がゆるくなる場合があります。下痢や腹部不快感といった症状を防ぐためにも、パッケージに記載された摂取目安を守りましょう。とくに子どもや高齢者は、通常よりも少ない量を意識して調整すると安心です。

糖質や人工甘味料の含有量を確認する

ガムを選ぶ際は、むし歯予防の観点から「砂糖不使用」「シュガーレス」であるかを確認しましょう。砂糖が含まれていると、むし歯菌のエサになり、むし歯の原因となるため注意が必要です。多くのシュガーレスガムには、複数の人工甘味料がさまざまな割合で配合されています。むし歯予防効果を高めたい場合は、キシリトールの含有率が50%を超えるものを選ぶのがおすすめです。

ガムに頼りすぎない

ガムはあくまでオーラルケアを補助する存在であり、歯磨きやフロスなどの基本的なケアに置き換わるものではありません。ガムだけに頼るのではなく、日々の丁寧なケアを基本として、プラスで使用することで、より高い予防効果が期待できます。

ガムを効果的に活用してプラス1のオーラルケアを!

キシリトール以外にも、むし歯予防や口内環境を整えるさまざまな成分がガムに配合されるようになり、オーラルケアの選択肢はさらに広がっています。成分ごとの特性や働きを知ることで、自分に合ったケアを見つける手がかりになるはずです。日々の歯磨きやフロスといった基本ケアに加え、ガムを噛む習慣を上手に取り入れて、健やかな口内環境をキープしていきましょう。

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