歯並びが気になる方は歯科医院へ相談を
歯並びをキレイにしたいという時に、なんとか自力で良くする方法はないかと考えている方もいるのではないでしょうか。歯並びが悪くなる原因はいくつかありますが、日常の癖や生活習慣によって後天的に悪化してしまうケースがあります。歯並びの乱れを引き起こす悪い習慣や癖は、早期に改善することが大切です。今回は、キレイな歯並びの条件や歯並びが悪くなる原因、歯並びを良くする習慣をご紹介します。
キレイな歯並びの条件

キレイな歯並びとは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。その条件を見ていきます。
上下の歯が正しく噛み合っている
上下の歯が、交互にギザギザになって噛み合っていることは、キレイな歯並びの大切な条件です。キレイな歯並びは、上の歯と下の歯が互いに隙間なく、山谷でしっかり噛み合わさっています。
正中線が一致している
正中線(せいちゅうせん)とは、人体を左右対称に分ける中心線のことです。歯科においては、噛み合わせた時に上下の中心の歯と歯の間を縦に結ぶ線を指します。上下の歯の正中線と顔の中心が一致していることが理想です。歯の正中線と顔の中心線がそろっていると、見た目のバランスが良く整った印象を与えます。
歯と歯の間に余分なスペースがない
歯と歯の間に余分なスペースがないこともキレイな歯並びの条件の1つです。乳歯の段階では歯と歯の間が空いている「すきっ歯」の状態が正常ですが、大人(永久歯)の歯並びは余計な隙間がなく、隣り合う歯同士がきっちりと接触しているのが理想とされています。
上下の歯がアーチ型(U字型)に並んでいる
歯の並び方のことを、歯列(しれつ)といいます。この歯列を上の歯は下から、下の歯は上から見た時に、キレイなアーチ状(U字型)の曲線を描いているのが理想ですが、歯並びの乱れによりV字型やコの字型、左右非対称になることもあります。
噛んだ時に、上の前歯が下の前歯に2~3 mm重なる
奥歯で噛んだ時に、上の前歯が下の前歯を覆うように2~3 mmほど重なるのが正常な噛み合わせです。上下の噛み合わせが深いと、上の前歯が下の前歯を覆い隠して、歯ぐきを傷つけることがあります。
悪い歯並びの種類
歯並びが悪い状態を不正咬合といい、さまざまな種類があります。歯並びの悪さは、見た目が気になるだけでなく、磨き残しが発生しやすいため、むし歯や歯周病になるリスクも高まります。
不正咬合には以下のような種類があります。
不正咬合には以下のような種類があります。
- 上顎前突……いわゆる出っ歯と呼ばれる歯並びで、上の歯が前に突き出ています
- 下顎前突……下の歯が上の歯より奥にある状態で、受け口とも呼ばれます
- 叢生……歯が重なり合い凸凹に生えた状態で、乱ぐい歯とも呼ばれます
- 過蓋咬合……噛んだ時に上の歯が下の歯に覆いかぶさっている状態です
- 開咬……奥歯は噛んでいても、前歯が噛み合わずに開いている状態です
歯並びが悪くなる原因

歯並びが悪くなる原因として、以下が考えられます。
遺伝的な要因
顔や背の高さなどが遺伝するように、歯や顎の形やサイズが遺伝して、歯並びに影響を与えることがあります。例えば、父親や母親が「上顎が小さい」「下顎が大きい」などの骨格的な理由で受け口になっている場合、子どもにも遺伝する確率が高いといわれています。
口呼吸
口呼吸の場合、口がぽかんと開いたままで、口周りの筋肉が常に緩んだ状態になるため、筋肉が衰えてしまいます。筋力が低下すると、前歯が前方に倒れやすくなり、出っ歯の発症や悪化リスクが高まります。
口周りの癖
前歯を舌で押す、頬杖をつくなどの習慣は、歯や顎の発達に影響を与え、すきっ歯、出っ歯、受け口などの原因になります。例えば、下顎を片方から支えるような頬杖をつくと、下顎に力が加わり続けることで顎の位置がずれて、噛み合わせが悪くなることがあります。また、片側だけで噛む癖があると、歯や顎に不均等な力をかけ、歯並びを悪化させる原因となるので注意が必要です。
むし歯や歯周病
むし歯や歯周病によって部分的に痛みや違和感を抱えていると、そこを避けて噛むため、周囲の歯に大きな負担をかけます。また、歯周病の場合、進行すると歯を支える骨が溶けて、最悪のケースでは歯を失うことがありますが、その状態を放置していると空いたスペースに隣の歯が移動し、結果的に歯並びの乱れにつながります。
姿勢の悪さ
姿勢の悪さは、歯並びや噛み合わせにも影響します。姿勢がよくないと頭の重心位置がずれ、そのずれた重心を中心にもってこようとして、歯並びや噛み合わせ、骨格などが歪みやすくなるからです。さらに、猫背のような姿勢は筋肉の関係で口が開きやすくなるため、悪い姿勢と口呼吸のダブルの影響で、歯並びがより崩れやすくなります。
偏った食生活
食生活の偏りは、歯並びに悪影響を及ぼす場合があります。例えば、やわらかいものばかり食べたり、よく噛まずに飲み込んだりする習慣があると、顎の筋肉が弱まり、正しい歯並びを維持しにくくなります。とくに子どもの場合、顎の発育が不十分になって、永久歯が生えてもキレイに収まらず、歯並びが悪くなるおそれがあります。
加齢
加齢による歯周組織の変化は、歯並びが悪くなる要因の1つです。人は歳を重ねるにつれ、骨密度が徐々に低下します。骨量が減少すると、歯を支える顎の骨(歯槽骨)の密度も低下し、歯の安定性が失われるため、歯が少しずつ移動して、歯並びが乱れる原因となります。
歯並びを悪くしない習慣

歯並びを乱す悪癖をやめる
口呼吸や舌で歯を押す、頬杖をつくなどの習慣は、歯並びの乱れを引き起こす悪癖です。意識して改善するように心がけましょう。
正しい姿勢を保つ
猫背などの悪い姿勢は、口呼吸を引き起こし、歯並びだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあります。背筋を伸ばして顎を引き、正しい姿勢を意識することが大切です。スマートフォンを使用する時は目線が下がって、猫背になりやすいといわれています。スマートフォンを持つ手を目の位置まで上げれば、目線も上げることができます。
柔らかい食べ物ばかり食べない
食事の際にしっかりと噛むことは、歯並びを維持するうえで非常に重要です。よく噛むことで歯に適度な力が加わり、歯列を正しい位置に維持しやすくなります。毎日の食卓に噛みごたえのある食べ物を積極的に取り入れましょう。
歯並びが気になる方は歯科医院へ相談を
歯並びが悪い場合、自力で治すことはできません。指などを使って無理に歯を動かそうとすると、歯や周辺の組織を傷つけ、さらに悪化するおそれがあります。歯並びに悪い影響を与える癖の改善などは、これ以上の歯並びを悪化させないため、あるいは歯並びの乱れを防ぐために行うものです。
歯並びをキレイにしたい方は、まずは一度、矯正治療を行っている歯科医院を受診することをおすすめします。歯列矯正の方法は、ワイヤー矯正や裏側矯正、マウスピース矯正など、さまざまな種類がありますが、一人ひとりにとって適した治療は異なります。歯科医師の診断を受け、歯並びの問題を正確に把握したうえで、自分にはどのような矯正方法が合うのかを相談しましょう。
歯並びをキレイにしたい方は、まずは一度、矯正治療を行っている歯科医院を受診することをおすすめします。歯列矯正の方法は、ワイヤー矯正や裏側矯正、マウスピース矯正など、さまざまな種類がありますが、一人ひとりにとって適した治療は異なります。歯科医師の診断を受け、歯並びの問題を正確に把握したうえで、自分にはどのような矯正方法が合うのかを相談しましょう。
生活習慣を見直して、歯並びが悪くなる原因を取り除こう

歯並びを乱す悪習慣があると、たとえ矯正治療を受けても、キレイになった歯並びが徐々に元に戻ってしまうリスクがあります。すでに習慣になっている行動を変えることは大変ですが、少しずつ改善するよう心がけましょう。